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Liger heart

予告

全ては世界の為なのだ。それを君達は邪魔をして!」
「誰の世界だ?あんただけの世界じゃないのか?」
―宇宙世紀0087
「既に、後任は決まっている」
“一年戦争”終結より8年
「かつて第58特殊武装部隊、通称“Shadow Black Liger隊”を率いていた男・・・」
獅子は再び戦場へと戻り
「生きていたのですか?」
「案外、ゾンビだったりして」
銃をその手に取り戻す
「ガレン・レドラシアだ。一つ、よろしく頼む」
狙撃手
「一撃だ。一撃でないと、意味が無い」
「ですが、正確な射撃は避けられやすく、」
「だから・・・、頭と腕を使う」
その前に立ちふさがるは
「私の部隊は・・・全滅させられたの。あの男に、ね」
「生きていて、とても嬉しいわ!レオンを殺した男!!」
「アスカ・クラットフォード・・・!?」
復讐に塗れた女
「俺の名前は・・・、ロバート・レイバードだ!」
「ロバート・・・レイバード・・・!」
「何で裏切ったの!?」
「生き残るためだ。その為なら国でも、プライドでも、売れるモンは売っちまった方がいい!」
かつての友
「レオン・・・だっけ?良い男だったんだろうなぁ」
「貴方に何が分かるの!!?」
「分かるさ。お前がそこまで惚れ込む男だ」
「正直・・・妬けるね」
過去の因果を引き連れて
「何で・・・生き残ったのは俺なんだろうな・・・」
「生きることに、意味なんて無いですよ」
歴史は未来へと紡ぎだされる
「E2計画・・・?」
「久しぶりじゃないか?」
「ツヴァイッ!!」
「その顔で、その声で、それ以上喋るな!!」
因果な運命をも道連れに
「裏切り者は・・・あの男だ」
「ガレン隊長が・・・!?そんな・・・」
「彼女は部隊から下ろしたほうがいい。危険だ」
「それは・・・、できん」
「元々、ガレン・レドラシアなる男は、存在しない」
「その男はとうの昔に死んでいます。もう、10年も前の話だ」
「なら、貴方は誰なんですか!?」
「俺の・・・名前は・・・」
機動戦士ガンダム 特殊武装部隊 Liger Heart
「・・・Ζ・・・」
始動

序章

宇宙。かつて人々はそこに思いをはせた。そこには人々の夢があった。
しかし、やはり現実は人々の夢とは違っていた。
生身で宇宙空間に出ようとすれば、放射線に汚染され、酸素を失い、血管は沸騰し、死んでしまう。
 漆黒の宇宙。だが、そこには今、多くの人々が住んでいた。
人工の島、スペースコロニー。そこを新たな大地としたのだ。そんな人々を、何時しか宇宙移民者(スペースノイド)と呼ぶようになった。
 しかし、母なる地球にしがみつく人々もまた、存在していた。彼らは地球移住者(アースノイド)と呼ばれた。
 そんな時代、宇宙世紀0079年。スペースコロニー群の一つであったサイド3はジオン公国の独立を宣言、地球連邦政府に対し、独立戦争を仕掛けた。ジオン独立戦争、通称一年戦争の勃発である。
この大戦では、ミノフスキー粒子と呼ばれる特別な粒子を使った兵器が多く現れた。
その代表が、モビルスーツである。
さらに、戦争初期、オーストラリア大陸にスペースコロニーが落下し、地球の自転は狂ってしまった。
 地球移住者と宇宙移民者という、人類を真っ二つに分けたこの大戦は、その通称どおり約一年で一応の決着を見た。
しかし、ジオン公国残党の活動は年々活発化してゆき、宇宙世紀0083年、デラーズ紛争と呼ばれる残党兵による争いが起こってしまった。この戦いで、再び地球にコロニーが落下してしまう。
これらを重く見た地球連邦軍は地球移住者のみで設立した特殊部隊ティターンズを設立、事態の収拾にあたらせたのだった。
だが、徐々に増していったティターンズの勢力は、やがてアースノイド至上主義を掲げ、スペースノイド達を弾圧していった。
これに対し、スペースノイドと一部の地球連邦高官は反地球連邦政府(エゥーゴ)を結成。
後に、“グリプス戦役”と呼ばれる戦争の幕があがったのである。
宇宙世紀0087年。
ジョージ・S・ティンバレルは愛機であるリック・ディアスのコックピットの中で、
微かに舌打ちをした。
(今回の作戦はなんとしてでも成功させなければならない・・・。だが・・・)
あまりにも状況が悪すぎる。
完璧な奇襲作戦だったはずだ。だが、待ち伏せていた敵側によってそれはすぐに押し返されてしまった。
『ライガーリーダー!後ろです!!』
部下からの指摘を受け、ジョージは振り向きざまにビームピストルを放った。
ジムⅡのコックピットを見事に貫いた。
だが、敵はまだいる。多すぎる。
(やむをえない、か・・・)
ジョージはぎりっと奥歯を咬むと、
「・・・撤退だ!撤退するぞ!!今作戦は失敗だ!!体勢を立て直す!!」
『なっ・・・』
『えっ!?』
部下たちが驚きの声を上げる。
「今挑んでも無駄に死人を増やすだけだ!我々は、一旦退く!!」
ジョージは強い口調で言い切った。
『・・・了解』
『了解しました・・・』
部下たちも渋々だが答えてくれたらしい。
(良い部下に恵まれた)
そうジョージは思った。
「よしっ、全機!撤退だ!!退けぇ!!」
ジョージのリック・ディアスに続き、部下たちのネモが続く。
 追撃の手を次々に交わしながら、ジョージは思った。
(おかしい・・・。あまりにも読まれすぎている・・・。何故だ・・・?)
まさか部隊の中にスパイが、とも考えたが、そんなことをする人物は想像つかなかった。
と、サブウィンドウが開き、オペレーターの顔が映った。
『こちらビッグマザー!合流ポイントの変更を告げます!!』
「おぅ!了解だ!で、何処に!?」
『ポイントN2-S35から、ポイントN3-S13となります!!急いでください!!』
「わぁってる!!ちっくしょ、これじゃあ、司令殿に笑われてしま・・・」
ジョージはそこまで言って、はっと気づいた。
(まさか・・・、まさか・・・、ヤツが!?)
その瞬間、突如、一機のハイザックが現れた。
「こいつっ!!そこをどけぇ!!」
ジョージは言いつつ、ビームピストルを突きつけようとした、瞬間、ハイザックのザクマシンガン改の銃口から弾丸が放たれた。
そこから、突然、全ての動作がゆっくりになった。
銃弾が向かってくる。数えられた。13発だ。
まっすぐにこちらに、コックピットに向かってくる。このままでは命中してしまう。
(避けなければ!)
思うのだが、ジョージ自信の動作もひどくスローになっていた。
(こ、このままでは・・・っ!!)
と、突然、全ての動きが元に戻った。
だが、高速で迫る銃弾を前に、ジョージはどうすることもできなかった。
どうすることも、できなかった。

第一章 獅子達の長

ユウマ・クラスト・シュナイザーは強張った面持ちで基地の廊下を進んでいた。
別に、緊張しているわけではない。彼は生来、このような顔つきなのだ。
一方、彼の隣を歩くショウゴ・イノウエは対照的に気楽な表情をしている。これもまた生来のものだ。
「しっかし、なんでしょうな?中佐が俺たちを呼びつけるなんて」
ショウゴがその顔通りのだらけたような口調で言う。彼とユウマは長年戦場を共にした、云わば戦友であり、どうにも気に入らなかったこの軽々しい口調もすっかり慣れた。勿論、慣れたからといって気持ちの良いものでは無いが。
仏頂面のまま、その面持ち通りの重々しい声でユウマは答える。
「さてな。だが・・・おそらくは数日前のあの一件だろう」
「・・・ジョージですか・・・」
そう言ってショウゴは大げさとも取れる溜息をついた。
「ライガーリーダーの後任を、ホースかウルフ、どちらのチームから選ぶのか・・・と?」
「うむ」
「ちなみに、中佐でしたらどちらを?」
ショウゴの問いに、ユウマは少しだけ考え、
「・・・ホース、リャンだな」
「どして?」
「レイドは一ヶ月前にリーダーに任命されたばかりだ。経験なら、リャンが勝ってる」
「ですがね。リャンも半年前に上がったばかりですぜ。それにあいつはすぐに血が上っちまう」
ショウゴの意見にユウマは「うむ」と肯いた。
全く持ってその通りだ。だが、他にはいないのだ。
「・・・そういうお前は?」
逆にユウマはそうたずねた。
「へ?」
「どちらを選ぶ?」
ショウゴは「そうっすね・・・」と数秒考えた後、
「・・・さぁ?」
そう、笑顔ではぐらかした。
「・・・ちっ」
ユウマは忌々しく、あえて聞こえるぐらいの大きさで舌打ちをしてやったが、ショウゴ本人は気にする様子も無く、
「そんなに怒るから、娘さんに“おじちゃん”なんて呼ばれちまうんだ」
「・・・次言ったら殴り飛ばす」
ユウマは感情を含めずそう言ったつもりだったが、彼の額には大きな青筋が浮かんでいた。
ショウゴはごくっと唾を飲み、
「・・・・・・そんなに怒るから、娘さ」
数秒後。
「・・・・・・・・・本当に殴ること無いじゃないっすか・・・」
「煩い。本来なら銃殺にしてもお前は文句は言えんのだ。たんこぶ一個ですんでよかったな」
「・・・頭ン中がシェイクされてるみたいなんすけど・・・」
そうしているうちに指定された部屋の前まで来た。
ユウマは一度小さく静かに溜息を吐くと、備え付けられたインターフォンを鳴らした。
『誰だ?』
すぐに男の声がした。ユウマと比べると、随分若い声だ。
その男の声にユウマはきびきびとした口調で返した。
「ユウマ・クラスト・シュナイザー、及び、ショウゴ・イノウエ。只今出頭いたしました」
『少佐に中尉か。入ってくれ』
すぐに電子音と共に扉のロックが解除される。
暗い茶髪と黒目の、東洋風の男であった。背筋はしゃんとしており胸板も、ユウマ程ではないがあるように思える。
「二人とも座ってくれ」
その言葉にユウマは「失礼します」と一礼して座り、ショウゴは頭だけを下げて座った。その際、ユウマに一瞬睨まれた。
男はそんな事を気にする様子も見せずに、口を開いた。
「二人を呼んだのは、他でもない。・・・ライガーリーダーの後任についてだ」
(やはり)
ユウマは「はい」と頷き、
「私としては、リャン・ワイジュン中尉を推薦します。少々血気盛んではありますが、むしろ、それが全チームを良い方に導くのでは、と――」
「その事、だよ」
男のその一言に、ユウマは言葉を止めた。一拍置いてから、
「・・・はっ?“その事”・・・とは?」
「だから、ライガーリーダーの後任だよ」
男の言葉に混乱するユウマ。
(だから今、こうして次のライガーリーダー候補を推薦しているではないだろうか?それなのに・・・)
「成程」
そう言って相槌を入れたのは、隣に座るショウゴだった。
「そういう事でしたら・・・、中佐殿に従いますよ。ね?少佐?」
「・・・・・・・・・」
ただ呆とショウゴの顔を見返すユウマ。
それを見たショウゴは一瞬だけ意地の悪い笑みを見せると、
「・・・本当にわかんないんですか?」
癇に障る言い方だ。
だが、男の方も「そうなのか?」と目で問いかけてきている。ショウゴはともかく、この男に嘘をつくわけにはいかない。何せ、この男は上官なのだから。
「・・・はい・・・。申し訳ありません」
ユウマはそう言って頭を下げた。彼のこういった硬派、あるいは上官への腰の低さは日系だった母親のDNAの影響なのだろうか。
それを見た男は「いや、構わない。頭を上げてくれ」と言い、ユウマはそれに従って、静かに頭を上げた。男はそれを待ってから、口を開いた。
「それならば、説明しておこう。・・・ライガーリーダーの件は、既に、後任は決まっている」
「では・・・、どちらに?」
「そうじゃなくて、」
呆れた様子でショウゴが口を挟んだ。
「つまり、中佐は他所から持ってくるって言いたいんですよ。・・・多分」
そう言って正午はちらりと男に視線をずらした。
男は、こくっと頷き、
「そういう事だ。少佐」
「成程。そうでしたか・・・。しかし、」
すっとユウマは目を細めた。
「随分とお早いご決断ですね・・・」
男は「うむ・・・」と深く頷いて答えた。
「実は、前々から“その男”を部隊に編入しようかと考えていたんだ。私の副官として」
「中佐の・・・?」
「それは・・・誰、なんですか?」
ずいっと身を乗り出してショウゴが言った。相当気になっているようだ。
それはそうだろう。この男が、そこまで信頼をよせている人物を、ショウゴもユウマも、恐らくは部隊全員が心当たりなど無いのだ。
それに男は無言で腕を組み瞑想するように目を閉じた。
やがて、ポツリと呟いた。
「Shadow Black Liger・・・」
その言葉に、二人は聞き覚えがあった。
それは、
「第58特殊武装部隊・・・。通称“Shadow Black Liger隊”・・・。かつて私も関わっていた部隊だ・・・」
その名前を聞いた途端、まるで氷風呂に突き落とされたようにユウマの全身は一気に冷めていった。
ジオン公国突撃機動軍第58特殊武装部隊。連邦内部でも、この部隊を知る者は数少ない。
それは、彼らの任務遂行率の高さだけを指しているのではない。それ以上の隠密性が、その部隊にはあったのだ。
一年戦争中に多く聞く、“謎の事件”。偵察中の一小隊がある地点から行方が途絶え、そこから数キロはなれた場所で皆殺しにされていた。地雷を踏んだわけでもなく数台の戦車が一気に爆発を起こした。気が付いたら目の前に敵機が現れていた。等のほとんど超常現象とも捉えられる数々の出来事にはこの部隊が関与していると言われている。
そして、この男は、その部隊の幹部であったのだ。
“その男”は・・・、その部隊を率いていた」
ユウマとショウゴは同時にはっと目を見開いた。
戦後に連邦のデータベースで見た事があった。
第58特殊武装部隊の指揮官。
「それは・・・」
ユウマは喉が渇いていることに気付き、ゴクリと唾を飲み込んだ。
ユウマの予想する“その男”だとしたら、それは、
「ありえません」
そう言ったのは隣に座るショウゴだった。彼もまたユウマと同じ結論に結びついたのだろう。
“ありえない”。それは“ありえない”のだ。
何故ならば、“その男”は、
「死んだはずですよ、そいつ」
男は、その言葉に、無言で頷いた。
「・・・そうだな」
“Shadow Black Liger隊”は大戦末期に解散となっている。
理由は、部隊長を初めとした多くの仕官が、戦死したからである。
「そうだ、その通りだ・・・。だが・・・」
男は一旦ふっと息を吐いた。一瞬、園瞳に憂いのようなものが浮かんだようにショウゴは思えたが、それはすぐに消えていた。
「生きていたんだよ。あいつは」
一週間後。
この日、その“死んだ筈の男”がとうとう部隊に合流することになり、ユウマは部隊のほぼ全員を率いて、ここ、カザフスタンのとある基地にて、“その男”を待っていた。
集まった部下は部隊の約半数である20人。その中には大規模ではないにしろ軍であるエゥーゴには不釣合いな年齢の少年の姿があった。
「どんな人、なんだろうな?」
そう言ったのは長身で、短めの茶髪、緑色の瞳が印象的の少年だった。
「さぁ、な・・・」
その言葉に答えたのは、暗めの金髪と青い目の、同年代くらいの少年であった。
「良い人だといいなー」
たのしげに言う茶髪の少年に金髪の少年は溜息を一つ吐いて、
「軍人に良い人も何も無いだろう?」
「じゃあ、カイルは、「抹殺抹殺」言ってる人ならいいって?」
「・・・そういう事じゃねぇ」
そう言って金髪の少年はもう一度溜息を付いた。

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最終更新:2013年02月19日 03:28
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