山崎今朝弥 (Kesaya Yamazaki) archive内検索 / 「エロセンコ事件の建白書」で検索した結果

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  • エロセンコ事件の建白書
    エロセンコ事件の建白書  建白人は第一国家を憂ふ切なる念と、第二聊か先見の明を誇りたき愛すべき稚気と、第三平民法律に一段の空白あるとにより左に建白す。  露国盲詩人エロセンコの退去命令が果して世間伝ふる如き事実に基くものとせば、日本過激家の事情に精通する同人を遠く海外に放つは、虎を野に放つよりも尚危険なり、同人は永く之を内地に保存し、盲目を幸ひ頗る簡易厳重に監視するを策の上乗とす、然らざれば非難後悔立所に至らん。  六月一日    山崎今朝彌 床次内務大臣 殿 <山崎今朝弥著、弁護士大安売に収録>
  • 2.07・第四編
    ...察人権蹂躙告訴状 エロセンコ事件の建白書 判事懲戒の意見書 廃嫡訴状<一部仮名> 福田狂二対大島主事の告訴状 日米交渉不敬犯保釈願<一部仮名> 第三種郵便物認可申請 法治国秩序紊乱事件弁論要旨 [某所]富豪の轢逃訴訟<一部仮名・仮地名> 密告書 告訴取下書<一部仮名> 間諜謀殺未遂現行犯の告訴<一部仮名>
  • 尾行事件の保釈願
    尾行事件の保釈願           傷害被告 大杉 栄  右被告は右事件にて昨日拘禁の身と相成候、然る処  (一)本件は時節柄、警視庁が無政府主義者なる被告を検挙せんと欲して苦心再三、種々の罪名を付し数回の告発に及びたるも、公明正大なる検事局の御取調にて其都度痛快に釈放せられ、警視庁が一時に天下の嗤笑を買ひ侮蔑を集めたる結果、其名誉回復に漸く探し当てたる、其昔一度千葉に於て手を着け不検挙其儘となり居たる犯罪に有之候  (二)従て被告は本件に就ては逐一終始、犯罪事実を自白致し今後も毛頭変る処無之候  (三)故に被告は警視庁の手先に非ざる裁判所が何故被告を拘禁するか其理を解し能はざる次第に有之候  (四)特に被告は今月中に明渡す約束を以て現在宅を賃借致し居り候故(此住宅こそ警視庁が曩に被告を家宅侵入なりとして検挙し直に馬脚を顕したる件のものに有之候)若し此儘拘禁を継続せらるるに於...
  • 正力事件の告訴状
    正力事件の告訴状           本郷区曙町十三番地           告訴人 大杉 栄           警視庁刑事課長警視           被告人 正力松太郎       告訴の事実  被告は大正八年七月十九日被告の勤務する警視庁に於て、同庁関係の時事を報道する為め同庁に詰め居る東京市内の各日刊新聞記者に対し  (一)大杉栄は大正五年以来、支払を為すの意なくして十数人の商人より米、味噌、醤油等の日用品其他の物品を取寄せ之れが支払をなさず  (二)又同人は大正五年以来家賃を支払ふ意思なくして住宅を借入れ之れが支払を為さざるのみならず家主より立退を請求せらるるときは直ちに居直りて立退料を請求し  (三)特に同人は現住宅なる前警視庁消防本部長占有の家宅に無断侵入移住し其立退を請求せらるや却て立退料を請求せり  (四)故に大杉栄が家宅侵入詐欺並に恐喝取財の犯行あ...
  • ×××事件の陪審裁判請求問題に就て
    「×××事件の陪審裁判請求問題に就て、一、×××事件の被告及弁護人から陪審裁判を請求するの可否、二、その結果に対するあなたの御感想」という問いに対する回答。           山崎今朝彌  弁護人を付けるの可否、付けるとしたらどんな人に限るか、今の陪審は無産者に利益になるか或は×××になるか等問題は色々あり。私は一人の判らない判事を口説すら困難だのに判らない多勢の今の制度の陪審員を口説くのは嘸困難の事だろふと思ひますが、其れとこれとは事違ひ、今弁護人まで付して対立したからには、結果や利不利は別として他の理由から陪審を請求して見る事です。 <以上は、山崎今朝弥氏が著作者である。> <旧仮名遣いはそのままとし、旧漢字は適宜新漢字に直した。> <底本は、『布施辰治著作集第14巻』(ゆまに書房、2008年)、底本の親本は『法律戦線』(生活運動社)7巻11号55頁(昭和3年(1...
  • 所謂男根事件の珍裁判
    所謂男根事件の珍裁判  横浜始審裁判所判事寺尾亨が、神奈川県高座郡倉見村農[甲野太郎][花子]夫婦間の男根不能婚姻取消請求事件に付き下したる、婚姻は素と単に肉体の快楽を得るを目的とせざれども其主たる目的は、人類の継続を謀るものにして其快楽は造物主の命ずる処なれば、完全なる快楽は天与の道理に適せざるべからず、然るに被告は結婚前より陰萎病に罹りしことは自ら認むる所にして原告も最初より之を知りたらんには婚姻を承諾せざりしこと明なり、因て被告は原告の請求に応じて離婚すべきものなり。との判決に対し、東京控訴院評定官鳥居断三木村喬一郎伊藤悌治は(代言人渋谷慥爾、皆川広済)明治廿三年二月十日左の判決を為たり  本案被控訴人の主張する処は要するに控訴人[太郎]の交合不能者なることを知らずして結婚せし者なるが故に之を取消さんとするに在り、夫れ如此理由を以て結婚の無効を主張せんと欲せば先づ控訴人が交合不能...
  • 難波大助(虎ノ門)事件の真相その一
    難波大助(虎ノ門)事件の真相その一 -実説大逆事件三代記(第二回)-           山崎今朝彌       大正十二年十二月廿七日  -の夜はなんとなくねぐるしい夜であつた。それはすぐ目の前にきた恒例平民大てつや放談除夜会のおぜん立を考えたり、今日がロシアに十二月党の暴動が起きた日だなと思つたりして漸く丑みつ頃に床に入つたセイもあつたろうが、後から考えればねむられぬも道理、現に血肉をひいたわが皇太子殿下はアト十時間で危き一ぱつのきけんに直面していたのだもの。(因に私は清和天皇第百何代とかの後えいで能澤天皇氏とも遠縁に当ると言伝えられてる)あけ方ようやくトロトロ、起きたのが十時頃、朝めしを了えた十一時頃(正確には十時四十分とか)突如として銃声一発、こわいものみたさの物ずきと特徴のスロモーとでとび出し人波を追つて虎の門の方向今入町までいくと、もう大きな人波が口々に、兇かんが殺され...
  • 虎ノ門(難波大助)事件の真相その二
    虎ノ門(難波大助)事件の真相その二 -実説大逆事件三代記(第三回)-           山崎今朝彌  前号でわかるとおり、難波大助が大正十二年十二月廿七日虎の門でステツキ銃を以て皇太子を狙げきし充分死刑に値する大逆罪を犯した事実は明瞭で、いつでも判決を下せるわけだが実際はそうかんたんにいかない。刑事事件としても、背後関係共犯のうむ、犯罪の遠因近因動機、素性経歴、健康精神状態、思想関係等を調べねばならず、調べるには予しん判事、裁判長、裁判官、弁護人等をきめねばならず、又虎の門事件真相記としては右の他少くとも事件が社会運動に及ぼしたえいきよう、政界に与えた波紋、事件に対する当時の世論風評、サテワ公判模様から又種々雑多の後日談まで、しかし私は今統制されて毎号一回二十五枚のワク内に立つてる。筆綱怪々疎にして細大もらすは当然である。で私はどうせかき落しさうな事柄から逐次思いだし心付くままに、...
  • 市疑獄事件検挙感嘆状
    市疑獄事件検挙感嘆状  拝啓今朝の新聞によれば東京市不正事件の検挙も愈々呑舟の魚に及び候由、就ては聊か祝意を表する為め些少ながら明後日開廷の貴殿対大杉栄事件は早速明日取下可申候  十一月廿三日朝           山崎今朝彌 印 正力刑事課長 殿 <山崎今朝弥著、弁護士大安売に収録>
  • 「法治国」新聞紙法違反被告事件
    「法治国」新聞紙法違反被告事件  『法治国』は山崎が一時期在籍していた東京法律事務所の機関誌である。  『法治国』1918年9月号に掲載された荒畑勝三(寒村)氏の「大正聖代の一揆」と題する記事が新聞紙法第41条(安寧秩序紊乱)に触れるとして、荒畑、編集発行人たる長野国助(東京法律事務所の事務員、のち弁護士、日弁連会長)、及び小松利兵衛(同事務所の事務員)の3人が起訴されるという事件が起きた。この記事は1918年に起きたいわゆる米騒動について述べた記事であり、同月号は米騒動について特集した号であった。  この記事は、長野国助「我が法廷の記(1)」『判例時報』(345号2頁)、及び「長野国助」伝刊行会編『長野国助』(1976年)91頁に全文収録されている。  この事件の弁護人は48名もの大弁護団であり、山崎も弁護人の1人として参加している。法治国秩序紊乱事件弁論要旨はこの事件の第一審に...
  • 実説大逆事件三代記
    実説大逆事件三代記           元米国伯爵 山崎今朝弥       はしがき  大逆事件といふのは刑法第七十三条「天皇、太皇太后(天皇の祖母)皇太后(天皇の母)皇后、皇太子又ハ皇太孫ニ対シ危害ヲ加ヘ又ハ加ヘントシタル者ハ死刑ニ処ス」の犯罪で、要するにこれは皇室に対する上は爆弾、銃剣による殺傷から下は投石、鉄拳制裁の暴行乃至その既遂未遂は勿論予備陰謀、相談、協議等いやしくも網にかかるもの人の想像に浮ぶものは一律一体すべてこれに死刑を言渡すといふ真に古今に照して侮いず中外に施して恥じない広大無慈悲の犯罪をいふのである。  現行刑法は明治四十年頃制定されたものだが、明治十三年頃制定された旧刑法にもこの皇室危害罪の規定があつて、その制定委員中には、皇国で皇室に危害を加へる者の出ることは到底想像できない。この規定を設けることはかへつて皇国の体面を損ずるといふ理由でその存置に反対...
  • 東京毎日法律相談の一日
    東京毎日法律相談の一日           東京毎日新聞社法律顧問弁護士 山崎今朝彌  昨夜の新聞には十二月廿一日午前八時より東京毎日無料法律相談日、主任記者山崎今朝彌とあり、時計はイツに八時を過ぎて今にも九時に迫らんとして居るが、八時が九時となり、九時が十時を過ぎて十一時となるを常として居る吾々裁判所の関係者が。ソウ時間通りに行つては估券が下る、と云つた様な気で九時に出掛ける。社はスグ其処だ、誰が待てるか知らんなどと考へて出した時はモウ事務室に来て居つた。控所にはストーブを囲んで五六人が待つてる。  特別イの一番で、と社の社会部の某君。問題はコウである。或職工が機械に腕を取られた、サテ大変と後をも見ず医者に駆け付ける、此切口なら取られた腕が元通りに附けられると医者は云ふ職工は元気を出して韋駄天走り、併し遅かりし由良之助、腕は不浄物とあつて火夫がトツクに焼棄して了ふた。早朝弁護...
  • 警官強盗事件
    警官強盗事件           本郷区駒込千駄木町二一〇 画工           原告 望月 桂           府下巣鴨町一七八六 文工           原告 橋浦時雄           右二名訴訟代理人 弁護士           山崎今朝彌           京橋区北紺屋警察署 警視           被告 渡邊鉄三郎           同所 警部           被告 中島義明           同所 巡査           被告 吉川勝太郎 贓物返還並に強盗損害請求之訴訟       訴訟の目的  本訴の目的は一定の申立と同一なる外官吏の暴行若くは直接行動に基く危険思想の伝播を防止するに在り       請求の原因  一、原告は訴外同志数十名と共に大正九年十一月二十三日より同二十八日迄黒耀会第二回展覧会を京橋区南伝馬町...
  • 上告専門所略則・改正広告(但元通)
    上告専門所略則 大正五年一月発布 ------ 東京市芝区新桜田町十九番地 上告専門所 専用電新橋一九一一番 振替東京二八一七二番 所長 上告専門弁護士 山崎今朝彌 ------ 略則  山崎今朝彌発明に係る独特の方法に基き、山崎今朝彌自ら専心専意上告事件の調査を為す。  上告事件の外『事件』の調査又は鑑定を引受く。  総て受任の即日又は翌日調査に着手、直ちに其結果を報告す。  (一)簡易、軽微の事件は手数料廿円(二)普通事件は手数料三十円成功謝金五十円(三)重大又は困難の事件は手数料及び成功謝金各五十円以上百円以下を申受く。但し事情を斟酌して(一)普通事件は手数料、成功謝金各廿円迄(二)重大又は困難の事件は手数料、成功謝金各三十円迄減額することを得  上告鑑定料を金十円以上三十円以下『事件』の調査又は鑑定料を金廿円以上五十円以下と定め、先づ之れを申受く。 改正...
  • 日本一の判決要旨
    日本一の判決要旨  今迄、事務所で受けた裁判、として事務所で取扱ふた事件の、大審院判例要旨を出した処、以外の好評で、遠近の各法律事務所から、其事件の内容、事実、法律関係等を問合せられた、然るに私の方では、余り、此判例に重きを置かず、只埋草に書いて居たのみ故、事実の関係、事件の番号を忘却し、御問合せの各位に対し、充分の返答が出来ず、誠に恐縮した、依て今後は、篤学なる諸君に、充分満足を与へる事を期すると同時に、私も一奮発して、判決要旨は、東京法律に限ると云ふ定評を□ち得る様に精出す、数紙、発行度数、発行期日の工合で、全部とか迅速とか細大洩さずとか云ふ訳には到底行かぬが、自分で取扱ふた専門事件を、自分で、抜き書し、これで、日本一が出来なければ、世話はない、素人も玄人も均一に注読を乞ふ、偶々種明しも致します。  尚掲載の事件に付き御問合せの時は、成るべく、受何号と事務所番号を呼んで下さい。 ...
  • 訴訟取下書
    訴訟取下書  控訴人大杉栄被控訴人正力松太郎間の大正九年ネ第二八号名誉毀損回復請求事件は今回の東京市大腐敗事件の検挙に聊か祝意を表する為め茲に断然無断控訴取下候也  大正九年十一月二十四日           大杉栄代理人弁護士 山崎今朝彌 東京控訴院第二民事部 御中 <山崎今朝弥著、弁護士大安売に収録>
  • 奇人変人ソラツンボ並に変死記事取消請求書(山崎今朝彌)
     * * * * * *  此記事に対して筆者と中外社を相手取り「生存権確認訴訟」を提起し、検証の申請をして裁判所から死んでるか生きてるかを調べて貰ふも面白いが、余り人を馬鹿にした様に誤解される虞れがある。と云ふても損害賠償の訴は真面目腐つてるし、「生存広告請求訴訟」は此記事が人の名誉を毀損しない以上民法第七二三条により出来そうにもない、止むなく新聞紙法により取消請求をした。 奇人変人ソラツンボ並に変死記事取消請求書           『応用ユーモリスト』 弁護士 山崎今朝彌  拝啓貴社発行『中外』第二巻第十号(九月号)御掲載『山崎今朝彌の死』と題する、『立派なユーモリスト』貝塚渋六氏執筆の記事中、拙者が(一)奇人変人なる事(二)ソラツンボを遣ふこと、(三)秀逸の変死を遂げた事、の三点は、全く拙者の関知せざる事実に有之、其理由は  (一)拙者は元来、学問、素養、品性等...
  • 山崎の弁護士懲戒事件
    山崎の弁護士懲戒事件  山崎は、懲戒事件を起こしている。その詳細は、山崎今朝弥著、森長英三郎編『地震・憲兵・火事・巡査』(岩波文庫、1982年。原著『地震憲兵火事巡査』(解放社、1924年))で山崎自らが語っているとおりである。  すなわち、広島県呉市の地方新聞『民権新聞』大正10年7月25日号に掲載された丹悦太の「自由? 死?」と題する記事が新聞紙法41条(安寧秩序紊乱)に触れるとして丹及び発行者兼編輯人小川孫六につき第一審、控訴審で有罪とされた新聞法違反上告事件について、山崎が提出した上告趣意書が「甚しく不謹慎なる言辞を弄したるものと謂はざるを得ず其行為は弁護士の体面を汚すべきものにして東京弁護士会会則第39条に該当する」として、大正11年6月12日東京控訴院において停職4月の懲戒判決を受けた事件がこれである(当時は弁護士自治は認められておらず、弁護士に対する懲戒は、弁護士会長の申...
  • 平民法律並に平民法律所広告
    平民法律並に平民法律所広告 ------ 平民法律は、平民大学直営の平民法律所が、無料専門我儘御免にて実地取扱たる、社会問題に関係ある法律事件を、通俗平凡面白可笑く解説したる平民法律所の研究月報誌なり ------ 無料専門、我儘御免、道楽半分にて社会問題に関係ある法律事件のみを取扱ふ。 本誌の種になる性質の事件は特に歓迎す。 東京市芝区新桜田町十九番地 平民大学直営 平民法律所 電話新橋特二〇七七番 振替東京三六九四四番 ------ <山崎今朝弥著、弁護士大安売に収録>
  • 知人名簿(1)
    知人名簿           山崎今朝彌  △私の知人には可なり沢山の神様がある。静座の岡田虎二郎君、健全哲学の鈴木清次郎君、催眠術の古屋景晴君、宗教骨相の坂本茂演君等で、真人道の井伏太郎君も勿論神様の部類に属する。何時か好機を見て、私と神様の交通を書いて見度いと思ふ。  △私が明治四十年に『法律文学』を発行した時元祖第一の祝詞を呉れた人は岩井探偵元祖であつた。大正三年の『東京法律』に第一の祝詞を寄せた人も同氏であつた。私の頭に見た事も会ふた事もない岩井三郎と云ふ名が書付られて居るは此故である。海軍事件の時等は其探偵かアーあの人だナと直ぐ思ひ出した。中平文子の書いた中にある某探偵とは誰だろう等と今でも考へて居る。  △私も一時神様になりかけて、三四年間絶対の菜食主義で通した事がある。私が医学博士としての粗食養生論は此間に出来たのだ。食物の六ケ敷のは少しも困らぬ私も、奥山医師の注射に...
  • 3. Memorandum
    【山崎の論文等備忘録】  この項では、未入力の山崎の論文等を記録しておくこととする。 山田富太郎著『文官高等判事検事登用弁護士試驗及第者答案集』(博文館・1902年)に収録(未確認)・・・国立国会図書館が運営する国立国会図書館サーチで「山崎今朝弥」で検索すると、本書がヒットする(ただし、館内限定公開)。同サーチの詳細情報によると、本書には山崎の「判検事登用試験」の再現答案(筆記試験:憲法、行政法、商法、民法、民事訴訟法、刑事訴訟法、国際私法)、「弁護士試験」の再現答案(筆記試験:憲法、行政法、民法、民事訴訟法、商法、刑法、刑事訴訟法、国際公法、国際私法)が掲載されているようである。これらは山崎の最初期の公刊文である(なお、山崎による最古の公刊文は、学生時代に雑誌『筆戦場』の「論説と陣幕」欄に掲載された(号数等不明)「節倹と吝嗇」なる投稿文と思われる(森長英三郎著『山崎今朝弥』(紀伊...
  • 獄死した和田久太郎君を偲ぶ・久さん漫評
    獄死した和田久太郎君を偲ぶ  頁が余つたので共産党事件とも思つたが、少し位仕方ないから全部大々的に次号に譲ることとし、二月二十日午後七時秋田牢獄で「もろもろのなやみも消ゆる雪の風」の辞世の句を残して縊死した久さんを少し追憶する。其前後に無期と云ふ刑期に於て同役の、かの二重橋爆弾事件の金祉燮君も千葉で縊死した。被告等が皆死刑を熱望したる事や古田大次郎君が死刑で満足したことなどで考へて見ると成程、長い陰気な懲役より、パツト景気のよい死刑の方が得かも知れぬ。久さんの恩赦に感泣して、恩赦のあつた日一文を草した事のある僕ですら、色のアセながら何時までも枝にツイてる庭の乙女椿が嫌いで嫌いでたまらず、パツト散る一重桜かレンギヨに植へ変へようと思つてる位だもの。  久さんの告別式は三月二十一日午後一時から神田松本亭にあつた。アナの人達は元来人情に厚いから、二三百人も集まり中々盛大であつたが、例の建国会...
  • 東京控訴院による懲戒判決(6月12日付)
          判決           東京市芝区新桜田町十九番地平民           東京地方裁判所々属弁護士           山崎今朝彌           明治十年九月生  右に対する懲戒事件に付検事三浦栄五郎関与の上審判する如左       主文  被告今朝彌を停職四月に処す       理由  被告今朝彌は東京地方裁判所々属弁護士にして其業務に従事中曩に第二審として広島地方裁判所に繋属したる新聞紙法違反被告事件に付判決を以て有罪の言渡を受たる被告人小川孫六同悦太の選任に因り同被告事件の上告審に於ける弁護人と為り大正十一年二月廿日上告趣意書を大審院に提出したる所其の論旨中第一点前段に於て「広島地方裁判所が前記被告人等に対し有罪と認定したる新聞紙の記事は文詞用語頗る冷静平凡奇矯に失せず激越に渉らず十数年来萬人の文章演説に上り都鄙各所に行はれたる常套の論議なれば...
  • 改心広告
    改心広告  私事、旧年中は色々道楽が過ぎ、無料専門我儘御免の平民法律所事件のみ多くなり、業務益々繁栄を極め大いに弱り抜き申候、新年よりは断然茲に改心仕り、成るべく無料道楽事件には遠慮を願ひ正に拗ね者の本柱を現はして目下の不景気に反抗し、極力景気よく金儲けに熱中仕り度と存候、就いては苟も割よき法律事務は何種に限らず多少に拘はらず、何でも猛烈に取扱ひ可申候に付き、何卒可然御引立の程偏に奉願上候  大正十年一月一日           弁護士 山崎今朝彌 <山崎今朝弥著、弁護士大安売に収録>
  • 禁止公判傍聴許可願
    禁止公判傍聴許可願           資本家の忰 相澤喜市郎           犬医 板橋萬吉           会社員 久間晴治           帝大生 大岡洋吉           教師(琉球人) 比嘉賀秀           著作業 高橋彰三           商家の子息 河上 豪           農学士 宗象良男           警視庁派遣講習生高等係巡査 高頭七五三           同上 星久米治           朝鮮貴族の忰 李  拓  高尾平兵衛に係る出版法違反事件の公判は傍聴禁止中に有之候処右記の者は平民大学夏期講習生中本件弁護人に於て責任を負ふて身元を保証する者に付き何卒右事件本日の公判傍聴の儀特別に御許可相成度此段及御願候也  大正九年八月十二日           右弁護人 山崎今朝彌 東京地方裁判所刑事第一部...
  • 上申書(一)~(三)
    上申書(一)           東京市芝区新桜田町十九番地 弁護士           上申人 山崎今朝彌       上申の趣旨  上申人申請非常上告職権開始事件に関し相当の援助を乞ふ       上申の理由  貴殿御干与の『労働新聞』『青服』『民衆の芸術』に対する新聞紙法違反被告事件は、曩きに東京区裁判所に於て貴殿御論告通り何れも新聞紙法違反として夫々の刑を科せられ候処、右中『民衆の芸術』の判決に対し被告の一人より控訴の結果東京地方裁判所は、『内務省に於て出版法に依り出版する雑誌として取扱はれたるものは、偶々其記事が出版法第二条の範囲外に渉るも直ちに之を以て新聞紙なりと認めて新聞紙法を適用すべきものにあらず』との理由を以て無罪を言渡し其判決は確定仕り候右判決の擬律が正当なりとせば『裁判所は内務省の取扱如何に係はらず其雑誌が新聞紙法に依り出版すべきものなりと認むるときは偶々...
  • 2.08・第五編
    第五編 労働争議の「工場管理」は法律上正当の「事務管理」なり 法廷不起立問題の研究 発売禁止と森戸教授の起訴、出版法と新聞紙法 『馬鹿判決』の正体 下級判決 上級判決 上申書(一)~(三) 働主雇主間に於ける罷業、怠業、工場閉鎖並に解雇と其給料、手当、損害金等の研究 (御断り・同盟罷工の場合・怠業の場合・工場閉鎖の場合・辞職解職の場合・労働訴訟の極り文句と抗弁) 賃金請求訴訟(一)(二)、訴状(三)<一部仮名・仮地名> 労働主と資本者 治安警察法第十七条 退職手当請求訴訟<一部仮名> 東京瓦斯事件訴訟・準備書面 人間社会に対する詐欺及び偽作罪の告訴に就て(告訴状・不起訴処分に対する抗告)<一部仮名> 所謂男根事件の珍裁判<一部仮名> 風俗壊乱の程度 事実認定権 平民の法律
  • 知人名簿
    知人名簿  私の知人には可なり沢山の神様がある。静座の岡田虎二郎君、健全哲学の鈴木清次郎君、催眠術の古屋景晴君、宗教骨相の坂本茂演君等で、真人道の井伏太郎君も勿論神様の部類の属する。何時か好機を見て、私と神様の交通を書いて見度いと思ふ。  私も一時神様になりかけて、三四年間絶対の菜食主義で通した事がある。私が医学博士としての粗食養生論は此間に出来たのだ。食物の六ケ敷のは少しも困らぬ私も、奥山医師の注射には弱つた。病気の工合と人々の身体に依り注射の方法も皆異ふとの事だが、私のは塩気と砂糖気と動物性とを絶対に禁じられた。学術圧迫事件、北里犯罪事件の主人公の医師と云ふが即ち此人である。 <山崎今朝弥著、弁護士大安売に収録>
  • 忌避申請却下決定(5月6日付)
          決定           申請人 山崎今朝彌  右に対する東京控訴院に於ける懲戒裁判所大正十一年(よ)第一号弁護士懲戒被告事件に付き右申請人より忌避の申請を為したるに付き決定すること左の如し       主文  忌避の申請は之を却下す       理由  申請の要旨は東京控訴院に於ける懲戒裁判所裁判長判事牧野菊之助判事西郷陽判事遠藤武治は大正十一年四月十九日申請人に対し懲戒裁判開始決定を為し其理由に於て被告山崎今朝彌は東京地方裁判所々属弁護士にして其業務に従事中小川孫六外一名新聞紙法違反被告事件の弁護人として大正十一年二月二十日上告趣意書を大審院に提出したるが其論旨中第一点前段に於て「第二審裁判所の有罪と認定したる事実に係る新聞紙の記事は文詞用語冷静平凡奇矯に失せず激越に渉らず十数年来萬人の文章演説に上り都鄙各所に行はれたる常套の論議なれば毫末も社会の平静を紊り共同...
  • 大審院の抗告棄却決定(5月27日付)
    大正十一年(な)第二号       決定書           東京市芝区新桜田町十九番地           東京地方裁判所所属弁護士           山崎今朝彌  右に対する東京控訴院に於ける懲戒裁判所大正十一年(よ)第一号弁護士懲戒被告事件に付抗告人の為したる忌避申請を却下したる同裁判所の決定に対し抗告人は抗告を為したり依て検事の意見を聴き決定すること左の如し       主文  本件抗告は之を棄却す       抗告理由  要旨は懲戒裁判開始決定には懲戒すべき所為及び証拠を開示すれば足り其他を掲ぐるの要なきことは判事懲戒法第二十条の規定に依り明白にして刑事訴訟法の規定に於て判決若しくは予審終結決定に其理由を付すべきことを命じたると其趣を異にせり其結果として懲戒裁判開始決定を為したる判事は爾後の懲戒裁判に関与することを得るも前審の判決又は予審終結決定を為したる判...
  • 書評「生きんが為に」
    書評「生きんが為に」 ~~~~~~ 「生きんが為に」米騒擾事件の弁論公開  東京四谷区荒木町八番地  布施辰治法律事務所発行  定価金五拾銭郵税金四銭  振替東京三六四五五番 ~~~~~~  弁護士布施辰治君は、悪口屋を以て鳴る私が、常に最も尊敬する人の一人である。私の布施君に感心するは其長い弁論や強い精力の為ではなく、只其弁護士なる職務に対し非常に真面目の考を持つてる故である。  本書は其布施君が、多年の宿望であつた『法廷弁論の社会公開』を果たすべく著はされた第一編である。布施君と云ふ弁護士が、否著者が、扱ふに米騒擾事件と云ふ題材を以てす、読者は果して何物をも得ずに居られるであらうか。私は世人、特に此頃の布施君を知らぬ人及弁護士の職務に対して疑念を懐く人に是非本書の一読を薦む。 <以上は、山崎今朝弥氏が著作者である。> <旧仮名遣いはそのままとし、旧漢字は適宜新漢...
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    【Menu】 Top page 【Archive】 1. Books (1) 『粗食養生論』(Soshoku youjou ron / Regimen of lean diet;隆文館 1907年) 国立国会図書館の近代デジタルライブラリーにて本文公開中。「粗食養生論」で検索すると出ます。 (2) 『弁護士大安売』(Bengoshi ooyasuuri / Attorney s fee is under discount;聚英閣 1921年) 2.00・凡例 2.01・表紙 2.02・序文 2.03・自伝 2.04・第一編 2.05・第二編 2.06・第三編 2.07・第四編 2.08・第五編 2.09・第六編 2.10・第七編 2.11・奥付 国立国会図書館の近代デジタルライブラリーにて本文公開中。「弁護士大安売」で検索すると出ます。 (3) 『山崎伯爵創作集』(Ya...
  • 反逆者の立場から
    反逆者の立場から          山崎今朝彌    一、成功謝金に就て  弁護士が成功謝金廃止に反対する理由ほど理由のないものはない。が其廃止を主張する理由も亦負けずに理由がない。弁護士界の反逆者を以て自任する我等は、弁護士会の決議に反する高柳教授の意見を朝日新聞で見たとき、矢鱈に嬉しくて堪らず、充分敬意を表して之を熟読したが、遺憾ながらコレは成程と思へる程の理由を読めなかつた。教授の所論筋道は長いが之を要するに、弁護士は公職であるのに風儀が悪い、成功謝金を止めれば弁護士の風儀がよくなると云ふにある。僕は成功謝金がなくなつたからとて急に格別弁護士の風儀がよくなるものでもない、有つても無くても、毒にも薬にもなるものでない、ドツチでもよいことだ、が別に損になることでもないから、人が廃せと云ふなら止めたがよからうと思ふ。  一体世間の人が、弁護士の取扱ふ事件には皆成功謝金があるように考...
  • 汽車の飛乗り
    汽車の飛乗り  汽車の飛乗りも違つてる。大雪ではあるが伊那区裁判所の山林境界争事件の臨検日だから、早速朝の五時頃上諏訪駅へ駆け付けると列車がゴトゴトと動き出す、切符を買ふ暇もないから直ちに飛込んで汽車の一番尻の鉄玉へ抱き付いた。駅員が大声で騒ぎ出したので汽車は五六町で停まつた。ソコで考へた。命懸けの仕事だし、又問題が起る訳だ、先づ三十六計之れに如かずと其儘逃げ帰り寝て仕舞ふた。告発すると云ふ有力な説もあつたソーだが、トド大目に見て貰ふて新聞へも出なんだから、誰も知るまいと思ふたに、天地の外旅の人に迄知られて居たには驚いた、が鵜澤博士等のよりは罪が無い。 <山崎今朝弥著、弁護士大安売に収録>
  • 山崎の関わった雑誌
    山崎今朝弥の関わった雑誌 山崎は、社会主義者ゆえに当局から「特別要視察人」として指定されていた。 内務省警保局の内部文書中から、山崎が関わった雑誌についての当局による記述を抜粋した。 (1)東京法律 題号・・東京法律 発行回数・・月刊 一部代価・・五銭 発行所・・東京市京橋区新肴町一東京法律事務所 内容概評・・甲号特別要視察人山崎今朝弥等カ従来ノ法律事務所ヲ革新シ生活ト法律トヲ調和シ公共的精神ヲ発揮センコトヲ期ストノ目的ヲ以テ組織セル東京法律事務所ノ機関ニシテ時々現制度ヲ非難スルノ記事及要視察人ノ寄稿ヲ掲クルコトアリ 名義人・・発行兼編集人長野国助、印刷人吉田三次 ※「非要視察人ノ発行セル刊行物ニシテ主義的色彩アルモノニアラサルモ屢々主義的臭味アル投稿ヲ掲載シ又ハ労働者ニ同情スル記事ヲ掲載スルコトアルモノ」に分類されている。 (以上、『...
  • 涜職警官慰藉請求愛国訴訟
    涜職警官慰藉請求愛国訴訟           東京府荏原郡[某町某番地]           原告 [甲野太郎]           東京府荏原郡蒲田町蒲田警察署方           被告 (署長)五味田秀           被告 (司法主任警部補)笹原庄之助           被告 (暴犯刑事)福田伊八郎           被告 ([乙川次郎]方用心棒巡査)守分治郎           被告 (医者)[乙川次郎]           被告 ([乙川]方代診)[丙山三郎]       一定ノ申立及請求ノ目的  被告等ハ連帯シテ金一千円也ノ内金百円也ヲ原告ニ支払フベシ。訴訟費用ハ被告等ノ連帯負担トス。       請求ノ原因  (一) 由来蒲田署ハ未開時代ノ警察伝統ヲ忠実ニ継承シタル涜職、収賄、威圧、陵辱ヲ以テ名アリ。曩ニ一部不良警官ノ整理アリタルモ世評ハ呑...
  • 陪審法と新民訴に対する法曹の声
    陪審法と新民訴に対する法曹の声 一、陪審法施行後の感想 二、新民事訴訟法施行の実跡    ○   東京 山崎今朝彌 一、泥棒にも三分の理あり、バクチでも一回ではアキラメられぬ多少物の解かつた一人の判事を口説き落すにも骨が折れる、況んや素人の多数陪審員を口説くに於てをや、陪審法は読むに及ばず、結局物にはならぬ、と云ふ私の見通しは今も尚変らず候 二、初めの内こそ二三猟奇的の判事があつて矢鱈に八釜敷かつた処もあつたが、今では皆慣れてユツタリ落付き、元と何も変わつた所無くなりました、事件の進行振は、判事の病気書記のサボ相手方の不慣等も相俟つて前の倍も遅れます。 <以上は、山崎今朝弥氏が著作者である。> <旧仮名遣いはそのままとし、旧漢字は適宜新漢字に修正した。踊り字は修正した。> <底本は、日本弁護士協会『法曹公論』第35巻9号、昭和6年(1931年)10月号>
  • 新聞紙法違反大審院判例
    ○新聞紙法違反被告事件(大正十一年(れ)第九十九号同年四月四日第一刑事部判決 破毀自判) 【上告人】被告人 【第一審】呉区裁判所 【第二審】広島地方裁判所    ○判示事項 新聞紙ノ記事カ安寧秩序ヲ紊スヘキヤ否ヲ区別スルニ付テノ標準-安寧秩序ヲ紊スヘキ事項-之ヲ紊スヘキ程度ニ至ラサル事項    ○判決要旨 一 新聞紙ニ掲載シタル事項カ安寧秩序ヲ紊スヘキヤ否ハ主トシテ其ノ当時ニ於ケル社会観念ヲ標準トシテ客観的ニ之ヲ決スヘキモノトス 二 国法ヲ無視シ国家ノ権力ヲ否定シ国民ノ道義心ヲ壊乱シ人ノ生命身体財産自由ニ危害ヲ加フヘキコトヲ以テ威嚇又ハ煽動シ暴力其ノ他不法ノ手段ヲ用ヰ又ハ急激ニ社会ノ組織ヲ変更シ其ノ他一般ニ国家ノ生存発達ヲ阻害シ公共ノ平和ヲ撹乱スル虞アル掲載事項ハ安寧秩序ヲ紊スヘキモノトシテ新聞紙法第四十一条ノ罪ヲ構成ス 三 単ニ現行制度ノ不備社会組織ノ欠陥ヲ指摘シテ攻撃ス...
  • 上告部通信
    上告部通信  私は漸く此頃、或る上告理由は決して逃がす事の出来ぬ理由を体得し、之を高言する事を憚らぬ確信を得るに至り、実に愉快に堪へ不申候、初めは例の通り学説の暗記、判例の引合、記録の棒引等遣り申候、併し此定跡の損害は、試験問題に出ぬ処を勉強し、受任にならぬ事件の研究をした損位の損害にて敢て後悔は仕らず候。  斯く申上候迚決して慢心は仕らず、仕れず、破毀か棄却か判らぬ事沢山有之、破毀になると申しても随分棄却になり、棄却になると申したのが却て破毀となる場合あり、時々廃業し度くなる事も間々有之候、只提出すべき筈の理由は遺憾なく之を提出し又之れのみ心懸け居り候、該博深遠の法理を論じ糞を千載に垂るる如きは別に其人あり、吾人凡人の到底企及し得べき事に無之候。 <山崎今朝弥著、弁護士大安売に収録>
  • 平民の法律
    平民の法律  或靴工の十八才になる息子が丁稚奉公先にて二銭の棒先を切つた事から店の金二百円を盗んだに相違ないと拷問され、其結果親に頼まれ盗んだと云ふ詫状を書いた。店では親を呼び付け其弁償を迫りたる故親は息子に糺したる処、息子は拷問され止むなく書いたので盗んだ覚へはないと泣いた。親の帰宅した後店の親類に当る某署在勤巡査が来て又息子を拷問したが白状しないから、其息子の貯金と着物を渡さないのみならず懐中の財布を取上げて叩き出した、其処で事件が当所平民法律所へ来た、当所は店の主人と巡査は共謀で人を脅迫して詫状を書かした点は刑法二百二十三条の暴行脅迫罪、荷物や貯金通帳等を渡さぬ点は横領罪、財布を取上げた点は窃盗罪と鑑定した。依て当所は先づ第一に其親に息子を連れて店へゆき主人に面会して荷物及び財布並に主人に預けある息子の貯金通帳並に印形の返還を請求せしめた処、主人は面会せず三百を代理に出して、此事件...
  • 危険人物の弁解にあらず
    危険人物の弁解にあらず  明治四十何年か、大逆事件頃、一方僕は甲府で三百円余も貯めて東京は帝都の真只中、銀座大通裏へ移転した。巣拵へが出来ぬ前に隣家へ交番所が出来上つたには少からず驚いたが、何却つて愉快を感じた。  其後事件の話は益々拡大する、一日偶六法全書を見ると刑法第七十三条には危害を加へんとしたる者は死刑に処すとある。甲府検事局で諏訪の秘密結社事件と僕及び新村忠雄の関係、新村忠雄が途中僕の処に泊まつた事等取調べられた事が浮び出す、其以来警察の活動状態は遂日本の生糸王片倉兼太郞翁をして、ナーニ、今朝彌なら金の番の外出来るもんジヤー、ねーに、役人ニヤー、人は使へねーナー、と嘆せしめたと謂ふ事に思ひ付く、流石平素官僚裁判の危険を信用する僕丈に、一時に氷の中へ突落され首丈冷蔵庫へ入れられた様にヒヤリとし、我知らず手で頭を撫でて見た。若しあの時新村が僕に一言何か話したら如何。逆謀を告げらる...
  • 刑法俗論
    刑法俗論       三井事件の品位問題  海軍収賄事件たる三井収賄事件の弁護人が、自己の弁護する被告弁護の為め、相弁護人の弁論を妨害し、弥次り仲間喧嘩し、検事の嘲笑を買ひ、社会の擯斥を蒙りたるは、法廷の神聖を汚し弁護士の品位を傷けたるものなり、特に其弁護人が悉く当世第一流の御歴々たるに於て益々怪しからぬ事なり、宜しく懲戒すべきものなりとの論、蔭にて喧しけれど、一笑にも値せざる愚論なりと思ふ。  弁護士迚商売なり、あの位弁護料を取れば義理にも熱心が過ぎ喧嘩の一つ位為さざるを得ず、之を兎や角云ふは焼餅にあらんずんば羨べいなり、又法廷たりとて議会や御前以上神聖なる訳もなし、議会の弥次御前会議の争論殆ど滅多にある例なり、若し夫れ第一流云々に至つては、能く顔を見詰め「これで女房があつてソシテ・・・・・・」と思へば決して特に尊敬の念の起るべき筋合のものにあらず       将校の判事斬事件 ...
  • 判事懲戒の意見書
    判事懲戒の意見書 意見書  聞くならく、検事は貴官が渡邊満三に対して下したる犯人蔵匿事件の判決に対し、刑法第五十八条第一項同第五十七条刑法施行法第五十三条の規定に基き、累犯加重刑決定の申請を為したりと。  然れども被告渡邊満三は警察署以来検事局に於ても公判廷に於ても、前科二犯ありて最終は数年前東京にて懲役八ケ月に処せられたる旨を自供し居るものなれば、前記貴官の判決に於て累犯加重の法条適用を欠けるは、判事が懲戒訴追に値する職務上の過失を敢てして、前科の有無の調査訊問を失念したるにあらず、寧ろ判決原本作成の際当然適用すべき法条の適用記載を脱漏したるものと解すべきものとす。果して然らば検事の請求は当然却下さるべきものなり。  若し夫れ被告が判決言渡の際、革命の際に於ける復讐を絶叫し判官を面罵したる如きは此際特に之を不問に付して可ならずや。  十年六月二十五日    被告法律上無効代理人...
  • 法律顧問所設立趣旨
    法律顧問所設立趣旨  日本には昔から菜種絶やすな公事するなと云ふ諺があります。西洋では今も尚、勝つた裁判より負けた示談と云ひ伝へて居ります、どの道訴訟や裁判は費への事、損の事、望ましからぬ事であります、然し世が進み国が開け財産が殖へ取引が増し、関係が複雑に交渉が面倒になれば、法律事件の多くなるのは当然で止むを得ません。  人は生身、生身の人の身体から病気を絶やす事は到底出来ません、然し衛生に注意すれば少なからず病気の発生を防ぎ、全快を早め、寿命を全ふする事が出来ます、訴訟もそれと同じ事で、平常財産上の衛生を心掛け、約束、取引、貸借、企業、交渉等に注意を払へば、訴訟や損害の予防が出来ます。  法律顧問所は加入者の為めに法律上の相談相手となり、談合役となり、顧問官となり、転ばぬ先の杖となり、柱となり、其人の権利と利益を擁護し、損害と訴訟とを予防し、且つ聊か社会に貢献したいと思ひ設立したも...
  • 3.24・期日進行再度上申書・懲戒裁判所の判決(第一審東京控訴院)
    期日進行再度上申書 大正十一年(よ)第壱号事件に付左に上申候。       要領  口頭弁論期日一日も早く御指定相成度候。尤も期日と通知との間は極めて短く願上候。明日の期日が今日の通知にても差支無之候。判決言渡は即日に願度、送達一切は電話により当方より書記課へ出頭請取候て差支無之候。  右希望申上候。       理由  実の処小生は本件を拾ひ物の様に考へ居り、こんな事で人に厄介をかけてはと、凡て消極的に謹慎仕り候処、友人は色々と心配して呉れ、会ふ毎に結果や成行を聞かれ又は意見を提出され、其親切に困り居り候。之れを無視し何時迄もだまし通すは何だか悪い様な気持が致し候。と申して一々正直に報告するも何んだか同情に甘へる様にも見え、之れも厭に候。依て小生は二三日又は五六日病気して、此間に疾風迅雷的に、判決言渡より控訴申立迄済まし、然る後一々報告かたがた控訴審の弁護を依頼し度と考へ居り...
  • 警官弁当代事件
    警官弁当代事件           山崎今朝彌 ◇官憲が資本家の××であることを露骨に暴露した、例の日紡花木ゴム争議の警官弁当代事件について、自由法曹団は直ちに、法律戦線の陣を進めて告発したが、九月九日更らに、左の如き告発補充書を出した。    ×   ×   ×  一、『火事場の握飯』『お客様の弁当』に付ては今や既に世論一定し、検事局も全く其の非を認め事実上之を取消し、積極的瀆職の事実あれば直ちに之を起訴するとの御話故、告発状も、検事局の顔を立て敢て此点を論ぜず、只新事実をのみ上申したのでせうが、私は是非此の点に就て一言を費し度いのであります。(告発状起草に事実上私は関与せず)  二、火事と選挙のお客様には喧嘩相手がないが労働争議には相手がある。故に争議を火事に例へるは甚だ当を失してる。よし争議が火事であつても其れは贈賄側だけの事で、収賄側の例にはならぬ。例なら之れは原被両告が...
  • 三淵忠彦君
    三淵忠彦君  初対面(少くとも記憶に残つてる初対面)は東京新聞対帝国劇場事件の口頭弁論である、寺田四郎丸山長渡の両君が、この一定の申立はどうしても僕等には言へぬから読んで呉れと云ふ、ソコで僕が一定の申立を読み上げると陪席は皆ニコツク、係弁護士は下を向く、傍聴弁護士はドツト来る、併し三淵裁判長は「抑々大劇場の権威を笠に着て一言の挨拶も仕らず・・・・・・より・・・・・・何卒貴社独特の御任侠を以て一回丈けは是非御勘弁相成度相も変らず永当々々御贔負の程閉口頓首偏に懇願奉候」迄、ニコともせず厳然聴取した。由来僕は此人を真面目の人と認定した。  顔はドウシテも所謂部長面だ、部長中一番ツツキ屋との評判だ。此の人の部ならツンボの我輩にも立会が出来ると思ふた位、高ひ通る良い声だつたが、此間一寸立会つて見たら、先方の退歩か当方の進歩か、矢つ張りサツ張り、わからなんだ。余り皆で賞める計りが能でもないから、何...
  • 3.23・忌避の申請・忌避申請の決定・上申書・山崎氏の忌避申請却下されて抗告・大審院の決定書(大正十一年(な)第二号)
    忌避の申請           申請人(被告弁護士) 山崎今朝彌           被申請人(裁判長判事) 牧野菊之助           同判事 西郷陽           同判事 遠藤武治  右当事者間の東京控訴院に於ける懲戒裁判所大正十一年(よ)第一号弁護士懲戒被告事件に付き、申請人は弁護士法第三十四条判事懲戒法第十一条刑事訴訟法第四十一条第四十二条民事訴訟法第三十五条第三十六条に依り左の申請を為す       主文  被申請人を忌避す       理由  被申請人は東京控訴院に於ける懲戒裁判所の本件係判事にして其職務に従事中、曩きに大正十一年四月十九日申請人に対し懲戒裁判を開始すへきや否やを決定するに当り、弁護士法第三十四条判事懲戒法第十七条に基き其決定書主文に於て「弁護士山崎今朝彌に対し懲戒裁判を開始す」と決定し、其理由に於て『被告山崎今朝彌は東京地方裁判所所...
  • 司法大臣に奉るの書
    公開状 司法大臣に奉るの書           山崎今朝彌 司法大臣閣下 茲に謹で一書を貴下に呈します。常に特に此際は一層多忙でせうが、是非此書は御一読下さい。貴下が之を読で下さると否とは、直に人命に関し必ず天下の事に関することであります。  私が貴下に呈する此書は、眇たる天下の一小問題、労働者虐殺に関する問題、即ち所謂亀戸惨殺事件に関して、司法権の活動を望むに過ぎないのであります。が、其延て波及し影響する処は断じて軽視すべきでなく、可成重大で、必ず後悔自責、遂に自決せざるを得ざるに至るかも知れず、私一個としても、貴下が之を読まない、聴かない、納得さしてくれない、となれば、茲に忽ち人間が一変し、性質と信念とが瀕変する底のものであります。  熟読を乞ふ前に、私は、私が常に貴下を尊敬して居る事を一言します。之れは貴下が私を誤解することなく、よく之を聴いて貰ふ為に、強ち無用の業ではあり...
  • 被告人見舞状(一)(二)
    被告人見舞状(一)  益々御壮勤奉大賀候扨小生今回交通労働組合本部より敢て御貴件弁護の大命を拝し候に付き即刻参堂拝謁の光栄に浴し度と存居候折柄アラ不思議や昨夜日常信仰怠らざる尊神の霊夢に顕はるるあり『多数弁護の結果本件は遂に無罪以上』との神告を受け候間偏に御安神相成度就ては小生も本日より同志弁護士数十名の義憤弁護依頼に取掛り候始末何れ此方完結次第弁護届多勢引連れ直ちに出陣可仕先は取り敢へず御機嫌奉伺如此に御座候  噫大正九年五月廿八日           東京市芝区新桜田町十九番地           平民法律所長平民大学法律博士           弁護士 山崎今朝彌 被告人見舞状(二)  益々梅雨の候愈々御健在兎も角も目出度申納候。扨事件の儀既に御承知の通り約大半は取調を終り今月中には全部責付(註一)と係官(註二)も申され、お上の事故話し半分としても来月は多数追放の...
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