山崎今朝弥 (Kesaya Yamazaki) archive内検索 / 「「法治国」事件上告審判決」で検索した結果

検索 :
  • 「法治国」事件上告審判決
    「法治国」事件上告審判決 大正八年(れ)第二五五五号       判決書           <本籍・住所略>           弁護士長野国助 当三十四歳           <本籍・住所略>           雑誌記者 小松利兵衛 当三十二歳           <本籍・住所略>           著述業 荒畑勝三 当三十四歳  右新聞紙法違反被告事件ニ付大正八年十月十五日東京地方裁判所ニ於テ言渡シタル判決ニ対シ同裁判所検事正太田黒英記ハ上告ヲ為シタリ因テ判決スルコト左ノ如シ  原判決ヲ破毀ス  被告人国助ヲ発行人タル資格ニ於テ罰金三十円編集人タル資格ニ於テ罰金三十円ニ処ス  被告人利兵衛、勝三ヲ各罰金三十円ニ処ス  右罰金ヲ完納スルコト能ハサルトキハ国助ハ二十日間利兵衛、勝三ハ各十日間労役場ニ留置ス       理由  東京地方裁判所検事正大田黒英...
  • 「法治国」新聞紙法違反被告事件
    ...)に掲載されている(「法治国」事件上告審判決)。  以上については、長野国助「我が法廷の記(1)~(3)」『判例時報』(判例時報社、345、347、348号)、森長英三郎「「法治国」発禁事件」『史談裁判第三集』(日本評論社、1972年)96頁、「長野国助」伝刊行会編『長野国助』(1976年)87頁を参考にした。
  • 法治国秩序紊乱事件弁論要旨
    法治国秩序紊乱事件弁論要旨  本件記事は第一項乃至第七項に至る迄何れも秩序を紊乱する虞れある記事にあらざる事一点の疑なし従て被告は全部無罪ならざるべからず。  本件にして萬一有罪の判決を受けんか、弁護人は堅く信ずる所に従ひ本書末尾に参考として添付せる告発をなさんと欲す、希くは熟読玩味せられん事を。  大正八年一月卅一日    被告 長野国助、小松利兵衛、荒畑勝三               右三名弁護人弁護士 山崎今朝彌 東京区裁判所判事 石川音次 殿       告発状           東京市芝区新桜田町十九番地 平民法律所長弁護士           告発人 山崎今朝彌           雑誌太陽方           被告人 内田魯庵           被告人 与謝野晶子           雑誌中央公論方           法学博士兼被告人 福田...
  • 珍品事件上告状
    珍品事件上告状           被告人 広岡宇一郎           同 加藤高明           同 内田信也           弁護人 山崎今朝彌  右被告等に係る大正十年(珍)第五号事件に付き同年三月天庁に於て言渡され、同月廿八日発行の法律新聞第千八百十五号を以て公布ありたる、左記有罪の判決は全部不服に付き茲に上告申立候       原判決の表示       判決           代議士 広岡宇一郎           子爵 加藤高明           政商 内田信也  右大正十年人騒せ事件に付天庁に於て判決すること左の如し  一 被告宇一郎を叱り置く  一 被告加藤高明は自今不高明と名乗る可し  一 被告内田信也は自今不信也と名乗る可し       理由  一、被告広岡宇一郎は代議士の職に在り、政友会幹事長の重責を負ひながら、加藤高...
  • 勿驚噫大審院の妙判決
    勿驚噫大審院の妙判決  大審院が大正六年(オ)第三六八号事件に於て五月二十九日言渡され本日下附されたる謄本の判決要旨に曰く、然れども株式の申込は株式申込証に依り之を為す事を要件とし又株式申込証には真正なる定款作成の年月日を記載する事を要件とすること商法第一二六条の規定に依り明白なり。故に株式申込証に斯る年月日の記載を欠くときは株式申込の無効なること言を俟たず而して本件に在りては被上告人が本件株式の申込を為すに当り其用に供したる株式申込証には上告会社定款作成の年月日として大正二年三月一日の記載あること及び該定款が同年三月一日に完成せざりしことは原判決の確定したる事実なり由是観之被上告人が本件株式申込の用に供したる株式申込証は法定要件を備へざるを以て該株式申込は無効に帰するものと云ふべし。然らば本訴の株金払込の請求は失当にして原判決に所論の違法あるも之を以て原判決を破毀するに足らず。と。 ...
  • Menu
    【Menu】 Top page 【Archive】 1. Books (1) 『粗食養生論』(Soshoku youjou ron / Regimen of lean diet;隆文館 1907年) 国立国会図書館の近代デジタルライブラリーにて本文公開中。「粗食養生論」で検索すると出ます。 (2) 『弁護士大安売』(Bengoshi ooyasuuri / Attorney s fee is under discount;聚英閣 1921年) 2.00・凡例 2.01・表紙 2.02・序文 2.03・自伝 2.04・第一編 2.05・第二編 2.06・第三編 2.07・第四編 2.08・第五編 2.09・第六編 2.10・第七編 2.11・奥付 国立国会図書館の近代デジタルライブラリーにて本文公開中。「弁護士大安売」で検索すると出ます。 (3) 『山崎伯爵創作集』(Ya...
  • 3.24・期日進行再度上申書・懲戒裁判所の判決(第一審東京控訴院)
    期日進行再度上申書 大正十一年(よ)第壱号事件に付左に上申候。       要領  口頭弁論期日一日も早く御指定相成度候。尤も期日と通知との間は極めて短く願上候。明日の期日が今日の通知にても差支無之候。判決言渡は即日に願度、送達一切は電話により当方より書記課へ出頭請取候て差支無之候。  右希望申上候。       理由  実の処小生は本件を拾ひ物の様に考へ居り、こんな事で人に厄介をかけてはと、凡て消極的に謹慎仕り候処、友人は色々と心配して呉れ、会ふ毎に結果や成行を聞かれ又は意見を提出され、其親切に困り居り候。之れを無視し何時迄もだまし通すは何だか悪い様な気持が致し候。と申して一々正直に報告するも何んだか同情に甘へる様にも見え、之れも厭に候。依て小生は二三日又は五六日病気して、此間に疾風迅雷的に、判決言渡より控訴申立迄済まし、然る後一々報告かたがた控訴審の弁護を依頼し度と考へ居り...
  • 2.06・第三編
    第三編 珍品事件上告状 平民大学令・平民大学令詳解 当所旗印 民主々義と自由主義 敢て天下憂国の士に訴ふ 版権所有新年の辞 題なし 聖女光子と決死隊 神様と私 ホン乃木家とウソ乃木家・牧野所長答弁書 法学博士学位請求論文 寄せ鍋 君と僕<著作権の観点から公開しない。> 刑法俗論 野口は中馬鹿尾越は小馬鹿<名誉毀損のおそれがあるので公開しない。> 被告欧打事件<一部仮名> 川手君の発憤 新米弁護士の失敗 忌避申請の決定 人智の発達に伴ふ法律解釈方の進化に就て 私立大日本政府 私は既に滅亡したる大日本帝国とは更に関係がない 広告記事の取消文・右の記事法律講義 年頭の感想(大正八年) 広告勧誘文・端書の書方 英文
  • 東京控訴院による懲戒判決(6月12日付)
          判決           東京市芝区新桜田町十九番地平民           東京地方裁判所々属弁護士           山崎今朝彌           明治十年九月生  右に対する懲戒事件に付検事三浦栄五郎関与の上審判する如左       主文  被告今朝彌を停職四月に処す       理由  被告今朝彌は東京地方裁判所々属弁護士にして其業務に従事中曩に第二審として広島地方裁判所に繋属したる新聞紙法違反被告事件に付判決を以て有罪の言渡を受たる被告人小川孫六同悦太の選任に因り同被告事件の上告審に於ける弁護人と為り大正十一年二月廿日上告趣意書を大審院に提出したる所其の論旨中第一点前段に於て「広島地方裁判所が前記被告人等に対し有罪と認定したる新聞紙の記事は文詞用語頗る冷静平凡奇矯に失せず激越に渉らず十数年来萬人の文章演説に上り都鄙各所に行はれたる常套の論議なれば...
  • 3.20・懲戒裁判開始決定
    懲戒裁判開始決定           東京市芝区新桜田町十九番地           平民           東京地方裁判所所属弁護士           山崎今朝彌           明治十年九月生  右に対し当院検事長豊島直通より懲戒裁判開始の申立ありたるを以て当裁判所は左の如く決定す       主文  弁護士山崎今朝彌に対し懲戒裁判を開始す       理由  被告山崎今朝彌は、東京地方裁判所所属弁護士にして其業務に従事中曩きに広島地方裁判所に於いて新聞紙法違反事件に付、有罪の第二審判決を受けたる被告人小川孫六同丹悦太の選任に因り該事件に於ける上告審の弁護人と為り、大正十一年二月二十日上告趣意書を大審院に提出したるが、其論旨第一点前段に於て「第二審裁判所の有罪と認定したる事実に係る新聞紙の記事は文詞用語頗る冷静平凡奇矯に失せず激越に渉らず、十数年来萬人の文章...
  • 施政方針を論じて上告の破毀に及ぶ
    施政方針を論じて上告の破毀に及ぶ           山崎今朝彌 ■乾坤一新仕り候へ共当部は相変らず呉下の阿蒙共にてやり居り申候、併し乍ら去り乍ら調査員も皆十数年間斯業の経験者にして剰へ連合諸強国連帯責任の協同の応援も有之候へば其点に関しては毫末も遺憾なき事を期し申候。 ■小生も昨年十一月以来「ツンボ」と共に当部主任より其専任と躍進、趣味と熱心と希望と野心とを以て頗る奮闘仕り本年コソは諸君に目に物見せ呉れんと覚悟致し候に付き東京上告専門処以来の交誼に免じ盛に御試験の程願上候。 ■新年早々には御座候へ共、最近二年間に於ける刑事上告破毀判決の理由を左の如く分類したるもの、訴訟参考にもと御目に懸け申候。  (一) 起訴の適否及審理の範囲に関する事項  イ 起訴なき事実に付審理判決す  ロ 起訴の範囲内に属する事実を範囲外と認め公訴不受理の判決を為す  ハ 予審請求書の作成場所を適...
  • 新米弁護士の失敗
    新米弁護士の失敗  早速此手紙を持て卜部弁護士に其新米さんは誰かと訪ねると、当時の音羽耕逸君と判かる。依て作間弁護士に事実かと聞けば事件は違ふが、失敗は事実だ、今でこそ昔話しの失敗談で笑ふが、当時は厳然たる大真面目で脇の下から汗が出た、流石は先輩たる卜部弁護士の智慧で丁度本人が出廷して居たを幸ひ、辞任の上更に補佐人となり、漸く義務だけは果して来たと白状した。処が今は時めく東京市会議員の作間君には、音羽君時代の新米期にヨリ以上の失敗談がある。  流石は高木事務所のお仕込、第一に刑事上告審で鍛へ上げた音羽君、初めて民事上告審の法廷に立つた。上告状及上告理由第三点迄は地方弁護士が既に上告代理人として提出してある、音羽君は第四点より第八点迄の上告理由を追加した。呼上る、陳述が初まる、音羽君グツと反つて、第四点と遣り出すと裁判長『一寸と、一定の申立は』サー音羽君判らない、今迄の上告には無かつた事...
  • 山崎の忌避申請書(5月1日付)
          忌避の申請          申請人(被告弁護士) 山崎今朝彌          被申請人(裁判長判事) 牧野菊之助          同(判事) 西郷 陽          同(判事) 遠藤武治  右当事者間の東京控訴院に於ける懲戒裁判所大正十一年(よ)第一号弁護士懲戒被告事件に付申請人は弁護士法第三十四条判事懲戒法第十一条刑事訴訟法第四十一条第四十二条民事訴訟法第三十五条第三十六条に依り左の申請を為す       主文  被申請人を忌避す       理由  被申請人は東京控訴院に於ける懲戒裁判所の判事にして其の職務に従事中曩に大正十一年四月十九日申請人に対し懲戒裁判を開始すべきや否やを決定するに当り弁護士法第三十四条判事懲戒法第十七条に基き其決定書主文に於て「弁護士山崎今朝彌に対し懲戒裁判を開始す」と決定し其理由に於て『被告山崎今朝彌は東京地方裁判所々属...
  • 法廷不起立問題の研究
    法廷不起立問題の研究 大正九年(れ)二三五〇号 住谷操次郎上告趣意書       一、本件の事実  原判決は不法に上告人の弁護権を侵害略奪し、其弁論を聴くことなく為されたる違法の裁判なり。原審第二回公判始末書に依れば、裁判長宇野要三郎は上告人に対し検事瀧川秀雄の論告を起立聴取すへき旨諭告したるも、上告人は検事の論告に対しては起立聴取すへき義務なしと述へ起立せさりし故、裁判長は上告人か起立して論告を謹聴するにあらされは法廷の秩序は維持せされさるものと認め、再び上告人に起立を命し上告人の之に応せさるや遂に裁判所構成法第百九条の規定により上告人に退廷を命し、刑事訴訟法第百八十二条に基き対席として審理し、上告人に所謂最後の供述を為さしむる機会即ち弁護権を行使して弁論弁解を為すの機会を与へさりしものなり。  抑々刑事訴訟に在つては検事は弾劾し、被告は弁解し、判事は双方の申分を聴きて之を裁断...
  • 近世判決見本
    近世判決見本           弁護士山崎今朝彌評釈 大正四年れ第一六六七号       判決書           東京都芝区三田四国町二番地医師           奥山伸           当四十三年  右痘病及血清、其他細菌学的予防治療品製造取締規則違反被告事件に付、大正四年五月六日東京地方裁判所に於て、言渡したる判決に対し被告及弁護人は上告を為したり、因て判決する左の如し  本件上告は之を棄却す       理由 [上告趣意書第一点]  原判決は被告を警視総監の許可を受けず、細菌学的予防治療品の一種なる「チブス」予防液を製造して、販売したる者とし、内務省令細菌学的予防治療品製造取締規則第四条を適用罰金拾円に処し、其証拠として原審に於ける被告の「私の製造したる本件予防液は、一合乃至七合入七百十壜乃至千四百壜なる旨」の供述を採用せり、右被告の供述せる所のもの...
  • 風俗壊乱の程度
    風俗壊乱の程度       三部(れ)六〇五、言渡四月二〇日  過日徳島毎日新聞で、外国行汽船内の淫売婦の有様を左の如く書いた。『彼女等は大抵一等旅客として乗込むのであるが母国の土地が微かになる頃から甲板に出て少し鼻毛の長い男と見ると直ぐ近付いて馴々しく話しを初める而して大概は内鍵のある船室に相伴つて入るさうだ。斯麼時の女の要求は、米国通ひは一斤四十円乃至百円位、南洋通は七八十円から百六十円位、一番安いのは一泊の上海行が一斤二三十円だと云ふ。一斤とは八時間が単位で中には三人位で一斤を分ける客もある。又南米辺に行くと一匁百五十円になる。一匁は一人一時間の謂で、下級労働者は一匁を二三人で分けると云ふ内制度が行はれて居る。』徳島区及地方裁判所は此記事を風俗壊乱として処罰したが上告審では此記事は『其分詞平淡にして別に淫靡卑猥の文句を用ひたるにあらざれば未だ以て読者をして羞恥厭悪の念を惹起せしむ...
  • 2.07・第四編
    第四編 北里博士告発状 高尾平兵衛保釈願 禁止公判傍聴許可願 大杉事件の書式文例(尾行事件の保釈願・正力事件の告訴状・名誉回復訴状・訴訟取下書) 名誉回復請求の訴 平民大学圧迫事件(訴状(1)・準備書面・訴状(2))<一部仮名・仮地名> 警官強盗事件 立小便事件(言渡書・説諭願) 日比谷警察人権蹂躙告訴状 エロセンコ事件の建白書 判事懲戒の意見書 廃嫡訴状<一部仮名> 福田狂二対大島主事の告訴状 日米交渉不敬犯保釈願<一部仮名> 第三種郵便物認可申請 法治国秩序紊乱事件弁論要旨 [某所]富豪の轢逃訴訟<一部仮名・仮地名> 密告書 告訴取下書<一部仮名> 間諜謀殺未遂現行犯の告訴<一部仮名>
  • 日本一の判決要旨
    日本一の判決要旨  今迄、事務所で受けた裁判、として事務所で取扱ふた事件の、大審院判例要旨を出した処、以外の好評で、遠近の各法律事務所から、其事件の内容、事実、法律関係等を問合せられた、然るに私の方では、余り、此判例に重きを置かず、只埋草に書いて居たのみ故、事実の関係、事件の番号を忘却し、御問合せの各位に対し、充分の返答が出来ず、誠に恐縮した、依て今後は、篤学なる諸君に、充分満足を与へる事を期すると同時に、私も一奮発して、判決要旨は、東京法律に限ると云ふ定評を□ち得る様に精出す、数紙、発行度数、発行期日の工合で、全部とか迅速とか細大洩さずとか云ふ訳には到底行かぬが、自分で取扱ふた専門事件を、自分で、抜き書し、これで、日本一が出来なければ、世話はない、素人も玄人も均一に注読を乞ふ、偶々種明しも致します。  尚掲載の事件に付き御問合せの時は、成るべく、受何号と事務所番号を呼んで下さい。 ...
  • 3. Memorandum
    【山崎の論文等備忘録】  この項では、未入力の山崎の論文等を記録しておくこととする。 山田富太郎著『文官高等判事検事登用弁護士試驗及第者答案集』(博文館・1902年)に収録(未確認)・・・国立国会図書館が運営する国立国会図書館サーチで「山崎今朝弥」で検索すると、本書がヒットする(ただし、館内限定公開)。同サーチの詳細情報によると、本書には山崎の「判検事登用試験」の再現答案(筆記試験:憲法、行政法、商法、民法、民事訴訟法、刑事訴訟法、国際私法)、「弁護士試験」の再現答案(筆記試験:憲法、行政法、民法、民事訴訟法、商法、刑法、刑事訴訟法、国際公法、国際私法)が掲載されているようである。これらは山崎の最初期の公刊文である(なお、山崎による最古の公刊文は、学生時代に雑誌『筆戦場』の「論説と陣幕」欄に掲載された(号数等不明)「節倹と吝嗇」なる投稿文と思われる(森長英三郎著『山崎今朝弥』(紀伊...
  • 山崎の弁護士懲戒事件
    山崎の弁護士懲戒事件  山崎は、懲戒事件を起こしている。その詳細は、山崎今朝弥著、森長英三郎編『地震・憲兵・火事・巡査』(岩波文庫、1982年。原著『地震憲兵火事巡査』(解放社、1924年))で山崎自らが語っているとおりである。  すなわち、広島県呉市の地方新聞『民権新聞』大正10年7月25日号に掲載された丹悦太の「自由? 死?」と題する記事が新聞紙法41条(安寧秩序紊乱)に触れるとして丹及び発行者兼編輯人小川孫六につき第一審、控訴審で有罪とされた新聞法違反上告事件について、山崎が提出した上告趣意書が「甚しく不謹慎なる言辞を弄したるものと謂はざるを得ず其行為は弁護士の体面を汚すべきものにして東京弁護士会会則第39条に該当する」として、大正11年6月12日東京控訴院において停職4月の懲戒判決を受けた事件がこれである(当時は弁護士自治は認められておらず、弁護士に対する懲戒は、弁護士会長の申...
  • 事実認定権
    事実認定権  ○事実の認定が不当だと思ふ原審判決は中々多いが、上告理由になる不当認定は至つて少ない。今年は『不当に事実を確定したるものなり』との熱心の上告理由で『原審認定の事実を批難攻撃するに過ぎず』との均一棄却に遭遇したものが随分あったが、心から腹の立つたものは上段の判決さに破毀になれば民事には今迄一つもなかつた。併し刑事には一つある、事実は斯うだ。  青森県の某村青年三名が祭りに来た娘を神社境外に連出して姦淫し元の処へ連戻した、之を見た他の三人の青年も其娘を再び連出して姦淫し、娘を置いて帰ると、之れを見た又他の三人の青年が更に之れを姦淫した。程経て其娘が帰りかけると一人の青年が来て再び元の処へ連れ帰り姦淫した数日後局部が痛むので医師に診て貰ふと傷があり、娘は十人に強姦されたと主張し、医師は其傷は強姦の結果ならんと鑑定した。告訴となり、予審となり、第一審は十人中の何人かが傷を成さしめ...
  • 3.17・我輩の問題
    我輩の問題       一、『小僧判事』の陰口  で忽ち天下の同情を一身に蒐めた、弁護士高木益太郎氏の法律新聞第千九百五十五号(三月十八日発行)に『山崎弁護士の奇異な上告趣意』と云ふ題で、又仲間が一人増へたそうな左の記事が出た。  米国伯爵、法学博士、医学博士、哲学博士、平民大学総長、其他色々の肩書を有する、奇人弁護士山崎今朝彌氏は今回「民権新聞」に対する新聞紙法違反事件に付きて、刑事上告趣意書を大審院刑事第一部横田裁判長に差出し、藤波判事主任となり、目下取調中なるが其趣意書中の一節に曰く  若し之をしも強いて安寧秩序を破壊するものなりとせば、日毎日常の新聞雑誌は悉く秩序紊乱となり、之を不問に付する全国の司法官は、原審判事山浦武四郎殿、江木清平殿、西豊芳二郎殿三名を除く外皆偉大なる低能児の化石なりと云はざるを得ず、天下断じて豈に斯くの如き理あらんや云云、原裁判は真に呆きれて物が言へ...
  • 寄せ鍋
    寄せ鍋  『法治国』から壱千萬円呉れたら何うすると云ふて来たから、ホントに呉れたら、先づ第一に日本国中の新聞紙へ借金倍返しの全面広告を出し、次にスミス飛行大会を安会費で催し、東京市中へ広告ビラをまく、ソレデ残金あれば『平民法律』の発行所を市外へ移さずに保証金を積む、其余は電話と時計を一時に買込む、残金は確い銀行へ預けて小切手が振出せる契約をして見度い、ソレデモ尚残金があるものなら余り損になら無い程度で日本政府をジラしたり世間を騒がして見度い、尤も残金が何十萬何百萬とあるものなら、物価騰貴の今日故一人頭千円と見て国会議員二百人を買収し帝国議会を左右して見る、議会が解散になれば又買収する、又解散になれば又又買収する。と云ふ返事をした。  明治四十二三四年頃東京弁護士会の両派が例の役員競争で鎬を削つてる真最中、花井弁護士を会長に松田(源治)弁護士を副に其他夫々評議員を候補に推薦して、コトシヤ...
  • 新年に際して大審院の御大典判決を評す
    新年に際して大審院の御大典判決を評す           山崎今朝彌       第一点  大審院第三民事部は大正三年(オ)第七八五号物品返還請求事件に付  甲第六号証は鑑定書と題し本訴提起後係争獺皮の価格を証明する為め一私人の作成したる書面に過ぎざれば相手方に於て之を否認する以上は何等の証拠力を有するものにあらず、然るに原審が、同証に対し上告人は不知の陳述を為すに拘はらず、之を採用して本件係争の獺皮一枚の代価合計二五九円なることを確定したるは採証の法則に違背したる不法あるものにして破毀を免れず。と判示せり。  雖然当所より提出せる答弁書には  本件甲第六号証は記録第七五丁初行以下に「控訴人(上告人)は甲第一号証乃至第六号証は各其成立を認む」とある如く其成立に就ては原審に於て当事者間に争なかりしものなれば原裁判所が之を採て以て事実を判断したるは不法にあらず。 ...
  • 事務所で受けた裁判の要旨
    事務所で受けた裁判の要旨           山崎今朝彌 当所五(上)八七 大審五(れ)一一八三 刑二 言渡六、二二 [事実]  書記が月を一月間違へたるらしき事件 [理由]  原判決の採用したる三代川長吉の予審調書は起訴の日たる大正四、七、一九前なる同七、六に作製せられたるものなれば之を断罪の資に供したる原判決は破毀を免れず [判決]  案ずるに現行犯の場合を除くの外予審判事は検事の請求あるに非ざれば予審に取掛ることを得ず、訴訟記録に依れば検事の非現行犯なる本件に付大正四、七、一九、予審を求めたること明なるに証人三代川長吉予審調書を見るに前後に存する各予審調書と同じく其冒頭に大正四、七、六・・・訊問を為すこと左の如しと掲げ且其末尾に作成の日として大正四、七、六と記載しあるのみならず、訴訟記録中一も右予審調書が検事の予審請求後の訊問作成に係るものなることを証するに足る...
  • 上告革命案
    上告革命案           主任 山崎今朝彌 月別  破毀 棄却 取下 被上告    受理 五 民 -六 -六 -三 カチ二マケ一 -九   刑 -八 一二 -四 ------ -- 六 民 -七 一二 -五 カチ四マケ一 -三   刑 -四 二〇 -二 ------ -- 七 民 -二 二一 -三 ----勝五 -五   刑 -二 二〇 -六 ------ -- 八 民 -〇 -九 -一 -----〇 -〇   刑 -〇 -六 -一 ------ -- 九 民 -四 一八 -六 ----勝一 -六   刑 -三 一〇 -〇 ------ --  右成績表元来なら前号又は前々号にて発表致すべきの処五月が余り成績良かりし故態と遠慮致し七月を待ち八月を待ちたるに七月八月は海内無双の不成績にて発表が厭に相成り今後は絶対に成績は発表せぬ事と...
  • 事務所で受けた裁判(5)
    事務所で受けた裁判(5)           山崎今朝彌    適用法条を明示せざるも其法条を適用したる事明白なるときは擬律の錯誤にあらず  原判決は「各被告の所為は選挙法八七条一項一号に該当し被告利吉の所為に付ては刑法五五条を適用し禁錮一月に処す」とあるも刑施法一九条二項を適用し選挙法八七条一項処定の軽禁錮を刑法の刑に変更し禁錮を言渡したること明白なれば其適用法条を明示せざるも違法にあらず(大刑一)    犯罪の成立に影響なき事項及び犯罪に重要なる事実  郵便物の発送店及宛名店の場所町名の如きは犯罪の成立に影響なき事項なれば原審公判始末書中右場所町名を被告が供述したる事を見るべき記載なきに拘らず原判決が其判示事実と同趣旨の供述を為したる旨説示したりと雖も之を以て原判決破毀の瑕疵と為らず然れ共本件鉄道貨物引換証に於ける生糸莚包二個の価格が八五〇円なる事は横領行為に関す...
  • 3.23・忌避の申請・忌避申請の決定・上申書・山崎氏の忌避申請却下されて抗告・大審院の決定書(大正十一年(な)第二号)
    忌避の申請           申請人(被告弁護士) 山崎今朝彌           被申請人(裁判長判事) 牧野菊之助           同判事 西郷陽           同判事 遠藤武治  右当事者間の東京控訴院に於ける懲戒裁判所大正十一年(よ)第一号弁護士懲戒被告事件に付き、申請人は弁護士法第三十四条判事懲戒法第十一条刑事訴訟法第四十一条第四十二条民事訴訟法第三十五条第三十六条に依り左の申請を為す       主文  被申請人を忌避す       理由  被申請人は東京控訴院に於ける懲戒裁判所の本件係判事にして其職務に従事中、曩きに大正十一年四月十九日申請人に対し懲戒裁判を開始すへきや否やを決定するに当り、弁護士法第三十四条判事懲戒法第十七条に基き其決定書主文に於て「弁護士山崎今朝彌に対し懲戒裁判を開始す」と決定し、其理由に於て『被告山崎今朝彌は東京地方裁判所所...
  • 上告部より一筆
    上告部より一筆            山崎今朝彌 月別  棄却 破毀 取下 被上告 受理 一 民 一二 -二 -一 --〇 -四   刑 -〇 -三 -〇 --〇 -- 二 民 一五 -三 -二 棄却二 -九   刑 二四 -六 -二 棄却一 -- 三 民 一二 -二 -一 棄却二 一二   刑 一八 -九 -三 --〇 -- 四 民 -六 -四 -三 破毀一 -四   刑 一八 -六 -三 --〇 --  本年一月より四月迄の上告部言渡統計右の通りに有之候、棄却沢山には候へどコレで中々頗るの自慢に御座候、尤も自慢でもなければ矢鱈に発表致し不申候、表中刑事の被上告は私訴に限り受理は民事に限る事、先刻御承知の通りに御座候。  民事上告が受理となっても結局は棄却となる事多きは抑々元来なれど我上告部に於ては天地開闢以来未だ曽て被上告側にて破毀の言渡を受けたる事一回も無之勝...
  • 上告部通信
    上告部通信  私は漸く此頃、或る上告理由は決して逃がす事の出来ぬ理由を体得し、之を高言する事を憚らぬ確信を得るに至り、実に愉快に堪へ不申候、初めは例の通り学説の暗記、判例の引合、記録の棒引等遣り申候、併し此定跡の損害は、試験問題に出ぬ処を勉強し、受任にならぬ事件の研究をした損位の損害にて敢て後悔は仕らず候。  斯く申上候迚決して慢心は仕らず、仕れず、破毀か棄却か判らぬ事沢山有之、破毀になると申しても随分棄却になり、棄却になると申したのが却て破毀となる場合あり、時々廃業し度くなる事も間々有之候、只提出すべき筈の理由は遺憾なく之を提出し又之れのみ心懸け居り候、該博深遠の法理を論じ糞を千載に垂るる如きは別に其人あり、吾人凡人の到底企及し得べき事に無之候。 <山崎今朝弥著、弁護士大安売に収録>
  • 事務所で受けた裁判(2)
    事務所で受けた裁判(2)  一、玉石同架次第不同大小取交の事  一、但素人にも玄人にも良く利く事           山崎今朝彌 集 ○十五才未満の養子の実親は自分の名で離縁の訴訟が出来る           東地、民、一  民法八百六十七条には養子が十五歳未満なる時は其実親より離縁の訴を起す事を得とあり他の似た場合の法文の如く法定代理人はとか代はりて起す事を得とか書いて無い、故に養子の実親自ら原告となり、原告の子何某と養親某とを離縁す、との判決を求むる事が出来る。  富山地方裁判所では最近之れと反対に右様の原告の訴を却下して原告名義は養子自身でなければならぬと判決したが田舎の方が違ふてると思ふ。 ○賭博常習者とお負け           大、刑、三  賭博常習者が月日を異にして、数十回賭博を為したる時と雖も之を包括的に観察して一罪と為すべきものなれば常習者...
  • 3.19・判決(大正十一年(れ)九九号)・劃時代的の判決
    判決(大正十一年(れ)九九号)           小川孫六           丹悦太  右新聞紙法違反事件に付、大正十年十二月二十六日広島地方裁判所に於て言渡したる判決に対し、各被告は上告を為したり。因て判決すること左の如し。       主文  原判決を破毀す  被告孫六、悦太は無罪  押収物件は差出人に還付す       理由  各被告弁護人山崎今朝彌上告趣意書に縷々陳述する所あれ共、要するに第一、原判決が安寧秩序紊乱として判示したる被告等署名発行の本件記事は「自由? 死?」と題し、第一段に現代社会の幸福は所謂「ブルジヨアジー」のみ享くる所にして無産者は毫も顧みられざる事を論じ、其例として言論の自由は憲法に於ては保障せらるる所なるも、事実に於ては保証金なき「プロレタリア」は一新聞をも発行するを得ざる事を挙げ、第二段は社会運動が常に不法の圧迫干渉を受くる事、総ての法...
  • 特別上告部と外人課
    特別上告部と外人課 第一章 特別上告           山崎今朝彌 月別  破毀 棄却 取下 被上告    受理 十 民 -三 一八 -三 ----勝二 -四   刑 一二 二二 -五 ------ -- 十一民 -二 一五 -〇 カチ四マケ三 -五   刑 -四 一五 一五 ------ -- 十二民 -二 二九 -三 カチ八マケ四 -四   刑 -三 一八 -三 ------ -- ■御覧の如く年末には掉尾の一振せざる事頻りなりしも昨年一年を通じての成績は左の如くに有之候 区別  破毀 棄却  取下 被上告    受理 民事  三七 一七一 三一 勝三一負一〇 六五 刑事  四八 一八三 四四 ------ -- 右特別上告と申候ても実は法律課の上告も同居致し居り特別上告中には他事務所名義にて提出する分も包含され居り候事勿論...
  • 我輩の懲戒問題
    我輩の懲戒問題          山崎今朝彌    一、『小僧判事』の蔭口  で忽ち天下の同情を十身に蒐めた弁護士高木益太郎氏の法律新聞第千九百五十五号(三月十八日発行)に「山崎弁護士の奇異な上告趣意」と云ふ題で、又仲間が一人増へたそうな。  米国伯爵、法学博士、医学博士、哲学博士、平民大学総長、其他色々の肩書を有する奇人弁護士山崎今朝彌氏は今回「民権新聞」に対する新聞紙法違反事件に付きて刑事上告趣意書を大審院刑事第一部横田裁判長に差出し、藤波判事主任となり、目下取調中なるが其趣意書中の一節に曰く  若し之をして強いて安寧秩序を破壊するものなりとせば日毎日常の新聞雑誌は悉く秩序紊乱となり之を不問に付する全国の司法官は原審判事山浦武四郎殿、江木清平殿、西豊芳二郎殿三名を除く外皆偉大なる低能児の化石なりと云はざるを得ず、天下断じて豈に斯くの如き理あらんや云云、原裁判は真に呆きれて物が...
  • 書式文例(二)
    書式文例(二) 上告内規           山崎今朝彌       第一 総規  一本規ハ其適用ノ必要ナキトキハ適用セズ  二何人ト雖モ本規ニ定メナキ理由ヲ以テ臨機応変ノ処置ヲ為サザル責任ヲ免ルルコトヲ得ズ  三本規ハ総テ必ズ直チニ之レヲ為ス可キモノトス       第二 受任  一受任者ハ受任ノ際委任状、弁護士選任届、契約書其他必要書類ト共ニ手数料ヲ受取ル  二委任状、弁護士選任届、契約書ノ書式左ノ如シ ~~~~~~       委任状  大正何年(オ)第何号私対何某間ノ上告事件ニ付左記弁護士ニ民事訴訟法第六十五条第一項第二項ノ訴訟行為代理ヲ委任ス  大正何年何月何日    何某 濱口喜一、上村進、吉田三市郎、田阪貞雄、山崎今朝彌、阿保浅次郎、佐々木藤市郎 ~~~~~~       弁護士選任届  大正何年(れ)第何号私関係ノ上告事件ニ左記承諾捺印ノ弁...
  • 上告専門所略則・改正広告(但元通)
    上告専門所略則 大正五年一月発布 ------ 東京市芝区新桜田町十九番地 上告専門所 専用電新橋一九一一番 振替東京二八一七二番 所長 上告専門弁護士 山崎今朝彌 ------ 略則  山崎今朝彌発明に係る独特の方法に基き、山崎今朝彌自ら専心専意上告事件の調査を為す。  上告事件の外『事件』の調査又は鑑定を引受く。  総て受任の即日又は翌日調査に着手、直ちに其結果を報告す。  (一)簡易、軽微の事件は手数料廿円(二)普通事件は手数料三十円成功謝金五十円(三)重大又は困難の事件は手数料及び成功謝金各五十円以上百円以下を申受く。但し事情を斟酌して(一)普通事件は手数料、成功謝金各廿円迄(二)重大又は困難の事件は手数料、成功謝金各三十円迄減額することを得  上告鑑定料を金十円以上三十円以下『事件』の調査又は鑑定料を金廿円以上五十円以下と定め、先づ之れを申受く。 改正...
  • 上申書(一)~(三)
    上申書(一)           東京市芝区新桜田町十九番地 弁護士           上申人 山崎今朝彌       上申の趣旨  上申人申請非常上告職権開始事件に関し相当の援助を乞ふ       上申の理由  貴殿御干与の『労働新聞』『青服』『民衆の芸術』に対する新聞紙法違反被告事件は、曩きに東京区裁判所に於て貴殿御論告通り何れも新聞紙法違反として夫々の刑を科せられ候処、右中『民衆の芸術』の判決に対し被告の一人より控訴の結果東京地方裁判所は、『内務省に於て出版法に依り出版する雑誌として取扱はれたるものは、偶々其記事が出版法第二条の範囲外に渉るも直ちに之を以て新聞紙なりと認めて新聞紙法を適用すべきものにあらず』との理由を以て無罪を言渡し其判決は確定仕り候右判決の擬律が正当なりとせば『裁判所は内務省の取扱如何に係はらず其雑誌が新聞紙法に依り出版すべきものなりと認むるときは偶々...
  • 司法大臣に奉るの書
    公開状 司法大臣に奉るの書           山崎今朝彌 司法大臣閣下 茲に謹で一書を貴下に呈します。常に特に此際は一層多忙でせうが、是非此書は御一読下さい。貴下が之を読で下さると否とは、直に人命に関し必ず天下の事に関することであります。  私が貴下に呈する此書は、眇たる天下の一小問題、労働者虐殺に関する問題、即ち所謂亀戸惨殺事件に関して、司法権の活動を望むに過ぎないのであります。が、其延て波及し影響する処は断じて軽視すべきでなく、可成重大で、必ず後悔自責、遂に自決せざるを得ざるに至るかも知れず、私一個としても、貴下が之を読まない、聴かない、納得さしてくれない、となれば、茲に忽ち人間が一変し、性質と信念とが瀕変する底のものであります。  熟読を乞ふ前に、私は、私が常に貴下を尊敬して居る事を一言します。之れは貴下が私を誤解することなく、よく之を聴いて貰ふ為に、強ち無用の業ではあり...
  • 3.18・問題となるまで
    問題となるまで  コレも又少々ウソがある。ウソのない処にはホラがある。さて話しは抑々初めからする。  僕が此事件を大審院閲覧室で調べた日はイツであつたか覚へがないが、調べるとすぐ判決の間違つてる事が解つた。腹の立つ程でもなかつたが、田舎の判事の判らないには呆れた位には思つた。一体判決に本気に憤慨するなどは、滅多にはない事だ。僕だつて、自分で取扱つた事件で、噛んでふくめる様に、云つてきかせたのが、余り無茶な事になつた、と云ふような場合でなければ、本気に腹は立つまいと思ふ。然るに此判決は、ドコの何判事が下したものかさへも今は忘れて了つてる位無関係のもので、又其の内容にしても、此判決に対する大審院の判例があつた前は、東京辺の判事だつて、此位の処で皆有罪にして居る。従て僕にさう腹が立つ理由がない。併し此節無暗に弁護士に対する懲戒問題が起る、之れが真に弁護士の風紀を維持する必要なら異論はないが、...
  • 下級判決
    下級判決 (一)労働新聞判決           久板卯之助 和田久太郎  右に対する新聞紙法違反被告事件に付検事金澤次郎干与審理判決する左の如し       主文  卯之助を禁錮五月罰金参拾円に久太郎を発行人として禁錮五月並に罰金卅円編集人として禁錮五月に処す       理由  卯之助は五月一日久太郎は八月一日各自に発行人となり労働新聞と題する新聞紙を発行するに際し正規の届出を為さず  卯之助は前記新聞の発行人久太郎は其編集人として一号に同盟罷工と題し其造船所に於ける同盟罷工の状況を記し暗に同盟罷工を慫慂する趣旨、三号にパンを奪ふ機械と題し機械の発達に反抗を慫慂する趣旨  久太郎は尚前記労働新聞の発行兼編集人として第四号に労働階級の使命と題し資本家と労働者とは相敵手たるを以て労働組合を組織し資本を労働者の手に奪ふ可き趣旨の各安寧秩序を紊乱す可き記事を編集発行したるもの...
  • 目的の変更を論ず
    目的の変更を論ず           山崎今朝彌  去年の何時頃だか、信州諏訪で久しく弁護士を稼ぎシコタマ貯めて判事となり、広島へ赴任した原田好郎君の送別会で横山勝太郎君に会ふたら、同君は云ふた。平民法律では屢々君の奇抜論を拝聴するが此度の、高木博士推薦論は、僕が十五年も前に思ふた陳腐の説だ、当時の大審院判決録に出た判例は破毀も棄却も全部、少くとも九分九厘、高木さんだった。僕は其時から法律解釈の統一と云ふ点で高木さんは博士に成るべきものだと思ふた。と。  其当時の話を聞くに、高木博士事務所では年に五百件位あつて百円以下はなかつたとの事であつた。又或地方では上告は高木博士が裁判所から一手に請負ふてるのだと思ふて居たとの事だ。今では上告専門家及び上告取扱事務所が可成沢山あるが、其れも、刑事専門家一派の上告調査を除けば、後は皆判事上りと私との外は皆高木博士の分派である位に思われる。成程横山...
  • 事務所で受けた裁判(3)
    事務所で受けた裁判(3)  一、玉石同架次第不同大小取交の事  一、但素人にも玄人にも良く利く事           山崎今朝彌 集 ○森林主事の犯所実況書及び被害物件調書の効力  凡犯罪事実を認定する資料たるべきものは即ち証拠又は徴憑にして、証拠又は徴憑は法令の規定を俟て発生するものにあらず、所論被害物件調書並に犯所実況書は司法警察官たる森林主事が捜査処分上実験せる事実を記載して作製したる書面にして其捜査処分は法の命ずる処に従ひ之を行ひたるものに外ならず、故に其行為は職務の執行にして違法にあらず、又之れが書面を作製することは法の命ずる処にあらずと雖も亦法の禁ずる処にあらず故に其書面は法律上無効にあらず従て之を断罪の資料に供するを妨げず。(大、刑、二) ○検事控訴と未決勾留  原審検事に於て科刑軽きに失すとて已に附帯控訴を為す以上は新に刑期を量定するに当り未決勾留日数を...
  • 山崎の関わった雑誌
    山崎今朝弥の関わった雑誌 山崎は、社会主義者ゆえに当局から「特別要視察人」として指定されていた。 内務省警保局の内部文書中から、山崎が関わった雑誌についての当局による記述を抜粋した。 (1)東京法律 題号・・東京法律 発行回数・・月刊 一部代価・・五銭 発行所・・東京市京橋区新肴町一東京法律事務所 内容概評・・甲号特別要視察人山崎今朝弥等カ従来ノ法律事務所ヲ革新シ生活ト法律トヲ調和シ公共的精神ヲ発揮センコトヲ期ストノ目的ヲ以テ組織セル東京法律事務所ノ機関ニシテ時々現制度ヲ非難スルノ記事及要視察人ノ寄稿ヲ掲クルコトアリ 名義人・・発行兼編集人長野国助、印刷人吉田三次 ※「非要視察人ノ発行セル刊行物ニシテ主義的色彩アルモノニアラサルモ屢々主義的臭味アル投稿ヲ掲載シ又ハ労働者ニ同情スル記事ヲ掲載スルコトアルモノ」に分類されている。 (以上、『...
  • 年金恩給取戻訴訟は区裁判所か?地方裁判所か?
    年金恩給取戻訴訟は区裁判所か?地方裁判所か?           弁護士 山崎今朝彌  恩給年金証書の取戻訴訟は東京でも地方でも三円五十銭貼つて区裁判所へ提起し、裁判所も弁護士も之を怪まぬ様である。之は(一)恩給年金証書は紙代の価値でも額面の価値でもなく畢竟金銭に見積もる事を得ず(二)印紙法三条には、金銭に見積ル事ヲ得ザル物ニ関ル訴訟ニ付テハ其価額ヲ百円ト見テ三円五十銭ヲ貼用ス可シ、とあり(三)構成法十四条には、五百円以下ノ価額物ニ関ル訴訟ハ区裁判所ニ起ス可シ、とあるからとの理由だらうと思ふ。  併し此解釈は確かに誤つてる。構成法廿六条には区裁判所ニ起ス事ヲ許サレザル訴訟ハ総テ地方裁判所ニ起ス可シ、とあるから若し恩給年金証書が前述の如く、金銭に見積り得ざる物なら、此取戻の訴訟を地方裁判所に起すべきは当然で、問題となるべき問題ではない。併し印紙は只ではない、印紙法三条がある為め三円五十...
  • 上級判決
    上級判決 判決(一)           大杉 栄  右に対する新聞紙法違反被告事件に付き検事金山季逸干与審理を遂げ判決すること左の如し       主文  原判決を取消す被告人は無罪       理由  本件控訴事実は被告人は大正七年九月二十三日頃大石七分が発行人兼編集人となり新聞紙「民衆の芸術」第一巻第四号(四年十月号)を編集し該紙上に「恵まるる政治」及「生活の反逆」と題する安寧秩序を紊乱する事項を掲載するに際し其編集を担当したるものなりと云ふにあり按ずるに被告人が「民衆の芸術」第一巻第四号に掲載せられたる「恵まるる政治」及「生の反逆」と題する安寧秩序を紊乱する記事の編集を実際担当したる事実は之を認め得べきも右「民衆の芸術」は内務省に於て出版法に依り出版する雑誌として取扱はれたるものなること明白にして偶其記事が出版法第二条の範囲外に渉るも直ちに之を以て新聞紙なりと認め新聞...
  • 事務所で受けた裁判(4)
    事務所で受けた裁判(4)           山崎今朝彌    如此は理由齟齬の裁判にして破毀を免れず  原判決前段に於ては甲が大正二年六月及び十二月の二回に全部之が支払を為したる事実を認め得べしと判示しながら後段に於ては故に甲は大正二年十二月に至り初めて全部を弁済したりと判定せるは前段は大正二年六月に於て其一部を支払ひたる事実を認め後段は其事実を否定したるものにして理由齟齬の不法あり原判決は破毀を免れず(大民一)    民法八百十三条第五号は同居に堪へざる重大なる侮辱を離婚原因とするものにあらず  上告人が本訴請求原因の一として上告人が被上告人より同居に堪へざる虐待を受けたること及上告人が被上告人より重大なる侮辱を受けたることを主張したることは明なり然るに原判決の理由を観るに「夫が他の婦女に通ずるは不道徳の行為なること勿論にして事情に依りては妻に対する同居に堪へざる...
  • 事務所で受けた裁判(6)
    事務所で受けた裁判(6)           山崎今朝彌 ■口頭弁論調書鑑定書及び鑑定人訊問調書のみに依つては如何なる鑑定を為したるや不明なりとするも鑑定申立書と対照して鑑定の結果明なる場合には其鑑定の結果を採用したる判決は不法にあらず。(大民一) ■証人の証言に付何等判示する所なきは其証言を採用せざりし事を知るに足るものとす。(大民一) ■根抵当設定契約に因り抵当権を設定したる場合に其抵当権の根抵当権なる事を以て第三者に対抗するには其登記に登記原因として根抵当設定契約の記載あるを要す若し然らずして単純なる抵当権設定契約を以て登記原因と為したるときは其登記は根抵当設定の登記たるの効を有せず(大民一) ■年金証書又は恩給証書の返還を求むる訴訟は所有権に基き証書の返還を求むるものにして財産権上の請求たること疑を容れず然れども貼用印紙は財産権上の請求にあらざるも...
  • 3.25・忌避から判決まで・書記課への抗議・控訴状・控訴取下書・日記秘第四五号秘号
    忌避から判決まで  判事も検事も警察も一つ穴の狸と思ふてる素人に。予審裁判をした判事は、公判で其事件に関係する事ができない、一審裁判をした判事は、二審で其事件に関係する事ができない、其訳は先入主となる弊害があつて、公平の裁判ができないからだ。と話せば何を?!べら棒な、チヤンチヤラおかしいと笑ふだらうが、玄人はそんな事は当り前の事としてゐる。然るに弁護士判検事の懲戒となると、予審判事のする予審裁判と同じ事を、懲戒開始決定と名を付けて公判々事がやり、其同じ公判々事が又懲戒の裁判をやつてる。刑事々件なら恰ど予審判事と公判々事と、一審判事と二審判事とを一人でやるようなものだ。此不思議の現象はどこかに間違つた処があるにきまつてる。玄人のチヤキチヤキたる判検事弁護士であるから、此事は誰も気が付く筈であるのに、今迄これを問題にした被告のないのは、蓋し被告上黙つていた方が得た利益だと計算したからであらふ...
  • 題なし
    題なし  弁護士の一番厭な仕事は依頼人の愚痴よりも判決の言渡を聞く事なり、特に上告には千三つの原則あり、既に早く弁護士控所給仕の電話があれば必ず破毀の報告なり庶務より催促する時は棄却に極つてる。棄却の時は庶務より電話で二階へ、破毀は通知係が大声で駈け上る。人情とは云へ人間程ケチ臭い可愛い正直の動物はない。  御幣は担ぎ度きものなり。今年いの一番に上告部に受付けた、京都の吉見弁護士と協同の大正三年(れ)第三一七六号が破毀となり、幸先好矣と祝ふ間も無く、続いて送られた三件悉く連瓶打に破毀となつた。通知係は「先生何か魔が指しはしませんか」と云ふ、小生も早速吉見弁護士に「何かの間違故決して御心配なく」と書き送つた、事務所としては天地開闢以来の初物。  民事部の判決に感服「せぬ」のと「する」のとあり、法理論や根本問題、天下国家は何うでもよいが、折角書上げた論点に、拍子木に鼻の、矢鱈にキチンキチ...
  • 虎ノ門(難波大助)事件の真相その二
    虎ノ門(難波大助)事件の真相その二 -実説大逆事件三代記(第三回)-           山崎今朝彌  前号でわかるとおり、難波大助が大正十二年十二月廿七日虎の門でステツキ銃を以て皇太子を狙げきし充分死刑に値する大逆罪を犯した事実は明瞭で、いつでも判決を下せるわけだが実際はそうかんたんにいかない。刑事事件としても、背後関係共犯のうむ、犯罪の遠因近因動機、素性経歴、健康精神状態、思想関係等を調べねばならず、調べるには予しん判事、裁判長、裁判官、弁護人等をきめねばならず、又虎の門事件真相記としては右の他少くとも事件が社会運動に及ぼしたえいきよう、政界に与えた波紋、事件に対する当時の世論風評、サテワ公判模様から又種々雑多の後日談まで、しかし私は今統制されて毎号一回二十五枚のワク内に立つてる。筆綱怪々疎にして細大もらすは当然である。で私はどうせかき落しさうな事柄から逐次思いだし心付くままに、...
  • @wiki全体から「「法治国」事件上告審判決」で調べる

更新順にページ一覧表示 | 作成順にページ一覧表示 | ページ名順にページ一覧表示 | wiki内検索

ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。