「坂の上の雲」に興味はない。

今まで一度も読んだこともない。
今後も読むことは無いでしょう。


以前戊辰戦争研究の大家。稲川明雄先生のところに遊びに行ったときの話。
稲川先生に戊辰戦争を泥沼化させる契機となった小千谷談判の事について教えを請うてみた

小千谷談判とは東北に攻め込もうとする官軍に対し長岡藩が和平の為に仲介しようと申し出たところ、応対に出た土佐藩の岩村高俊が仲介したいという言葉の意味が解らず長岡を攻撃してしまった件のこと。

岩村高俊は司馬遼太郎によれば坂本龍馬の舎弟であったと言う理由だけで官軍の将となれただけの大馬鹿者といった風の記述が有るようですが、
先生は如何思われますでしょうか?

先生はよく冷えた緑茶と水羊羹を私たち夫婦に勧めながらこう仰った

「司馬遼太郎の小説?ありゃただの物語りだよ。
物語を読んで歴史を解ったつもりになっては駄目。
確かに面白いし素晴らしい小説だけどねぇ。
小説は真実とは限らないですよ。どうしても知りたければ
可能な限り当時の文献に触れなさい。そうすれば何れ真実が見えてくる。」

このお言葉。
当時からネットで大東亜戦争だのジャスコ率いる民主党と朝鮮人に乗っ取られたマスコミは売国奴だのと論じていた私にとって大きな衝撃だった。

ソースは○○である的な書き方をしていた。
しかしそのソース本当に史実であるかの検証を行っていたのだろうか

この先生お若い頃、戊辰戦争で不明なことを調べる為に
勝手に兵士の墓とされている私有地を掘り返し警察と地主にこっ酷く叱られたこともあったそうな。

「歴史の真実を知りたいのならば本を書くつもりでおやりなさい。
そうすれば難しいことも乗り越えられる。
日本の歴史にはまだまだ手つかずの分野が沢山有る
その中で貴方にしか書けない物が必ずあるはず
そしてどんどんのめり込んでいくとね。
そのうち戊辰戦争で亡くなった兵士が毎晩夢に出てくるようになる、
そこまでやると真実を見極められる嗅覚が備わってくる。
でもねぇそこでもうけようとしちゃ駄目なんだよ。
私もそれなりに本を書いたけど、
真相だけを掘り尽くして史実に忠実に書いても売れないんだよねぇ。
印税っても原稿書くときに飲むお茶代にしかならなかった。」

色々考させられる若かった頃の一日でした

最終更新:2012年12月09日 00:56
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