み-393

アールグレイの香りは今日も裏切らない。
けれど外は雨。だけど隣には―――

ご丁寧に今日もラブからは写メが届く。もちろんそこにはせつなとのツーショット。満面の笑みと少々困惑気味の笑顔。
イヤよイヤよも好きの内。そんな言葉がピッタリじゃない。今度せつなに会ったら本心聞いてみようかしら。

すっかり、そこには過去との自分に決着を付けた友がいた。もう彼女はアタシたちの仲間。彼女の恋人。
苦労した分、思う存分にシアワセになって欲しいと思う。それにしてもせつなを見出したラブはスゴイな。
アタシには到底出来ない。そこまで信念を貫き通す事が。ラブだから出来たんだなって。

友達から親友に。家族から恋人に。
愛って言うスタイルはまだ似合わないかもね。でも、絆がそこにはあって。もう、一生ちぎれる事はない頑丈なモノ。
進展が速すぎて結婚でもしちゃうんじゃない?冗談じゃなく本気でね。それぐらい立ち入る事が出来ないオーラがそこにはあるの。

いつしか彼女たちのスタイルも満更じゃないかなって思えるアタシがいた。
イチャイチャを遥かに超えたモノ。二人だけの世界。誰にも邪魔されない世界を。

アタシにそれが出来るのかしら?
グイグイ引っ張る事は出来るけど、一歩後ろに立って相手を思いやる事が。
一緒に歩く事は出来るけど、いつしかアタシが前に出ちゃいそうで。
二人で生きて行くってとても難しい。アタシの人生がそう物語っているもの。

憧れ。
ラブの全てが。

でも。
今はライバル。

いつまでも二番手なんかイヤなのよ。プライドが許さないわ。
ラブが太陽ならば、アタシは虹。たまに見れるのがポイント。貴重なのよ。
それを見れるのはアタシの心を許した人のみ。

虹色は輝くの、今日もアノ人のために―――


運命ってホントにあるんだなって思った。
失恋の孤独はあっと言う間だった。救いの天使はすぐそこにいたんだもの。
なんで気付かなかったのかしら。アタシもまだまだだなって。チョット後悔。

幸せはアタシにも訪れた。
今度はアタシたちが祝福してもらう番。だってそうでしょ?アタシたちの幸せはラブたちの幸せでもあるんだから。
ねぇラブ。アタシ負けないわよ?あの時の気持ちのリベンジしたいし。それだけ熱くさせたのよ、アナタは。

大好きだった―――から



カレンダーを捲れば11月がやって来る。秋を楽しむ事出来るかしら。
今月もあと少し。でもデートの約束でスケジュールはいっぱいいっぱい。
ヒマなのは寝る前のこの時間ぐらい。紅茶の香りで疲れもリフレッシュ。今日もぐっすり眠れそう。
今日もアタシはシアワセでした。デートの途中で雨が降って最低だったけど。

おかげで…
ん!アタシ完璧!

隣にはブッキーがいる。気持ちよさそうにアタシに寄り添って。本当に可愛い子。
この温もりはアタシだけの宝物。ラブもせつなもお願いしてきたってダメなんだから。


巡り会うと思ってたらめちゃくちゃ傍にいた。ある意味完璧なのかもしれないわ。
今はまだ愛してる方が強いけど、愛されてるようになったら本当の恋人。
ブッキー、もっともっとアタシを愛して。アナタの愛で溺れさせて。お願い。


結構欲張りかしら、アタシって。そこはラブと一緒かも。


雨音のメロディーに少し冷静さを取り戻し、虹色の少女はアールグレイの香りに包まれるのだった。


~END~
最終更新:2010年10月25日 00:48