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/miror - (2024/10/29 (火) 22:51:35) の1つ前との変更点

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 ◆  造物主の紅煉は姿を隠し、指揮を取っていた[[フレイザード]]は撤退した。  統制を失った妖・黒炎は最後に与えられた指令に従い、足止めの殿を務めるべく現地に残された。  黒炎はセイバー・紅煉の宝具。  正確には「黒炎を生み出す」能力こそが宝具であり、黒炎自体が宝具に相当する格を備えてるわけではない。  しかしその脅威・殺傷性は偽らざる本物だ。  妖魔滅殺の使命、憎悪を焚べて打たれた武器にして、持ち主を獣に変貌させる妖物、獣の槍。  字伏という獣に成り果てた紅煉から生まれた黒炎は、一種の獣の槍の眷属に相当する。  人妖の区別なく命あるものに手当たり次第に爪牙を振るう猛獣。白面の手で更なる強化と変貌を遂げた事で、正規の獣の槍伝承者を追い詰めもした。  一騎当千の武を誇る英雄であるサーヴァントには分が悪くとも、未熟な、定命の葬者にとっては一死確定。  サーヴァントの庇護もなく、複数の黒炎に囲まれた葬者にとっては、絶対の窮地に他ならない筈なのだ。  ───その場所が、都市部でなければ。  スパイダーマンのホームグラウンドでさえなければ。 「魔法パンチ!」  取ってつけた名称を叫びながら、赤い腕で殴りつける。  ウェブスウィングで加速し、黒炎の爪をかいくぐってからのカウンターが顎を揺らす。    一体目の動きを制した時点で、既に体は二体目への対処に向かっている。  弧を描く振り子を待ち受けて掴みかかる妖だが、糸から手を離し、反対の腕から発射した糸で方角を転換され盛大に空振る。 「魔法キック!」  空を掴もうとよろけた黒炎の背中に、反転の勢いを込めた蹴りを浴びせる。  無防備な態勢で蹴られた黒炎は他の群れと激突して無様に喚く。  手玉に取っている。  文京区での交戦が始まって十分も経ったか。その間にピーターは黒炎の能力を把握していた。  人の知識と後天的に備わった第六感───当人曰く「ムズムズ」に準ずるままに、多対一に追い込まれながら的確に捌いていく。   黒炎を翻弄する機動性、各個体にダメージを与えられる筋力は、どれもサーヴァントの援護を受けていない自前のもの。  備わった変異の力。運命に責任を背負い行使する精神。  Amazing(脅威的)。  暴れ狂う獣の群れを曲芸のようにすり抜ける様は、複雑怪奇に絡んだスパゲティを解くが如く脅威的だ。  主の紅煉も統率していたフレイザードも欠いた今、白面の眷属は半端に数が多いだけの烏合の衆に過ぎない。  制圧は容易く、遅れを取る理由はない。暴漢を取り押さえるように手早く済む。 『ギシャアアアアアアアア!』    小さな獲物を喰らえずにいる屈辱が黒炎達を一点に殺到させる。  生え揃った爪が、剥き出しにされた牙が、全身から放出する炎が雷が宙を漂う蜘蛛を焼却する。  怒りに震える獣の群れは恐ろしい。だが獣とは本来臆病なもの。なにより生存を優先するもの。  殺戮の為の生命体は、罠を警戒する野生の本能すら薄れさせている。   陣形を取り散らばっていた黒炎達が一箇所に集められている事に、今になっても気づかない。   「よし、ここで魔法ウェブ!」  手首を翻す。  手品が花開く。  四方向に飛ばした糸の先に黒炎はいない。  戦闘が始まった当初、途中で『生き残り』が巻き込まれたりしないよう、縛り上げるなり、代替の破片を食い込ませるなりで補強していた支えだ。  確認は取れた。少なくとも今戦ってる周囲で、ピーターが感知している反応は……助けられる人は残っていない。  よって、この補強も必要がなくなった。連中の無作為な殺戮は自身の首を締める羽目になる。  『その地点』を通過した黒炎が頭上の異変に首を向けるが遅かった。  支柱を失い、それぞれが覆い重なってぎりぎりのところで保っていた均衡が崩された。  爪と牙で抉られ、火炎と雷撃で融かされた高層ビル。  ピーターもレイも、被害を慮り建造物へ広範囲の破壊は行わなかった。どれも黒炎だけが作った。   「お……ぉああああああああああ!?」    雪崩と呼ぶには巨大すぎる鉄筋の塊。  頭にぶつけ、背中に刺さり、一斉に降り注ぐ大瀑布。  宝具によって召喚された黒炎はその時点で魔術とは切り離された物理的存在だ。  現実の法則を意に介さないだけの神秘はなく、まして霊体化などという細やかな性質があるはずもない。  彼らは破壊のみの存在であり、同じ破壊によって食い止められる。 「なっ何だこりゃあああ!  何でこんな糸と瓦礫で縛られただけでオレらが動けねええええ!?」  砂埃が晴れる。  黒炎の群れは生き埋めにはならなかった。  濁流に呑み込まれる前に、ピーターが一体一体をウェブの狙撃で絡め、別の位置に吊り下げていた。  ただしそれは解放を意味しない。糸だけでなく四散したコンクリートや鉄筋、黒炎同士の四肢や角も噛み合わせて作った蜘蛛の巣で、身動きを封じられていた。   「wow、なんだ喋れたんだ。ずっと叫んでばっかだったからそういうヤツかと思ってたのに」 「舐めんなよクソガキがあああ! おれら黒炎の炎と雷でこんなやわなガラクタなんざあああ!」 「おーい、その体勢からだと仲間にも当たっちゃうよ」 「知るかよお! てめえらクソ人間を殺せるなら痛くも痒くもねえなあ!  オレ達ゃ紅煉様がいれば無限に生まれてこれるんだ! いいか、こんなモンで勝ったと思ってるならよォ───」 「……そっか。なら急ぎなよ。もうこっちは準備バンタンだから」 「あ……?」   黒炎は紅煉の宝具。紅煉が現界する限り無数に生産が可能。  サーヴァントの一部である黒炎は理解している。そして、理解をしていない。  今自分らを追い込めているのはサーヴァントではなく、ただのマスターでしかないと、能力の高さの余り失念している。  では本来のピーターのサーヴァントは、今、何処にいて、何をしてるのか。   「ゲートシステム機動───術式兵器X-004【ハヤテ】!!」  地上にて閃く、翠の光。  司る属性は風。雲を突き抜ける撃滅の星。  空を裂く砲塔が、邪悪を焼き払うべく冥界に招聘される。    転装の完了は一瞬。  戦いでは生死を分かつ境目になりかねない断崖の刹那。  そこに未来への道筋を結ぶまでが、彼女のマスターが負った仕事。  次は彼のサーヴァントが、セイバー・閃刀姫レイが果たす番だ。   「ありがとうマスター! そこなら外の建物に当たらないし、丁度いい位置!」 「な、な、なんだあああ! お前のサーヴァントはセイバーじゃねえのかよおおお!」    状況に応じた武装を召喚、装着するゲートシステム。閃刀姫専用決戦兵器・侵攻迎撃型撃刀モード。  一体たりとも逃さず、討ち漏らさず仕留める為の選択(カード)は出揃った。  メインカノン、背部ユニット直結。エネルギー充填完了。 射角補正完了。遮蔽物なし、巻き添えなし、条件オールグリン。   「術式発動!! ベクタードブラスト!!」      直接攻撃(ダイレクトアタック)の引き金を引く。  苦し紛れに放った炎雷は拮抗の余地なく掻き消され、断末魔すら麗光が寂滅させる。  輝きが白昼を焦がす黒泥を消し飛ばし、再び太陽ある世界を取り戻した。    戦いはこれにて締め括られた。  それが永遠に日の出ない冥界だとしても、始まりには終わりが訪れる。  ヒーローの登場を誘発する悪鬼の嗜虐の狂宴は幕を閉じた。 「これで終わった……かな?」 「うん……」  勝った、とは言わなかった。  兵装を解除したレイの苦渋に満ちた顔を、マスクの下でピーターも浮かべている。  敵は敗走した。味方の犠牲はなく消耗も軽微で済んだ。  被害を比較すれば、疑いようもなくこちらの勝利といえる。聖杯戦争の盤上では。  二人の勝利の条件は、最初から聖杯戦争とは乖離している。  異郷の土地、身も知らぬ他人、命ですらない影の守護という、想像を絶する課題に取り組んでいる。  本人の中では極めて正気で正常な目的は、今回は達成する事は出来なかった。  虐殺。酸鼻。野晒し。  恐らくは、自分達を誘き出す為だけに消費させられた、ただそこにいただけの人。  アベンジャー。その言葉の意味を噛み締める。  報復による抑止しか出来ないと顔を覆っていた誰か。時にその力が怨恨を招き、望まぬ戦いを引き起こすのだと。 「こういう時……マスターは、人間はどうしてたのかな?」  記録は知っている。  戦争があり、虐殺があり、多くの人が死んでいったと。  レイは同胞が死滅した数百年後に、ただ一人奇跡的に保存されていた胚から生まれた。  心ある機械を家族として愛し、同じ遺伝子から複製された姉妹を看取っても、ここまでの大量生産された「意味のない死」は見た事がなかった。   「そうだね。普通は祈るかな」 「祈る?」 「そう。お墓を作って、手を合わせて、その人や神様にどうか安らかに、もうこんな事が起きませんようにって思うんだ」 「あ、それなら分かるよ。アゼリアとカメリアにも……私は祈ったんだ」    死者の欠片の消費を悼む法はここにはない。ひょっとしたら自分達だけかもしれない。  息を引き取った姉妹の亡骸を見て去来した感情と、この街の人の死に感じる思いが同じだというのなら……捨てていいものじゃないのだ。 「けれど僕達は先に果たすべき責任がある。そうでしょ?」 「うん。それも分かってるよ!」    歪んだ顔を俯かせても、涙は時間を止めてはくれない。  被害状況の確認も戦後に必要な務めだ。バックアップはいないからといってほったらかしにはしていけない。 「よし、じゃあまずはレイサちゃん達と合流しないと! まだあのセイバーと戦ってるかもしれないし……!」 「うん、それは大丈夫そうだよ。今から降ってくるからね、ふたりとも」 「え? 降って?」  突如、レイを照らしていた太陽が黒く食われた。  次いで風切り音。真上から、巨大で重い何かが落ちてくる───咄嗟に防御反応を取るが、想定していたような衝撃は起こらなかった。  ふよん、と。鉄の塊が同質量のマシュマロに変質したような、不自然なまでに軽やかな感触で着地を遂げた。  その手に浮き出ている、肉球によって。 「ライダー!」 「すまない。遅くなった。そちらも既に終わっているようだな。さすがだ」  この世界にもふたつとない、見間違えようのない巨体。  [[バーソロミュー・くま]]は荒波の航海を終えた後のような面持ちでピーター達に来訪した。   「ってあなた、すごい傷だらけ! 大丈夫なの!?」 「はは、かすり傷さ。おれの頑丈さは知ってるだろ?」  衣服は襤褸同然に擦り切れ、内面の肌も全身にくまなく刃の傷が刻まれている。  そんなものは"偉大なる航路(グランドライン)"を通った海賊にとって、まさしく"かすり傷"でしかない。  荒くれに揉まれるのが常の海の男に生傷はつきものだ。それがくたびれもうけにならず"宝"を守り抜いた勲章であれば尚の事。  大きすぎるくまの背中に不自然に盛り上がった瘤……もとい、しがみついていたレイサがするすると滑り落ちて地に足を着ける。  「レイサ……」  被弾を引き受けたくまの護身を証明する、まっさらな五体。  顔を附していたのは一瞬で、すぐにスパイダーマンと視線を合わせる。    頬には涙の跡が残って見える。  声には震えの余韻が引いている。  背負った銃の印象も霞むぐらい、恐怖で竦んだ体は弱々しく萎んでいる。  けれどヒーローであれば、マスクの上だからこそ見えるものもあり。  の瞳だけは、奥底で絶えず燃え盛る、星の産声の熱が見えていた。   「背負ったんだね、レイサ」 「はい。ピーター君……いえ、スパイダーマン。私は戦うって決めました」    ヒーローが、英雄が、勇者が。  数多ある『立ち向かう者』が持つ、勇気の灯火が。    「まだまだ未熟ですけど……いっぱい泣いて、迷惑をかけちゃうかもしれないですけど……。  そんな私でも信じていたものがあって、その為になら自分の力で立って、頑張れるって気づいたんです。  そういう自分が……思ってたより、私は好きみたいです」     決意を見た。なら多くを聞かせる事もない。  自分の行いの責任を背負う……少しだけ大人に近づいた彼女には、気負いや謝罪の類は逆に侮辱になる。  かけるべき言葉はひとつだけで足りていた。 「ようこそ、アベンジャーズへ」 「アベンジャーズ……?」 「僕のいたチーム名さ。バンドじゃないよ? 世界を股にかけたヒーローのビッグチーム。  志願とかスカウトとか色々あるらしいけど……ここには僕しかないみたいだし。地域限定だけど僕が認めるよ。  これで君は世界で一番立派なヒーローの1人だ」  レイサに対してずっと取っていた、庇護の姿勢と決別する。宣言はその証だ。  ここからは対等の仲間、託すに足るメンバーの一員として彼女と共に立つ。  若輩者の増長なのは百も承知だけど、後に生まれてくる全てのヒーローにとって、もうスパイダーマンは先輩だ。  [[ピーター・パーカー]]の記憶が無かった事にされても、その事実は消えはしない。 "ああ───あの人も、こんな気持ちだったのかな"  長くもないヒーローの人生で目にした先人達。  その中でも最も早く自分を見出し、親のように親身にしてくれた人がいた。  トニー・スタークの後継者にはならなくても、順番はやって来るのだ。   少しだけ先を行く者として教えるものや託すものは、きっとある。    1ヶ月の試用期間を経て、ここに加盟は成された。  地の底で生まれた、最も新しく、最も若い新世代。  誕生の息吹が、爽やかなる逆襲(アベンジ)の風を影絵の街に吹かせた。     「……なんか、物騒な感じがする名前ですね」 「あれぇっ!?」 「私だって言葉の意味ぐらい知ってるんですよ。どうせならもっとかっこいい名前にしましょう! ジャスティスとか、エックスとか!」 「そんな……僕んとこじゃ出せば大ウケ待ったなしのバズワードなんだけど……?」  チーム名は保留になった。    「強いんだね、レイサは」 「そうだ。あの子は確かに心に傷を負った。抗えない世界の残酷さを、挫折を味わった。  だが失くしたものばかりを見ていては、誰だって立ち上がる力が湧き上がりはしない。  レイサは後ろを振り返って、自分には仲間や友達が、先生が、生きて戦う原動力がある事を思い出した。  レイサははじめから強い子だった。おれがやったのはそれに気づくまでの時間、体を張ってやっただけさ」 「うん。マスターとあんな風に笑えるなら……きっと大丈夫だよ」  二騎の英霊は、互いの葬者の邪魔をしまいと、少し離れた位置で話していた。  マスター同士が絆を深めているうちに、戦況の報告を済ませておく必要がある。   「すまない。あと一歩のところで奴には逃げられた。  少なくとも一両日は身動き出来ないぐらいには痛めつけたが……セイバー、きみが戦ってる間、そいつは令呪を使っていたか?」 「ううん。そんな素振りはなかったと思う。私も相手もそんなにダメージはなかったはずだけど、急に何かに気づいて逃げて行っちゃった」 「葬者にとっても予想外の事態が起きた、という事か。サーヴァントを失ったのなら、普通もっと焦る。殿を置いて手際よく撤退しようとは思わないだろう」  サーヴァントが消滅すれば、契約していたマスターは加護を失い、生存限界を大幅に削られる。  仮にセイバーが敗退していたのならその時点でフレイザードも後を追う運命を辿る。  そうなれば道連れの悪あがきか、さもなくば敵サーヴァントを奪うべく形振り構わない戦闘を継続していたはずだ。  つまり不可解の原因は、第三者の介入。  この場に姿を見せなかった誰かが紅煉を回収し、陣営の脱落を阻止したという筋書きが成り立つ。  不穏なのはその目的だ。  今回の件で身に沁みて理解した。連中をこの舞台に長く留めさせてはいけない。  聖杯という奇跡にも極限の死闘にも価値を見出さない。その過程に発生する血と死に悦ぶ、戦争で最もタチの悪い手合いだ。  長引けば長引くほど、戦況が激化するほどに、喜び勇んで乱入し、炎を拡散させていく。  海賊が跳梁跋扈するくまの時代にはままある例だが、強さも新世界で生き抜けるだけある分始末が悪い。  この手の輩は存在(い)きてるだけで等しく被害を生み出す。  用兵にも長じ戦略を練る狡猾さも備えてるフレイザードの方はともかく、紅煉の見境なさ加減は体験済みだ。  聖杯を求める者であれ、ただ生還を望む者であれ、あらゆる勢力に奴らは危険で、不要な要素でしかない。  ならばそれを生き永らえさせる意味とは───。 「……ここで考えても仕方ないな。そろそろ離れよう」 「まだ───生きてる人達は───」 「もう、ここにはいない。  辛うじて息がある者はせめて痛みをなくしてやれたが……おれの能力は"疲労"は飛ばせても、"傷"そのものを無くせはしない」 「……そう」  助けられなかった市民がいた街を見渡すレイの眼差しは陰鬱だ。  閃刀姫に体を変え、サーヴァントの身になっても、守る為とはいえ戦いしか出来ない至らなさが心の疵に染み入ってくる。   「気を落とすな。さっきの砲撃でバケモノも一掃できたんだ。  見聞色は得意じゃないが、ここらにもう同じ気配はいない─────…………!!」 「ライダー?」  レイは我が目を疑った。  天を突く巨躯であるくまが不意に頭を揺らし項垂れていた。    意志や生命を躍動させ、肉体や感覚を強化する資質たる"覇気"。  腕に憶えのある海の猛者であれば体得しているそれを、当然くまは高い練度で収めている。  傑出した豪傑たるくまの覇気を、外からの圧に怯まされた。  用心のつもりでかけていた索敵が何かを探知したのを境にして、覇気の制御が急激にブレたのだ。  厳しく凝視する向こうで燐光が赤く煌めき、ねじ曲げられた空間が破裂した。  波打つ振動に乗って、風に飛ばされて黒く小さな何かが、くまの足下に転がってくる。  肥大化した牙と角。人の顔を大きく逸している異形。  にも関わらず、最期まで心を脅かされて死んだのだと分かる。それは苦悶の表情で固まって死んだ黒炎の頭部だった。 「なんとつまらぬ。物足りぬ。食いでがない。粗食が過ぎる。  英霊でない使い魔とはいえ前菜にもならぬとは。これでは一つ星すらくれてやれぬわ、まったく」     レイサに尽きせぬ慈悲を見せて守護を果たした平和主義者。  紅煉に限りなき憤怒を見せて成敗を下した暴君。  平和を愛し、奪う者に怒る。どちらもバーソロミュー・くまの一面であり、全盛のままの鋼鉄の意志。    その意志が告げている。危険を。暴威を。  漆黒の血に濡れた刃でも芯まで通さなかった不屈の肉体が、これより先に待つ災禍に、身を強張らせている。    ───大時化が来る。船の脊髄である竜骨をへし折る荒神が。   「……む? む? ほう、これは───。  はは、なるほど。主菜は心躍らせてくれそうではないか。そうは思わぬか、サヨ?」     ひとつの戦いが終わり、第二の幕が上がる。  妖怪(バケモノ)が焼き払った都市に、獣(ケモノ)が上陸する。  ◆  目覚めた[[岸浪ハクノ]]が壁の時計を見やると、短針と長針は揃って真上に到達していた。 「うわ、もう昼じゃん」  軽い仮眠のつもりが、完全に意識を失ってしまっていた。  日頃寝転がっていた固い地面と違うベッドの感触は、よほど寝心地がよかったらしい。   「うむ、暗殺されるなど夢にも思ってない堂々とした熟睡だったぞ。  ま、余が傍に控えていたのだから当然だが」  隣にはドラコーが同じベッドに腰掛けている。いわゆる添い寝、というやつだ。  無防備なマスターを護るという事なら、なるほど距離を詰めておくのは合理的といえなくもない。  かくいうハクノも、すぐ傍にドラコーの気配を感じていたからこそ、遠慮なく眠る余裕が出来ていたのだろう。 「……俺、いつの間にベッドで寝ていたんだ?」  覚醒した頭で記憶をかき集めれば、最後は窓辺の壁に背中を預けていたはずだ。  夢遊病の気がないのなら、誰かが自分をベッドまで運んだという事になるが。 「ドラコーが運んでくれたのか?」 「うむ、確かに抱えたのは余だ。だが貴様を寝かすよう頼んだのはそこにいるサヨよ。  せっかく寝床を提供したというのに、そのような床で寝転がらせるのは心苦しいとな。なんともいじましいではないか。  それとも、床で寝ていた方が心地よかったか?」 「そんな習慣はここに来るまではないよ……と。おはよう」 「……おはようございます」  宿を提供した家主でありながら、紗代はなぜだか所在なさげに椅子に腰掛けている。   「お体の具合はどうですか?」 「よく寝れた。久しぶりのベッドだからかな。これだけでも宿を借りた甲斐があった」 「そうですか。それは何よりです。それと……よろしければ、これを」  トレイに乗せて差し出されたのは、幾つかの惣菜パンとパックの飲料。  不意に腹の奥が締めつけられるような空腹の訴え。  野晒しの生活とはいえ食うに困ってはいなかったが、夜の一件からの周辺の変化で朝を抜いたままだ。 「……申し訳ありません。こういった食事は勝手が分からなくて、適当に選んでくるしか……」 「いや、くれるだけで十分だ。正直、ずっと腹が減っていた」    焼きそばパンのビニールの包装を解く。  元は生きていた頃のない死者だった身分で、冥界に来てから初めて空腹を覚えるという矛盾。  この不自由もまた生きている者の楽しみだと知ったのも、ここ最近の話だ。 「眠りから醒めた後は腹を満たすとは健啖よな。  構わぬ。戦場であれよく喰らい、貪る者こそが最も長く立つ力を残すのだ。余のマスターに清貧は似つかわしくないからな」 「そう言うドラコーは何か食べたのか?」 「サーヴァントに食事は必要ない……とはいえそれもそれで口寂しい。  よってサヨに調達を命じた。命を救った礼なのだ、これぐらいのもてなしは受けねばな」 「恩着せがましい……そういうところだぞ暴君。あとその果物、オレも欲しい」 「やらぬ。これはぜんぶ余のだ。やーらーぬーぞー」  せっつき合いをしつつ、今後の方針について話そうと思ったが、紗代は食べ終わるまで待つと言ってくれた。  食事しながらの会話は無作法と思ったのだろうか。背筋を正してじっと待ってくれている。  雰囲気に違わぬ礼儀と古風さ……地球が荒廃し人類が衰退した3000年代に生まれたハクノにとって、たいていの文化は古代の産物だが。  デッドフェイスの構成のモデルになった岸波白野……日本人である彼女なら何か感じるものもあったのか。  直に触れる文明の名残りにそんな風にしか捉えられないのは、やはり少しだけ寂しかった。 「それで、結局アンタはどうしたいんだ?」  後片付けを済ませ、改めて紗代と向かい合い、対話を再開する。  助け合う互助の関係ではなく、冥界を彷徨う葬者、互いに殺し合うマスターの関係で。   「改めて言うけど、オレはここでどうするかってのはまだ決めてない。  聖杯が欲しいわけじゃないし、他の葬者を殺して回ってもいかないけど、だからといって大人しく殺されてやる気もない」    生きている限り、無為に死ぬ事だけはしたくない。  死んでいるとしても、獲得した"命"を投げ出すわけにはいかない。  何も持たないハクノが進んでいられる、唯一の希望だ。 「何を目指して生きるのか。何処を目指して走り出すのか。何でこんな事態(コト)になってるのか。  それを知る為にも聖杯や、冥界について情報が欲しい。ようは願いの前段階にしかいないんだ。  それまでは、聖杯に辿り着くのを目的にはしない」  競合には参加せず、進んで敵の排除には動かないが、向かってくる相手は退ける。  あくまで現段階では専守防衛がハクノのスタンスだ。問題は、そのスタンスに欠陥がある点だが。 「だから、ここから先はそっちの問題だ。  紗代がどうするのかで、オレの身の振り方も変わってくる。  うん、割とオレの運命を握ってるんじゃないかな、今は」 「そっ……! そういう言い方は……ずるいです」 「そうか。気負わせたくなかったんだけど、そうだな……今言えるのはひとつだけだ。  どんな選択をしても、オレは紗代を憎まないよ」 「───なぜ?」 「ソレを見るのはうんざりしてる。いい加減やめにしたい」  憎しみの澱から這い出て、死相の仮面を外しても、憎しみはハクノを追いかけている。  逃さぬ許さぬ落ちてこいと、足を掴んで引いてくる死霊達。  なぜお前がそこにいる。お前も同じ死の残骸の癖にと、責め立てる恨み骨髄を聞かされ続けた。  絶え間ない、変わり映えのない悪意には飽きてさえくる。怒りを保つのにも限度がある。  とうに蛹は孵ったのだ。たとえ一夜しか飛べない蝶だとしても、糸に縛り付けられるのは二度とごめんだ。    紗代は深く考え込んで喋らない。  後ろのドラコーも実体化したまま答えを待っている。寝ている間に、何かしら話があったのだろうか。  秒針がカチカチと鳴る音を聞きながら何周かした頃。   「私は……あなたとは、戦いません。  ですが、聖杯は求めています」 「なのにオレとは戦わない。……つまり、共闘ってことか?」 「はい。……お察しのものと存じますが、私は戦争というものから遠ざけられた身です。  自国で起きていた事を遠くの国のように眺め、生きてきました」  戦争を知らない。手に武器を取り戦った経験がない人生。  それは卑下されるべきではない。ハクノの出生に関わりがない事項とはいえ、尊く正しい未来であるぐらいは理解できる。  彼女が自分を蔑んでいるのは、恐らくは別のものだ。   「……私は、人殺しです。  身も心も醜い、血で汚れた女です。  そんな私を、あなたは手を取って命を救ってくれました。そんな徳ある方と、他に出会えるでしょうか」 「偶然だ。通りがかりの通り魔の犯行で、たまたま助けただけでしかない」 「それでも、あなたがいなければ確実に助かりませんでした。偶然でも私は感謝しています」  紗代の過去は何も聞いていない。  彼女の後ろで恨めしく見るだけの霊が、どのように殺されたのかを知らない。  正統防衛だったのか。動機のある恩讐だったのか。自分で言うように、欲望に突き動かされた悪徳なのか。 「聖杯が欲しいのは、死にたくないからか?」 「はい」  "本当に?"  そう問い質したいが、言葉は出ず、視線だけを送る。  生死に関わる事柄の真贋の見極めには、否応にも鋭くなる。  ただ死ぬのが嫌なだけじゃない。嘘を。虚飾を言っている。  これだけ死を否定して、他人を押しのけてまで叶えようとしているのに。  『生き返りたい』とは一言も言っていない。  紗代が否定したいのは別のものだ。  もっと深い、他人には明かせないぐらい無くしてしまいたい絶望を、紗代は覆い隠している。  椅子から立ち上がり、恭しく頭を下げる。   「浅ましい女の浅知恵と詰ってくれてかまいません。どのような条件も呑みます。  私に出来る事であれば……幾らでも差し上げます。  ですのでどうか───私を否定しないあなたの力を、お貸しください」  ……死者の罪罰など、自分には裁けない。  死者は救えない。根本的にゴーストは始めから掌の対象外だ。  それを覆すのが聖杯だとするなら、なおさら手に余る。   "だから。誰かは知らないけど、そんな目で見られたところで、お前たちの代行をしてやれない"    葬者同士はある意味で対等だ。  誰もが死に、辿った結末に釣り合ってるかはさておき、罪を抱えている。  ならば立場はどちらも同じだ。ではハクノから見た紗代とは、孤独に助けを求める少女であり。   「わかった。状況次第じゃ手切れになる可能性もあるけど、暫くはその線でいこう。  実のところ、アンタのサーヴァントが襲いかかってこないっていうのは、すごく助かる」 「ぁ……」    情報や調査といったが、これが目下最大の難関であった。  なぜかって、出会う葬者のサーヴァントが、どれだけ穏やかな接触を心がけても全力で殺しにかかってくるからである。  ハクノではなく、ドラコーを。  世界の敵、人類の悪と言わんばかりに討伐せんと群がってくる。    崩壊したSE.RA.PHの階層を昇ってこれたのは、契約したセイバーは言うに及ばず、何も分からぬハクノに事前知識を教えてくれたリンやラニの協力があってこそだった。  死者の漂着地だからって土地勘が働くわけじゃない。他の葬者にも話を聞きたいというのに、とっかかりを作る余地さえないときた。  ドラコーのいうには自我のない人形に近いというライダーはその点、紗代の指示がなければ積極的に害意を見せない限り戦いにはならない。  英霊の戦闘力の操縦桿を葬者に委ねるという弱点があるが、却って組むには都合がよくなってるのだ。     「彼女とは組む。それでいいな、ドラコー?」 「その意味、しかと理解しているな?」 「ああ」 「ならば余から言う事はない。好きにするとよい」 「そういう訳だ。よろしく頼む」    罪の清算にまでは付き合えない。だが利害が一致してるのであれば共に行動できる。  今出せる選択の中では最良だろう。 「……握手は同盟の証だと思ってたけど、昔は違うのか?」 「え? ……あっ」  握り返される手が所在なく宙を浮いてるのに、遅れて気づいたらしい。  こちらと我が手と見返し、おずおずと手を伸ばす。まるで手を離されるのを恐れているように。  そんなつもりはないのだから手は自然と互いに近づき、指先が当たるまで触れかかったところで……意図しない手によって遮られた。  発光と衝撃。そして爆音。最後に獣じみた咆哮がねじ切られる悲鳴。  窓の外でただならぬ異変が生じている。   「なんだ?」  身を屈めて戦闘態勢を取りながら窓に近づく。  攻撃がやって来ないのを確認し、慎重に外に目をやる。 「余が出るまでもなく片をつけるか。流石に、マスターの守護となると手早いな」 「ライダー……!」  攻撃も、戦闘も、とうに終結していた。  雲を突く巨体。奴隷に身をやつしながら備わった機能は錆びつかせず脅威を払う威力。  紗代のサーヴァントであるライダーの手には、黒い魔獣の首。胴体は寮の庭に転がっている。  ……獣は一匹だけではない。同じ形態の骸がそこかしこに打ち捨てられている。  恐らくは、葬者かサーヴァントが放った使い魔。  紗代のいる部屋に攻撃が仕掛けられてから、一分にも満たない余白で、狼藉者は処罰を下されていた。  起きたと同時に終わった戦い。  だが同じ音はまだ聞こえる。炎が撒かれ、雷が落ちて……家が、人が焼かれていく。  ……ここまで来てない筈の異臭が鼻をつく。  忘れ得ない死の匂い。己が生まれた蠱毒の泥中の気配を敏感に悟ってしまう。 「これは一体……」 「……ふん、安い誘いよな。宣伝がこれでは出される皿の質も知れるというものだ」 「どういう意味だ、ドラコー」 「我らを特定しての襲撃ではあるまい。放たれた数が少なすぎる。  当たりをつけた地区に使い魔を送り、」 「つまり、無差別か」      ……ここまで来てない筈の異臭が鼻をつく。  忘れ得ない死の匂い。己が生まれた蠱毒の泥中の気配を敏感に悟ってしまう。  裂かれ、貫かれ、殺される人々がフラッシュバックする。  それは過去の記憶だ。死んでいったマスターの断末魔。  冥界の民衆と同じ、昔の映像の再上演。  "ああ───またか"  その声に意味はない。  岸浪ハクノは死者ではない。  ああ、けれど、その声を聞いてしまったのなら。 「ドラコー。コレを起こした奴の居場所は分かるか?」 「……雑魚の気配が多くて辿れぬな。だが本丸が出張るとすれば、ゲストが出揃った時だ」 「つまり一番戦闘が激しくなる場所か。なら分かりやすいな」  窓をくぐり外に出る。  風に乗った熱気が肌を撫ぜていく。 「どうする気だ葬者よ?」 「元凶を叩きに行く。これ以上寝床を壊されちゃたまらない」 「ほほう、珍しくやる気になったな。よかろう、仮とはいえ余の寝所を荒らしたのだ。相応の報いは与えてやらねばな」    コードキャストを起動し、敵位置を探る。  周辺1キロでも敵影が数種。ライダーが兵を撃退したとなればいずれ存在に気づかれる。  宿を守るよりも、打って出て行った方が対処はしやすい。   「アンタは来るか? ここで待ってた方が安全だけど」 「……いえ。私も向かいます」 「そうか。追いつけるか?」 「大丈夫です。ライダーが、いますので」  念の為、紗代には残って寮を守ってもらう手もあったが、意外にも同伴を申し出た。  せっかく同盟を結んだ以上協力は必然としているのか。それとも、ハクノが離れるのを恐れているのか。  逡巡を振り払う。今は一刻も早く、この虐殺を仕掛けた相手を突き止める。  Sword,orDeath。  決闘(デュエル)の開演は近づいている。  剣を向けるのは黒き化物(ケモノ)か、あるいは──────。         【文京区/一日目・正午】 【ピーター・パーカー@スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム】 [運命力]通常 [状態]疲労(中) [令呪]残り三画 [装備]スパイダーマンのスーツ、ウェブシューター [道具]無し [所持金]生活に困らない程度 [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争での被害を極力減らす。聖杯を悪用させない 1.新しく現れた相手に対処。 2.黒い獣と氷炎の怪人、東京上空で衝突していた竜のサーヴァント、二つの市を吹き飛ばしたサーヴァントを警戒 3.レイサをヒーローと認め、共に戦う。アベンジャー、そんなに響き悪いかな…… [備考] なし 【レイ@遊☆戯☆王 OCG STORIES 閃刀姫編】 [状態]疲労(小)、全身にダメージ(小)、ドラコーへの敵意 [装備]なし [道具]なし [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争での被害を極力減らす。聖杯を悪用させない 1.なに、この感じ……!? 2.黒い獣と氷炎の怪人、東京上空で衝突していた竜のサーヴァント、二つの市を吹き飛ばしたサーヴァントを警戒 [備考] ※■■■■であるドラコーに対して、サーヴァントの本能による敵意を抱いています。 【[[宇沢レイサ]]@ブルーアーカイブ】 [運命力]通常 [状態]疲労(大)、精神的ダメージ(何とか持ち直しつつある) [令呪]残り三画 [装備]ショットガン(DP-12) [道具]無し [所持金]生活に困らない程度 [思考・状況] 基本行動方針:キヴォトスに帰りたい。無用な犠牲は善としない 1.それでも、前を向いていたい。 2.黒い獣と氷炎の怪人、東京上空で衝突していた竜のサーヴァント、二つの市を吹き飛ばしたサーヴァントを警戒 [備考] なし 【バーソロミュー・くま@ONE PIECE】 [状態]全身にダメージ(中)、全身に裂傷、ドラコーへの敵意 [装備]なし [道具]なし [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:レイサを助ける 1.こいつは……!? 2.黒い獣と氷炎の怪人、東京上空で衝突していた竜のサーヴァント、二つの市を吹き飛ばしたサーヴァントを警戒 3.黒い獣のセイバー(紅煉)は何処へ消えた…? [備考] ※■■■■であるドラコーに対して、サーヴァントの本能による敵意を抱いています。 【岸浪ハクノ@Fate/EXTRA Last Encore】 [運命力]通常 [状態]健康 [令呪]残り三画 [装備]礼装(詳細不明)、擬・奏者のおしゃれメガネ [道具]デイバッグ、礼装(自作含む。詳細不明)×?、触媒(詳細不明)×?、食料 [所持金]ハサン寸前 [思考・状況] 基本行動方針:まずは情報を集め、スタンスを決める。 0.魔獣(黒炎)を放った元凶を叩く。予定だったが……。 1.沙代と共闘する。方針が定まるまでは、まだ。 2.工房(マイルーム)作成用の礼装と触媒を見繕う。 3.アサシン([[ジャック・ザ・リッパー]])を警戒。対策を考える。 [備考] ※深夜ショップから購入した礼装は、Fate/EXTRAシリーズの物を参照しています。 ※サイバーゴーストを視認できるマスターを含む死者の集合体であるため、通常視認できない幽霊などの気配を察知し、捕捉することができます。 【アルターエゴ?([[ソドムズビースト/ドラコー]])@Fate/grand order】 [状態]健康 [装備]黄金の杯 [道具]なし [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:葬者の指示に従いつつ、彼がこの聖杯戦争で何を成すのかを楽しむ。 1.戦場に向かう。ほう、あの姿……。 2.アサシン(ジャック・ザ・リッパー)を警戒。状況が整い次第、今度こそ排除する。 [備考] 【[[龍賀沙代]]@鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎】 [運命力]微減 [状態]健康 [令呪]残り三画 [装備]なし [道具]なし [所持金]潤沢(大地主の子女としておかしくない程度) [思考・状況] 基本行動方針:自分の中の穢れの痕跡を消し去りたい。 0.あれは、ライダー……? 1.岸浪さんと共闘する。それでいいはず、いまは。 2.岸浪さんを懐柔して、味方に付ける。ただし、ドラコーさんへの対応には要注意する。 3.アサシン(ジャック・ザ・リッパー)を非常に警戒。 [備考] 【ライダー([[バーソロミュー・くま〔隷〕]])@ONE PIECE】 [状態]健康 [装備]なし [道具]なし [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:仰セの通りに御主人サマ……。 1.……………………。 2.要警戒対象(ドラコー、■■■■)確認……。 3.要警戒対象の情報ニ一部欠落ヲ確認。得タ情報(ジャック・ザ・リッパー)ニテ補完、完了……。 [備考] ※自我が消滅してるため、直接紗代に危害が加えられない限りドラコーに対する敵意はありません。            
 ◆  造物主の紅煉は姿を隠し、指揮を取っていたフレイザードは撤退した。  統制を失った妖・黒炎は最後に与えられた指令に従い、足止めの殿を務めるべく現地に残された。  黒炎はセイバー・紅煉の宝具。  正確には「黒炎を生み出す」能力こそが宝具であり、黒炎自体が宝具に相当する格を備えてるわけではない。  しかしその脅威・殺傷性は偽らざる本物だ。  妖魔滅殺の使命、憎悪を焚べて打たれた武器にして、持ち主を獣に変貌させる妖物、獣の槍。  字伏という獣に成り果てた紅煉から生まれた黒炎は、一種の獣の槍の眷属に相当する。  人妖の区別なく命あるものに手当たり次第に爪牙を振るう猛獣。白面の手で更なる強化と変貌を遂げた事で、正規の獣の槍伝承者を追い詰めもした。  一騎当千の武を誇る英雄であるサーヴァントには分が悪くとも、未熟な、定命の葬者にとっては一死確定。  サーヴァントの庇護もなく、複数の黒炎に囲まれた葬者にとっては、絶対の窮地に他ならない筈なのだ。  ───その場所が、都市部でなければ。  スパイダーマンのホームグラウンドでさえなければ。 「魔法パンチ!」  取ってつけた名称を叫びながら、赤い腕で殴りつける。  ウェブスウィングで加速し、黒炎の爪をかいくぐってからのカウンターが顎を揺らす。    一体目の動きを制した時点で、既に体は二体目への対処に向かっている。  弧を描く振り子を待ち受けて掴みかかる妖だが、糸から手を離し、反対の腕から発射した糸で方角を転換され盛大に空振る。 「魔法キック!」  空を掴もうとよろけた黒炎の背中に、反転の勢いを込めた蹴りを浴びせる。  無防備な態勢で蹴られた黒炎は他の群れと激突して無様に喚く。  手玉に取っている。  文京区での交戦が始まって十分も経ったか。その間にピーターは黒炎の能力を把握していた。  人の知識と後天的に備わった第六感───当人曰く「ムズムズ」に準ずるままに、多対一に追い込まれながら的確に捌いていく。   黒炎を翻弄する機動性、各個体にダメージを与えられる筋力は、どれもサーヴァントの援護を受けていない自前のもの。  備わった変異の力。運命に責任を背負い行使する精神。  Amazing(脅威的)。  暴れ狂う獣の群れを曲芸のようにすり抜ける様は、複雑怪奇に絡んだスパゲティを解くが如く脅威的だ。  主の紅煉も統率していたフレイザードも欠いた今、白面の眷属は半端に数が多いだけの烏合の衆に過ぎない。  制圧は容易く、遅れを取る理由はない。暴漢を取り押さえるように手早く済む。 『ギシャアアアアアアアア!』    小さな獲物を喰らえずにいる屈辱が黒炎達を一点に殺到させる。  生え揃った爪が、剥き出しにされた牙が、全身から放出する炎が雷が宙を漂う蜘蛛を焼却する。  怒りに震える獣の群れは恐ろしい。だが獣とは本来臆病なもの。なにより生存を優先するもの。  殺戮の為の生命体は、罠を警戒する野生の本能すら薄れさせている。   陣形を取り散らばっていた黒炎達が一箇所に集められている事に、今になっても気づかない。   「よし、ここで魔法ウェブ!」  手首を翻す。  手品が花開く。  四方向に飛ばした糸の先に黒炎はいない。  戦闘が始まった当初、途中で『生き残り』が巻き込まれたりしないよう、縛り上げるなり、代替の破片を食い込ませるなりで補強していた支えだ。  確認は取れた。少なくとも今戦ってる周囲で、ピーターが感知している反応は……助けられる人は残っていない。  よって、この補強も必要がなくなった。連中の無作為な殺戮は自身の首を締める羽目になる。  『その地点』を通過した黒炎が頭上の異変に首を向けるが遅かった。  支柱を失い、それぞれが覆い重なってぎりぎりのところで保っていた均衡が崩された。  爪と牙で抉られ、火炎と雷撃で融かされた高層ビル。  ピーターもレイも、被害を慮り建造物へ広範囲の破壊は行わなかった。どれも黒炎だけが作った。   「お……ぉああああああああああ!?」    雪崩と呼ぶには巨大すぎる鉄筋の塊。  頭にぶつけ、背中に刺さり、一斉に降り注ぐ大瀑布。  宝具によって召喚された黒炎はその時点で魔術とは切り離された物理的存在だ。  現実の法則を意に介さないだけの神秘はなく、まして霊体化などという細やかな性質があるはずもない。  彼らは破壊のみの存在であり、同じ破壊によって食い止められる。 「なっ何だこりゃあああ!  何でこんな糸と瓦礫で縛られただけでオレらが動けねええええ!?」  砂埃が晴れる。  黒炎の群れは生き埋めにはならなかった。  濁流に呑み込まれる前に、ピーターが一体一体をウェブの狙撃で絡め、別の位置に吊り下げていた。  ただしそれは解放を意味しない。糸だけでなく四散したコンクリートや鉄筋、黒炎同士の四肢や角も噛み合わせて作った蜘蛛の巣で、身動きを封じられていた。   「wow、なんだ喋れたんだ。ずっと叫んでばっかだったからそういうヤツかと思ってたのに」 「舐めんなよクソガキがあああ! おれら黒炎の炎と雷でこんなやわなガラクタなんざあああ!」 「おーい、その体勢からだと仲間にも当たっちゃうよ」 「知るかよお! てめえらクソ人間を殺せるなら痛くも痒くもねえなあ!  オレ達ゃ紅煉様がいれば無限に生まれてこれるんだ! いいか、こんなモンで勝ったと思ってるならよォ───」 「……そっか。なら急ぎなよ。もうこっちは準備バンタンだから」 「あ……?」   黒炎は紅煉の宝具。紅煉が現界する限り無数に生産が可能。  サーヴァントの一部である黒炎は理解している。そして、理解をしていない。  今自分らを追い込めているのはサーヴァントではなく、ただのマスターでしかないと、能力の高さの余り失念している。  では本来のピーターのサーヴァントは、今、何処にいて、何をしてるのか。   「ゲートシステム機動───術式兵器X-004【ハヤテ】!!」  地上にて閃く、翠の光。  司る属性は風。雲を突き抜ける撃滅の星。  空を裂く砲塔が、邪悪を焼き払うべく冥界に招聘される。    転装の完了は一瞬。  戦いでは生死を分かつ境目になりかねない断崖の刹那。  そこに未来への道筋を結ぶまでが、彼女のマスターが負った仕事。  次は彼のサーヴァントが、セイバー・閃刀姫レイが果たす番だ。   「ありがとうマスター! そこなら外の建物に当たらないし、丁度いい位置!」 「な、な、なんだあああ! お前のサーヴァントはセイバーじゃねえのかよおおお!」    状況に応じた武装を召喚、装着するゲートシステム。閃刀姫専用決戦兵器・侵攻迎撃型撃刀モード。  一体たりとも逃さず、討ち漏らさず仕留める為の選択(カード)は出揃った。  メインカノン、背部ユニット直結。エネルギー充填完了。 射角補正完了。遮蔽物なし、巻き添えなし、条件オールグリン。   「術式発動!! ベクタードブラスト!!」      直接攻撃(ダイレクトアタック)の引き金を引く。  苦し紛れに放った炎雷は拮抗の余地なく掻き消され、断末魔すら麗光が寂滅させる。  輝きが白昼を焦がす黒泥を消し飛ばし、再び太陽ある世界を取り戻した。    戦いはこれにて締め括られた。  それが永遠に日の出ない冥界だとしても、始まりには終わりが訪れる。  ヒーローの登場を誘発する悪鬼の嗜虐の狂宴は幕を閉じた。 「これで終わった……かな?」 「うん……」  勝った、とは言わなかった。  兵装を解除したレイの苦渋に満ちた顔を、マスクの下でピーターも浮かべている。  敵は敗走した。味方の犠牲はなく消耗も軽微で済んだ。  被害を比較すれば、疑いようもなくこちらの勝利といえる。聖杯戦争の盤上では。  二人の勝利の条件は、最初から聖杯戦争とは乖離している。  異郷の土地、身も知らぬ他人、命ですらない影の守護という、想像を絶する課題に取り組んでいる。  本人の中では極めて正気で正常な目的は、今回は達成する事は出来なかった。  虐殺。酸鼻。野晒し。  恐らくは、自分達を誘き出す為だけに消費させられた、ただそこにいただけの人。  アベンジャー。その言葉の意味を噛み締める。  報復による抑止しか出来ないと顔を覆っていた誰か。時にその力が怨恨を招き、望まぬ戦いを引き起こすのだと。 「こういう時……マスターは、人間はどうしてたのかな?」  記録は知っている。  戦争があり、虐殺があり、多くの人が死んでいったと。  レイは同胞が死滅した数百年後に、ただ一人奇跡的に保存されていた胚から生まれた。  心ある機械を家族として愛し、同じ遺伝子から複製された姉妹を看取っても、ここまでの大量生産された「意味のない死」は見た事がなかった。   「そうだね。普通は祈るかな」 「祈る?」 「そう。お墓を作って、手を合わせて、その人や神様にどうか安らかに、もうこんな事が起きませんようにって思うんだ」 「あ、それなら分かるよ。アゼリアとカメリアにも……私は祈ったんだ」    死者の欠片の消費を悼む法はここにはない。ひょっとしたら自分達だけかもしれない。  息を引き取った姉妹の亡骸を見て去来した感情と、この街の人の死に感じる思いが同じだというのなら……捨てていいものじゃないのだ。 「けれど僕達は先に果たすべき責任がある。そうでしょ?」 「うん。それも分かってるよ!」    歪んだ顔を俯かせても、涙は時間を止めてはくれない。  被害状況の確認も戦後に必要な務めだ。バックアップはいないからといってほったらかしにはしていけない。 「よし、じゃあまずはレイサちゃん達と合流しないと! まだあのセイバーと戦ってるかもしれないし……!」 「うん、それは大丈夫そうだよ。今から降ってくるからね、ふたりとも」 「え? 降って?」  突如、レイを照らしていた太陽が黒く食われた。  次いで風切り音。真上から、巨大で重い何かが落ちてくる───咄嗟に防御反応を取るが、想定していたような衝撃は起こらなかった。  ふよん、と。鉄の塊が同質量のマシュマロに変質したような、不自然なまでに軽やかな感触で着地を遂げた。  その手に浮き出ている、肉球によって。 「ライダー!」 「すまない。遅くなった。そちらも既に終わっているようだな。さすがだ」  この世界にもふたつとない、見間違えようのない巨体。  バーソロミュー・くまは荒波の航海を終えた後のような面持ちでピーター達に来訪した。   「ってあなた、すごい傷だらけ! 大丈夫なの!?」 「はは、かすり傷さ。おれの頑丈さは知ってるだろ?」  衣服は襤褸同然に擦り切れ、内面の肌も全身にくまなく刃の傷が刻まれている。  そんなものは"偉大なる航路(グランドライン)"を通った海賊にとって、まさしく"かすり傷"でしかない。  荒くれに揉まれるのが常の海の男に生傷はつきものだ。それがくたびれもうけにならず"宝"を守り抜いた勲章であれば尚の事。  大きすぎるくまの背中に不自然に盛り上がった瘤……もとい、しがみついていたレイサがするすると滑り落ちて地に足を着ける。  「レイサ……」  被弾を引き受けたくまの護身を証明する、まっさらな五体。  顔を附していたのは一瞬で、すぐにスパイダーマンと視線を合わせる。    頬には涙の跡が残って見える。  声には震えの余韻が引いている。  背負った銃の印象も霞むぐらい、恐怖で竦んだ体は弱々しく萎んでいる。  けれどヒーローであれば、マスクの上だからこそ見えるものもあり。  の瞳だけは、奥底で絶えず燃え盛る、星の産声の熱が見えていた。   「背負ったんだね、レイサ」 「はい。ピーター君……いえ、スパイダーマン。私は戦うって決めました」    ヒーローが、英雄が、勇者が。  数多ある『立ち向かう者』が持つ、勇気の灯火が。    「まだまだ未熟ですけど……いっぱい泣いて、迷惑をかけちゃうかもしれないですけど……。  そんな私でも信じていたものがあって、その為になら自分の力で立って、頑張れるって気づいたんです。  そういう自分が……思ってたより、私は好きみたいです」     決意を見た。なら多くを聞かせる事もない。  自分の行いの責任を背負う……少しだけ大人に近づいた彼女には、気負いや謝罪の類は逆に侮辱になる。  かけるべき言葉はひとつだけで足りていた。 「ようこそ、アベンジャーズへ」 「アベンジャーズ……?」 「僕のいたチーム名さ。バンドじゃないよ? 世界を股にかけたヒーローのビッグチーム。  志願とかスカウトとか色々あるらしいけど……ここには僕しかないみたいだし。地域限定だけど僕が認めるよ。  これで君は世界で一番立派なヒーローの1人だ」  レイサに対してずっと取っていた、庇護の姿勢と決別する。宣言はその証だ。  ここからは対等の仲間、託すに足るメンバーの一員として彼女と共に立つ。  若輩者の増長なのは百も承知だけど、後に生まれてくる全てのヒーローにとって、もうスパイダーマンは先輩だ。  ピーター・パーカーの記憶が無かった事にされても、その事実は消えはしない。 "ああ───あの人も、こんな気持ちだったのかな"  長くもないヒーローの人生で目にした先人達。  その中でも最も早く自分を見出し、親のように親身にしてくれた人がいた。  トニー・スタークの後継者にはならなくても、順番はやって来るのだ。   少しだけ先を行く者として教えるものや託すものは、きっとある。    1ヶ月の試用期間を経て、ここに加盟は成された。  地の底で生まれた、最も新しく、最も若い新世代。  誕生の息吹が、爽やかなる逆襲(アベンジ)の風を影絵の街に吹かせた。     「……なんか、物騒な感じがする名前ですね」 「あれぇっ!?」 「私だって言葉の意味ぐらい知ってるんですよ。どうせならもっとかっこいい名前にしましょう! ジャスティスとか、エックスとか!」 「そんな……僕んとこじゃ出せば大ウケ待ったなしのバズワードなんだけど……?」  チーム名は保留になった。    「強いんだね、レイサは」 「そうだ。あの子は確かに心に傷を負った。抗えない世界の残酷さを、挫折を味わった。  だが失くしたものばかりを見ていては、誰だって立ち上がる力が湧き上がりはしない。  レイサは後ろを振り返って、自分には仲間や友達が、先生が、生きて戦う原動力がある事を思い出した。  レイサははじめから強い子だった。おれがやったのはそれに気づくまでの時間、体を張ってやっただけさ」 「うん。マスターとあんな風に笑えるなら……きっと大丈夫だよ」  二騎の英霊は、互いの葬者の邪魔をしまいと、少し離れた位置で話していた。  マスター同士が絆を深めているうちに、戦況の報告を済ませておく必要がある。   「すまない。あと一歩のところで奴には逃げられた。  少なくとも一両日は身動き出来ないぐらいには痛めつけたが……セイバー、きみが戦ってる間、そいつは令呪を使っていたか?」 「ううん。そんな素振りはなかったと思う。私も相手もそんなにダメージはなかったはずだけど、急に何かに気づいて逃げて行っちゃった」 「葬者にとっても予想外の事態が起きた、という事か。サーヴァントを失ったのなら、普通もっと焦る。殿を置いて手際よく撤退しようとは思わないだろう」  サーヴァントが消滅すれば、契約していたマスターは加護を失い、生存限界を大幅に削られる。  仮にセイバーが敗退していたのならその時点でフレイザードも後を追う運命を辿る。  そうなれば道連れの悪あがきか、さもなくば敵サーヴァントを奪うべく形振り構わない戦闘を継続していたはずだ。  つまり不可解の原因は、第三者の介入。  この場に姿を見せなかった誰かが紅煉を回収し、陣営の脱落を阻止したという筋書きが成り立つ。  不穏なのはその目的だ。  今回の件で身に沁みて理解した。連中をこの舞台に長く留めさせてはいけない。  聖杯という奇跡にも極限の死闘にも価値を見出さない。その過程に発生する血と死に悦ぶ、戦争で最もタチの悪い手合いだ。  長引けば長引くほど、戦況が激化するほどに、喜び勇んで乱入し、炎を拡散させていく。  海賊が跳梁跋扈するくまの時代にはままある例だが、強さも新世界で生き抜けるだけある分始末が悪い。  この手の輩は存在(い)きてるだけで等しく被害を生み出す。  用兵にも長じ戦略を練る狡猾さも備えてるフレイザードの方はともかく、紅煉の見境なさ加減は体験済みだ。  聖杯を求める者であれ、ただ生還を望む者であれ、あらゆる勢力に奴らは危険で、不要な要素でしかない。  ならばそれを生き永らえさせる意味とは───。 「……ここで考えても仕方ないな。そろそろ離れよう」 「まだ───生きてる人達は───」 「もう、ここにはいない。  辛うじて息がある者はせめて痛みをなくしてやれたが……おれの能力は"疲労"は飛ばせても、"傷"そのものを無くせはしない」 「……そう」  助けられなかった市民がいた街を見渡すレイの眼差しは陰鬱だ。  閃刀姫に体を変え、サーヴァントの身になっても、守る為とはいえ戦いしか出来ない至らなさが心の疵に染み入ってくる。   「気を落とすな。さっきの砲撃でバケモノも一掃できたんだ。  見聞色は得意じゃないが、ここらにもう同じ気配はいない─────…………!!」 「ライダー?」  レイは我が目を疑った。  天を突く巨躯であるくまが不意に頭を揺らし項垂れていた。    意志や生命を躍動させ、肉体や感覚を強化する資質たる"覇気"。  腕に憶えのある海の猛者であれば体得しているそれを、当然くまは高い練度で収めている。  傑出した豪傑たるくまの覇気を、外からの圧に怯まされた。  用心のつもりでかけていた索敵が何かを探知したのを境にして、覇気の制御が急激にブレたのだ。  厳しく凝視する向こうで燐光が赤く煌めき、ねじ曲げられた空間が破裂した。  波打つ振動に乗って、風に飛ばされて黒く小さな何かが、くまの足下に転がってくる。  肥大化した牙と角。人の顔を大きく逸している異形。  にも関わらず、最期まで心を脅かされて死んだのだと分かる。それは苦悶の表情で固まって死んだ黒炎の頭部だった。 「なんとつまらぬ。物足りぬ。食いでがない。粗食が過ぎる。  英霊でない使い魔とはいえ前菜にもならぬとは。これでは一つ星すらくれてやれぬわ、まったく」     レイサに尽きせぬ慈悲を見せて守護を果たした平和主義者。  紅煉に限りなき憤怒を見せて成敗を下した暴君。  平和を愛し、奪う者に怒る。どちらもバーソロミュー・くまの一面であり、全盛のままの鋼鉄の意志。    その意志が告げている。危険を。暴威を。  漆黒の血に濡れた刃でも芯まで通さなかった不屈の肉体が、これより先に待つ災禍に、身を強張らせている。    ───大時化が来る。船の脊髄である竜骨をへし折る荒神が。   「……む? む? ほう、これは───。  はは、なるほど。主菜は心躍らせてくれそうではないか。そうは思わぬか、サヨ?」     ひとつの戦いが終わり、第二の幕が上がる。  妖怪(バケモノ)が焼き払った都市に、獣(ケモノ)が上陸する。  ◆  目覚めた岸浪ハクノが壁の時計を見やると、短針と長針は揃って真上に到達していた。 「うわ、もう昼じゃん」  軽い仮眠のつもりが、完全に意識を失ってしまっていた。  日頃寝転がっていた固い地面と違うベッドの感触は、よほど寝心地がよかったらしい。   「うむ、暗殺されるなど夢にも思ってない堂々とした熟睡だったぞ。  ま、余が傍に控えていたのだから当然だが」  隣にはドラコーが同じベッドに腰掛けている。いわゆる添い寝、というやつだ。  無防備なマスターを護るという事なら、なるほど距離を詰めておくのは合理的といえなくもない。  かくいうハクノも、すぐ傍にドラコーの気配を感じていたからこそ、遠慮なく眠る余裕が出来ていたのだろう。 「……俺、いつの間にベッドで寝ていたんだ?」  覚醒した頭で記憶をかき集めれば、最後は窓辺の壁に背中を預けていたはずだ。  夢遊病の気がないのなら、誰かが自分をベッドまで運んだという事になるが。 「ドラコーが運んでくれたのか?」 「うむ、確かに抱えたのは余だ。だが貴様を寝かすよう頼んだのはそこにいるサヨよ。  せっかく寝床を提供したというのに、そのような床で寝転がらせるのは心苦しいとな。なんともいじましいではないか。  それとも、床で寝ていた方が心地よかったか?」 「そんな習慣はここに来るまではないよ……と。おはよう」 「……おはようございます」  宿を提供した家主でありながら、紗代はなぜだか所在なさげに椅子に腰掛けている。   「お体の具合はどうですか?」 「よく寝れた。久しぶりのベッドだからかな。これだけでも宿を借りた甲斐があった」 「そうですか。それは何よりです。それと……よろしければ、これを」  トレイに乗せて差し出されたのは、幾つかの惣菜パンとパックの飲料。  不意に腹の奥が締めつけられるような空腹の訴え。  野晒しの生活とはいえ食うに困ってはいなかったが、夜の一件からの周辺の変化で朝を抜いたままだ。 「……申し訳ありません。こういった食事は勝手が分からなくて、適当に選んでくるしか……」 「いや、くれるだけで十分だ。正直、ずっと腹が減っていた」    焼きそばパンのビニールの包装を解く。  元は生きていた頃のない死者だった身分で、冥界に来てから初めて空腹を覚えるという矛盾。  この不自由もまた生きている者の楽しみだと知ったのも、ここ最近の話だ。 「眠りから醒めた後は腹を満たすとは健啖よな。  構わぬ。戦場であれよく喰らい、貪る者こそが最も長く立つ力を残すのだ。余のマスターに清貧は似つかわしくないからな」 「そう言うドラコーは何か食べたのか?」 「サーヴァントに食事は必要ない……とはいえそれもそれで口寂しい。  よってサヨに調達を命じた。命を救った礼なのだ、これぐらいのもてなしは受けねばな」 「恩着せがましい……そういうところだぞ暴君。あとその果物、オレも欲しい」 「やらぬ。これはぜんぶ余のだ。やーらーぬーぞー」  せっつき合いをしつつ、今後の方針について話そうと思ったが、紗代は食べ終わるまで待つと言ってくれた。  食事しながらの会話は無作法と思ったのだろうか。背筋を正してじっと待ってくれている。  雰囲気に違わぬ礼儀と古風さ……地球が荒廃し人類が衰退した3000年代に生まれたハクノにとって、たいていの文化は古代の産物だが。  デッドフェイスの構成のモデルになった岸波白野……日本人である彼女なら何か感じるものもあったのか。  直に触れる文明の名残りにそんな風にしか捉えられないのは、やはり少しだけ寂しかった。 「それで、結局アンタはどうしたいんだ?」  後片付けを済ませ、改めて紗代と向かい合い、対話を再開する。  助け合う互助の関係ではなく、冥界を彷徨う葬者、互いに殺し合うマスターの関係で。   「改めて言うけど、オレはここでどうするかってのはまだ決めてない。  聖杯が欲しいわけじゃないし、他の葬者を殺して回ってもいかないけど、だからといって大人しく殺されてやる気もない」    生きている限り、無為に死ぬ事だけはしたくない。  死んでいるとしても、獲得した"命"を投げ出すわけにはいかない。  何も持たないハクノが進んでいられる、唯一の希望だ。 「何を目指して生きるのか。何処を目指して走り出すのか。何でこんな事態(コト)になってるのか。  それを知る為にも聖杯や、冥界について情報が欲しい。ようは願いの前段階にしかいないんだ。  それまでは、聖杯に辿り着くのを目的にはしない」  競合には参加せず、進んで敵の排除には動かないが、向かってくる相手は退ける。  あくまで現段階では専守防衛がハクノのスタンスだ。問題は、そのスタンスに欠陥がある点だが。 「だから、ここから先はそっちの問題だ。  紗代がどうするのかで、オレの身の振り方も変わってくる。  うん、割とオレの運命を握ってるんじゃないかな、今は」 「そっ……! そういう言い方は……ずるいです」 「そうか。気負わせたくなかったんだけど、そうだな……今言えるのはひとつだけだ。  どんな選択をしても、オレは紗代を憎まないよ」 「───なぜ?」 「ソレを見るのはうんざりしてる。いい加減やめにしたい」  憎しみの澱から這い出て、死相の仮面を外しても、憎しみはハクノを追いかけている。  逃さぬ許さぬ落ちてこいと、足を掴んで引いてくる死霊達。  なぜお前がそこにいる。お前も同じ死の残骸の癖にと、責め立てる恨み骨髄を聞かされ続けた。  絶え間ない、変わり映えのない悪意には飽きてさえくる。怒りを保つのにも限度がある。  とうに蛹は孵ったのだ。たとえ一夜しか飛べない蝶だとしても、糸に縛り付けられるのは二度とごめんだ。    紗代は深く考え込んで喋らない。  後ろのドラコーも実体化したまま答えを待っている。寝ている間に、何かしら話があったのだろうか。  秒針がカチカチと鳴る音を聞きながら何周かした頃。   「私は……あなたとは、戦いません。  ですが、聖杯は求めています」 「なのにオレとは戦わない。……つまり、共闘ってことか?」 「はい。……お察しのものと存じますが、私は戦争というものから遠ざけられた身です。  自国で起きていた事を遠くの国のように眺め、生きてきました」  戦争を知らない。手に武器を取り戦った経験がない人生。  それは卑下されるべきではない。ハクノの出生に関わりがない事項とはいえ、尊く正しい未来であるぐらいは理解できる。  彼女が自分を蔑んでいるのは、恐らくは別のものだ。   「……私は、人殺しです。  身も心も醜い、血で汚れた女です。  そんな私を、あなたは手を取って命を救ってくれました。そんな徳ある方と、他に出会えるでしょうか」 「偶然だ。通りがかりの通り魔の犯行で、たまたま助けただけでしかない」 「それでも、あなたがいなければ確実に助かりませんでした。偶然でも私は感謝しています」  紗代の過去は何も聞いていない。  彼女の後ろで恨めしく見るだけの霊が、どのように殺されたのかを知らない。  正統防衛だったのか。動機のある恩讐だったのか。自分で言うように、欲望に突き動かされた悪徳なのか。 「聖杯が欲しいのは、死にたくないからか?」 「はい」  "本当に?"  そう問い質したいが、言葉は出ず、視線だけを送る。  生死に関わる事柄の真贋の見極めには、否応にも鋭くなる。  ただ死ぬのが嫌なだけじゃない。嘘を。虚飾を言っている。  これだけ死を否定して、他人を押しのけてまで叶えようとしているのに。  『生き返りたい』とは一言も言っていない。  紗代が否定したいのは別のものだ。  もっと深い、他人には明かせないぐらい無くしてしまいたい絶望を、紗代は覆い隠している。  椅子から立ち上がり、恭しく頭を下げる。   「浅ましい女の浅知恵と詰ってくれてかまいません。どのような条件も呑みます。  私に出来る事であれば……幾らでも差し上げます。  ですのでどうか───私を否定しないあなたの力を、お貸しください」  ……死者の罪罰など、自分には裁けない。  死者は救えない。根本的にゴーストは始めから掌の対象外だ。  それを覆すのが聖杯だとするなら、なおさら手に余る。   "だから。誰かは知らないけど、そんな目で見られたところで、お前たちの代行をしてやれない"    葬者同士はある意味で対等だ。  誰もが死に、辿った結末に釣り合ってるかはさておき、罪を抱えている。  ならば立場はどちらも同じだ。ではハクノから見た紗代とは、孤独に助けを求める少女であり。   「わかった。状況次第じゃ手切れになる可能性もあるけど、暫くはその線でいこう。  実のところ、アンタのサーヴァントが襲いかかってこないっていうのは、すごく助かる」 「ぁ……」    情報や調査といったが、これが目下最大の難関であった。  なぜかって、出会う葬者のサーヴァントが、どれだけ穏やかな接触を心がけても全力で殺しにかかってくるからである。  ハクノではなく、ドラコーを。  世界の敵、人類の悪と言わんばかりに討伐せんと群がってくる。    崩壊したSE.RA.PHの階層を昇ってこれたのは、契約したセイバーは言うに及ばず、何も分からぬハクノに事前知識を教えてくれたリンやラニの協力があってこそだった。  死者の漂着地だからって土地勘が働くわけじゃない。他の葬者にも話を聞きたいというのに、とっかかりを作る余地さえないときた。  ドラコーのいうには自我のない人形に近いというライダーはその点、紗代の指示がなければ積極的に害意を見せない限り戦いにはならない。  英霊の戦闘力の操縦桿を葬者に委ねるという弱点があるが、却って組むには都合がよくなってるのだ。     「彼女とは組む。それでいいな、ドラコー?」 「その意味、しかと理解しているな?」 「ああ」 「ならば余から言う事はない。好きにするとよい」 「そういう訳だ。よろしく頼む」    罪の清算にまでは付き合えない。だが利害が一致してるのであれば共に行動できる。  今出せる選択の中では最良だろう。 「……握手は同盟の証だと思ってたけど、昔は違うのか?」 「え? ……あっ」  握り返される手が所在なく宙を浮いてるのに、遅れて気づいたらしい。  こちらと我が手と見返し、おずおずと手を伸ばす。まるで手を離されるのを恐れているように。  そんなつもりはないのだから手は自然と互いに近づき、指先が当たるまで触れかかったところで……意図しない手によって遮られた。  発光と衝撃。そして爆音。最後に獣じみた咆哮がねじ切られる悲鳴。  窓の外でただならぬ異変が生じている。   「なんだ?」  身を屈めて戦闘態勢を取りながら窓に近づく。  攻撃がやって来ないのを確認し、慎重に外に目をやる。 「余が出るまでもなく片をつけるか。流石に、マスターの守護となると手早いな」 「ライダー……!」  攻撃も、戦闘も、とうに終結していた。  雲を突く巨体。奴隷に身をやつしながら備わった機能は錆びつかせず脅威を払う威力。  紗代のサーヴァントであるライダーの手には、黒い魔獣の首。胴体は寮の庭に転がっている。  ……獣は一匹だけではない。同じ形態の骸がそこかしこに打ち捨てられている。  恐らくは、葬者かサーヴァントが放った使い魔。  紗代のいる部屋に攻撃が仕掛けられてから、一分にも満たない余白で、狼藉者は処罰を下されていた。  起きたと同時に終わった戦い。  だが同じ音はまだ聞こえる。炎が撒かれ、雷が落ちて……家が、人が焼かれていく。  ……ここまで来てない筈の異臭が鼻をつく。  忘れ得ない死の匂い。己が生まれた蠱毒の泥中の気配を敏感に悟ってしまう。 「これは一体……」 「……ふん、安い誘いよな。宣伝がこれでは出される皿の質も知れるというものだ」 「どういう意味だ、ドラコー」 「我らを特定しての襲撃ではあるまい。放たれた数が少なすぎる。  当たりをつけた地区に使い魔を送り、」 「つまり、無差別か」      ……ここまで来てない筈の異臭が鼻をつく。  忘れ得ない死の匂い。己が生まれた蠱毒の泥中の気配を敏感に悟ってしまう。  裂かれ、貫かれ、殺される人々がフラッシュバックする。  それは過去の記憶だ。死んでいったマスターの断末魔。  冥界の民衆と同じ、昔の映像の再上演。  "ああ───またか"  その声に意味はない。  岸浪ハクノは死者ではない。  ああ、けれど、その声を聞いてしまったのなら。 「ドラコー。コレを起こした奴の居場所は分かるか?」 「……雑魚の気配が多くて辿れぬな。だが本丸が出張るとすれば、ゲストが出揃った時だ」 「つまり一番戦闘が激しくなる場所か。なら分かりやすいな」  窓をくぐり外に出る。  風に乗った熱気が肌を撫ぜていく。 「どうする気だ葬者よ?」 「元凶を叩きに行く。これ以上寝床を壊されちゃたまらない」 「ほほう、珍しくやる気になったな。よかろう、仮とはいえ余の寝所を荒らしたのだ。相応の報いは与えてやらねばな」    コードキャストを起動し、敵位置を探る。  周辺1キロでも敵影が数種。ライダーが兵を撃退したとなればいずれ存在に気づかれる。  宿を守るよりも、打って出て行った方が対処はしやすい。   「アンタは来るか? ここで待ってた方が安全だけど」 「……いえ。私も向かいます」 「そうか。追いつけるか?」 「大丈夫です。ライダーが、いますので」  念の為、紗代には残って寮を守ってもらう手もあったが、意外にも同伴を申し出た。  せっかく同盟を結んだ以上協力は必然としているのか。それとも、ハクノが離れるのを恐れているのか。  逡巡を振り払う。今は一刻も早く、この虐殺を仕掛けた相手を突き止める。  Sword,orDeath。  決闘(デュエル)の開演は近づいている。  剣を向けるのは黒き化物(ケモノ)か、あるいは──────。         【文京区/一日目・正午】 【ピーター・パーカー@スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム】 [運命力]通常 [状態]疲労(中) [令呪]残り三画 [装備]スパイダーマンのスーツ、ウェブシューター [道具]無し [所持金]生活に困らない程度 [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争での被害を極力減らす。聖杯を悪用させない 1.新しく現れた相手に対処。 2.黒い獣と氷炎の怪人、東京上空で衝突していた竜のサーヴァント、二つの市を吹き飛ばしたサーヴァントを警戒 3.レイサをヒーローと認め、共に戦う。アベンジャー、そんなに響き悪いかな…… [備考] なし 【レイ@遊☆戯☆王 OCG STORIES 閃刀姫編】 [状態]疲労(小)、全身にダメージ(小)、ドラコーへの敵意 [装備]なし [道具]なし [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争での被害を極力減らす。聖杯を悪用させない 1.なに、この感じ……!? 2.黒い獣と氷炎の怪人、東京上空で衝突していた竜のサーヴァント、二つの市を吹き飛ばしたサーヴァントを警戒 [備考] ※■■■■であるドラコーに対して、サーヴァントの本能による敵意を抱いています。 【[[宇沢レイサ]]@ブルーアーカイブ】 [運命力]通常 [状態]疲労(大)、精神的ダメージ(何とか持ち直しつつある) [令呪]残り三画 [装備]ショットガン(DP-12) [道具]無し [所持金]生活に困らない程度 [思考・状況] 基本行動方針:キヴォトスに帰りたい。無用な犠牲は善としない 1.それでも、前を向いていたい。 2.黒い獣と氷炎の怪人、東京上空で衝突していた竜のサーヴァント、二つの市を吹き飛ばしたサーヴァントを警戒 [備考] なし 【バーソロミュー・くま@ONE PIECE】 [状態]全身にダメージ(中)、全身に裂傷、ドラコーへの敵意 [装備]なし [道具]なし [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:レイサを助ける 1.こいつは……!? 2.黒い獣と氷炎の怪人、東京上空で衝突していた竜のサーヴァント、二つの市を吹き飛ばしたサーヴァントを警戒 3.黒い獣のセイバー(紅煉)は何処へ消えた…? [備考] ※■■■■であるドラコーに対して、サーヴァントの本能による敵意を抱いています。 【岸浪ハクノ@Fate/EXTRA Last Encore】 [運命力]通常 [状態]健康 [令呪]残り三画 [装備]礼装(詳細不明)、擬・奏者のおしゃれメガネ [道具]デイバッグ、礼装(自作含む。詳細不明)×?、触媒(詳細不明)×?、食料 [所持金]ハサン寸前 [思考・状況] 基本行動方針:まずは情報を集め、スタンスを決める。 0.魔獣(黒炎)を放った元凶を叩く。予定だったが……。 1.沙代と共闘する。方針が定まるまでは、まだ。 2.工房(マイルーム)作成用の礼装と触媒を見繕う。 3.アサシン([[ジャック・ザ・リッパー]])を警戒。対策を考える。 [備考] ※深夜ショップから購入した礼装は、Fate/EXTRAシリーズの物を参照しています。 ※サイバーゴーストを視認できるマスターを含む死者の集合体であるため、通常視認できない幽霊などの気配を察知し、捕捉することができます。 【アルターエゴ?([[ソドムズビースト/ドラコー]])@Fate/grand order】 [状態]健康 [装備]黄金の杯 [道具]なし [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:葬者の指示に従いつつ、彼がこの聖杯戦争で何を成すのかを楽しむ。 1.戦場に向かう。ほう、あの姿……。 2.アサシン(ジャック・ザ・リッパー)を警戒。状況が整い次第、今度こそ排除する。 [備考] 【[[龍賀沙代]]@鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎】 [運命力]微減 [状態]健康 [令呪]残り三画 [装備]なし [道具]なし [所持金]潤沢(大地主の子女としておかしくない程度) [思考・状況] 基本行動方針:自分の中の穢れの痕跡を消し去りたい。 0.あれは、ライダー……? 1.岸浪さんと共闘する。それでいいはず、いまは。 2.岸浪さんを懐柔して、味方に付ける。ただし、ドラコーさんへの対応には要注意する。 3.アサシン(ジャック・ザ・リッパー)を非常に警戒。 [備考] 【ライダー([[バーソロミュー・くま〔隷〕]])@ONE PIECE】 [状態]健康 [装備]なし [道具]なし [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:仰セの通りに御主人サマ……。 1.……………………。 2.要警戒対象(ドラコー、■■■■)確認……。 3.要警戒対象の情報ニ一部欠落ヲ確認。得タ情報(ジャック・ザ・リッパー)ニテ補完、完了……。 [備考] ※自我が消滅してるため、直接紗代に危害が加えられない限りドラコーに対する敵意はありません。            

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