たったひとりしか生き返れない聖杯戦争―― なんて言われても、仲間というものは自然に発生する。 世の中、目に付く者すべてを害して回れる者ばかりではない。 甘いと分かっていても、善良さを捨てきれない者はいる。 決断を先延ばしにしているうちに、タイミングを逸する者はいる。 同年代の少年少女3人組は、そうして必然として生まれた、同盟とも言えないゆるい関係だった。 「そうそう、こないだ『外』に行った時なんだけどさー、うちのランサーが変なもの見つけてさー」 板橋区の名も無き小さな児童公園。 日も暮れた街頭の下で、半ズボンの少年はちょっとした「冒険」を、この地で出会った友人たちに披露していた。 「なんか、地面から妙なものが伸びてんの。それも何本も」 「変なものって?」 「真っ黒な手みたいな感じでさー、んで、広げた手のひらの真ん中に真っ赤な目があって」 「それは見たことねーな。亡霊か何かか?」 ワンピース姿の少女も、ジーンズ姿の少年も、興味深げに話に聞き入る。 たった一人しか帰れないと聞いても真剣にやる気になれない彼らにとって、数少ない興味はこの冥界の外のことだ。 それぞれに自分の身を守ってくれるサーヴァントがいることもあって、しばしば彼ら結界の外にでかけていた。 いつか廃墟の街を突っ切って、さらに外側に脱出できるかもしれない――なんて夢見ていたのは最初のうちだけ。 今ではすっかり、奇妙な世界を探検すること自体が目的となっていた。 「それがさー、向こうと目があった途端に、すんげぇ金切声がして、あたりが真っ赤に染まってさー」 「怖い怖い怖い」 「うちのランサーが『これは危険です』って言って、俺を抱え上げて逃げ出しちゃった」 「なんだそりゃ。せめて戦えよそこは」 「だからこうして話てんじゃん」 半ズボンの少年の主従の弱気をなじったジーンズの少年は、目をぱちくりとさせる。 えーっ、と嫌そうな顔をしているのはワンピースの少女。 「ここに3人ずつもマスターとサーヴァントが居るんだからさ、揃っていけば大抵のものは大丈夫だって!」 ◆ 板橋区から荒川を超えることなく北西にほんの少し行けば、そこはもう埼玉県和光市……結界の外側である。 先を進むのは長槍を持ったランサーと、巨大な槌を担いだバーサーカー。 少年少女を挟んで、最後方で警戒するのは杖を持った魔女のような姿のキャスター。 少年少女は揃ってキャスターの術により、ほんのり輝く光に包まれ、冥界の空気から守られている。 「あっ、あの辺だ。いるいる、気づかれるなよ……」 荒川沿いの河川敷、公園のようになっている場所で、彼らは「それ」を見つけた。 奇妙な触手のようなものが地面から生えて、風もないのに揺れている。 相手の強さを感じ取ったのか、巨漢のバーサーカーが言葉もなく小さく唸った。 瞬間。 それらは声にならない声で、叫んだ。 手のひらの真ん中にある目が、少年少女の一行を睥睨する。 「なんだなんだ、これなんだ!?」 「こんなの知らないっ! 見たことないっ!」 世界が急速に赤く染まっていく。 風もなかったはずの空を多数の雲が急速に流れていく。 するすると、黒い手の一群が斜面を登ってくる。予想以上のスピードだ。ランサーとバーサーカーが身構える。 次の瞬間。 「……ッ!?」 「きゃ、キャスターッ!?」 悲鳴を上げたのは最後尾にいた少女と、そのサーヴァント……後方から支援の構えでいたキャスターだった。 いつの間に回り込んでいたのか。 前方から迫る5本の腕と同様の、地面から生えた腕が、キャスターの華奢な身体を捕まえて…… 2度。3度。 恐ろしい勢いで地面にたたきつける。そのたびにキャスターの口から声にならない悲鳴が上がる。 「ランサー、後ろの奴たのむ! バーサーカーはそのまま前の奴を!」 「Wooooooo!」 混乱の中、それでも戦士たちは瞬時に動く。未熟なマスターに従っていても、仮にも英霊の座に上げられた者たちだ。 バーサーカーが槌をぶん回して黒い手を打つ。 ランサーが正確にキャスターを捕まえている手を貫く。 手の群れはそれぞれに見かけ以上に厄介だったが、それでも数度の打ち合いで、前衛二人を傷つけることなく、全て打ち倒された。 「キャスター! いやあ、キャスター!」 少女の悲鳴が響く。少年たちはばつの悪そうな顔で顔を見合わせる。 少年たちの、戦士たちの判断は素早かったが、それでも間に合わなかった―― 近接しての戦いに向いていないキャスターの霊核は、もはや傍目にも明らかに、取り返しのつかない傷を負っていた。 「……俺たちを、守ってくれたんだよな」 「ああ……って、おい!」 しんみりしかけた少年たちは、しかし、すぐに気づく。 前後から襲ってきた黒い手の2群は全て打ち倒した。しかし空の色は変わっていない。それどころか。 黒い手があったあたりから、立ち上がる人影がある。前方と後方、それぞれ1体ずつ。 「シャドウサーヴァント……なのか……!?」 冥界の外側の探索で似たようなものとは何度か遭遇していた。 英霊の影。影の英霊。英霊のなりそこない。 ランサーもバーサーカーも、過去に何体も打ち倒してきた。 しかし。 素人である少年たちが見ても分かる。 いまそこに現れた2対は、一見するとやせこけた長身の老人のようなシャドウサーヴァントは…… 格が、違う。 瞬間移動するかのような速度で、2体の影が動いた。 ランサーもバーサーカーも瞬時に反応した。 ランサーの槍がシャドウサーヴァントの刀と、バーサーカーの槌がシャドウサーヴァントの鉄棒と、それぞれ交差する。 次の瞬間。 槍と槌が、あまりにもあっけなく……砕け散った。 「……は?」 武器を喪ったサーヴァントたちが、瞬く間にシャドウサーヴァントの猛攻をしのぎ切れずに、地に倒れる。 少年たちがそれぞれに最強と疑わなかった戦士たちが、あっさりと、霊核を打ち砕かれる。 残された無力な少年と少女の3人組。 悲鳴も、絶望の声も、上げる余地はなかった。 この日、3組の主従が、誰に知られることもなく、聖杯戦争から脱落した。 ◆ 大都市東京。 その地下には、無数のトンネルが張り巡らされている。 地下街。地下道。地下鉄。 下水の配管に、各種の通信ケーブル。 洪水時に水を逃がすための巨大な空洞もあれば、半ば都市伝説じみた知られざる遺構もある。 戦時中に掘られた防空壕の類から、使われないまま忘れられた地下司令室。 どこぞの大金持ちが掘らせた秘密のシェルターに、考古学的な遺跡の類。 おそらく「現実の」東京になくとも、この冥界の疑似東京にのみある空間も多いことだろう。 そんなことを考えながら、青年は知られざる地下通路を淡々と歩く。 整った容姿の青年である。 浅黒い肌に、長く伸ばしたストレートの金髪。 服の胸元は大胆に開かれて素肌を見せている。 「あの時、学園から逃げ出すことに成功していたら、こんな生活が待っていたのかな……」 ひとり自嘲気味の笑みを浮かべて歩く彼は、この冥界の偽りの東京においては日の当たる所を歩けぬ逃亡者。 絶賛指名手配中のテロリスト、シャディク・ゼネリである。 幸いにして、協力者もいれば手駒となって動いてくれる少女たちもいる。 あまり生活に困ってはいないが、まともな街中を歩ける身分ではない。 身に覚えのない、冥界に来た時にはあった罪ではあるが、聖杯戦争の大半を留置所で過ごすのは彼の望む所ではなかった。 だからこうして、東京の地下に張り巡らせた秘密の通路を歩いている。 長い鉄の階段を降りて、さらに進む。 前方からはおどろおどろしい瘴気が漂ってくる。 一応はマスターということになっているシャディクにとっても、長居したくはない場所だ。 東京の地下にこんな空間があったのか、と驚くような天井の高い場所で、彼は己のサーヴァントを見上げる。 「アヴェンジャー。定期の報告の時間だ。首尾はどうなっている?」 「小僧……か……」 地の底に半ば浮かぶようにして佇んでいたのは、ミイラのように干からびた人影だった。 長身ではある。骨の上に皮が乗ったような状態である。 ギギギ、と音を立ててシャディクの方を向く。額の中央には何やら禍々しい石が見える。 「フフ……順調だ……今日は主従合わせて3体も『喰う』ことができた……」 「ほぉ。そりゃ大漁だね」 「目立つな、罠を張るなら結界の外にしろ、と小僧が言った時にはどうかとも思ったが…… 存外、『外がある』と知れば見に行かずにいられぬものらしい……」 アヴェンジャーは見た目の通り、枯れ果てた存在である。 どうやら反英雄として座に登録される時にその身に受けていた封印も再現されてしまったらしい。 ほとんど身動きすらままならぬ身体。けれど、全盛期の力を取り戻せばだれにも負けぬ剛力。 彼が選んだ戦術は、使い魔の派遣だった。 使い魔が魂喰いを行い、本体に魔力を送り、復活を早めるのだ。 「あと7日もあれば、我が力を取り戻せる……この調子で進められれば、おそらくは……」 「7日……ってことは、上の暦では4月2日頃か。悪くないね」 シャディクは不敵に微笑む。 彼自身も、アヴェンジャーも、ほとんど身動きが取れない立場だ。 遅々として進まぬ現状に焦りがないと言えば嘘になる。 けれど、今は待ちの状態だ。 例えば都心部で一般人相手に魂喰いを行わせれば、もっと早く事を進めることも出来るだろう。 しかしそれでは目立ってしまう。 初見殺しの瘴気で1騎や2騎のサーヴァントを狩れるとしても、おそらくはそこまで。 下手すれば魔力の気配を辿られて、アヴェンジャー本体が襲撃を受ける可能性すらある。 現時点ではそんな危険は冒せない、というのが、主従の一致した見解だった。 「そういえば、マスターよ……夢うつつの間に、面白いものを見たぞ……」 「面白いものって?」 「小僧の過去だ」 「ッ!!」 不意にアヴェンジャーに告げられて、シャディクの顔が強張る。 「多くは我にはよく分からなかったが……地を這う者と、空よりもさらに上に住まう者。その争いの記憶を見た」 「……アーシアンと、スペーシアンの争いだね」 「小僧も色々と画策したようだが……クフフフ。貴様も『魔王』になれば良かったのだ」 「そうだね、反省することしきりだよ。あの頃の俺は色々と甘かった」 青年は小さくうつむく。整った顔に陰が差す。 「それが、俺がここにいる、その理由だ」 青年は小さくつぶやいた。 ◆ どうせなら魔王になるべきだった。 おそらくはサーヴァントが言う通りなのだろう。 シャディク・ゼネリもまた、己のサーヴァントの過去を垣間見ている。夢と現実の狭間で覗き見ている。 力を求めた男だった。 他を圧倒するカリスマと武芸、体躯を持ってなお、卑怯な策略を厭わない男だった。 秘められた力を欲して偽りの忠誠を誓い、王家の懐に入り込み、策を重ねて、待望の力を手に入れていた。 ゾナウの秘宝、秘石。 いま、アヴェンジャーの額に輝く石である。 シャディクもまた同様に、なりふり構わず力を求めていたら、果たして得られていたのだろうか。 彼はできなかった。 彼にはとうとう捨てきれない甘さがあった。 だから敗れた。 破れて、彼は全ての罪をその身に背負った。 背負う必要のない罪まで引き受けた。 後を託した少女たちが、残された世界が、やりやすいように。 おそらくそのまま処刑されたのだろう。彼自身には死の間際の記憶はないが、そういうことなのだと信じている。 そして辿り着いたこの冥界。 シャディク・ゼネリには、今さら奇跡を使って叶えたい願いなど、ない。 必要なことは、きっと「彼女」たちがやってくれるはずだから。 そうと信じて、余計な重荷をこの身で全て引き受けたのだから。 だから―― シャディクがアヴェンジャーの野心、聖杯戦争の勝利に協力してみせているのも、偽りである。 シャディク・ゼネリは、本当は、聖杯戦争で勝ち残る気が、ない。 むしろ責任として……この危険なサーヴァントを処分しなければならないと思っている。 望んで結んだ契約ではなかったが、縁が結ばれてしまった以上、その程度の責任は背負わなければ。 どうせ失うものなどない身なのである。 とはいえ。 令呪を用いて命じても、自殺など到底させられる気がしない。 むしろ、そういった真の目論見が察知された瞬間に、シャディクはアヴェンジャーに捻り潰されるだろう。 殺されるくらいならまだいい、あの瘴気とやらを用いてシャディクの心身を支配してくる可能性すらあった。 それが分かっているから、アヴェンジャーに協力しているフリをしている。 正気を保って生かしておいた方が便利な協力者として振舞っている。 幸いなことに、現時点では察知されている気配はない…… あるいは最初から、アヴェンジャーは誰も信用していないのかもしれないけれど。 これほど危険な相手である、罪もない他の主従が巻き込まれるリスクはあり、実際に巻き込まれているようだが…… シャディクはその犠牲を致し方のないものと諦めている。 なるべく減らしたいと考え、結界の外に使い魔の派遣を提言したりもしたが、ゼロにはならない。仕方がない。 せめて自業自得な、危機感のない、愚かな主従だけが犠牲になるように考えて動いている。 最終的な狙いは、どこかの時点でのアヴェンジャーの自滅。 あるいは、何かしら危険な他のサーヴァントとの共倒れ。 シャディクは既にアヴェンジャーの宝具のひとつの存在を把握している。言葉巧みに聞き出している。 アヴェンジャーの理性や自我と引き換えに、膨大な力を獲得する最後の切り札――『黒龍転身』。 最悪、それを使わせることができれば、シャディクの「勝ち」だ。 仮に最後にアヴェンジャーが残ってしまったとしても、彼はその危険な願いを聖杯に託すことはない。 「魔王ガノンドロフ。厄介な相手だよ、まったく」 シャディク・ゼネリは闇の中で暗躍する。 うっかり引いてしまった貧乏籤、その魔王を冥界に留めるために、共に心中するために、今は策を巡らせ続ける。 【CLASS】 アベンジャー 【真名】 魔王ガノンドロフ@ゼルダの伝説 ティアーズ オブ キングダム 【ステータス】 (弱体時) 筋力 E 耐久 D 敏捷 D 魔力 A 幸運 D 宝具 A+ (回復時) 筋力 A 耐久 A 敏捷 A 魔力 A 幸運 D 宝具 A+ 【属性】 混沌・悪 【クラススキル】 復讐者:A+ 復讐者として、人の怨みと怨念を一身に集める者。 周囲から向けられる負の感情を己の力へと変える。 忘却補正:A 人は忘れる生き物だが、魔王は決して忘れない。 記録すら薄れつつある一万年を超える歴史の彼方から、魔王は何度でも復活する。 自己回復(魔力):B 復讐が果たされるまでその魔力は延々と湧き続ける。魔力を微量ながら毎ターン回復する。 ただし、この魔力を集めるだけでは、弱体状態からの回復は期待できない。時間が何年あっても足りはしない。 【保有スキル】 光の封印:A→C かつてハイラルの地下に封印されていた姿を再現する、拘束具であり負のスキル。 聖杯戦争に召喚された場合、彼は最初、移動もままならぬミイラのような姿で出現する。 後述する宝具を除けばのきなみ能力値が激減した状態であり、そのままでは他の主従の脅威たりえない。 回復後の状態になるためには、膨大な魔力を外部から取り込む必要がある。 ゆえに基本戦術としては、『瘴気の影』を各地にばらまき、魂喰いを行わせるのが序盤の基本となる。 召喚時にはAランクだったこの負のスキルは、ここまでの魂喰いでCランクにまで減少している。 これがEランクにまで下がった時、事実上、魔王は全盛期の姿を取り戻して自由を獲得する。 魔王のカリスマ:A 軍団の指揮能力、カリスマ性の高さを示す能力。 魔王ガノンドロフの場合、魔物の類に対して強く発揮される。 遭遇した魔物たちが特定の主を持っていない場合、ガノンドロフを認識した時点で、自動的にガノンドロフに従う。 後の後の先:B カウンターのスキル、および、敵のカウンターにさらにカウンターを重ねるスキル。 敵の攻撃を察知して、回避行動を取った上で反撃の攻撃を正確に叩き込むことができる。 さらに規格外なのは、相手もまたカウンター攻撃を試みた場合の挙動である。 魔王ガノンドロフは敵のカウンター攻撃に対して、さらなる回避とカウンターを試みることができる。 極限を越えて磨かれた武勇の極みの到達点のひとつ。 【宝具】 『闇の瘴気』 ランク:D-A+ 種別:対人~対国宝具 レンジ:1-1000 最大捕捉:10000人 魔王の身を包み、その足元から周囲に広がる攻防一体の闇のオーラ。 武器や防具に触れればそれを侵食し、身体に触れれば猛烈な猛毒としてその身を侵す。 人心を狂わせたり、機械仕掛けのガーディアンを乗っ取ったりと応用も多彩。 特に特筆すべき能力は「武器や防具の類を選択的に壊す」能力である。 最大の範囲に広げた場合、ランクはDランクに落ちるが、区ひとつを丸ごと飲み込み、より低位の神秘の武器防具を全て破壊する。 己の周囲に留めた場合、A+ランクに上昇し、Aランクまでの武器防具をほとんど1回使っただけで壊れるまでに劣化させる。 この場合、相手がサーヴァントの宝具であろうと侵してしまう。 後述する『瘴気の影』たちも、ランクC相当ながら、同様の瘴気を身にまとっている。 『瘴気の影』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1-50(設置位置から) 最大捕捉:50人 近づくものを自動的に攻撃し、襲い、魂食いを行って魔力を本体へと転送する使い魔を無数に設置する。 この使い魔は3つの段階を取る。 1: 待機状態。注意して見ないと分からない、地面の黒い染みのような状態で待機している。この状態では存在を察知することは困難。 2: 瘴気の腕。待機状態の瘴気溜まりから、手のひらの真ん中に赤い目のついた腕が5本伸びて標的に迫る。 敵を捕まえて地面に叩きつけたりして攻撃する。ほぼ同時に全ての腕を攻撃しない限り、いずれ回復してしまう。 3: ファントムガノン。瘴気の腕に一定の攻撃が加わった場合、いったん飛散した瘴気がまとまって、痩せた人型となって再出現する。 この人型のファントムガノンは、ほとんどの者からはシャドウサーヴァントと認識される。 セイバー(刀装備)、バーサーカー(鉄棒装備)、ランサー(槍装備)、アーチャー(弓装備)の4形態のいずれかを取る。 いずれもシャドウサーヴァントとしては規格外に強い。特に無名の主従であれば不覚を取ることも珍しくはない。 これら使い魔は、設置された位置からあまり遠くに離れることはできない。 また、ここ冥界における聖杯戦争においては、結界の外の廃墟の街においても、何故か冥界の拒絶を受けることがない。 文字通りシャドウサーヴァントのように存在を許されている。 一方で結界内の偽装された東京の内部に設置した場合、その無差別攻撃の性格から、どうしてもすぐに目立ってしまうことになる。 最大設置可能数は50体。うち登場話時点で30体程度を23区の外の廃墟にランダムに配置している。 『黒龍転身』 ランク:A 種別:対勇者宝具 レンジ:1 最大捕捉:自分1人 魔王ガノンドロフ最後の切り札にして、死んでも許せないような相手をそれでも討つための最終手段。 己の額にある秘石をもぎ取り、嚥下することによって、自我なき巨大な黒龍へと身を転じる。 この黒龍は最後にガノンドロフが敵意を向けた相手のみを覚えており、徹底的にその身をつけ狙う。 あまりにも巨大な巨体はそれだけで脅威であり、さらに巨大な瘴気の塊を際限なく射出してくる。 倒そうにも無闇やたらな攻撃は一切通じず、ただ特定の弱点をそうと見抜いて順番に破壊することでしか対抗できない。 同等以上の飛行能力がなければ、そもそも戦いにすらならない脅威となる。 黒龍は知恵も策謀も過去の自我も全て喪失しており、それはすなわち、仮に敵を倒しても聖杯に願いを捧げられないことを意味する。 そして魔王ガノンドロフは、この宝具を使えばそうなることを誰よりも深く理解している。 まさしく、己の勝利を捨ててでも許せない相手が出現した時のみに使える、最終手段である。 【weapon】 刀、鉄棒、槍、弓。瘴気。 【人物背景】 ハイラルの地を呪う魔王にして、ハイラル城地下深くに封印されていた存在。 【サーヴァントとしての願い】 再び地上へと帰り、今度こそ全てを支配する。 【マスターへの態度】 小賢しそうな小僧。 ただ、マスターの過去を垣間見て、全ては理解できずとも、夢破れた復讐者であることは理解し、かすかに共感している。 【マスター】 シャディク・ゼネリ@機動戦士ガンダム 水星の魔女 【マスターとしての願い】 いまさら奇跡に頼るような願いはない。 むしろこの最悪の魔王を責任もって処分しなければならないと心に決めている。 【能力・技能】 モビルスーツパイロットとしての高い技術 巨大な人型兵器であるモビルスーツの操縦において高い技術を有している。 彼の場合、個人の戦闘のみならず、集団戦の指揮にも長けている。 謀略や心理戦の高い能力 手ごわい親世代の大人たち相手にも一歩も引かぬ謀略を巡らせる能力がある。 【人物背景】 アド・ステラと呼ばれる未来。 巨大企業グループ「ベネリットグループ」の一角、グラスレー・ディフェンス・システムズのCEOの養子。 アスカティシア高等専門学校ではパイロット科の3年生であり、グラスレー寮の寮長でもある。 長い金髪と浅黒い肌を持つ色男。 アーシアンとスペーシアンの対立の続く世界で、両者の混血として生を受けた。 地球で抑圧されるアーシアンのために様々な陰謀を巡らせていた。 本編終了後、収監されていた所からの参戦。 冥界における役割(ロール)としては、指名手配中の犯罪者でありテロリスト。 そこそこの支援者を得ており、表通りは歩けない身だが、情報は手に入るしある程度の自由は効く。 配下としてグラスレー寮の仲間の少女たちを(NPCだが)従えている。 【方針】 アヴェンジャーに対しては慎重な作戦を提案しつつ、なるべく暴走を回避する。 犠牲者が出ることは覚悟しているが、どこかで他の厄介で邪悪なサーヴァントとぶつけて相打ちに持ち込みたい。 【サーヴァントへの態度】 表面上は復讐心への理解者として振る舞い、妨害の意思を隠して計画を進める。 実際、復讐心に同情する部分はあるが、何もかもを壊すのはシャディク・ゼネリの望む所ではない。