「イース……」
「………」
「イースさん……」
「………」
「イースちゃん!」
バシッ
「ごめんなさい」
あたしが名前を連呼してもイースは振り向いてもくれない。
しまいには抱きしめていたクッションを投げつけてきた。
なぜこういう状況になったか……それは遡ること10分前。
「見て見てー、今月のあ・た・し」
毎月あたしはイースと一緒に雑誌を見る。もちろんあたしが載ったものを。
真面目な読書を邪魔されたイースに睨まれるのはいつものことなので気にしない。面倒くさそうに雑誌を受け取ってパラパラとページをめくり、声をかければ返してくれる。
(一方的に)撮影秘話なんかを話しながら見るのは楽しい。そして最近は好き嫌いを言ってくれるようになった。
この服は合ってない、嫌いと言われるとヘコみはするが、あたしに興味をもってくれてるということがとても嬉しい。
そして必ず見終わった後に、イースはお疲れさまとボソッと声をかけてくれる。
あたしにとってえっちの時とはまた違う幸福なひと時。
この一言でまた頑張ろうと思えるぐらい嬉しい。
今月もいつものようにイースと雑誌を見ていた。
最近は仕事も安定して、幅広く呼ばれるようになり充実している。
数冊ある雑誌の中でイースが手にしたのは同年代の子が見るファッション雑誌だった。
パラパラとめくっていたイースの手がとまる。
「あ、これはね」
「告白をしよう?」
告白企画の撮影は結構楽しかった。
セーラー服を着たり、お弁当の差し入れ、お菓子作り、ライバル出現。最後は年上の先輩に告白してOKをもらって。
この撮影はかなり評判がよかった。
あたしのうるうる仔犬の目写真なんてカメラマンまで大絶賛。
さぁ、イース
かわいいって言って
「…に……れ…」
「ん?」
「勝手にすれば」
「え、ちょっと何?」
そして今にいたる。
意味がわからない
なんで??
あたしはそろーっとイースに近づいて、きゅっと後ろから抱きしめた。
「さわるな」
あたしはバッと離れる。この声色のイースは危ない。
本気で怒ってる。
ベットの上で正座しているあたしって……。
「どうしたの?わかんない。あたしが悪いなら謝るから」
イースはすっとあたしに先ほどの雑誌を手渡す。
これが何?可愛く写ってるでしょ?
あたしは真剣に隅々まで見ていく……
「わかりません……」
イースはため息をついてくるっとあたしの方を向いた。
クッションを胸に抱え睨みつけてくる。
「男の人と抱き合ってる。キ、キスしてる」
「どもった」
「うるさい」
あたしは雑誌に視線を落とす。
最後のシーンは年上モデルと抱き合うカットになっていた。頬っぺたにキスをして。
「や、これは撮影だし、頬っぺただし……さ」
イースは他の雑誌を数冊掴むとぷいっとまた後ろを向いて寝転んだ。
え!?なに、これはまさかやきもちやいてくれてるの!!
う、嬉しい!やばい顔緩んできた……
いやでも今はイースの機嫌を戻さなきゃよね。
「あたしも隣で一緒に見ていい?」
「いや」
「はう」
あたしはしゅんと落ち込んで正座したまま。
仕事だし頬っぺたぐらいいいじゃん
あ、でもイースが他の誰かにちゅーするのは嫌かも
でも終わったことだしさぁ
「肩もんであげようか」
「いい」
「飲み物」
「いらない」
うっ
もうどうすればいいのよ!!
「ちゅー」
「いや」
「抱っこしたげる」
「…………いや」
お、あと一息?
「ブルンを使ってファッションショーとか」
「……………」
え
なにこれ?
「着替えさせてあげようか?」
「違う」
「え?」
「美希がするの」
もふもふしたネコのコスプレ
イースの要求にブルンは応えた。頭にはネコ耳。お尻にはしっぽ。そして水着のような露出の高い服。
「ど、どうですか」
「ネコ語で話して」
「ネコ語?………ど、どうかにゃ~」
「ラッキーの方が可愛い」
普通にショックなんですけど……身体張ってるのに。
しかも犬好きならコスプレ犬でいいじゃん……
なんだかんだ言いながらも、イースはあたしのしっぽを興味深げに触っている。
「あの、イース?」
「…………」
「き、機嫌なおしてにゃ~」
「美希次第よ」
やっぱりにゃーつけないと話してくれない……
あたしは迷ったすえに抱きつこうとしたら、手で遮られた。
「ふにゃっ」
「勝手なことしちゃダメ。お手」「イース、恥ずいんだけど」
「お手」
「にゃん」
あたしは素直に手をのせる。
プライドより仲直りが優先事項だ。
イースはくにゅくにゅとネコ耳をいじっている。
「ふーん」
「あたしが好きなのはイースだけよ?」
上目遣いで告白すると、ピタッとイースの手がとまった。
ゆ、許してくれるのかな……?
「ひゃっ」
ぐいっと引っ張られ顔が近づく。イースはニヤリと笑った。
「飼いネコには躾が必要よね」
顎を指でくいっと持ち上げられ冷ややかな目で見られる。
あたしはこの顔が意外と好きだったり。そしてよぎる甘い期待。イースさまぁ。
「そこ終わったら次はこっちね」「にゃー……」
ごしごしごしごし………
あたしは机を拭いたり床をはいたり、どうみても掃除をさせられている。年末大掃除よね。
あ、ここ埃たまってる
じゃなくて!
「ねぇ、イース」
「どうしたの、寒い?」
「ううん、それは平気だけど……あたしせっかくこんな格好してるのよ?モデルでスレンダーなあたしがよ?」
「だから?」
「もうちょっとかまって!」
うわーんと喚くとイースは面倒くさそうに顔をあげた。
「うるさい。私寝るから、あっちの本棚綺麗にしといてね」
おやすみとイースは枕に顔をつけると目を閉じた。
あたしは箒を片付けると、そろーっとベットに近づく。
仲直りの為とはいえ、流石にこれはひどい。せめて見ててくれないとやる気もでない。
スースーと寝息をたてるイースはあたしがベットに乗っても気づかない。
あらためて間近で見るイースの顔にあたしはくぎ付けになる。
モデルをしていて綺麗な子を見馴れたあたしでもイースはかなり高いレベルだと思う。リップも塗っていないのにぷるんと艶やかな唇からちろっと覗く朱い舌。
誘われるようにあたしは顔を近づける。
「ふ………」
触れた瞬間あまりの柔らかさにかぶりつきたくなった。
「んっ………」
イースが少し身じろぐ。
あたしは最大限注意しながら口を離し、イースの服に手をかける。上着を脱がし、ズボンをするすると脱がせイースを見た。ブラもショーツも黒で白い肌が強調されている。
ゴクリと生唾を飲んでブラに手をかけようとした瞬間、朱い瞳と視線が絡んだ。
「何してるの?」
「ぎゃっ!いや、あの、これは」
「おしおきが必要みたいね」
―――――――
イースは美希の布地の少ない服を乱暴に脱がすと、自身の太股の上をまたがせた。腰を降ろさせ、羞恥と不安が入り混じった複雑な表情でイースを見る美希に妖しく声をかける。
「自分でイきなさい。あたしを使っていいわよ。手助けはしないけど」
「何言って―――」
「寝ている人を襲う淫乱ネコは一人でもイけるでしょう?」
戸惑っている間にも美希の秘所はイースの柔らかい太股の温度に反応し熱をおびる。イースは不敵な笑みを見せると、美希の腰をつかみぐっと押し付けた。
「ひあっ」
「やりなさい、美希」
耳元で甘く響くイースの言葉は美希の理性を削り取っていく。
美希は流されてしまおうと思った。
どうせ今の自分の蕩けた頭でこの状況を打破することはできない、ならいっそ――――
美希の手がイースに重なる。ベットにしっかり膝をつくと、ゆっくり腰を動かしはじめる。
「んっ、はあ……」
既に溢れていた蜜が擦れ合う度に糸を引きながらくちゅくちゅと音をたてる。敏感な部分に刺激がくる度美希の口からは耐え切れず甘い嬌声がもれる。
美希は早く終わらせたい気持ちで腰を動かすが、軽く達しそうになると動きを緩くし自分の気持ちを落ち着ける。
イきたいのにまだこの感覚を失いたくなくて。自分の卑しい気持ちに戸惑いながらもイースと触れ合っていることが美希の思考回路をおかしくしていく。
「はぁ……」
そんな美希をイースは息を途切らせ夢中で見つめていた。
美少女が自分の脚を使って全裸で自慰に浸る行為は艶かしくいやらしい。今すぐ細い腰をつかみたくなる衝動を抑えて一切手はださないよう我慢する。
「イース、も、ああ、んっダメぇ……」
「美希」
ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ
だんだんと意識が遠くなっていく。美希はイースに抱き着きその存在を確かめる。
思わず髪を引っ張ってしまったがイースは文句も言わず美希の好きなようにさせている。
いつもとは違う特殊な状況に、身体は一層興奮を覚える。
あと少し
も、もうあたし―――
「美希、好きよ」
「ふあっ」
イースが囁いた途端美希の身体はびくりと震えた。ぎゅっとイースの太股を挟みびくびくと震え、はあっと大きく息をはく。
体勢を整えようと美希をどかそうとしたイースだが、美希はうーと唸りイースを抱きしめて離さない。
「ちょっと……どいて」
「さいってー」
「はぁ?」
イースが少し身体を離して美希と顔を合わせると、涙を溜め拗ねた顔をした美希が非難がましい目を向けている。
「意地悪し過ぎたのは謝るわ」
「違う!」
「じゃあ何よ」
「す、好きって言った。う、嬉しかったけど、嬉しすぎてそれが引き金でイったけど、なにもあたしが自慰でイく時に言わなくてもいいでしょ!!」
「ああ、それ」
「それって!?初めて、付き合ってるのに初めて聞いたのよ」
イースはわめき立てる美希を引き寄せおでこをくっつける。
馬鹿。ほんと馬鹿だけど……可愛い。
「もうちょっと雰囲気とかさぁ……」
「善処するわ」
「え?う、うん。なんか素直ね」
「好きよ」
「もうっ!」
真っ赤になった美希を見てイースはくすくす笑う。
安売りをする気はないけど、たまには言葉にしてみるのもいいかも。
いつも喉につっかえて言えなかった言葉は、今だからこそ言えたのかもしれないし。
「私はこういうのが好きなのかしら」
「変態」
「そういえばおしおきのはずだったのに、美希が気持ちいい思いしただけね」
「じゃあ、あたしがイースにご奉仕してあげるにゃん」
「しなくていい」
断りを入れた瞬間イースの視界が反転し、自分を押し倒した張本人に文句を言おうとしたら口を手で塞がれた。
美希はにこにことイースを見下ろし、空いている片手でイースの豊満な胸に手をそえるとぎゅっと力をこめた。
痛みと微かな快感から塞がれているイースの口からくぐもった声がもれる。
「ほんとの女王様を教えてあげる。イースはこういうのが好きなのよ」
「ん、ふんん」
「違くないよ……このドM。カチューシャ貸してあげるね」
この細い腕のどこにそんな力があるのか、イースは全く抵抗できない。
美希はカチューシャをイースの頭につけると、震えるイースに女神さまのような優しい笑顔を見せる。もっともそれはイースには妖艶な悪魔の微笑みにしか見えていないが。
自分を保つためにキッと美希を睨みつける。
「ネコ耳似合うね。イースネコっぽいし。いい顔。ああ、もうそんな顔されるとぞくぞくする」
その日、憐れな子ネコの嬌声が館中に響き、FUKOのゲージを潤わせたのでした。
END
最終更新:2010年12月26日 21:29