龍霧曝露




白夜の匡(イルミナ)に充満する龍血に長時間曝された物質は『光臨』し、極めて深刻な侵食汚染を受ける。また、大気中の龍血が呼吸器系に侵入、或いは素肌を超高濃度の龍血に曝した際には人体に不可逆的な損傷が生じることが広く知られている。
これら、龍血への曝露及び原始龍血の吸引等の行為を総括して『龍霧曝露』と呼ぶ。この項目では、人体に及ぶ害、及び非生物の龍血侵食によって生じる変容について述べる。なお、物質における曝露レベルに関しては位相深度の値を参照値として用いる。
なお、龍霧曝露によって生じる変質が総じて悪影響のみを齎す訳では無いことには留意が必要である。
人体の龍霧曝露においては龍血を駆動させることで飛翔を可能とする背翼が発生したり、類稀なる聴力を発揮する獣種の耳が出現したり、果てには盲目の人間が龍血の分布によって外界を認知する視覚器官を新たに獲得した等の実例が存在する。
また、龍霧曝露によって生じる光臨体には様々な龍血機器に用いられる『オリム鋼』が存在する他、極めて稀な現象ではあるものの、曝露した物品が血統に似た特殊機能を獲得する例が存在している。不思議なことに、これら変質した物品が獲得する機能は全て元の物品が持ち合わせていた機能の拡張版であったり、何らかの接点をもつ機能となる事が数少ない実例から推測されている。
尤も、基本的に龍血曝露が齎す変化は致命的な変質であることが多いため、この数少ない成功体験を追い求めることは薦められない。




〈呼吸曝露〉
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
曝露経路は主に二種に大別される。一に呼吸器系による吸収、二に体表における曝露である。この項目では前者について述べる。
白夜の匡(イルミナ)においてマスクの装着が推奨されているのは周知の事実だが、このマスクは簡易的な龍血の濾過を行うフィルター(消費品)が搭載されている。このフィルターが何らかの原因で故障した場合に発生する事が多いのが、呼吸器系の龍霧曝露である。
実の所、やや高濃度の龍血を呼吸器系に吸収する曝露と、超高濃度の龍血を体表に浴びる曝露では 基本的に 前者の方が致死率が高い。と言うのも、龍血が人体に及ぼす害は基本的に 奇形化 で統一されるからである。この奇形化は龍血に接触した部位に優先して発生し、呼吸器系の場合、致命的な症状を引き起こす場合が多いからである(症例の一部:左肺の内部に泡のように複数の右肺が発芽する、喉内部に えら が折り重なるようにして大量発生する、など)。
一方で基本的に体表における奇形化はさほど致命的ではないものが多く、背中から手が生える、頭に寄生植物の芽が生えるといった即死には至らない症例が多い。
奇形化の進行速度・規模は曝露時間及び龍血濃度によって左右され、呼吸器系の場合はこの曝露時間及び龍血濃度の両方が軽度である場合のみ生存例が確認されている。ただし極短時間・薄い濃度(位相深度1以下)であっても肺の側面を苔が覆う等の症例で死亡するケースが大半を占めるのが実情である。
こうした龍霧曝露は檻内部で発生することは極めて稀で、意図的に龍血濃度を高めない限りは殆ど発生しない。
人類種の体内に存在する濾過器官(アビス)が生まれつき虚弱であった場合等はこの呼吸器系の龍血曝露によって死亡するケースが存在しているが、そのどれもが基本的に幼児或いは胎児段階の死亡である。なお、発症した場合の治療方法は現時点では存在しないものとされている。




〈体表曝露〉
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
人体における龍霧曝露において最も認知されているのがこの体表曝露である。と言うのも、普通に生きていれば一生に数回は必ず龍霧曝露によって奇形化した人物とすれ違う機会があるからである。
これら奇形化の部位は稀に体質等によって変動するものの、基本的には龍霧に曝露した箇所と一致する。奇形化の程度は曝露状況や当人の状態によって様々であるが、健康的な成人男性であれば位相深度2に数分間滞在することで奇形化が始まるとされる。
この奇形化の条件に影響するステータスとしては主に、曝露時間、龍血濃度のほか、曝露当時の体調、曝露箇所の負傷の有無、濾過器官(アビス)の強度の五つが存在する。
特に重要視されるのが曝露箇所の負傷の有無であり、仮に出血する程の負傷を追っていた場合、その負傷が擦り傷程度であろうと、大規模の奇形化或いは死を覚悟しなければならない。血液中に高濃度の龍血を吸収することは致命的な奇形化を引き起こす可能性が非常に高く、また曝露面積も非常に広範に及ぶからである。なお、こうした傷口の龍霧曝露からの生存例として、伝説的ミュージシャンである全身発光人間:Michael氏が挙げられる。
事ここに至って理解が及ばない人間はいないと思われるが、『凝血反応』によって構成した武装を龍血に還元して体内に戻す高等技術である『形状融解(リリース)』は白夜の匡(イルミナ)において自殺行為と同義である。行使したら最後、全身発光人間となるか死ぬかの二択を迫られる。
なお、全身の曝露を死を顧みることなく超長時間に渡って継続した場合、 揮発 することが研究機関により確認されている。
一説には、これら奇形化は総じて超短期的に凝縮された██プロ繧ケ縺────(以下、情報破損)




#3
  • 3
〈光臨体〉
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
龍血に暴露したことによって生じる変質を『光臨』、また光臨作用によって変質した物質を総じて『光臨体』と呼称する。このうち岩石や先史文明の建築物が光臨することによって生じる、龍血機器に用いられる希少材料を『オリム鋼』と、元々特定の機能を持っていた物品が光臨することによって特異機能を獲得したものを『遺物』と呼ぶ。なお、オリム鋼は別名である『剥鱗』の名でもよく知られる。
前者後者共に、先史文明の遺産が龍血によって変質した結果生まれたものが大半であり、崩壊後に製造された物品が遺物として光臨した事例は片手で数える程度しか存在しない。人工的な光臨を試みる実験は各檻で行われているものの、未だ成功例は存在していない。
遺物の大半はロストテクノロジーを内包したアーティファクトであるほか、オリム鋼は現状製造可能な最先端の機材の原材料として必需品であるため、『光臨』の恩恵はこれら光臨体を安全に確保することが可能な標(ビーコン)を巡る争奪戦を激化させる要因になっている。
また、遺物やオリム鋼は龍血汚染に対する高い耐性を保有していることから、オリム鋼は防御装備の素材として大変重宝される。もっとも、絶対的な性質でないことには留意が必要。
また、オリム鋼となることができなかった光臨体(オリム鋼の存在確率は光臨物質のうち1割にすら満たない)は、半端に龍血が染み渡った極めて危険な有害物質である。この特性のため、光臨体で擦り傷を負おうものなら重度の体表曝露は避けられない。
なお、位相深度が大きい領域で発見される遺物/オリム鋼ほど、その性能は高くなることが確認されている。つまり理論上では、位相深度5の龍雨が常に振り続ける地帯で発見されるオリム鋼が最も高性能の素材である(位相深度6は特異性が高いため除外)。
最終更新:2025年04月24日 17:16
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。