山崎今朝弥 (Kesaya Yamazaki) archive内検索 / 「被告人見舞状(一)(二)」で検索した結果

検索 :
  • 被告人見舞状(一)(二)
    被告人見舞状(一)  益々御壮勤奉大賀候扨小生今回交通労働組合本部より敢て御貴件弁護の大命を拝し候に付き即刻参堂拝謁の光栄に浴し度と存居候折柄アラ不思議や昨夜日常信仰怠らざる尊神の霊夢に顕はるるあり『多数弁護の結果本件は遂に無罪以上』との神告を受け候間偏に御安神相成度就ては小生も本日より同志弁護士数十名の義憤弁護依頼に取掛り候始末何れ此方完結次第弁護届多勢引連れ直ちに出陣可仕先は取り敢へず御機嫌奉伺如此に御座候  噫大正九年五月廿八日           東京市芝区新桜田町十九番地           平民法律所長平民大学法律博士           弁護士 山崎今朝彌 被告人見舞状(二)  益々梅雨の候愈々御健在兎も角も目出度申納候。扨事件の儀既に御承知の通り約大半は取調を終り今月中には全部責付(註一)と係官(註二)も申され、お上の事故話し半分としても来月は多数追放の...
  • 2.05・第二編
    ...学夏期講習会規則 被告人見舞状(一)(二) 急告、謹告、社告 無責任広告 改心広告 法律顧問所設立趣旨
  • 賃金請求訴訟(一)(二)、訴状(三)
    賃金請求訴訟(一)           原告 別紙委任状通り百五十名           被告 株式会社築地活版製造所       訴的及申立  被告は原告等に各頭書の請求金及び之に対する大正九年一月一日以降完済迄年六分の損害金を支払ふべし  二十円以下の請求金に対する判決は仮りに之を執行することを得       請求の原因  一、原告等は期限の定めなく各頭書の日給にて印刷業者たる被告に雇はれたる印刷工なり  二、被告は対象八年十月二十七日午後十時より臨時休業し原告等の就業を不能ならしめたり  三、被告は給料支払日に於て大正七年十月二十七日午前十時迄の給料全部を原告等に支払ひたり  四、被告は本件十四日分の日給を請求する原告を休業と同時に十五日分の請求者を休業一日の後十六日分者を休業二日の後十七日分者を三日の後十九日分者を五日の後各解雇したり  五、被告は十一月四日再...
  • 2.08・第五編
    第五編 労働争議の「工場管理」は法律上正当の「事務管理」なり 法廷不起立問題の研究 発売禁止と森戸教授の起訴、出版法と新聞紙法 『馬鹿判決』の正体 下級判決 上級判決 上申書(一)~(三) 働主雇主間に於ける罷業、怠業、工場閉鎖並に解雇と其給料、手当、損害金等の研究 (御断り・同盟罷工の場合・怠業の場合・工場閉鎖の場合・辞職解職の場合・労働訴訟の極り文句と抗弁) 賃金請求訴訟(一)(二)、訴状(三)<一部仮名・仮地名> 労働主と資本者 治安警察法第十七条 退職手当請求訴訟<一部仮名> 東京瓦斯事件訴訟・準備書面 人間社会に対する詐欺及び偽作罪の告訴に就て(告訴状・不起訴処分に対する抗告)<一部仮名> 所謂男根事件の珍裁判<一部仮名> 風俗壊乱の程度 事実認定権 平民の法律
  • 上申書(一)~(三)
    上申書(一)           東京市芝区新桜田町十九番地 弁護士           上申人 山崎今朝彌       上申の趣旨  上申人申請非常上告職権開始事件に関し相当の援助を乞ふ       上申の理由  貴殿御干与の『労働新聞』『青服』『民衆の芸術』に対する新聞紙法違反被告事件は、曩きに東京区裁判所に於て貴殿御論告通り何れも新聞紙法違反として夫々の刑を科せられ候処、右中『民衆の芸術』の判決に対し被告の一人より控訴の結果東京地方裁判所は、『内務省に於て出版法に依り出版する雑誌として取扱はれたるものは、偶々其記事が出版法第二条の範囲外に渉るも直ちに之を以て新聞紙なりと認めて新聞紙法を適用すべきものにあらず』との理由を以て無罪を言渡し其判決は確定仕り候右判決の擬律が正当なりとせば『裁判所は内務省の取扱如何に係はらず其雑誌が新聞紙法に依り出版すべきものなりと認むるときは偶々...
  • 正力事件の告訴状
    正力事件の告訴状           本郷区曙町十三番地           告訴人 大杉 栄           警視庁刑事課長警視           被告人 正力松太郎       告訴の事実  被告は大正八年七月十九日被告の勤務する警視庁に於て、同庁関係の時事を報道する為め同庁に詰め居る東京市内の各日刊新聞記者に対し  (一)大杉栄は大正五年以来、支払を為すの意なくして十数人の商人より米、味噌、醤油等の日用品其他の物品を取寄せ之れが支払をなさず  (二)又同人は大正五年以来家賃を支払ふ意思なくして住宅を借入れ之れが支払を為さざるのみならず家主より立退を請求せらるるときは直ちに居直りて立退料を請求し  (三)特に同人は現住宅なる前警視庁消防本部長占有の家宅に無断侵入移住し其立退を請求せらるや却て立退料を請求せり  (四)故に大杉栄が家宅侵入詐欺並に恐喝取財の犯行あ...
  • 法治国秩序紊乱事件弁論要旨
    法治国秩序紊乱事件弁論要旨  本件記事は第一項乃至第七項に至る迄何れも秩序を紊乱する虞れある記事にあらざる事一点の疑なし従て被告は全部無罪ならざるべからず。  本件にして萬一有罪の判決を受けんか、弁護人は堅く信ずる所に従ひ本書末尾に参考として添付せる告発をなさんと欲す、希くは熟読玩味せられん事を。  大正八年一月卅一日    被告 長野国助、小松利兵衛、荒畑勝三               右三名弁護人弁護士 山崎今朝彌 東京区裁判所判事 石川音次 殿       告発状           東京市芝区新桜田町十九番地 平民法律所長弁護士           告発人 山崎今朝彌           雑誌太陽方           被告人 内田魯庵           被告人 与謝野晶子           雑誌中央公論方           法学博士兼被告人 福田...
  • 法廷不起立問題の研究
    法廷不起立問題の研究 大正九年(れ)二三五〇号 住谷操次郎上告趣意書       一、本件の事実  原判決は不法に上告人の弁護権を侵害略奪し、其弁論を聴くことなく為されたる違法の裁判なり。原審第二回公判始末書に依れば、裁判長宇野要三郎は上告人に対し検事瀧川秀雄の論告を起立聴取すへき旨諭告したるも、上告人は検事の論告に対しては起立聴取すへき義務なしと述へ起立せさりし故、裁判長は上告人か起立して論告を謹聴するにあらされは法廷の秩序は維持せされさるものと認め、再び上告人に起立を命し上告人の之に応せさるや遂に裁判所構成法第百九条の規定により上告人に退廷を命し、刑事訴訟法第百八十二条に基き対席として審理し、上告人に所謂最後の供述を為さしむる機会即ち弁護権を行使して弁論弁解を為すの機会を与へさりしものなり。  抑々刑事訴訟に在つては検事は弾劾し、被告は弁解し、判事は双方の申分を聴きて之を裁断...
  • 訴状(1)
    訴状           芝区新桜田町十九番地           原告 弁護士 山崎今朝彌           下谷区坂本警察署官舎           被告 官吏 山川秀好 名誉回復請求訴訟       目的及申立(註一)  被告は左記形式の謝罪文を奉書紙に自筆調印の上日付を付して之を原告に差入るべし(註二)       謝罪状 大正八年八月十五日貴平民大学夏期講習会に於て拙者が貴殿に対し『何ツ此野郎』と無体の言を吐き候は昻奮の余り思はず識らず出で候失言に有之別段悪意ありたる次第に無之候へば何卒御勘弁相成度茲に謝罪状差入謝罪仕候(註三) 山崎今朝彌 殿     山川秀好       請求の原因  (一)原告は明治三十四年試験に合格し明治四十年登録して今日に及びたる弁護士にして傍ら独立(註四)の平民大学を経営し平民法律、破毀判例、社会主義研究等の月刊学術雑誌を発行...
  • 訴状(2)
    訴状           芝区桜田町十九番地(註一)           原告 弁護士 山崎今朝彌           同区[某町某番地]           被告 貸席業 [甲野太郎] 損害要償の訴       目的及申立  被告は金百円に大正九年正月元日より年五分の損害を付して原告に支払ふべし(註二)       請求の原因  (一)原告は平民大学主催の学術講演会を開く目的にて大正八年六月初め自身又は代理人を以て数回被告と交渉し被告の貸席玉の井を左の条件にて借受け被告の請求する儘六月七日手付金五十円を支払ひたり 1期間は八月八日より十四日迄一週間但夜間の事 2料金は一日十一円計七十七円但座布団及煙草盆四百人分の賃料を含む 3被告に於て七月下旬より会場前に平民大学講演会の大看板を掲出する事 4飲食物の販売は被告の勝手たるべき事但酒類を禁ず  (二)右契約成るや...
  • 下級判決
    下級判決 (一)労働新聞判決           久板卯之助 和田久太郎  右に対する新聞紙法違反被告事件に付検事金澤次郎干与審理判決する左の如し       主文  卯之助を禁錮五月罰金参拾円に久太郎を発行人として禁錮五月並に罰金卅円編集人として禁錮五月に処す       理由  卯之助は五月一日久太郎は八月一日各自に発行人となり労働新聞と題する新聞紙を発行するに際し正規の届出を為さず  卯之助は前記新聞の発行人久太郎は其編集人として一号に同盟罷工と題し其造船所に於ける同盟罷工の状況を記し暗に同盟罷工を慫慂する趣旨、三号にパンを奪ふ機械と題し機械の発達に反抗を慫慂する趣旨  久太郎は尚前記労働新聞の発行兼編集人として第四号に労働階級の使命と題し資本家と労働者とは相敵手たるを以て労働組合を組織し資本を労働者の手に奪ふ可き趣旨の各安寧秩序を紊乱す可き記事を編集発行したるもの...
  • 上級判決
    上級判決 判決(一)           大杉 栄  右に対する新聞紙法違反被告事件に付き検事金山季逸干与審理を遂げ判決すること左の如し       主文  原判決を取消す被告人は無罪       理由  本件控訴事実は被告人は大正七年九月二十三日頃大石七分が発行人兼編集人となり新聞紙「民衆の芸術」第一巻第四号(四年十月号)を編集し該紙上に「恵まるる政治」及「生活の反逆」と題する安寧秩序を紊乱する事項を掲載するに際し其編集を担当したるものなりと云ふにあり按ずるに被告人が「民衆の芸術」第一巻第四号に掲載せられたる「恵まるる政治」及「生の反逆」と題する安寧秩序を紊乱する記事の編集を実際担当したる事実は之を認め得べきも右「民衆の芸術」は内務省に於て出版法に依り出版する雑誌として取扱はれたるものなること明白にして偶其記事が出版法第二条の範囲外に渉るも直ちに之を以て新聞紙なりと認め新聞...
  • 暫く逆戻りだ
    <「普選」「治法」共に愈々議会に上呈されんとしてゐる。左記の場合無産階級運動は如何なる運動形態を採つて進む可きか。(一)「普選」のみ通過せる場合。(二)「普選」「治法」共に通過せる場合。(三)「治法」のみ通過せる場合。という問いに対する回答> 暫く逆戻りだ    山崎今朝彌氏  (一)天変地異のなき限り大概(一)と相場はきまつてゐる。治法は検束法即決例程恐いものではないが、充分恐怖には役立つ。で少くとも一時は、右と左が益々左右に分解する。  (二)ここ暫らくは逆戻りとある。  (三)今の形勢で進んで行く。 <以上は、山崎今朝弥氏が著作者である。> <旧仮名遣いはそのままとし、踊り字は修正した。旧漢字は適宜新漢字に直した。> <底本は、『復刻版進め』(不二出版、1989年)、底本の親本は、『進め』(進め社)第3年3号(大正14年(1925年)3月号)7頁>
  • 北里博士告発状
    北里博士告発状           京橋区新肴町一番地           告訴告発専門弁護士           告発人 山崎今朝彌           芝区白金三光町、北里研究所長           医学博士、医師           被告人 北里柴三郎       告発の要旨  被告は其筋の許可を受けず細菌学的予防治療品たる赤痢予防液、感作コレラワクチン腸チブス予防液、感作腸チブスワクチン、狂犬病予防液を製造販売したるものなり。       告発の事実  (一)貴庁所管三田警察署は大正元年十二月、医師奥山伸が、其筋の許可を受くることなく、細菌学的予防治療品の一種腸チブス予防液を製造し、之を官公署、学校、病院、医師に実費分与したる事実を省令違反として告発し、検事は之を起訴したり。  (二)奥山及び其弁護人たりし告発人等は、省令は営利の目的を以て製造販売する者を取...
  • 山崎による抗告申立書(同10日付)
          抗告申立書  抗告人に対する東京控訴院に於ける懲戒裁判所大正十一年(よ)第一号弁護士懲戒事件に付き曩きに抗告人より忌避の申請を為したる処今回却下の決定ありたるを以て茲に即時抗告す       一定の申立  原決定を破棄す  抗告人の本件忌避申請は誠に理由あり       抗告の理由    一、抗告人の忌避申請理由は 懲戒裁判開始決定には如何なる所為が問題たるか其所為ありたる事は如何なる証拠に依て之れを認めたるかを開示して裁判を開く旨を宣言すれば足るものにして其所為が如何なる理由により如何なる条項に違背するものなるかを断定論決すべきものにあらず然るに本件係判事は抗告人は斯く斯くの所為を為し其事実は斯く斯くの証拠により之れを認む依て懲戒裁判を開始すと宣言決定したる外尚進んで右の抗告人の為したる行為は弁護士の体面を汚すべきもの(即ち汚したるもの)にして東京弁護士会の会則に違反するも...
  • 上告専門所略則・改正広告(但元通)
    上告専門所略則 大正五年一月発布 ------ 東京市芝区新桜田町十九番地 上告専門所 専用電新橋一九一一番 振替東京二八一七二番 所長 上告専門弁護士 山崎今朝彌 ------ 略則  山崎今朝彌発明に係る独特の方法に基き、山崎今朝彌自ら専心専意上告事件の調査を為す。  上告事件の外『事件』の調査又は鑑定を引受く。  総て受任の即日又は翌日調査に着手、直ちに其結果を報告す。  (一)簡易、軽微の事件は手数料廿円(二)普通事件は手数料三十円成功謝金五十円(三)重大又は困難の事件は手数料及び成功謝金各五十円以上百円以下を申受く。但し事情を斟酌して(一)普通事件は手数料、成功謝金各廿円迄(二)重大又は困難の事件は手数料、成功謝金各三十円迄減額することを得  上告鑑定料を金十円以上三十円以下『事件』の調査又は鑑定料を金廿円以上五十円以下と定め、先づ之れを申受く。 改正...
  • 準備書面
    準備書面           原告 山崎今朝彌           被告 山川秀好  右当事者間大正八年(ワ)第九百号名誉回復事件に付原告の準備左の如し(註一)  (一)原告は他人より常に、君、様、殿、閣下、伯爵、等の敬称を受くる者なれば被告に此野郎と呼ばれたるに付ては人一倍に侮辱を感ず(甲第一号証)  (二)被告の侮辱言が若し原告の売言葉に対する買言葉に過ぎざるものなるときは原告の本訴請求は畢竟無理の訴訟なり、故に原告が請求の原因第四項の挨拶を為すに至りたる前後の事情を明かにするは本訴に於ては決して無益の業にあらざるべし  (三)本講演会は最初五十人位の聴講者を目的としたる小規模のものなりしが、此種の会合に対する時代の要求は意外に強く、聴講申込者既に三百を突破して将に四百に垂んとせるより、被告は甚く之に驚きたるものか、八月五日頃突然原告に種々の事情を訴へて種々の注文を持込み、...
  • 続々相撲見物無罪論(完)
    続々相撲見物無罪論(完)           山崎今朝彌       一  検事は(一)被告は会長副会長等の区別に従ひ役員候補者其他に約二萬円の運動費を寄附せしめ総会前後の宴会に於て一人前一回四円以上の御馳走を給し其費用五千円を下らずと論ずるも一人平均八円乃至十円の御馳走を頂戴するものが一円又は五十銭の相撲切符にて買収せらるる理あらんや(二)三宅今村氏が相撲協会に縁故ある以上常陸山の予審廷に於ける供述は全部之れを信用するを得ずと云ふも検事と関係ある司法警察官の作成書類と雖も証拠の材料となるにあらずや(三)当日会長が検事正に電話を以て「即刻職権により臨席せられたし」と申請したるは被告有罪の確証なりと論ずるも亡者が安んぞ赤鬼の来場を乞ふの愚に出でんや(四)総会当日に於ける討議提案妨害喧噪乱暴狼藉一切の余興係を其一族郎等譜代恩顧に請負はしめたるは被告の業にあらずして何ぞやと問ふも川島加瀬卜...
  • 施政方針を論じて上告の破毀に及ぶ
    施政方針を論じて上告の破毀に及ぶ           山崎今朝彌 ■乾坤一新仕り候へ共当部は相変らず呉下の阿蒙共にてやり居り申候、併し乍ら去り乍ら調査員も皆十数年間斯業の経験者にして剰へ連合諸強国連帯責任の協同の応援も有之候へば其点に関しては毫末も遺憾なき事を期し申候。 ■小生も昨年十一月以来「ツンボ」と共に当部主任より其専任と躍進、趣味と熱心と希望と野心とを以て頗る奮闘仕り本年コソは諸君に目に物見せ呉れんと覚悟致し候に付き東京上告専門処以来の交誼に免じ盛に御試験の程願上候。 ■新年早々には御座候へ共、最近二年間に於ける刑事上告破毀判決の理由を左の如く分類したるもの、訴訟参考にもと御目に懸け申候。  (一) 起訴の適否及審理の範囲に関する事項  イ 起訴なき事実に付審理判決す  ロ 起訴の範囲内に属する事実を範囲外と認め公訴不受理の判決を為す  ハ 予審請求書の作成場所を適...
  • 尾行事件の保釈願
    尾行事件の保釈願           傷害被告 大杉 栄  右被告は右事件にて昨日拘禁の身と相成候、然る処  (一)本件は時節柄、警視庁が無政府主義者なる被告を検挙せんと欲して苦心再三、種々の罪名を付し数回の告発に及びたるも、公明正大なる検事局の御取調にて其都度痛快に釈放せられ、警視庁が一時に天下の嗤笑を買ひ侮蔑を集めたる結果、其名誉回復に漸く探し当てたる、其昔一度千葉に於て手を着け不検挙其儘となり居たる犯罪に有之候  (二)従て被告は本件に就ては逐一終始、犯罪事実を自白致し今後も毛頭変る処無之候  (三)故に被告は警視庁の手先に非ざる裁判所が何故被告を拘禁するか其理を解し能はざる次第に有之候  (四)特に被告は今月中に明渡す約束を以て現在宅を賃借致し居り候故(此住宅こそ警視庁が曩に被告を家宅侵入なりとして検挙し直に馬脚を顕したる件のものに有之候)若し此儘拘禁を継続せらるるに於...
  • 3.11・偉大なる低能
    偉大なる低能 前編 僕の・・・・・・でありたい事  (一)(法律家)としては、常に法律界の異端者、弁護士界の反逆者でありたい。  (二)(社会運動者)としては、何事にも黙々と賛成する相談役でありたい、どつちにも味方となれる喧嘩の仲裁役でありたい、如何なる屁理窟にでも感心出来る苦情の聴役でありたい。  若し夫れ(三)(家庭の人)としては、何にも知らない唯々諾々の好々爺でありたい、圧制極まる純粋無垢の専制君主でありたい。  これは僕が、昨年暮某誌の創刊号によせた、貴下の・・・・・・でありたい事、と題する問合せの返答である。其後其雑誌は見た事がないが、僕は実際、反逆を好み喧嘩をすく。平和を愛し抵抗を厭ふ。自由を求め専制を欲す。僕の『偉大なる低能児の化石』も、遠く源をこれに発し、流れ流れて漸くここに問題に入つたのだ。 森下代議士の除名と見舞状  けふの新聞には、日本弁護士協会はトウトウ...
  • 書式文例(二)
    書式文例(二) 上告内規           山崎今朝彌       第一 総規  一本規ハ其適用ノ必要ナキトキハ適用セズ  二何人ト雖モ本規ニ定メナキ理由ヲ以テ臨機応変ノ処置ヲ為サザル責任ヲ免ルルコトヲ得ズ  三本規ハ総テ必ズ直チニ之レヲ為ス可キモノトス       第二 受任  一受任者ハ受任ノ際委任状、弁護士選任届、契約書其他必要書類ト共ニ手数料ヲ受取ル  二委任状、弁護士選任届、契約書ノ書式左ノ如シ ~~~~~~       委任状  大正何年(オ)第何号私対何某間ノ上告事件ニ付左記弁護士ニ民事訴訟法第六十五条第一項第二項ノ訴訟行為代理ヲ委任ス  大正何年何月何日    何某 濱口喜一、上村進、吉田三市郎、田阪貞雄、山崎今朝彌、阿保浅次郎、佐々木藤市郎 ~~~~~~       弁護士選任届  大正何年(れ)第何号私関係ノ上告事件ニ左記承諾捺印ノ弁...
  • 弁護士となつた動機
    弁護士となつた動機  (一)小作百姓では食へず、工場奉公では我儘が出来ず、と云ふて師範学校に入学出来る程の学問も無かりし故、苦学しながら弁護士にでもならんと考へ、一番楽な法律を学びたる故なり。  (二)イ、欲と良心との間に立ち、報酬を依頼人より取る事なり、金は欲しいし、気の毒ではあるし。(苦)     ロ、敗ける覚悟で、富豪官憲を相手に訴訟するとき。(楽) <山崎今朝弥著、弁護士大安売に収録>
  • 奇人変人ソラツンボ並に変死記事取消請求書(山崎今朝彌)
     * * * * * *  此記事に対して筆者と中外社を相手取り「生存権確認訴訟」を提起し、検証の申請をして裁判所から死んでるか生きてるかを調べて貰ふも面白いが、余り人を馬鹿にした様に誤解される虞れがある。と云ふても損害賠償の訴は真面目腐つてるし、「生存広告請求訴訟」は此記事が人の名誉を毀損しない以上民法第七二三条により出来そうにもない、止むなく新聞紙法により取消請求をした。 奇人変人ソラツンボ並に変死記事取消請求書           『応用ユーモリスト』 弁護士 山崎今朝彌  拝啓貴社発行『中外』第二巻第十号(九月号)御掲載『山崎今朝彌の死』と題する、『立派なユーモリスト』貝塚渋六氏執筆の記事中、拙者が(一)奇人変人なる事(二)ソラツンボを遣ふこと、(三)秀逸の変死を遂げた事、の三点は、全く拙者の関知せざる事実に有之、其理由は  (一)拙者は元来、学問、素養、品性等...
  • 続相撲見物無罪論(二)
    続相撲見物無罪論(二)           山崎今朝彌       法律上の無罪論  成程検事と共に本件を有罪視する者の論ずる如く法文には「賄賂を以て投票を為さしめたる者は云々に処す」とありて、被告等が賄賂を提供し投票を為さしめたるは天下に争なき処なれば、犯罪の成立に付ても一点の疑なきが如しと雖も、旧刑法二三四条は公選の投票を偽造する罪の二三三条を受けたる規定なれば文理解釈上茲に所謂投票とは公選の投票を云ふ、公選の投票とは公共的性売を有する職務を遂行する議員を選挙する為めの法定投票を指す(註二)が故に、本件犯罪の成立するには常議員は弁護士会の事務を、弁護士会の事務は弁護士の職務を遂行するものにして、弁護士の職務は公的性質を有し弁護士は公人なる事を確かめざるべからず。  或は弁護士法一条「弁護士は裁判所の命令に従ひ法律に定めたる職務を行ふ」との規定を引用して弁護士は公人なり其営業は公...
  • 3.12・革命の宣言(但来年より)・社会運動通信・革命来る(但本誌に)
    革命の宣言(但来年より)  本誌は来年一月号から保証金を積み新聞紙法により発行し時事評論雑誌とします。蓋し労働運動、労働者、労働新聞、大衆運動、社会主義、自由人等皆枕を並べて発行禁止になつたからです。併し本誌は主として時事を評論せず、専ら同志又は団体の消息を掲載する事にします。但、被告学、犯罪学、裁判学、監獄学、等法律学説も研究する事従前の通りです。就ては同志諸君の寄稿寄附、を切望します。       第一、寄稿  一、自己若しくは他己の事を成るべく簡単で最も詳しく。  二、裁判事件等は其起原沿革結果等を最も詳細に本誌は之れに一々論評批判を加へたく思ふ。  三、個人消息は幾分運動に関するものに限る。  四、地方の情況は個人又は団体の消息と見做す。  五、悪口と宣伝とは常に没書することあるべし。  六、原稿は保存も返還もせず、其代り郵便局にて公開する事あるべし、中途押収を望ま...
  • 3.09・朝鮮問題の問答集・選外壱等
    朝鮮問題の問答集       (一)  今、日本が米国に併呑され、米国人が日本及日本人を軽蔑し又は虐待するなら、僕はキツトその時、日本の独立運動に狂奔するに相違ない。印度や愛蘭以上の深刻激烈のものであるに相違ない。さうして、先づ第一に独立運動を国家主義だの愛国主義だのと嘲笑する日本人に向つて、生命がけの戦争を開始するに相違ない。解放運動が有らゆる桎梏から逃れることが目的である以上民族的隷属に基く軽蔑や虐待からも解放さるべく、先づ独立運動を捲き起すのは当然だ。僕は今朝鮮問題を考へて真に『自分を抓つて人の痛さを知れ。』と云ふことをシミジミ日本人として感ずる。       (二)  実に甚だ遺憾ながら、東洋第一の文化を誇る日本内地と雖も、信濃川電化工事に際し鮮人虐殺頻々と起らば、死体陸続信川に浮ぶ位は朝飯前のことと存候。  此の事が東洋第一の日本に起りたること、電化工事に際し起りたるこ...
  • 告訴状・不起訴処分に対する抗告
    人間社会に対する詐欺及び偽作罪の告訴に就て           告訴人 堀 保子 代理人 山崎今朝彌           被告 [甲野太郎] [乙川一郎] [丙山二郎] 告訴状       告訴の事実  被告[太郎]は告訴人の知人堺利彦氏を介して本年五月頃、『人間社会』の創刊号に告訴人及び伊藤野技神近市子二氏の著作を掲載し雑誌の呼物となし其売行を図り度、原稿料は最高の額を支払ふ故是非寄稿を願ふ旨再三再四の懇請ありたるも、告訴人は他二氏と其性格経歴思想を異にし、彼等と共に喧伝せられ彼等と共に類別せられ常に世の評に上る事に少なからず無上の苦痛不快を感する折柄なれば、右懇請を其都度堅く拒絶したり。  六月上旬頃[一郎]は『女の世界』記者と称して告訴人を訪問し、右雑誌に掲載すべき、近時の感想に就き告訴人の演述を求めたり、告訴人は主筆青柳有美氏編集長安成二郎氏とは年来懇親の間柄にして大概...
  • 警官強盗事件
    警官強盗事件           本郷区駒込千駄木町二一〇 画工           原告 望月 桂           府下巣鴨町一七八六 文工           原告 橋浦時雄           右二名訴訟代理人 弁護士           山崎今朝彌           京橋区北紺屋警察署 警視           被告 渡邊鉄三郎           同所 警部           被告 中島義明           同所 巡査           被告 吉川勝太郎 贓物返還並に強盗損害請求之訴訟       訴訟の目的  本訴の目的は一定の申立と同一なる外官吏の暴行若くは直接行動に基く危険思想の伝播を防止するに在り       請求の原因  一、原告は訴外同志数十名と共に大正九年十一月二十三日より同二十八日迄黒耀会第二回展覧会を京橋区南伝馬町...
  • 名誉回復請求の訴
    名誉回復請求の訴           京橋区尾張町新東京新聞社           原告 藤田貞二           右訴訟代理人           弁護士 山崎今朝彌           麹町区有楽町二丁目一番地           被告 帝国劇場株式会社           右法定代理人取締役社長           渋澤栄一       一定の申立  被告は原告に対し東京市内に於て発行する日刊新聞、日本、二六新聞、報知新聞、東京日々新聞、東京朝日新聞、東京毎日新聞、東京毎夕新聞、東京毎日電報、東洋新報、豊国新聞、中央新聞、中外商業新聞、萬朝報、読売新聞、やまと新聞、国民新聞、都新聞、時事新報、及び文芸倶楽部、演芸画報に初号活字を以て三回左の謝罪広告を為すべし       謝罪広告 抑当劇場二月狂言第二佐藤紅緑作『日の出』二幕の儀は貴社と同名なる東京新聞社の...
  • 3.23・忌避の申請・忌避申請の決定・上申書・山崎氏の忌避申請却下されて抗告・大審院の決定書(大正十一年(な)第二号)
    忌避の申請           申請人(被告弁護士) 山崎今朝彌           被申請人(裁判長判事) 牧野菊之助           同判事 西郷陽           同判事 遠藤武治  右当事者間の東京控訴院に於ける懲戒裁判所大正十一年(よ)第一号弁護士懲戒被告事件に付き、申請人は弁護士法第三十四条判事懲戒法第十一条刑事訴訟法第四十一条第四十二条民事訴訟法第三十五条第三十六条に依り左の申請を為す       主文  被申請人を忌避す       理由  被申請人は東京控訴院に於ける懲戒裁判所の本件係判事にして其職務に従事中、曩きに大正十一年四月十九日申請人に対し懲戒裁判を開始すへきや否やを決定するに当り、弁護士法第三十四条判事懲戒法第十七条に基き其決定書主文に於て「弁護士山崎今朝彌に対し懲戒裁判を開始す」と決定し、其理由に於て『被告山崎今朝彌は東京地方裁判所所...
  • 破格の栄光、本誌の献納
    破格の光栄、本誌の献納 ~~~~~~       謹告  本号は、購読者及び非購読者全部のみに発送しました。       購読者  とは当方の帳面に、注文、入金、交換等の印があり、毎月欠かさず送つて其の大々部分は代価を貰ふ読者であります。       非購読者  とは当方の都合で時々本誌を送つたり送らなんだりする人々であります。併し勿論購読者と成つて貰ひ度いのが山々ですから、之れを見本と思召し、御気に召す召さぬに関せず、何卒端書で、毎月送れとの御注文を願ます。年に一度五拾銭の危険ある事は止むを得ません。       貴下  は当方の帳面には、二頁と三頁との欄内に記載した類別通りの読者となつて居ます。併し同地同姓又は名簿が隣り合の為め又は書生の怠慢等の理由で、当方の帳面に萬遺漏なき事を期しません。記入違ひなる事を御一報下さらば、喜んで直ちに訂正致します。又本号は年末年始の ...
  • 名誉回復訴状
    名誉回復訴状           本郷区曙町十三番地           原告 大杉 栄           麹町区有楽町警視庁内           被告 正力松太郎 名誉回復之訴       請求の目的  一定の申立に同じ       一定の申立  被告は大阪朝日、大阪毎日、東京朝日、東京日日、国民、報知、中央、やまと、都、読売、東京毎日、東京毎夕、二六新聞及時事新報、萬朝報に各一回宛題号並に原告及被告の氏名は二号其他は五号の活字にて左の広告を為すべし       謝罪広告  私事今般其身警視庁警視として刑事課長の職にあり乍ら鹿逐ふ猟師山を見ず一意専心只管貴殿の検挙に熱中の余り、其身分職責をも忘却し、思慮分別も仕らず、人も前後も弁へず、図に乗り調子付き大正八年七月十九日都下の新聞記者諸君に対し、貴殿が確かに家宅侵入詐欺取材等の破廉恥罪を犯した事ある旨を公表し其結果...
  • 週刊の終刊から三誌の合同まで・前金の始末から営業の広告まで
    週刊の終刊から三誌の合同まで 前金の始末から営業の広告まで           山崎今朝彌  本誌卅九号の出たのは三月十二日であつたから四十号は三月十九日に出るべきだつた、例によつて平澤計七君が土曜の十七日に編集に取りかかると、印刷所たる東京毎夕新聞社から突然四十号からの印刷を断わつてきた。寝耳に水に驚いて早速其不法不信を責めると、色々の弁解はあつたが要するに新に「本所新聞」を発行するに付き臨時物印刷部を廃止するから営業上止むを得ないといふのである。ナゼせめて一ケ月も前に断わつてくれないかと詰問すると、週報だけは従来の関係上特別に是非ヤツて上げたいと思つて今の今迄心配して居たのだから不悪と答へる。一萬円の損害請求で脅迫もして見たが、利目は二三日まつてくれが二三回続いて一週間を無意味に経過した計りであつた、トド東京毎日や大勢新聞を聞合せてくれた上堅く駄目と断わつてきた。 (以上1ペー...
  • 私は既に滅亡したる大日本帝国とは更に関係がない
    私は既に滅亡せる大日本帝国と更に関係がない  大日本帝国の国債、外交、欺瞞、奸黠に対し、君は如何なる責任を負担するか、との質問を屢々受けた私は、大日本帝国と私とは更に何等の関係がない、従つて大日本帝国の事に関しては絶対に責任を負はない、一体私は大日本帝国が如何なる悪事を為したるか、如何程借金があるかを知らない、と答へるを常とした。成程大日本帝国では、私を顧問とか総裁とか宣言して居る、併し之れは私の承認なく、国長が勝手に為た事であるから、私に大日本帝国の一員たる義務を発生しない、私は、君の総統する大日本帝国が頻りに僕を誹謗する、君の取締を望むとの、一友の手紙に対し、君が大日本帝国国長を告訴するなら僕は喜んで君の告訴代理人となると答へた位である。  私が大日本帝国の国王でもあるかの如く世間から誤解を受けた原因は(一)大日本帝国の所在地が私と同所なる東京芝桜田十九番地なる事(二)家主が同一の...
  • 『平民法律』第11年10号
    平民法律           山崎今朝彌独集 前編       僕の・・・・・・でありたい事  (一)(法律家)としては、常に法律界の異端者、弁護士界の反逆者でありたい。  (二)(社会運動者)としては、何事にも黙々と賛成する相談役でありたい、どつちにも味方となれる喧嘩の仲裁役でありたい、如何なる屁理窟にでも感心出来る苦情の聴役でありたい。  若し夫れ(三)(家庭の人)としては、何にも知らない唯々諾々の好々爺でありたい、圧制極まる純粋無垢の専制君主でありたい。  これは僕が、昨年暮某誌の創刊号によせた、貴下の・・・・・・でありたい事、と題する問合せの返答である。其後其雑誌は見た事がないが、僕は実際、反逆を好み喧嘩をすく。平和を愛し抵抗を厭ふ。自由を求め専制を欲す。僕の『偉大なる低能児の化石』も、遠く源をこれに発し、流れ流れて漸くここに問題に入つたのだ。     ...
  • 近世判決見本
    近世判決見本           弁護士山崎今朝彌評釈 大正四年れ第一六六七号       判決書           東京都芝区三田四国町二番地医師           奥山伸           当四十三年  右痘病及血清、其他細菌学的予防治療品製造取締規則違反被告事件に付、大正四年五月六日東京地方裁判所に於て、言渡したる判決に対し被告及弁護人は上告を為したり、因て判決する左の如し  本件上告は之を棄却す       理由 [上告趣意書第一点]  原判決は被告を警視総監の許可を受けず、細菌学的予防治療品の一種なる「チブス」予防液を製造して、販売したる者とし、内務省令細菌学的予防治療品製造取締規則第四条を適用罰金拾円に処し、其証拠として原審に於ける被告の「私の製造したる本件予防液は、一合乃至七合入七百十壜乃至千四百壜なる旨」の供述を採用せり、右被告の供述せる所のもの...
  • 事務所で受けた裁判(5)
    事務所で受けた裁判(5)           山崎今朝彌    適用法条を明示せざるも其法条を適用したる事明白なるときは擬律の錯誤にあらず  原判決は「各被告の所為は選挙法八七条一項一号に該当し被告利吉の所為に付ては刑法五五条を適用し禁錮一月に処す」とあるも刑施法一九条二項を適用し選挙法八七条一項処定の軽禁錮を刑法の刑に変更し禁錮を言渡したること明白なれば其適用法条を明示せざるも違法にあらず(大刑一)    犯罪の成立に影響なき事項及び犯罪に重要なる事実  郵便物の発送店及宛名店の場所町名の如きは犯罪の成立に影響なき事項なれば原審公判始末書中右場所町名を被告が供述したる事を見るべき記載なきに拘らず原判決が其判示事実と同趣旨の供述を為したる旨説示したりと雖も之を以て原判決破毀の瑕疵と為らず然れ共本件鉄道貨物引換証に於ける生糸莚包二個の価格が八五〇円なる事は横領行為に関す...
  • 年金恩給取戻訴訟は区裁判所か?地方裁判所か?
    年金恩給取戻訴訟は区裁判所か?地方裁判所か?           弁護士 山崎今朝彌  恩給年金証書の取戻訴訟は東京でも地方でも三円五十銭貼つて区裁判所へ提起し、裁判所も弁護士も之を怪まぬ様である。之は(一)恩給年金証書は紙代の価値でも額面の価値でもなく畢竟金銭に見積もる事を得ず(二)印紙法三条には、金銭に見積ル事ヲ得ザル物ニ関ル訴訟ニ付テハ其価額ヲ百円ト見テ三円五十銭ヲ貼用ス可シ、とあり(三)構成法十四条には、五百円以下ノ価額物ニ関ル訴訟ハ区裁判所ニ起ス可シ、とあるからとの理由だらうと思ふ。  併し此解釈は確かに誤つてる。構成法廿六条には区裁判所ニ起ス事ヲ許サレザル訴訟ハ総テ地方裁判所ニ起ス可シ、とあるから若し恩給年金証書が前述の如く、金銭に見積り得ざる物なら、此取戻の訴訟を地方裁判所に起すべきは当然で、問題となるべき問題ではない。併し印紙は只ではない、印紙法三条がある為め三円五十...
  • ホン乃木家とウソ乃木家・牧野所長答弁書
    ホン乃木家とウソ乃木家  近来の癪事蓋し所謂乃木家冒認問題に如くはない、如何に大将を毛嫌し誹毀する者と雖も未だ曽て大将心事の高潔と誠忠と公明と正大とを疑ふた者はない、果して然らば之れに免じても大将の遺思を全ふせしむべきは世の道人の心常の態である、大将の遺思は「根も幹も枝も残らず朽ち果し楠の薫りの高くもあるかな」「いたづらに立ちしげりなば楠の木もいかで香りを世にとどむべき」の二首に尽きて敢て説明を要すべき理由がない、然るに何たる大べら棒ぞや、乃木大将一人が馬鹿に偉くなるを厭ひ又は其真似を為さざるを得ざる羽目に陥るを恐るるの徒二三輩が、寄つて集つて大ソレた悪戯を働くとは。  毛利元智氏は子爵毛利元雄氏の家族なれば今回の授爵に依り明治三十八年法律第六十二号第一条第一項の適用を受け一家を創立し第二項の適用により民法中分家に関する規定準用の結果、本家の毛利姓を冒さざる可からず、然るに新聞の伝ふる...
  • 広告記事の取消文・右の記事法律講義
    広告記事の取消文  本誌六月号の読者は、欄外にあつた面白い広告文を読んだ。処があの広告文が、日本伯爵の逆鱗に触れ、幹事が呼付けられて大目玉を頂戴したかして、十三日に社会政策実行団幹事の一人、中村太八郎君が来られて、大に私を叱り付けた。続いて幹事の寄合から評議員会の招集となり、会では、土方伯に対する不敬を以て、私を除名する事に衆議は一決したが、幸ひ斡旋する者があつて、私の名誉の為めに、除名は止めて諭旨退官と云ふ事に敗けて呉れた。  そこで今度は諭旨退官の通知と正式の広告記事取消の遣外大使は誰が局に当るかと云ふ問題で随分議論もあつたとの事ですが、先づ当今では、兎に角堺利彦君に如くものなしと云ふ訳か、十五日の朝同君が来られ依願免官の諭旨の外大体左記取消文言の如く、達しがあり且つウンと油を取られた       広告記事取消請求書  拝啓、貴殿御発行の「平民法律」第七年六月号欄外に御掲載有之...
  • 事務所で受けた裁判(4)
    事務所で受けた裁判(4)           山崎今朝彌    如此は理由齟齬の裁判にして破毀を免れず  原判決前段に於ては甲が大正二年六月及び十二月の二回に全部之が支払を為したる事実を認め得べしと判示しながら後段に於ては故に甲は大正二年十二月に至り初めて全部を弁済したりと判定せるは前段は大正二年六月に於て其一部を支払ひたる事実を認め後段は其事実を否定したるものにして理由齟齬の不法あり原判決は破毀を免れず(大民一)    民法八百十三条第五号は同居に堪へざる重大なる侮辱を離婚原因とするものにあらず  上告人が本訴請求原因の一として上告人が被上告人より同居に堪へざる虐待を受けたること及上告人が被上告人より重大なる侮辱を受けたることを主張したることは明なり然るに原判決の理由を観るに「夫が他の婦女に通ずるは不道徳の行為なること勿論にして事情に依りては妻に対する同居に堪へざる...
  • 大正十五年度解放運動大観
    大正十五年度解放運動大観           山崎今朝彌  私の発見によれば本年は去年の続きである、否数年来の連続である、其中から本年の社会運動に就て今私の記憶に残る特異のものを摘記すると、  (一)労資共孰れも攻勢的、組織的、反動的であつた。  (二)同一陣容内で分裂抗争が盛んに行はれたるに不拘現実主義総連合単一政党のお題目は皆一致して居た。  (三)左翼の積極的奮闘は特に目覚しかつた。  (四)運動が闘争的、大衆的、階級的となり、思想団体、水平社、青年同盟等が衰微し、婦人運動、学生運動等が下火になつた。  (五)分合論争の結果、個人、団体、雑誌に至るまで左派右派中派の色彩分野が判然として来た。 こと等である。そして来年に持越す興味ある問題は。  (一)労農党は『大衆』派の意見が勝つて、左翼の遠慮隠忍、支部承認の厳選大会延期等で解散を免れ、中堅派が復帰するに至るかどうか...
  • 3. Memorandum
    【山崎の論文等備忘録】  この項では、未入力の山崎の論文等を記録しておくこととする。 山田富太郎著『文官高等判事検事登用弁護士試驗及第者答案集』(博文館・1902年)に収録(未確認)・・・国立国会図書館が運営する国立国会図書館サーチで「山崎今朝弥」で検索すると、本書がヒットする(ただし、館内限定公開)。同サーチの詳細情報によると、本書には山崎の「判検事登用試験」の再現答案(筆記試験:憲法、行政法、商法、民法、民事訴訟法、刑事訴訟法、国際私法)、「弁護士試験」の再現答案(筆記試験:憲法、行政法、民法、民事訴訟法、商法、刑法、刑事訴訟法、国際公法、国際私法)が掲載されているようである。これらは山崎の最初期の公刊文である(なお、山崎による最古の公刊文は、学生時代に雑誌『筆戦場』の「論説と陣幕」欄に掲載された(号数等不明)「節倹と吝嗇」なる投稿文と思われる(森長英三郎著『山崎今朝弥』(紀伊...
  • 3.17・我輩の問題
    我輩の問題       一、『小僧判事』の陰口  で忽ち天下の同情を一身に蒐めた、弁護士高木益太郎氏の法律新聞第千九百五十五号(三月十八日発行)に『山崎弁護士の奇異な上告趣意』と云ふ題で、又仲間が一人増へたそうな左の記事が出た。  米国伯爵、法学博士、医学博士、哲学博士、平民大学総長、其他色々の肩書を有する、奇人弁護士山崎今朝彌氏は今回「民権新聞」に対する新聞紙法違反事件に付きて、刑事上告趣意書を大審院刑事第一部横田裁判長に差出し、藤波判事主任となり、目下取調中なるが其趣意書中の一節に曰く  若し之をしも強いて安寧秩序を破壊するものなりとせば、日毎日常の新聞雑誌は悉く秩序紊乱となり、之を不問に付する全国の司法官は、原審判事山浦武四郎殿、江木清平殿、西豊芳二郎殿三名を除く外皆偉大なる低能児の化石なりと云はざるを得ず、天下断じて豈に斯くの如き理あらんや云云、原裁判は真に呆きれて物が言へ...
  • 急告、謹告、社告
    急告  敢て全国の文士並に著作家諸君に謹告仕候。私事今回不図も出版狂某成金氏の庇護を蒙り幾分か貧乏文士後援の気味を差加へ、損害は総て拙者損、費用は一切当方持、利益は全部貴殿遣りにて平民叢書刊行相催し度聊か其計画考案中に有之候。就ては其内容体裁代価発行売捌時期其他一切の方法に付き御気付の御高見見当り候はば是非無代にて秘密御漏洩下され間敷哉幾重にも奉願上候。尤も小生は此際百円以下の範囲内に於て必らず一人又は数人に薄謝を懸賞するの権利を有し候。  尚御賛成の上御出品の光栄に浴するを得候はば豈独り国家の為のみならんと存じ不申候。  大正六年十月一日    山崎今朝彌 謹告 ■本誌購読料に関して間接に直接に、明白に暗黙に段々と承諾を得又は申込を受けた処へ本月からボツボツ集金郵便を出しますから御承知置きを願ひます。 ■送付を再三断つたのに未だ雑誌を送るは不都合なりとの小言を頂戴する...
  • 2.02・序文
    序文  明後日中に刷り上げるから今日中に序文を書き送れと、発行所よりの電話。今日は何うしても手が離されぬから明日の日光紅葉狩り(も一寸仰山だが)を止して、と、一日の猶予を願ひ、偖愈々今日となつて見ると。人は来る用事は出来る。オマケに、洋式生活改善の第一歩として、私案大掃除を思ひ立つた当日の事とて、僕はペンを持て、室をアチコチ逃げ廻り気も心も更に落付かず、イクラ考へても、良い甘い、変つた奇抜の名案が出て来ない。依て思ひ切つて極平凡で其代り極無難の凡例でも書いて序文の代りとする事に決めた。  一、書名は発行の仲介人たる堺利彦君のお好とあつて『弁護士大安売』と極まるらしい、僕は余り好まぬが、ト云ふて外に之れ以上の良い名が付けられなんだ。著者の肩書は、総裁、総長、博士、所長などと、余り不真面目にならぬ様アツサリ、山崎伯爵疳作集、上の方へ、平民大学昇格記念出版とでもして呉れと申込んでは置いた。 ...
  • 弁護士大安売
    弁護士大安売  度胸のないのと、胆玉の小さいのとで有名の僕は、従つて又随分と物事に注意を払ふ。然るに広告では屢々不注意極まる失敗を仕出かす。序に今茲に実例二三を並べて其法律上の関係を攻究せん。       (一)  僕が明治四十年に米国伯爵と欧米各国色々博士を唯一の土産として帰朝した当時は、僕の気が驕り、心が大きくなつて居た時であるから、前後の弁へもなく、米国大使館前に事務所を開き、大々的広告をして、某小さい下宿屋の一室を借受け看板を出した。処が其頃は電話が至つて少なく、初めて開業する弁護士が其場所を選定するには、先づ第一要件として、近所に電話の架かつてる家があるか否やを調べたと云ふ仕末であつた。  僕の近所には電話がなかつた。僕は田町辺の或肉屋に電話を見付け、之を名刺や広告に濫用した。初めの間は肉屋でも妙な電話がよく懸る位に思ふていたが、仕舞に僕の業と知れて、肉屋から尻を持ち込ま...
  • 人粕事件といふもの
    人粕事件といふもの           山崎今朝彌  本稿は僕が去年の暮、復興「解放」から頼まれて書いた「地震鮮人火事暴徒」の一節である。本年二月に復興すべかりし「解放」は四月に至つてとうとう寂滅に確定し、原稿は其儘未決拘留で居たが、旅行するに付き明日から暫く怠業本日フト筐底を探して本稿を見出し、此一節は此雑誌に役立つよう考へたから茲に投書するものなり(十三、七、二九)  凡裁判と云へば、原告と被告、又は甲と乙との間に争かあつて、其争を甲にも乙にも関係のない人が其人の良心と信念とで結末を付ける事だ。で子供や生徒が悪い事をして、其れを親や先生が他の子供や生徒に見せしめのため裁きを付けても、又は職工と工場主との労働争議の際、職工長や技師長が命を承けて仲裁しても、之は裁判だ判決だとは云へない。軍法会議の裁判も其通りで事件が起きる、当局は先づ都合のよい発表なり又は新聞記事の差止なりをす...
  • 告訴取下書
    告訴取下書           告訴人 日比谷洋服店々主 服部濱次           被告人 自由協会常任幹事 [甲野太郎]  右告訴人は男子の面目上止むを得ず右被告人に対し曩に殴打内傷休業二時間を要する旨の診断書相添へ告訴提起致し置候処、警察は之を機会に被告に対し干渉圧迫を加へ遂に被告を拘引留置、未決に投獄致し候由頗る同情に堪へざる次第、依て憤然茲に告訴取下候条被告に対し寛大の御処分相成度候也  大正八年十一月十七日    右告訴人 服部濱次 東京区裁判所検事局 御中 <[ ]内仮名> <山崎今朝弥著、弁護士大安売に収録>
  • @wiki全体から「被告人見舞状(一)(二)」で調べる

更新順にページ一覧表示 | 作成順にページ一覧表示 | ページ名順にページ一覧表示 | wiki内検索

ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。