剥離領域の表層を覆う、果てなき大海。
無限に続く白夜と、虚妄が統べる灰色の大地。
この世界はもう、とっくの昔に終わっていた。
超高濃度の
龍血で満たされたこの領域は、未発見の遺跡や資源を秘めた
未開拓地であると同時に、人類種にとって文字通りの死地でもある。
我々の天敵とも言える
夜行が存在しているのみならず、
龍血が霧状に分布しているこの領域では、大気そのものが人類にとって致命的だ。
人体中に存在する変異龍血とは一線を画した
源流(未作成)と呼ばれる超高濃度の大気中に含まれる龍血は、触れただけで人類種の身体に多大な悪影響を及ぼす。このため、
白夜の匡は生身での滞在が死を意味する程の極限環境と化している。
いかなる血統も我々を
源流(未作成)に適応させること能わず、その広大な領域に対抗する術を我々は持ち得ない。
更には可視光・電磁気が狂うこの大地は電子機器を初めとした既知の技術体系を否定するため、総じて我々は原始的なアプローチを余儀なくされている。
これらの特性ゆえ、
崩壊(未作成)当時から今日に至るまで、この広大な領域は未だ人の手を寄せ付けていない。
以上が今日の人類種に広く知られている
白夜の匡の概要である。しかし、物事には何事にも例外が存在する。その最たる例が我等が"開拓"の尖兵たる《
淵越の釣舟(未作成)》だ。
彼等は驚くべきことに、
白夜の匡を踏破し
罅縫軌跡(未作成)を築いた他、人類生存可能領域である
標(未作成)を敷設するという偉業を成し遂げている。
この例が示す様に、未だ
白夜の匡は未知の領域ではあるものの、決して不可侵の禁域などではない。生命を脅かす様々な脅威の傍らには莫大な未知の発見が埋もれており、我々に多大な利益を齎すことは間違いない事実である。
本テキストデータは未だ未開拓領域たる
白夜の匡の開拓、その錯綜府バルサ並びに各檻における現状を記載した手引書、先達らの遺した灯火の結実である。
────添付されたテキストデータ
[目録]
#1_位相
#2_位相深度
#3_龍霧曝露
#4_夜行
#5_危機等級
#6_車外活動
#7_指定領域
#8_秘匿技術
#9_源流共震_龍血励起
#10_龍血
#11_血統
#12_龍脈異常
#13_剥離限界
#14_人類版図
#15_先史文明
#16_光臨分類
#17_探索史
随時更新予定
なお、
檻(未作成)外部に出向く機会のない者はこれらの知識を持つ必要性を基本的に持たない。これらの事象と関わることがないことが最善であることは、疑う余地のない事実だ。
最終更新:2025年04月24日 16:49