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聖騎士として生きる者

~PROLOGUE~

「どこからでも掛かって来い…」
 とある広場で武器を持った男達が一人の青年の周りを取り囲んでいる。男達は武器は全員木刀でまた、青年も木刀を手に持っている。この事からこれは修練だと推測出来る
 しかし、彼らはどこかハンターとは違う印象がある…どこかしっかりした雰囲気や正義感に溢れているような感じ…これは明らかにハンターとは違うものだ
「私は本気で行きますよ…よろしいですね…」
「あぁ…いつでも来い」
 青年がそういうと男達は緊張のあまり額から汗が流れる…だが、次の瞬間男達が一斉に青年に飛び掛かった
 すると、青年はわかっていたかのように目の前から掛かってくる者の攻撃を避け、瞬時に急所に木刀を当て気絶させた。正面を突破させられ攻撃対象が視界から消えてしまい。彼を横から挟むように攻撃を仕掛けた者同士が避けきれずに衝突する
「複数で袋叩きにしようとするからそんな事になる…そして、それによって生まれる隙が命取りになるという事だ」
 正面を突破した彼はその勢いを殺さずにUターンし、味方同士で衝突して隙が出来ている男達に攻撃を仕掛ける。その一撃の鋭さは凄まじく急所を貫く一撃を食らった相手はその場にただ崩れ落ちるしかなかった…そして開始から一分も起たずに男達は彼に一撃も与えられず敗北した
 王国騎士…それは王国の騎士の事で主に王国領土内の秩序を守っている強き者しか入れない王国専属の騎士達の事を指す。彼らはかなりの実力者であり対人戦に置いてはハンター達でも敵う者は多くはない
 しかし、そんな彼らをも凌ぐ実力者がいる…そんな者達は国王の側近となり国王の命令を直に受け、行動するなど特別任務を与えられる
 つまり、国王から絶対の信頼の元に活動する事が出来る。それは騎士として最高の名誉なのだ
 その職業に着く者達はこう呼ばれる…
 “聖騎士”と…
 MONSTER HUNTER 聖騎士として生きる者
第一章 異国の地へ

第一章 異国の地へ

「少し…やり過ぎたな。あいつらの実力を考えてやればよかったな…」
 青年は若干ながら反省している。力のある者はその加減に困るものだ…加減を誤ると取り返しの付かない事に成り兼ねない
「今日から長期の休暇か。休暇前の訓練は終わった…さて何をするかな?」
 休暇の持て余しかたで悩んでいるようだ。そうして考えながら歩く青年の後ろから青年の名前を呼ぶ声が聞こえた
「シオン様~!!」
「メ、メル!」
 後ろから青年に向かって走って来たのは茶色の髪に灰色の目をしたとても美しい少女だった。そして少女は驚く青年に飛び付いた
「今日で休暇ですよね~休暇が終わるまで私とずっと居て下さいね」
 いきなりの発言に青年は顔を真っ赤に染める
「メル!何もこんな場所で…と、とにかく落ち着いて話しが出来る場所に行くぞ!」
「あ~待って下さいよ~」
 青年は早歩きで自分の家へと忙しいだ。彼女もそんな彼を追って行く
 そうしていると彼の家らしき場所が見えて来た。その家は普通の民家よりも大きく立派だ…彼の騎士としての実力の高さが頷ける
「シオン様…大事なお話が…」
「ここは人が少ないからって口を滑らせるな…誰に聞かれるかわからないのだから…」
 彼、いやシオンと呼ばれる青年は顔を強張らせながら言った
「すみません………」
 家に着いたシオンはドアを開けリビングに彼女…メルを座らせ話しを聞いた
「大事な話しってなんだ?」
 シオンがそう言うとメルは小声で話し始めた。よほどさっきのが効いたのだろう
「クローシスさんがシュレイド地方に渡ったそうなんです」
 シオンは驚きながら笑みを零した
「そうか、あいつ…無事だったんだな。安心したよ…」
「会いに行かなくてよろしいのですか?」
 メルはふと笑ってシオンに言った
「いや、俺は行かないよ…あいつは追われている身なんだぞ…」
「そうですよね…」
「なら、この話しは終わりだ…今日は疲れたからもう寝るよ」
シオンは寝ると言って話しを終わらせメルを家から追い出した…彼女もせっかくシオンに構って貰える時間が来たというのにあっさり帰って行った
「メルを連れて行く訳にはいかない…」
 シオンは最初から行くつもりだったのだ。その旅に最愛の人を連れて行きたくないという考えは理解出来る。しかし、何故彼はクローシスに会いたいのだろうか…
「いざとなったら…我が“秘剣”お前だけが頼りだ…よろしくな」
 シオンは自分の相棒に挨拶をした後、まだ昼の4時だというのにベットに横なり熟睡し始めた
 そして、夜が明け日の出が見えて来ている早朝、シオンはシュレイド地方行きの船に乗るため家を出た
 やはり早朝だけあって周りは静まり返っている…シオンが港に行く道を歩いていると…
一人の女性がシオンの前に立ちはだかる。その女性は全身を白い色の装備で覆っており、まるで天使を連想させるような姿だった
「…俺の考えなど見透かされていたって事かメル?」
「私をごまかすには少々演技が足りませんよシオン様」
 クスっと微笑みながら彼女はシオンに言った。シオンはもうお手上げだなと言っているような仕草をして彼女に言う
「一緒に行こう…」
「初めてからそのつもりですよ」
 そう言うと二人にこやか笑いながら港に歩き始めた。嬉しさを表わにする彼女の着る防具と彼女の肩に掛けてある見慣れない銃にシオンは興味を示している。そんなシオンに彼女は説明を始めた
「この姿と銃が気になってるみたいですね?この装備はフルフルの上位装備なんですよ。“フルフルS”と呼ばれているガンナー装備ですよ」
「フルフルか…俺は文献でしか見た事ないから、初めて知ったよ」
ここは王都だ。飛竜の存在は王都では確認されずさらに他の下級モンスターの出現もない…そんな場所で飛竜の事をまともに知っているのは特別な機関の関係者などごく限られた人々なのだ
「そして、この肩に背負っている銃は“火竜弩”と言ってと~ても強力な私の愛銃なんですよ~」
「ほぅ…随分変わった銃身をしているな…四つも銃身があるとは」
 そう、この銃の特徴とも言うべき点、複数の銃身が一つにまとめられている…それはかなり高度な技術を持ってしないと造れないくらい複雑な機構をしている。そんな銃を何故彼女が所持しているか、それは簡単だ。彼女もまた聖騎士なのだから
“白衣の業火”メルリシス・シュミットと言えば王都の誰もが知っている凄腕スナイパーで美人な為王都の中では人気があるとか…
 そうしている内にシオン達は港に到着した。彼らは船に乗るためのチケットを買い、船に乗り込んだ
「私達は二人部屋ですからこっちですね」
「なんで…個室の二人部屋にしたんだ?メル…」
「だってずっと二人きりでいたいですもん!」
シオンの苦労に終わりはなさそうだ…
「恥じらいっていうのを少しは!」
「はいはい!気にしない気にしないそれよりお風呂とか覗いても全然大丈夫ですからね~」
「メル!!いい加減に…」
「ふふ、顔が真っ赤ですよシオン様」
 シオンはメルには全く太刀打ち出来ないらしい…騎士達相手に圧倒的力を見せ付ける彼の姿は何処へやら…
「はぁ…俺はなんだか疲れて来たよ」
「それなら、甲板に出て景色を見に行きましょうよシオン様」
 そう言うとメルはシオンの腕をぐいぐいと引っ張って行った。シオンは完全に彼女の意のままになっている。甲板に出たシオンとメルが見た景色、それはとても素敵なものだった
「シオン様~!!凄いですねうわぁ~」
「そうだな…とっても綺麗だね」
 水しぶきを起てながら進んでゆく船から見えるのは壮大に輝く蒼い海と水しぶきが太陽の光りを浴び、生み出される虹…まさに芸術と言える
「シオン様とこんな景色を見られる事が出来てメルは幸せです」
 メルはシオンに甘えるように両腕を組み、シオンの顔を見つめる
「……俺もだよ…」
 見つめるメルにそっとささやいた甘い言葉は二人の雰囲気をよりよいものにする…
 それからシオン達はずっと景色に見とれていた…そうしているうちにシュレイド地方の西に位置する都市、ヴェルトの港に上陸した…港に着いたシオン達は甲板から降ろされる橋を渡りヴェルトへと無事辿り着いたのだった…
「へぇ~王国とあんまり変わりないですね~」
「随分と立派な街だな、シュレイド地方も大分発展したって事か…」
 ヴェルトの町並みに二人は驚いた。ほんの少し前までは辺境と呼ばれていた地方だった場所がこんなにも発展するとは王国から初めて来た人間が想像出来っこないからだ。この街にはたしてクローシスはいるのだろうか……
「そういえば、もしかしたらだけど…彼女がいたらメルはどうするんだ?」
「彼女とは…“あの堕天使”の事ですか?」
「あぁ、彼女ともし鉢合わせなんて事になったら…」
「衝突は避けられませんね…」
 あの堕天使とは…誰の事を示すのだろうか。いずれにせよ、味方ではないのは確かだ
「彼女は執拗にクローシスを追い回しているようだ。しかも、組織の命令も無視してるとか…」
「おまけに無差別快楽殺人者であの組織に居なかったらとっくに私が捕まえてます!!あんな人を野放しにして置けません!!」
 両手を握り締め、悔しいがるメルにシオンは言う
「……あの組織は厄介だ…特に最近は王国の名を振りかざし、様々な悪事に手を染めているとか…しかも、国王の指揮範囲を越えた領域で動いているらしい…大臣は一体何を考えているんだ…」
 大臣…それは組織の創設者だ。国王に許可を貰い、自ら設立に力を尽くし今の過激な組織を作り出した元凶……それが大臣だ…
「でも、とりあえず今はクローシスを追う…それだけを考えよう…メル」
「追い着いたらシオン様はどうするのですか?」
 やんわりと笑いながらメルはシオンに聞いた、クローシスに会ったらその後どうするのか…それは今後の事において重要な事になる…
「俺は…わからない……だけど“約束”を果たしに行く!これだけは確かだ」
「ふふ、ならどこまでもお付き合いしますよ」
「ありがとう…」
 約束とはなんなのだろう…その理由は今はわからないがいずれ明らかになるであろう
「さて、宿捜しだな…」
「あ、そうでしたね~、日も暮れて来ましたしね」
 王国からシュレイド地方に着くまで約12時間掛かるため、到着する時にはもう日が暮れる時間帯なのだ
「やっぱりお前達だったか…久しぶりだな」
 突然聞こえて来た声に二人は振り向く…そこに居たのは……
「ディオ!!」
「ディオさん!!」
 それはディオと呼ばれる男だった…
「ふ、俺がお前達と会うのは聖騎士時代以来だな…今はモンスターハンターってのをやってるんだ」
 彼らとは昔からの知り合いのようだ、気楽に話しを交わす事から仲がよい事が伺えた
「それで、ディオさんはなんでこの街に?」
 メルはディオにさりげなく聞いてみた
「ん?それは、黒い麒麟を追ってるからだよ…」
「黒い麒麟?」
 シオンは首を傾げながら何の事だかわからずにいるようだ。そんなシオンを気にしてか、ディオは説明をした
「麒麟っていうモンスターがこの地方にいてな…そいつは幻獣って呼ばれていて白い雷を纏い、邪魔する者は全て蹴散らす気性の荒さの持ち主さ…白い身体に纏った雷の威力は半端ない」
 麒麟に着いて話すディオに疑問が浮かんだらしく、シオンはディオに聞き返す
「麒麟って白いんだよな?なのに最初は黒いって言ってなかったか?」
「それなんだがな、俺が追っているのはそいつの“亜種”なんだ…」
 亜種…それは体色が違う者や変異体などの事をさす…麒麟に亜種がいるなどとは初耳だ…
「じゃあ、ディオさんはその黒い麒麟を追ってこのヴェルトに来たんですか?」
「あぁ、そういう事になる…で、お前達は?」
 シオンとメルは言いづらいといった顔をしながら下を見るが、メルが小声で言った
「実は…クローシスさんに会いに来たんです…」
 それを聞いたディオは驚いた…かつての知り合いの名がそこに上がったのだから…
「あいつが!クローシスがこの地方に…そういえば聞いた話しなんだが…黒いコートを着た青年と同い年くらい女性がシュレイド城に行ったらしいんだ。もしかしたら…」
「シュレイド城にクローシスとその女性が旅だった…という事になる…」
 シオンが冷静に状況を分析して出した結論…それはシュレイド城にクローシスが行った…という事だ。もしそれが本当なら大変な事になる
「あそこら辺は魔界の入口って言われてる場所だ…もしクローシスがは行ったんだったら黒い麒麟と鉢合わせって事も考えられる…それに……急いで報せに行く可きだ!」
「でも、今からで間に合うんですか…?」
 メルはディオに今からでは間に合うのかと尋ねる…そんなメルにディオはふっと笑い、街の入口を指差し手言った
「今からでも間に合うさ!あいつで飛んでいけばすぐに追いつける!」
「あいつって?」
 イマイチ説明の足りない返答にシオンは疑問を抱くが、ディオは着いてくればわかる、と言った感じで
「着いて来い!」
 と言い走り出した。そんなディオに戸惑いながらもシオンとメルは彼に着いていった…そして、街から少し離れた森の中に巨大な物体の姿が写った…
「なんだ!!こいつは!」
「飛竜!!」
 メルは即座に銃を構えた…しかし、目の前に姿を表した飛竜はどこか雰囲気が違っていた
「ディオ!帰って来たのか。寂しかったぜ」
「済まないな…なんせお前を街に入れたら街中大騒ぎになるからな…」
「そこは承知してるさ。でも、そこにいる奴らは何者なんだ…?てか、驚き過ぎじゃないか」
 目の前の光景にシオンとメルの二人は口を開けてア然としている…それは当たり前だろう、何せ飛竜が人語を喋っているのだから…そんな二人は口を揃えて言った
「飛竜が喋った!!!」
「まぁ、こいつはギルドマスターの“銀リオレウス”だからな…特別なんだよ」
 ディオは特別という言葉でこのリオレウスを括るが、王国の人間からすれば…いや、普通の人間からすればそれだけで納得仕切れるものではないだろう…
「特別って…飛竜って喋るものなのか?メル…」
「いや、普通はありえないかと…」
「ふ、いきなりはさすがに無理か…だけど、雰囲気でわかるだろ?こいつに敵意はない…」
 確かにこのリオレウスには敵意は感じない…しかし、普段は敵でしかありえない飛竜が人間に協力的になるなんて考えられない…とっいった考えもある事は確かだろう…
 人とモンスターは本来相入れない存在同士…それは当たり前なのだが、このシュレイド地方まだまだ未知部分が多く、王国が知りえない事が少なくない…あれもその未知の部分の一つなのかも知れない
 シュレイド地方には“竜操術”という古代に存在した伝説の術がある。それは竜を自在に操る技でそれを古代の王達が使い、国を治めて来た…そんな伝承もある。もしかしたらあのリオレウスも竜操術の影響を受けているのかも知れない…確証は全くないが…
「……わかった。ディオを信じるよ…それに彼も俺達に敵意はないみたいだしな」
「そうですね、なら急ぎましょう。クローシスさんがピンチかも知れないんですから」
「二人共、俺は“ソル”だこれからよろしくな」
 ソルはニヤっと笑い仲間が出来た事に素直に喜んでいるようだ。そして、ディオと二人を背中に乗せてソルは翼を羽ばたかせその場を飛び去った
 上空に飛び立つソルの背中に慣れたといった感じで風景を楽しんでいるディオだが、初めて飛竜に乗る彼らにとっては…
「うわ!ちょっといきなりそれはないだろ!俺達は初めてなんだぞ」
「シオン様~…私は怖くて下見られません!!!」
 彼らは空を飛ぶのは初めてだ…こうなるのは当然だろう。そんなシオン達にディオとソルはおもしろがっている
「二人共背中から落ちるんじゃないぞ~今からスピード上げるぜぇい」
「おぉ、それは楽しみだ」
 そんな彼らにシオンとメルは顔を青ざめたようにしながら口を揃えて叫ぶ
「勘弁してくれよ……」
「勘弁して下さい!!」
 そんな彼らを尻目にソルはスピードを上げる。ディオは青ざめるシオン達の顔を見ながら笑っていた…
 こうして、彼らは旧シュレイド王国に向う事となる…そしてそこで待ち受けるものとは……無事クローシスと合流し約束を果たす事が出来るのか…全ては彼ら次第だ
 MONSTER HUNTER 聖騎士として生きる者
 第一章 完

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最終更新:2013年02月19日 03:12
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