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終わりの夜 始まりの朝~序章

第1幕~序章

『……う……ん…?』
 いつもと同じ夜だった。
 いつもと同じはずだった。
 眠りにつけば眩しい朝日と耳を塞いでも聞こえてくる母の声で目が覚めるまでは起きることはなかった。
 違ったのは風の音。 当然風は毎日同じように吹いている。 それでも今夜の風には何か不安を覚えた。
 隣を見ると母は安らかな寝息をたて幸せそうに笑みを浮かべ寝ている。
 母は華奢な身体をしていたが父同様にハンターだ。
 危険が迫れば寝ていてもハンターとしての経験と勘が働くはずだ。
 風が大きくなった気がした。 ふと窓の外を見る。
『うわッ!?』
 突如闇に慣れた目を光が襲う 視力が戻り目に映ったのは…
『空が!?母さん!』
 空が燃えていた。
 当然、そんな事が起こる訳がない。 村が燃えているのだ。
『起きろ!村がッ!』
 父が部屋のドアを壊す様な勢いで開けた。
モンスターなの!?』
 父と母は鎧や小手などを身に着けながら話をしている。
 さすがに2人ともハンターだけに手慣れている。
『とりあえず確認しないと…』
 村のあちこちから叫び声が上がっていた…
『いいか?お前は家でじっとしているんだぞ!』
 そう言うと父と母は武器を手に出ていった。
『なんだ!?』
『何が起きてる!?』
『飛竜か!?』
 それぞれ準備を整えて叫ぶ。その間にも木々は倒れ、火は勢いを増していく。
『上だ!!』
 ハンター達が空を見上げる。
 闇に溶け、雲間から洩れる月光を集めながら空を飛ぶ『脅威』が居た。
『ガンナー!奴を落とせ!!』
 数人がそれぞれの《相棒》のトリガーに指をかけ、狙いをつける。
『ダメだ!速い!』
『閃光玉を投げるぞ!』
 閃光玉は破裂時に眩しい閃光を放ちモンスターの目を眩ませる事ができるアイテムだ。
 当然自分達も目が眩むので使用には注意が必要だ。
『《リオレウス》か!?何だあいつは!?』
『弾が当たらない!』
 ガンナーが叫ぶ。
 ハンター達は戸惑いながらも作戦を立ててはいるが思うようにいかないようだ。それもそうだろう、普段ハンター達がこんな大人数で狩りに出掛けることはないからだ。そうしている間にも火はますます勢いを増していく。
 その情景は焦るハンター達の心を焼いていく…
『この!飛竜が!!』
 飛竜と呼ばれた者は家の間を、木々の間を駆けハンターを次々に薙ぎ倒していく。
 モノブロス装備を身に着けたハンターでさえもその羽ばたきに吹き飛ばされた。
 モノブロス装備とは一角竜から取れる素材を使った装備で身に着けた者はその重量から並の飛竜の羽ばたきさえも耐え得るのだが…
『くそッ!何なんだこいつは!』
『あいつを降ろせ!ガンナー!』
『弾が当たらないんだ!!』
 ハンター達が口々に声を張り上げている。
 それでも飛竜はなお飛び回り村を焼く。空から攻撃されれば歴戦のハンター達も1人、また1人と倒れていく。
 木は倒れ、家は燃え、やがて火が消えると村を静寂が包む。 何も無かったかのように。
『……父さん?…母さん…?』
 崩れた家の瓦礫から両親の名を呼び這いだす。
『無事だったか…!』
 聞き慣れた父の声、だがどこか…
『!…父さん!』
 そこには黒くススを被った父の姿があった。
『大丈夫!?父さん!母さんは!?』
『よく聞け…あいつは……』
 瞬間目の前が紅く染まる。
 目を開けると父の姿は無かった…
 そして子供は静かに剣を取る、迎える始まりの朝日に背を向けて…

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最終更新:2013年02月19日 04:42
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