「よいしょ、よいしょ…」
「なんでワイまで手伝わなあかんねん」
「きゅあ~」
「コラっシフォーーーーンそっちちゃうわぁ~」
今日はハロウィン。ここは山吹家。祈里とタルトとシフォン。
〝はちゃめちゃ〟
そんな言葉がピッタリ合うような賑やかな雰囲気。
「こんなデカいのじゃなくてもええやないかパインはん…」
「だめよタルトちゃん。これじゃなきゃインパクトがないもの」
「か…ぼちゃ???」
「そう、かぼちゃさん。中身をくりぬいてお面みたいにかぶるの」
「けったいやなー」
タルトの言う通りここ近年、日本でも根付いてきた洋風文化。なぜそれをタルトが
知っているかは置いといて。
「それにしても遅いなー、ピーチはんとパッションはん」
「やっぱり二人にお願いしたのが間違いだったかしら」
「ぉかし…おかちー!!!」
「へっくしょい!」
「ラブ風邪でも引いた?大丈夫?」
「へーきへーき。ねぇねぇせつなー、こっちも美味しそうだよ!」
「あっパンプキンプリン!美味しそうね」
買出しと言う名義の元、案の定事が進まない二人。シフォンのお菓子が届くのはいつになるやら。
一方。
「あ、あのねぇ…」
「バッチリじゃなーい。さすがアタシの娘っ!」
黒尽くめ。やりすぎ。これじゃ魔女。あ、当たってるのね。
美希はちょっとしたコスプレでみんなを驚かせようとしていた。
カワイイ魔女がお菓子をお届け!そんなフレッシュな考えもレミには届かなかったようで。
「なんで特殊メイクまで頼んでんのよ」
「あら~なんでも完璧にこなすのが美希じゃないのぉ???」
「そりゃそうだけど…」
心の中で〝ありえない〟を何百回も連呼する蒼乃美希。あぁ、健気とはまさにこの事。
「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
「どうした桃園さんっ!!!」
「コレですよ、コレ!!!!!」
「どぅわああああああああああああああああああああああああああああ」
「なんで今まで気付かなかったんだ!カボチャにだってカツラがあってもいいじゃないか!!!」
「感動だ…。どのウィッグを付けてみる!?まずはショート…いやロングだ!」
「山吹先生。僕はまた夢中になれそうですよ!」
「あぁ、僕もだ。ハロウィン、あなどれんな」
「頭痛いんですけど」
「わたしもです」
主婦同士で嘆く、共感し合う。旦那様の夢探しに付き合うよりも、今はみんなのために食事を作る。
「ほんとかぼちゃって食べると美味しいんだけど」
「皮とか種とかですよね」
―――えいっ―――
―――とぉっ―――
今日も活躍する主婦の武器包丁が、切れ味するどく今日の主役に襲い掛かった。
「ぷりぷぅ…」
一向に進まないハロウィンパーティー。シフォンは何思う…
「わかるでシフォン、これが現実や。十人十色ゆーねん。みんなバラバラや…」
夕日を遠く見詰めるフェレ…妖精。その向こうにはフィアンセが待っているのだ。
「アズキーーーーーーナはあああああん~」
四ツ葉町、クローバータウンでは一日盛大なハロウィンで賑やかしく時が過ぎていった。
これもまた幸せの一つ。去年の今頃は確か、一日がかりでクローバーのみんなが盛り上がってたような。。。
「せつな、あーん」
「もうラブったら」
「がおー、美希ちゃん食べちゃうぞぉ」
「怖くないわよブッキー」
また来年もみんなで、ね。
~END~
最終更新:2010年11月10日 22:18