みんなの幸せが私の幸せ
みんなの笑顔が私の元気の源
ずっとそう思っていたのに、何故か最近空しくなる。
ホントに私って幸せなのかな?
私を幸せにしてくれる人は現れるの?
せつなと一緒に暮らし始めて毎日が楽しい。
美希たんやブッキーと話したり遊んだりするのも勿論楽しい。
お父さんやお母さんは私を大切にしてくれる。
四葉町のみんなが私に優しくしてくれる。
でもね、何か足りないんだ・・・
私を〝愛してる〟と言ってくれる人がいないの。
寂しいのかな、桃園ラブは。
そうだよね、今までずっと走り続けてきたんだもん・・・。
だけど、暗くなっちゃうのは私のプライドが許さない。
そんな時、私の心を癒してくれるの場所がココ。四葉町が見渡せる丘。
いつでも私を快く出迎えてくれる。
目を閉じて横になると自然に落ち着けるんだ。心が安らぐ瞬間を感じれる。
いつしか眠ってしまった私に誰かが声をかける。聞き覚えのある声だ。
「探したよ、ラブ。」
「せつな・・・」
「最近良くここに来てるでしょ?どして?」
「知ってたんだ・・・。理由なんて無いよ。何となくね。」
私がここに来てる事を知ってた驚きと、気持ちを悟られたくない葛藤で
返す言葉が冷たくなってしまった。
「隣座ってもイイ?」
「うん。」
「元気ない。ラブらしくないわ。」
「そんな事ないよ。考え事してただけ。」
「そう?だったらそんな寂しそうな顔にはならないはずよ?」
せつなはそう言うと、着ていたカーディガンを私にかけてくれた。
気がつくと陽も暮れ始めていて。
「せつなには嘘つけないね、やっぱ。」
「どうしたの?何か辛い事あったの?ずっと気になってたのよ私。」
「何だが空しくなっちゃって・・・。私ね、疲れちゃったのかもしれない。」
情けなかった。話を聞いてくれてるせつなの顔も見れなかった。
しばらく沈黙が続き、重い空気の中こう叫ぶ。
「今度は私がラブを助けたい!ラブのために何かしてあげたいの!元気になって欲しい!」
心の叫びのような声だった。せつなのこんな表に出した感情は初めてだった。
「私ね、不安なの・・・。誰も私の事、〝愛してる〟って言ってくれないんじゃないかって・・・」
今思うと恥ずかしい台詞だよね。ドラマじゃあるまいし。
「そんな事ないわ。私はラブを愛してる。けどね・・・」
「けど?」
「こーゆー時、どうしたらいいのかわからないの。本当に助けてあげたいのに・・・。
力になってあげたいのに・・・。ごめんなさい・・・。」
「ううん。ありがとせつな。気持ちだけでも十分嬉しいよ。」
「気持ちだけじゃない!気持ちだけじゃ・・・」
せつなは泣いていた。感情を上手く伝えられないのが悔しかったのだろう。
悪い事をしたなって今でも反省してる。
「本当にラブを愛してるわ。ずっと言おうと思ってた。それに、私をここまでにしてくれたのはラブなのよ?」
「私の力だけじゃないよ。美希たんやブッキー、お父さんやお母さん、四葉町のみんな、
それとせつな。せつな自信なんだよ。」
「ラブ・・・」
いつの間にやら私よりせつなを気にしちゃってる自分がいて。これもまた私らしくて。
「さ、帰ろう。風邪引いちゃうぞ~」
そう言ってせつなの手を引っ張る。
「あっ」
勢いあまって重なる二人。
「ラブ・・・。私じゃダメ・・・かしら?」
「ダメじゃないよ。」
そっと涙を指で払ってあげる。
「愛してる、ラブ。」
「ほんとに~?」
「ええ。」
「絶対~?」
「絶対。」
「神様に誓う~?」
「しつこいわよ。」
「ごめんなさーい・・・」
せつなの愛してるは世界一、いや宇宙一私に効く特効薬かもしれないね!
~END~
最終更新:2009年09月26日 08:56