山崎今朝弥 (Kesaya Yamazaki) archive内検索 / 「山崎の控訴状(同13日付)」で検索した結果

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  • 山崎の控訴状(同13日付)
          控訴状           東京地方裁判所々属弁護士           控訴人 山崎今朝彌           対手人 不明  右当事者間の大正拾壱年(よ)第壱号事件に付只今其判決謄本送達ありたるも不服に付控訴す       控訴理由  判決の罰の量定は高木氏の「小僧判事」に比し決して高からず、問題の文句相当不穏当にして控訴人に為めにする不謹慎ありしことは之れを認む然れ共不穏当不謹慎は必ずしも弁護士の体面を汚すものに非らざるに判決は全然其点に関し説明を欠くを以て不服なり尚控訴人は目下重病中にて詳細の理由書を提出し得ざるを遺憾とするも夫れは追て直接之れを控訴裁判所に提出すべし  大正十一年六月拾三日    右山崎今朝彌 口授閲覧 大審院に於ける懲戒裁判所 御中 <底本は、法律新聞社編『法律新聞[復刻版]』(不二出版)。底本の親本は『法律新聞』(法律新聞社)大正...
  • 山崎の弁護士懲戒事件
    ...(6月12日付)及び山崎の控訴状(同13日付)を掲載。 (9)同1996号15頁(大正11年6月30日発行)  「山崎弁護士の懲戒と上申書」と題して、山崎が5月9日付で早急な裁判を求める上申書を裁判所に対し提出していたこと、更に口頭弁論期日を一日も早く指定するよう求める上申書(日付不明)を同様に提出していたことを報じ、後者の全文を掲載している。 (10)同1998号15頁(大正11年7月5日発行)  「山崎弁護士控訴取下」と題して、山崎が6月30日朝、「感ずるところあり」控訴を取り下げたことを報じている。  なお、新聞紙法違反上告事件については山崎の上告理由が容れられ、原判決破毀、無罪判決となっている(大正11年4月4日大審院刑事判例集1巻205頁。新聞紙法違反大審院判例)。この判決が大審院刑事判例集に収録されていることからも画期的な新判例であることがわかる。 ...
  • 山崎の立小便事件
    山崎の立小便事件  山崎は立小便により科料に処せられた前歴がある。『弁護士大安売』収録の立小便事件(言渡書・説諭願)はこの事件について作成された書類であるが、これについては若干の補足説明が必要だろう。  この事件については、法律新聞1795号(大正10年(1921年)2月8日発行)に「山崎今朝彌氏小便事件」と題する記事、同1806号15頁(同年3月5日発行)に「山崎弁護士放尿事件判決」と題する記事がそれぞれ掲載されている。これらの記事によると、山崎は、大正9年12月11日、東京市麹町区元園町社会主義同盟事務所において同志等と会合した帰途、道端の溝に立小便したところを巡査に発見され、告発されて警察犯処罰令により金5円の科料に処せられたとある。当時は違警罪即決例という太政官布告によって、警察犯処罰令違反の罪については、警察限りで科料・拘留の「即決ノ言渡」(裁判)をすることができることとされ...
  • 3.26・大団円
    大団円  どうせ有罪の判決がある。コツソリ会心の控訴理由書でも作成し、時機を見て取下げ、人の騒ぐ頃は停職六ケ月も既に済んだ頃にしよう。控訴はした。弁護は不用になつた。取下てはならない条件はなかつた。言ひ免れはチヤンと出来てる。然るに今日の新聞には悉く五月二十七日もう停職四ケ月の言渡しがあつた事が報道されてる。何処から洩れたかと司法記者に聞いたら書記課だと答へる。書記課なら呉れ呉れも頼んで置いたにと憤慨して見ても後の祭りである。取り敢へず病気になつてユツクリ考へて見ても、どうする事も出来なんだ。取り敢へず書記長への恨み状とはなつたが瓢箪から駒が出て串戯から肺炎が出た。理由は後から名文でと又取敢へず控訴状だけ出して置いたが、よく考へて見れば遺憾は遺憾でも之れも亦バカバカしい。盲人に孔雀は豚に真珠、それより懲戒裁判にも控訴取下の規則があるかどうかを試した方がせめてもの役得と早速六月廿九日に控訴...
  • 山崎の忌避申請書(5月1日付)
          忌避の申請          申請人(被告弁護士) 山崎今朝彌          被申請人(裁判長判事) 牧野菊之助          同(判事) 西郷 陽          同(判事) 遠藤武治  右当事者間の東京控訴院に於ける懲戒裁判所大正十一年(よ)第一号弁護士懲戒被告事件に付申請人は弁護士法第三十四条判事懲戒法第十一条刑事訴訟法第四十一条第四十二条民事訴訟法第三十五条第三十六条に依り左の申請を為す       主文  被申請人を忌避す       理由  被申請人は東京控訴院に於ける懲戒裁判所の判事にして其の職務に従事中曩に大正十一年四月十九日申請人に対し懲戒裁判を開始すべきや否やを決定するに当り弁護士法第三十四条判事懲戒法第十七条に基き其決定書主文に於て「弁護士山崎今朝彌に対し懲戒裁判を開始す」と決定し其理由に於て『被告山崎今朝彌は東京地方裁判所々属...
  • 訴状(1)
    訴状           芝区新桜田町十九番地           原告 弁護士 山崎今朝彌           下谷区坂本警察署官舎           被告 官吏 山川秀好 名誉回復請求訴訟       目的及申立(註一)  被告は左記形式の謝罪文を奉書紙に自筆調印の上日付を付して之を原告に差入るべし(註二)       謝罪状 大正八年八月十五日貴平民大学夏期講習会に於て拙者が貴殿に対し『何ツ此野郎』と無体の言を吐き候は昻奮の余り思はず識らず出で候失言に有之別段悪意ありたる次第に無之候へば何卒御勘弁相成度茲に謝罪状差入謝罪仕候(註三) 山崎今朝彌 殿     山川秀好       請求の原因  (一)原告は明治三十四年試験に合格し明治四十年登録して今日に及びたる弁護士にして傍ら独立(註四)の平民大学を経営し平民法律、破毀判例、社会主義研究等の月刊学術雑誌を発行...
  • 山崎による抗告申立書(同10日付)
          抗告申立書  抗告人に対する東京控訴院に於ける懲戒裁判所大正十一年(よ)第一号弁護士懲戒事件に付き曩きに抗告人より忌避の申請を為したる処今回却下の決定ありたるを以て茲に即時抗告す       一定の申立  原決定を破棄す  抗告人の本件忌避申請は誠に理由あり       抗告の理由    一、抗告人の忌避申請理由は 懲戒裁判開始決定には如何なる所為が問題たるか其所為ありたる事は如何なる証拠に依て之れを認めたるかを開示して裁判を開く旨を宣言すれば足るものにして其所為が如何なる理由により如何なる条項に違背するものなるかを断定論決すべきものにあらず然るに本件係判事は抗告人は斯く斯くの所為を為し其事実は斯く斯くの証拠により之れを認む依て懲戒裁判を開始すと宣言決定したる外尚進んで右の抗告人の為したる行為は弁護士の体面を汚すべきもの(即ち汚したるもの)にして東京弁護士会の会則に違反するも...
  • 訴状(2)
    訴状           芝区桜田町十九番地(註一)           原告 弁護士 山崎今朝彌           同区[某町某番地]           被告 貸席業 [甲野太郎] 損害要償の訴       目的及申立  被告は金百円に大正九年正月元日より年五分の損害を付して原告に支払ふべし(註二)       請求の原因  (一)原告は平民大学主催の学術講演会を開く目的にて大正八年六月初め自身又は代理人を以て数回被告と交渉し被告の貸席玉の井を左の条件にて借受け被告の請求する儘六月七日手付金五十円を支払ひたり 1期間は八月八日より十四日迄一週間但夜間の事 2料金は一日十一円計七十七円但座布団及煙草盆四百人分の賃料を含む 3被告に於て七月下旬より会場前に平民大学講演会の大看板を掲出する事 4飲食物の販売は被告の勝手たるべき事但酒類を禁ず  (二)右契約成るや...
  • 『山崎伯爵創作集』
    『山崎伯爵創作集』(Yamazaki hakushaku sousaku shu / The Earl Yamazaki fiction collection) 3.00・凡例 3.01・序 3.02・地震、流言、火事、暴徒 3.03・露国討つ可し、日本べからず・露国飢饉救済金募集趣旨書 3.04・大庭君を殺した者は誰か 3.05・自から不良老年となつて 3.06・社会葬・高尾君の思出 3.07・外二名及大杉君の思出 3.08・平澤計七君を憶ひて 3.09・朝鮮問題の問答集・選外壱等 3.10・罰の跋 3.11・偉大なる低能 3.12・革命の宣言(但来年より)・社会運動通信・革命来る(但本誌に) 3.13・司法官心理 3.14・裁判の正体 3.15・前編終り 3.16・本編・無料事件依頼状 3.17・我輩の問題 3.18・問題となるまで 3.19・判...
  • 賃金請求訴訟(一)(二)、訴状(三)
    賃金請求訴訟(一)           原告 別紙委任状通り百五十名           被告 株式会社築地活版製造所       訴的及申立  被告は原告等に各頭書の請求金及び之に対する大正九年一月一日以降完済迄年六分の損害金を支払ふべし  二十円以下の請求金に対する判決は仮りに之を執行することを得       請求の原因  一、原告等は期限の定めなく各頭書の日給にて印刷業者たる被告に雇はれたる印刷工なり  二、被告は対象八年十月二十七日午後十時より臨時休業し原告等の就業を不能ならしめたり  三、被告は給料支払日に於て大正七年十月二十七日午前十時迄の給料全部を原告等に支払ひたり  四、被告は本件十四日分の日給を請求する原告を休業と同時に十五日分の請求者を休業一日の後十六日分者を休業二日の後十七日分者を三日の後十九日分者を五日の後各解雇したり  五、被告は十一月四日再...
  • 平民大学夏期講習会(1)
    平民大学夏期講習会  山崎はその主催する平民大学名義で社会主義の宣伝研究を目的として「平民大学夏期講習会」を催している。内務省警保局の内部文書によると、大正8年夏、大正9年夏にそれぞれ開催された記録が残っている。 (大正8年) 開催年月日:大正8年8月8日~同月15日 開催場所:芝区三田四国町統一協会。この会場変更の顛末については大臣招待状、訴状(2)参照。 第1日(8月8日)出席聴講者82-3名 (1)堺利彦「日本社会主義史」・・注意。 (2)大庭柯公「ロシヤノ民衆心理」・・注意。 第2日(8月9日)出席聴講者約80名 (1)川島清次郎「軍国主義理論」 (2)高畠素之「マルクス学ノ総批評」 第3日(8月11日)出席聴講者約90名 (1)荒畑勝三(寒村)「英国労働組合禁止法案ト其ノ精神」・・注意。 (2)生田張治「ニイチエノ社会観」 第4日(8月12日)出...
  • 3.25・忌避から判決まで・書記課への抗議・控訴状・控訴取下書・日記秘第四五号秘号
    忌避から判決まで  判事も検事も警察も一つ穴の狸と思ふてる素人に。予審裁判をした判事は、公判で其事件に関係する事ができない、一審裁判をした判事は、二審で其事件に関係する事ができない、其訳は先入主となる弊害があつて、公平の裁判ができないからだ。と話せば何を?!べら棒な、チヤンチヤラおかしいと笑ふだらうが、玄人はそんな事は当り前の事としてゐる。然るに弁護士判検事の懲戒となると、予審判事のする予審裁判と同じ事を、懲戒開始決定と名を付けて公判々事がやり、其同じ公判々事が又懲戒の裁判をやつてる。刑事々件なら恰ど予審判事と公判々事と、一審判事と二審判事とを一人でやるようなものだ。此不思議の現象はどこかに間違つた処があるにきまつてる。玄人のチヤキチヤキたる判検事弁護士であるから、此事は誰も気が付く筈であるのに、今迄これを問題にした被告のないのは、蓋し被告上黙つていた方が得た利益だと計算したからであらふ...
  • 施政方針を論じて上告の破毀に及ぶ
    施政方針を論じて上告の破毀に及ぶ           山崎今朝彌 ■乾坤一新仕り候へ共当部は相変らず呉下の阿蒙共にてやり居り申候、併し乍ら去り乍ら調査員も皆十数年間斯業の経験者にして剰へ連合諸強国連帯責任の協同の応援も有之候へば其点に関しては毫末も遺憾なき事を期し申候。 ■小生も昨年十一月以来「ツンボ」と共に当部主任より其専任と躍進、趣味と熱心と希望と野心とを以て頗る奮闘仕り本年コソは諸君に目に物見せ呉れんと覚悟致し候に付き東京上告専門処以来の交誼に免じ盛に御試験の程願上候。 ■新年早々には御座候へ共、最近二年間に於ける刑事上告破毀判決の理由を左の如く分類したるもの、訴訟参考にもと御目に懸け申候。  (一) 起訴の適否及審理の範囲に関する事項  イ 起訴なき事実に付審理判決す  ロ 起訴の範囲内に属する事実を範囲外と認め公訴不受理の判決を為す  ハ 予審請求書の作成場所を適...
  • 3. Memorandum
    【山崎の論文等備忘録】  この項では、未入力の山崎の論文等を記録しておくこととする。 山田富太郎著『文官高等判事検事登用弁護士試驗及第者答案集』(博文館・1902年)に収録(未確認)・・・国立国会図書館が運営する国立国会図書館サーチで「山崎今朝弥」で検索すると、本書がヒットする(ただし、館内限定公開)。同サーチの詳細情報によると、本書には山崎の「判検事登用試験」の再現答案(筆記試験:憲法、行政法、商法、民法、民事訴訟法、刑事訴訟法、国際私法)、「弁護士試験」の再現答案(筆記試験:憲法、行政法、民法、民事訴訟法、商法、刑法、刑事訴訟法、国際公法、国際私法)が掲載されているようである。これらは山崎の最初期の公刊文である(なお、山崎による最古の公刊文は、学生時代に雑誌『筆戦場』の「論説と陣幕」欄に掲載された(号数等不明)「節倹と吝嗇」なる投稿文と思われる(森長英三郎著『山崎今朝弥』(紀伊...
  • 2.07・第四編
    第四編 北里博士告発状 高尾平兵衛保釈願 禁止公判傍聴許可願 大杉事件の書式文例(尾行事件の保釈願・正力事件の告訴状・名誉回復訴状・訴訟取下書) 名誉回復請求の訴 平民大学圧迫事件(訴状(1)・準備書面・訴状(2))<一部仮名・仮地名> 警官強盗事件 立小便事件(言渡書・説諭願) 日比谷警察人権蹂躙告訴状 エロセンコ事件の建白書 判事懲戒の意見書 廃嫡訴状<一部仮名> 福田狂二対大島主事の告訴状 日米交渉不敬犯保釈願<一部仮名> 第三種郵便物認可申請 法治国秩序紊乱事件弁論要旨 [某所]富豪の轢逃訴訟<一部仮名・仮地名> 密告書 告訴取下書<一部仮名> 間諜謀殺未遂現行犯の告訴<一部仮名>
  • 「法治国」新聞紙法違反被告事件
    「法治国」新聞紙法違反被告事件  『法治国』は山崎が一時期在籍していた東京法律事務所の機関誌である。  『法治国』1918年9月号に掲載された荒畑勝三(寒村)氏の「大正聖代の一揆」と題する記事が新聞紙法第41条(安寧秩序紊乱)に触れるとして、荒畑、編集発行人たる長野国助(東京法律事務所の事務員、のち弁護士、日弁連会長)、及び小松利兵衛(同事務所の事務員)の3人が起訴されるという事件が起きた。この記事は1918年に起きたいわゆる米騒動について述べた記事であり、同月号は米騒動について特集した号であった。  この記事は、長野国助「我が法廷の記(1)」『判例時報』(345号2頁)、及び「長野国助」伝刊行会編『長野国助』(1976年)91頁に全文収録されている。  この事件の弁護人は48名もの大弁護団であり、山崎も弁護人の1人として参加している。法治国秩序紊乱事件弁論要旨はこの事件の第一審に...
  • 忌避申請却下決定(5月6日付)
          決定           申請人 山崎今朝彌  右に対する東京控訴院に於ける懲戒裁判所大正十一年(よ)第一号弁護士懲戒被告事件に付き右申請人より忌避の申請を為したるに付き決定すること左の如し       主文  忌避の申請は之を却下す       理由  申請の要旨は東京控訴院に於ける懲戒裁判所裁判長判事牧野菊之助判事西郷陽判事遠藤武治は大正十一年四月十九日申請人に対し懲戒裁判開始決定を為し其理由に於て被告山崎今朝彌は東京地方裁判所々属弁護士にして其業務に従事中小川孫六外一名新聞紙法違反被告事件の弁護人として大正十一年二月二十日上告趣意書を大審院に提出したるが其論旨中第一点前段に於て「第二審裁判所の有罪と認定したる事実に係る新聞紙の記事は文詞用語冷静平凡奇矯に失せず激越に渉らず十数年来萬人の文章演説に上り都鄙各所に行はれたる常套の論議なれば毫末も社会の平静を紊り共同...
  • 東京控訴院による懲戒判決(6月12日付)
          判決           東京市芝区新桜田町十九番地平民           東京地方裁判所々属弁護士           山崎今朝彌           明治十年九月生  右に対する懲戒事件に付検事三浦栄五郎関与の上審判する如左       主文  被告今朝彌を停職四月に処す       理由  被告今朝彌は東京地方裁判所々属弁護士にして其業務に従事中曩に第二審として広島地方裁判所に繋属したる新聞紙法違反被告事件に付判決を以て有罪の言渡を受たる被告人小川孫六同悦太の選任に因り同被告事件の上告審に於ける弁護人と為り大正十一年二月廿日上告趣意書を大審院に提出したる所其の論旨中第一点前段に於て「広島地方裁判所が前記被告人等に対し有罪と認定したる新聞紙の記事は文詞用語頗る冷静平凡奇矯に失せず激越に渉らず十数年来萬人の文章演説に上り都鄙各所に行はれたる常套の論議なれば...
  • 3.24・期日進行再度上申書・懲戒裁判所の判決(第一審東京控訴院)
    期日進行再度上申書 大正十一年(よ)第壱号事件に付左に上申候。       要領  口頭弁論期日一日も早く御指定相成度候。尤も期日と通知との間は極めて短く願上候。明日の期日が今日の通知にても差支無之候。判決言渡は即日に願度、送達一切は電話により当方より書記課へ出頭請取候て差支無之候。  右希望申上候。       理由  実の処小生は本件を拾ひ物の様に考へ居り、こんな事で人に厄介をかけてはと、凡て消極的に謹慎仕り候処、友人は色々と心配して呉れ、会ふ毎に結果や成行を聞かれ又は意見を提出され、其親切に困り居り候。之れを無視し何時迄もだまし通すは何だか悪い様な気持が致し候。と申して一々正直に報告するも何んだか同情に甘へる様にも見え、之れも厭に候。依て小生は二三日又は五六日病気して、此間に疾風迅雷的に、判決言渡より控訴申立迄済まし、然る後一々報告かたがた控訴審の弁護を依頼し度と考へ居り...
  • 山崎の関わった雑誌
    山崎今朝弥の関わった雑誌 山崎は、社会主義者ゆえに当局から「特別要視察人」として指定されていた。 内務省警保局の内部文書中から、山崎が関わった雑誌についての当局による記述を抜粋した。 (1)東京法律 題号・・東京法律 発行回数・・月刊 一部代価・・五銭 発行所・・東京市京橋区新肴町一東京法律事務所 内容概評・・甲号特別要視察人山崎今朝弥等カ従来ノ法律事務所ヲ革新シ生活ト法律トヲ調和シ公共的精神ヲ発揮センコトヲ期ストノ目的ヲ以テ組織セル東京法律事務所ノ機関ニシテ時々現制度ヲ非難スルノ記事及要視察人ノ寄稿ヲ掲クルコトアリ 名義人・・発行兼編集人長野国助、印刷人吉田三次 ※「非要視察人ノ発行セル刊行物ニシテ主義的色彩アルモノニアラサルモ屢々主義的臭味アル投稿ヲ掲載シ又ハ労働者ニ同情スル記事ヲ掲載スルコトアルモノ」に分類されている。 (以上、『...
  • 2.08・第五編
    第五編 労働争議の「工場管理」は法律上正当の「事務管理」なり 法廷不起立問題の研究 発売禁止と森戸教授の起訴、出版法と新聞紙法 『馬鹿判決』の正体 下級判決 上級判決 上申書(一)~(三) 働主雇主間に於ける罷業、怠業、工場閉鎖並に解雇と其給料、手当、損害金等の研究 (御断り・同盟罷工の場合・怠業の場合・工場閉鎖の場合・辞職解職の場合・労働訴訟の極り文句と抗弁) 賃金請求訴訟(一)(二)、訴状(三)<一部仮名・仮地名> 労働主と資本者 治安警察法第十七条 退職手当請求訴訟<一部仮名> 東京瓦斯事件訴訟・準備書面 人間社会に対する詐欺及び偽作罪の告訴に就て(告訴状・不起訴処分に対する抗告)<一部仮名> 所謂男根事件の珍裁判<一部仮名> 風俗壊乱の程度 事実認定権 平民の法律
  • 大審院の抗告棄却決定(5月27日付)
    大正十一年(な)第二号       決定書           東京市芝区新桜田町十九番地           東京地方裁判所所属弁護士           山崎今朝彌  右に対する東京控訴院に於ける懲戒裁判所大正十一年(よ)第一号弁護士懲戒被告事件に付抗告人の為したる忌避申請を却下したる同裁判所の決定に対し抗告人は抗告を為したり依て検事の意見を聴き決定すること左の如し       主文  本件抗告は之を棄却す       抗告理由  要旨は懲戒裁判開始決定には懲戒すべき所為及び証拠を開示すれば足り其他を掲ぐるの要なきことは判事懲戒法第二十条の規定に依り明白にして刑事訴訟法の規定に於て判決若しくは予審終結決定に其理由を付すべきことを命じたると其趣を異にせり其結果として懲戒裁判開始決定を為したる判事は爾後の懲戒裁判に関与することを得るも前審の判決又は予審終結決定を為したる判...
  • 廃嫡訴状
    廃嫡訴状           原告 [甲野太郎]           被告 [甲野一郎]       訴的及申立  被告を廃嫡す       請求の原因  被告は明治二十九年生れの被告長男にして其法定の推定家督相続人なるが被告は左の理由により其廃嫡を請求す       一  原告は家に巨萬の富を積まずと雖も人に一文の借財もなく無産階級に属する「ブリキ」職人としては毎日第一流の生活を営むものなり       二  被告は所謂大杉一派に属する危険人物にして之を以て寧ろ名誉と心得、日本特有の家族制度の如きは更に之を尊信せす、従て又其家名の重んずべく家督相続の有り難きを知らず、反て常に之を嘲笑し軽視す       三  被告は又職としてブリキ工にてあり乍ら其身分を忘れて、初めは文学今は又労働運動に熱中し之を天職と心得人職を等閑に付す       四  被告は自ら進んで其...
  • 論文『弁護士改正論』
    論文『弁護士改正論』  山崎には、『弁護士改正論』という論文がある。初出は山崎が所属していた東京法律事務所の機関誌『東京法律』第25号(大正5年11月1日発行)1頁、第26号(同年12月1日発行)3頁であり、同論文は雑誌『新社会』第3巻5号(大正6年1月1日発行)40頁に転載されている。  その内容は、弁護士には階級・地位の差はない。しかし実態として弁護士は少数の資本主たる「元老弁護士」と多数の被庸者であり使用人である「青年弁護士」にわかれる。それでは元老弁護士と青年弁護士との間に実力の差はあるか。否である。元老弁護士というのは虚名にすぎず、元老弁護士は青年弁護士の学才を盗んでいる。今日の弁護業務の実際は賃金を得て働く青年弁護士によってなされていながら、請負名義が元老弁護士であるために依頼人は巨額の報酬を要求されている。もし青年弁護士が直接に事件を引き受けたならば依頼人は報酬の低...
  • 前内閣の雑誌「解放」弾圧史(後編)
    前内閣の雑誌「解放」弾圧史(後編)           山崎今朝彌       命令書  大正十五年十一月一日附『解放』第五巻第十五号臨時増刊守田文治著『各国革命文書集』号は秩序を紊乱する虞れありと認め其の発売頒布を禁止す。  大正十五年十一月三日           内務大臣 濱口雄幸       通知書  先般決議に相成候検閲制度改正法律案作成の件並に解放発売禁止訴訟提起の件は其儘と相成居候処、今回又『解放』十一月号全く理由なき発売禁止と相成候に付き此の機を利用して決議に基く訴訟提起し度に付応援を乞ふ旨山崎氏より申出有之候に付ては明後正午より会館にて総会開会候条御参集相成度候也  大正十五年十一月七日    自由法曹団       発売禁止事件訴状          東京市芝区新桜田町十九番地          原告 解放事 山崎今朝彌       ...
  • 告訴状・不起訴処分に対する抗告
    人間社会に対する詐欺及び偽作罪の告訴に就て           告訴人 堀 保子 代理人 山崎今朝彌           被告 [甲野太郎] [乙川一郎] [丙山二郎] 告訴状       告訴の事実  被告[太郎]は告訴人の知人堺利彦氏を介して本年五月頃、『人間社会』の創刊号に告訴人及び伊藤野技神近市子二氏の著作を掲載し雑誌の呼物となし其売行を図り度、原稿料は最高の額を支払ふ故是非寄稿を願ふ旨再三再四の懇請ありたるも、告訴人は他二氏と其性格経歴思想を異にし、彼等と共に喧伝せられ彼等と共に類別せられ常に世の評に上る事に少なからず無上の苦痛不快を感する折柄なれば、右懇請を其都度堅く拒絶したり。  六月上旬頃[一郎]は『女の世界』記者と称して告訴人を訪問し、右雑誌に掲載すべき、近時の感想に就き告訴人の演述を求めたり、告訴人は主筆青柳有美氏編集長安成二郎氏とは年来懇親の間柄にして大概...
  • 『弁護士大安売』の新聞広告
    『弁護士大安売』の新聞広告 大杉栄主幹にかかる『労働運動』第6号(大正11年8月1日発行)12頁に山崎の著書である『弁護士大安売』の広告が掲載されているので下記に転載する。 全面広告ページのうちの四分の一面広告であり、同サイズ内に、下記のとおり平民法律所の広告と一緒に掲載されている。同ページには、『弁護士大安売』の広告の他に、凡人社による吉田只次著『貧乏人根絶論』の広告、三越呉服店の広告、星製薬株式会社のホシ胃腸薬の広告がそれぞれ掲載されている。 広告文句は下記のとおり諧謔に富んでおり、山崎の作であるかもしれない。また、平民法律所の下記広告について、山崎は『山崎伯爵創作集』収録の「我輩の懲戒問題」の中で、「入獄で赤化した自分の経験を以て、僕を頻りに赤化しようと企んだ者があつた。同時に殆んど全部の赤色新聞雑誌に左の広告が載つた。(中略)この悪戯者は、これを以て尚飽き足れりとせず、...
  • 福田狂二対大島主事の告訴状
    福田狂二対大島主事の告訴状 (八月五日の法律新聞より無断転載) 告訴状           東京市牛込区富久町番地不祥 東京監獄在監人           告訴人 福田狂二           同市麹町区有楽町番地不祥 警視庁在庁人           被告人 大島直道       告訴の趣旨  被告人は大正七年六月二十五日東京日日新聞記者に対し「福田狂二は俺の処へ金を貰ひに来た事があるからそんなよい身体を持つた人間は働いて食ふがよいと、云つて追返したことがある」と公然事実を摘示して告訴人の名誉を毀損したるものなり。       告訴の事実  大正七年六月二十五日告訴人は警視庁に警視庁官房主事にして警視なる被告を訪問し、故ありて被告を殴打したり。  被告は告訴人に殴打されたる事実を秘さんことを希ひたるにも不拘其事端なく新聞記者の知る処となり、即日東京日日新聞記者の訪問...
  • 被告人見舞状(一)(二)
    被告人見舞状(一)  益々御壮勤奉大賀候扨小生今回交通労働組合本部より敢て御貴件弁護の大命を拝し候に付き即刻参堂拝謁の光栄に浴し度と存居候折柄アラ不思議や昨夜日常信仰怠らざる尊神の霊夢に顕はるるあり『多数弁護の結果本件は遂に無罪以上』との神告を受け候間偏に御安神相成度就ては小生も本日より同志弁護士数十名の義憤弁護依頼に取掛り候始末何れ此方完結次第弁護届多勢引連れ直ちに出陣可仕先は取り敢へず御機嫌奉伺如此に御座候  噫大正九年五月廿八日           東京市芝区新桜田町十九番地           平民法律所長平民大学法律博士           弁護士 山崎今朝彌 被告人見舞状(二)  益々梅雨の候愈々御健在兎も角も目出度申納候。扨事件の儀既に御承知の通り約大半は取調を終り今月中には全部責付(註一)と係官(註二)も申され、お上の事故話し半分としても来月は多数追放の...
  • 弁護士大安売
    弁護士大安売  度胸のないのと、胆玉の小さいのとで有名の僕は、従つて又随分と物事に注意を払ふ。然るに広告では屢々不注意極まる失敗を仕出かす。序に今茲に実例二三を並べて其法律上の関係を攻究せん。       (一)  僕が明治四十年に米国伯爵と欧米各国色々博士を唯一の土産として帰朝した当時は、僕の気が驕り、心が大きくなつて居た時であるから、前後の弁へもなく、米国大使館前に事務所を開き、大々的広告をして、某小さい下宿屋の一室を借受け看板を出した。処が其頃は電話が至つて少なく、初めて開業する弁護士が其場所を選定するには、先づ第一要件として、近所に電話の架かつてる家があるか否やを調べたと云ふ仕末であつた。  僕の近所には電話がなかつた。僕は田町辺の或肉屋に電話を見付け、之を名刺や広告に濫用した。初めの間は肉屋でも妙な電話がよく懸る位に思ふていたが、仕舞に僕の業と知れて、肉屋から尻を持ち込ま...
  • 宮地嘉六・奇人山崎今朝彌
    奇人山崎今朝彌-法曹界のアメリカ伯爵-           宮地嘉六       最後の対面  山崎今朝彌氏とは終戦後、久しぶりで偶然に或る追悼会の席で落ち合つた。それがついこのあひだのことのやうだが、もうそれから三四年は経つてゐる。そのとき、丁度、卓を挟んで向ひあふことになつたので私は少しバツがわるかつた。山崎氏の方でも何か同じやうなことを感じただらう。が、氏はそんなことには頓着せぬ風で、例によつてキヨトンとした顔で隣席の荒畑寒村氏と何やら話を交へてゐた。とんだ場所におれは席を選んだものだと思つたが、もうどうにもならなかつた。見渡したところ、みんなの席はきまつてしまつてゐる。  ずつとおしまひのあたりに、空いた席がなくもなかつたが、すぐ私の隣席には小生夢坊氏がゐ、その他、私と山崎今朝彌氏との曽てのイキサツを知つてる人が多数ゐて、その人達の手前、今更席をかへるのも見えすいてゐて、逃...
  • 名誉回復訴状
    名誉回復訴状           本郷区曙町十三番地           原告 大杉 栄           麹町区有楽町警視庁内           被告 正力松太郎 名誉回復之訴       請求の目的  一定の申立に同じ       一定の申立  被告は大阪朝日、大阪毎日、東京朝日、東京日日、国民、報知、中央、やまと、都、読売、東京毎日、東京毎夕、二六新聞及時事新報、萬朝報に各一回宛題号並に原告及被告の氏名は二号其他は五号の活字にて左の広告を為すべし       謝罪広告  私事今般其身警視庁警視として刑事課長の職にあり乍ら鹿逐ふ猟師山を見ず一意専心只管貴殿の検挙に熱中の余り、其身分職責をも忘却し、思慮分別も仕らず、人も前後も弁へず、図に乗り調子付き大正八年七月十九日都下の新聞記者諸君に対し、貴殿が確かに家宅侵入詐欺取材等の破廉恥罪を犯した事ある旨を公表し其結果...
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    【Menu】 Top page 【Archive】 1. Books (1) 『粗食養生論』(Soshoku youjou ron / Regimen of lean diet;隆文館 1907年) 国立国会図書館の近代デジタルライブラリーにて本文公開中。「粗食養生論」で検索すると出ます。 (2) 『弁護士大安売』(Bengoshi ooyasuuri / Attorney s fee is under discount;聚英閣 1921年) 2.00・凡例 2.01・表紙 2.02・序文 2.03・自伝 2.04・第一編 2.05・第二編 2.06・第三編 2.07・第四編 2.08・第五編 2.09・第六編 2.10・第七編 2.11・奥付 国立国会図書館の近代デジタルライブラリーにて本文公開中。「弁護士大安売」で検索すると出ます。 (3) 『山崎伯爵創作集』(Ya...
  • 週刊社会新聞・東京社会新聞
    「週刊社会新聞」、「東京社会新聞」(いずれも東京社会新聞社)より、山崎についての記事を抜粋してみた。 「人事片々 ▲前の米国伯爵 弁護士山崎今朝彌君は今回法律文学と題する月刊雑誌を目論見来る十月一日に第一号を発刊する由」(「週刊社会新聞」第18号5頁(明治40年9月29日))  注)山崎には「雑誌発行道楽」(森長英三郎)があった。この『法律文学』はおそらく山崎が最初に出した雑誌であろう。 「人事片々 ▲山崎今朝彌君 は今回天下太平会なるものを組織したるが其の目的は濫訴健訟の弊を防ぐに在りと」(「週刊社会新聞」第21号7頁(明治40年10月20日)) 「人事片々 ▲山崎今朝彌君 奇弁護士たる同君は去る八日郷里信州諏訪に帰省せり」(「週刊社会新聞」第25号7頁(明治40年11月17日))  注)山崎は当初、東京で弁護士開業したが、一旦郷里の長野に帰郷し甲府地方裁判所所属に登録換してい...
  • ツンボ哲学
    ツンボ哲学  僕のツンボを信ぜぬ者が多い、法廷で間違を出さぬではないかと云ふけれども裁判所が討論会でない以上裁判に耳の必要はない、人の説を聞く必要がない。言はなければならなぬ事を全部言い、為すべき事を全部為せば其れで充分であると思ふ。  明治年間私が電話を初めて架設した時、無暗矢鱈に御呼出相成度候、と広告した事がある。其時代に私は常に、電話で話しが判つたり、芝居が聞へるものなら、嘸便利で面白あからふ、と思ふた、今考へると其時分から私の耳はツンボであつた。  一体君の耳はドツチがツンボだと友人が問く、聞えたり聞えなんだりするのは僕一人だから、ドツチもコツチも無いと答へるのが常の私が此間、右の耳穴を塞げば世界が忽ち静閑になる、左耳の穴に其指を移せば天下復た騒然たり。依て私は初めて右耳が少し聞えるのみだと発明した。  内で言い度事があつても近所の手前もあるからと云ふて我慢もならず、仕方が...
  • 『馬鹿判決』の正体
    『馬鹿判決』の正体 略式命令(起訴状)馬の分           被告 画家 大石七分  被告は出版法の適用を受くる雑誌『民衆の芸術』の編集兼発行人なる処大正七年十月八日同誌第一巻四号を発行したるに不拘之が発行三日前に製本を添へ内務省に届出を為さざりしものなり  右所為は出版法第三条同第二十二条に該当す依て被告を罰金卅円に処す  被告人は此命令送達ありたる日より七日内に正式裁判の申立をなす事を得 東京区裁判所 印    同所判事(検事) 印 略式命令(起訴状)鹿の分           被告 画家 大石七分  被告は新聞紙法の適用を受くる新聞紙『民衆の芸術』の編集兼発行人なる処大正七年十月八日其新聞発行に際し発行人として処定の届出を為さず  右所為は新聞紙法第四条同第三十条に該当す依て被告を罰金五十円に処す  被告人は此の命令送達ありたる日より七日内に正式裁判の...
  • 正力事件の告訴状
    正力事件の告訴状           本郷区曙町十三番地           告訴人 大杉 栄           警視庁刑事課長警視           被告人 正力松太郎       告訴の事実  被告は大正八年七月十九日被告の勤務する警視庁に於て、同庁関係の時事を報道する為め同庁に詰め居る東京市内の各日刊新聞記者に対し  (一)大杉栄は大正五年以来、支払を為すの意なくして十数人の商人より米、味噌、醤油等の日用品其他の物品を取寄せ之れが支払をなさず  (二)又同人は大正五年以来家賃を支払ふ意思なくして住宅を借入れ之れが支払を為さざるのみならず家主より立退を請求せらるるときは直ちに居直りて立退料を請求し  (三)特に同人は現住宅なる前警視庁消防本部長占有の家宅に無断侵入移住し其立退を請求せらるや却て立退料を請求せり  (四)故に大杉栄が家宅侵入詐欺並に恐喝取財の犯行あ...
  • 日比谷警察人権蹂躙告訴状
    日比谷警察人権蹂躙告訴状           告訴人 望月 桂           告訴人 久板卯之助           右両名告訴代理人 弁護士 山崎今朝彌           日比谷警察署勤務 被告人(署長) 増田伝次郎           被告人 吉川警部           被告人 福田警部補           被告人(高等主任) 網島巡査部長       傷害罪の告訴  被告等は他の氏名不詳の巡査十数名と共に大正九年十二月九日夜十一時半頃日比谷警察署内拘留部屋にて告訴人等を殴打し別紙診断書の如き療養十数日を要する負傷を与へたり       告訴事実の詳細  一、大正九年十二月十日は日本社会主義同盟の創立大会当日なりしを以て、頑迷乱暴市内に冠たる日比谷署は政府の意を忖度迎合し、独り其功を専にせんと欲し、九日朝先づ手初に前貴族院副議長侯爵黒田長成二男長七郎を...
  • 被告欧打事件
    被告殴打事件  拝啓 十一日公判の[甲野]事件十日早朝本人態々出京候、貴殿に送候一点限の趣意書の控と到底駄目の意見書とは持参候、帰阪を勧候処帰らず候、翌朝又来候、花見を勧候処応ぜず候、裁判所へ同行候、面白い控訴院の刑事傍聴を勧候処聞かず候、折角故私も出廷候、[甲野]は傍聴候、長弁論の次が私の番で候、書面通りに候、直ぐ記録閲覧室に帰候、間もなく給仕が控室迄と呼に来候、参り候[甲野]が泣候、叫候、私に喰て掛り候、私も怒候、私の拳と[甲野]の頬とが衝突候、私は再び閲覧室へ戻候、聞けば[甲野]は私が法廷を退くや否傍聴席に突立上り、私が一言も弁論せぬと泣出し、猛り出し狂ひ出し、判事の命で廷丁が漸く廷外へ連出したとの事に候、廷外でも尚泣騒ぐ故給仕が私に賺かして貰ふ為め呼に来たとの事に候。  考へれば気の毒でした、面倒がらず上告の性質を説明すれば宜かつたのです、磯部博士の事として人口に噲灸してる如く...
  • 上級判決
    上級判決 判決(一)           大杉 栄  右に対する新聞紙法違反被告事件に付き検事金山季逸干与審理を遂げ判決すること左の如し       主文  原判決を取消す被告人は無罪       理由  本件控訴事実は被告人は大正七年九月二十三日頃大石七分が発行人兼編集人となり新聞紙「民衆の芸術」第一巻第四号(四年十月号)を編集し該紙上に「恵まるる政治」及「生活の反逆」と題する安寧秩序を紊乱する事項を掲載するに際し其編集を担当したるものなりと云ふにあり按ずるに被告人が「民衆の芸術」第一巻第四号に掲載せられたる「恵まるる政治」及「生の反逆」と題する安寧秩序を紊乱する記事の編集を実際担当したる事実は之を認め得べきも右「民衆の芸術」は内務省に於て出版法に依り出版する雑誌として取扱はれたるものなること明白にして偶其記事が出版法第二条の範囲外に渉るも直ちに之を以て新聞紙なりと認め新聞...
  • 東京毎日法律相談の一日
    東京毎日法律相談の一日           東京毎日新聞社法律顧問弁護士 山崎今朝彌  昨夜の新聞には十二月廿一日午前八時より東京毎日無料法律相談日、主任記者山崎今朝彌とあり、時計はイツに八時を過ぎて今にも九時に迫らんとして居るが、八時が九時となり、九時が十時を過ぎて十一時となるを常として居る吾々裁判所の関係者が。ソウ時間通りに行つては估券が下る、と云つた様な気で九時に出掛ける。社はスグ其処だ、誰が待てるか知らんなどと考へて出した時はモウ事務室に来て居つた。控所にはストーブを囲んで五六人が待つてる。  特別イの一番で、と社の社会部の某君。問題はコウである。或職工が機械に腕を取られた、サテ大変と後をも見ず医者に駆け付ける、此切口なら取られた腕が元通りに附けられると医者は云ふ職工は元気を出して韋駄天走り、併し遅かりし由良之助、腕は不浄物とあつて火夫がトツクに焼棄して了ふた。早朝弁護...
  • 訴訟取下書
    訴訟取下書  控訴人大杉栄被控訴人正力松太郎間の大正九年ネ第二八号名誉毀損回復請求事件は今回の東京市大腐敗事件の検挙に聊か祝意を表する為め茲に断然無断控訴取下候也  大正九年十一月二十四日           大杉栄代理人弁護士 山崎今朝彌 東京控訴院第二民事部 御中 <山崎今朝弥著、弁護士大安売に収録>
  • 東京弁護士会員平出修君
    東京弁護士会 平出修君 ▲花が見える、美しい色だ、馥しい香だ、光が見える、赤い色だ、輝かしい閃だ、若い男の胸に先づ咲いた花は、恋であつた、先づ射し込んだ光は名であつた、血は幾度か湧き、心は幾度か踊つた、もし両ながら領し得た人があるならば、そは至大至幸のものであらうと自分は思つてる其頃も常にさう思つて居た、其後も常にさう思つてる、現今はどうであらう?、之は法律新聞記者の要求する問題でないから、答ふる必要があるまい ▲自分の様な、身体の弱い、従つて心の弱いものがどうして法律を学んだのであらう、それは自分を今日の位置まで養成し呉れた亡き兄の意思に遵つた丈けだ、どうして又弁護士となつたであらう(自分は弁護士と云ふものは、悪度胸の据つた人のする商売と解釈して居たのであつた)、単自分は東京に住み度かつた、唯それ一つである、そして三十七年二月以来、希望の如く東京に住まれる様になつたのは、偏に岸本先生...
  • 3.27・チツトにタント、テロリとケロリ・其後の近況と法律萬能主義
    チツトにタント、テロリとケロリ 其後の近況と法律萬能主義  病気は全快した。僕は六月初めから肺炎をやつた。しかし、抑々の初まりは去年頃から続きの風邪の続きらしい。達者の間は工合も随分悪く、熱も可なり高かつたが、愈々たまらなくなつて寝てからは却て頗る楽になつた。  当時僕の懲戒は忌避申請の却下中で、色々の都合上五六日病気にならなくてはならなかつた。ソコでその旨を早速裁判所へ届けると、すると今度は突然ホントの病気になり、自分ながら心外の至りで、到底事実とは思へなかつた。ソレにも拘はらず病気は用捨なく全快せず、全治には到底三四ケ月を要すと医者は鑑定した。総てを計算に加へ、二十九日大審院の懲戒控訴を取下げ、七月十一日に相州茅ケ崎へ転地した。茅ケ崎へきてからも二三週間は薬を呑んでみたが、何時とはなしに忘れた。七月一杯は運動が過ぎたり、勉強が過ぎたりすると、胸の辺が病人らしかつたが、八月何...
  • 日本一の判決要旨
    日本一の判決要旨  今迄、事務所で受けた裁判、として事務所で取扱ふた事件の、大審院判例要旨を出した処、以外の好評で、遠近の各法律事務所から、其事件の内容、事実、法律関係等を問合せられた、然るに私の方では、余り、此判例に重きを置かず、只埋草に書いて居たのみ故、事実の関係、事件の番号を忘却し、御問合せの各位に対し、充分の返答が出来ず、誠に恐縮した、依て今後は、篤学なる諸君に、充分満足を与へる事を期すると同時に、私も一奮発して、判決要旨は、東京法律に限ると云ふ定評を□ち得る様に精出す、数紙、発行度数、発行期日の工合で、全部とか迅速とか細大洩さずとか云ふ訳には到底行かぬが、自分で取扱ふた専門事件を、自分で、抜き書し、これで、日本一が出来なければ、世話はない、素人も玄人も均一に注読を乞ふ、偶々種明しも致します。  尚掲載の事件に付き御問合せの時は、成るべく、受何号と事務所番号を呼んで下さい。 ...
  • 去るの記
    去るの記  私には元祖狂と云ふ悪い癖がある善悪に関せず、利害を問はず、只元祖であれば遣り度い。困つた物だと自分も思ふ。私が大正二年の正月頃、日本に於ける弁護士組合の元祖を思ひ立ち、矢も盾も堪らず、之を弥生弁護士会に持出した処、旨趣には全部賛成したが、偖て其れではと云ふ者は無かつた。  茲に吉田君は其三月頃、猪俣君に組合の話を持出し、結局反対を受けたらしく、六七月頃、佐々木君と意気投合して組合組織の決心を為し、組合員の物色を初めた。第一に問題になつたは勿論私である。私の一番好いのは佐々木君と吉田君であり私は又発頭人でもある。然るに此処に一つ絶対に相容れぬ点がある。私と社会主義者との交際、及び私の服装に構はぬ事、屁を放る事、裸体になる事、要するに行儀作法に無頓着なる事即ち之れだ。前者は佐々木君が特に嫌ふ処で後者は私が『吉田君の病気』と云ふ位、吉田君の反対する処である。二人は私に社会主義者と...
  • 自から不良老年となつて
    自から不良老年となつて            弁護士 山崎今朝彌       一  不良老年の最も得意とする所は昔から若死をした者のない事であらう。此の特徴は、不良老年が概ね食ふに困らない、心配のない、楽天家である事も慥かに其一原因ではあらうが、若死したのでは到底不良老年になれないことも、恐らく一つの原因として与つて力があらう。  不良少年は多く貧乏人の群から輩出する。新聞に出る家長が大概良家の子女であることに依つても、如何に上流社会の低能児が不良少年となる事は困難の事であるかといふ事が判かる。之れに反して不良老年は極まつて有産有閑の階級から生れる。七十で撫切をした、八十で子供を生んだ、老衰して政権獲得運動をした、授爵運動が効を奏した、出娑婆つた、お節介だといふ事は到底貧乏人の話ではない。  不良少年は多く困るから、苦しいから、虐げられるから出て来る。だから可憐い所があり同情する...
  • 3.23・忌避の申請・忌避申請の決定・上申書・山崎氏の忌避申請却下されて抗告・大審院の決定書(大正十一年(な)第二号)
    忌避の申請           申請人(被告弁護士) 山崎今朝彌           被申請人(裁判長判事) 牧野菊之助           同判事 西郷陽           同判事 遠藤武治  右当事者間の東京控訴院に於ける懲戒裁判所大正十一年(よ)第一号弁護士懲戒被告事件に付き、申請人は弁護士法第三十四条判事懲戒法第十一条刑事訴訟法第四十一条第四十二条民事訴訟法第三十五条第三十六条に依り左の申請を為す       主文  被申請人を忌避す       理由  被申請人は東京控訴院に於ける懲戒裁判所の本件係判事にして其職務に従事中、曩きに大正十一年四月十九日申請人に対し懲戒裁判を開始すへきや否やを決定するに当り、弁護士法第三十四条判事懲戒法第十七条に基き其決定書主文に於て「弁護士山崎今朝彌に対し懲戒裁判を開始す」と決定し、其理由に於て『被告山崎今朝彌は東京地方裁判所所...
  • 3.20・懲戒裁判開始決定
    懲戒裁判開始決定           東京市芝区新桜田町十九番地           平民           東京地方裁判所所属弁護士           山崎今朝彌           明治十年九月生  右に対し当院検事長豊島直通より懲戒裁判開始の申立ありたるを以て当裁判所は左の如く決定す       主文  弁護士山崎今朝彌に対し懲戒裁判を開始す       理由  被告山崎今朝彌は、東京地方裁判所所属弁護士にして其業務に従事中曩きに広島地方裁判所に於いて新聞紙法違反事件に付、有罪の第二審判決を受けたる被告人小川孫六同丹悦太の選任に因り該事件に於ける上告審の弁護人と為り、大正十一年二月二十日上告趣意書を大審院に提出したるが、其論旨第一点前段に於て「第二審裁判所の有罪と認定したる事実に係る新聞紙の記事は文詞用語頗る冷静平凡奇矯に失せず激越に渉らず、十数年来萬人の文章...
  • 密告書
    密告書  告訴状記載の伊藤刑事は、十一月十日の晩取調の筋ありと称して又々告訴人を洲崎警察署に引致拘禁し私かに本件に関して取調を為し翌十一日朝釈放したるに、其事署長の耳に入り大に叱責されたる故同僚某々刑事を以て告訴人に此事だけは是非秘密にして呉れと懇願謝罪し来り告訴人も止むなく之を快諾したる由、誠に不届至極の畜生に付右事実告訴代理人より私かに密告候也  大正八年十一月十八日    山崎今朝彌 東京区裁判所検事局 御中 <山崎今朝弥著、弁護士大安売に収録>
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