カフェにて
茜「沙織。」
沙織「ん?」
茜「どう、あれから?」
沙織「何が?」
茜「無言電話よ、まだあるの?」
沙織「うん、あるよ。」
茜「全く、誰がそんなこと…。」
沙織「それにね、最近誰かに付きまとわれてる気がするんだ…。」
茜「え…?」
沙織「会社帰りにね、私の後ろで足音が聞こえるの、アパートの近くで消えるんだけど、怖くて…。」
茜「ちょっと沙織、警察、警察行こうよ。」
沙織「でも…。」
茜「もうそれ完全ストーカーよ、あの三人の内の誰かなんでしょ?」
沙織「わかんないよそんなの、全然関係ないかもしれないし…。」
茜「でも合コンしてから無言電話が始まって、タイミング的に可能性高いじゃない。」
沙織「もう少し、もう少しだけ待って。」
茜「でも…。」
沙織「もう少しだけ様子見てみる。」
茜「取り返しのつかないことになっても知らないよ。」
沙織「うん。」
帰宅途中
暗い夜道を歩く沙織、その後ろに別の足音が聞こえる。
足音に気が付き、足早になる沙織。
早くなる足音。
走る沙織。
早くなる足音。
曲がり角、出合頭に誰かとぶつかった。
沙織「痛ーい。」
天童「痛え。」
沙織「あ。」
天童「あれ。」
沙織「天童さん。」
天童「あんた、確かこの前の…。」
走り去っていく足音。
足音を聞き、天童にしがみつく沙織。
天童「なになに、どうかしたのか?何怯えてんだよ。」
沙織「実は私、誰かから付きまとわれてて…。」
天童「え?誰もいねえぞ。」
沙織「もし迷惑じゃなかったら、アパートまで一緒に帰ってくれませんか?」
天童「え、ああ…いいけど。」
夜道にて
沙織「剣道?」
天童「ああ、俺剣道ずっとやっててさ。」
沙織「段とか持ってるんですか?」
天童「一応、剣道五段。」
沙織「すっごーい、じゃあもし襲われても守ってくれますね!」
天童「まあな。」
沙織「天童さんて、結構優しいんですね。」
天童「え?」
沙織「この前、飲み会の時は、何だか怖くて。」
天童「俺、ああいう飲み会苦手でさ、言ったろ?数合わせって。」
沙織「私も、数合わせだった。」
天童「じゃあ俺たち一緒だな。」
沙織「そうですね。」
ガサガサ…
沙織「きゃっ!」
天童「誰だ!」
……………
天童「よし、ここは剣道五段の俺が…。」
沙織「お願いします。」
天童「何か、竹刀的な物あるか?」
沙織「ないです。」
天童「まずいな、武器がないんじゃ俺何の役にも立たないぞ。」
沙織「え…。」
ガサガサ…と音を立てて風で飛んでいくビニール袋
天童「なんだ、誰もいないじゃないか。」
沙織「天童さん、私このアパートなんです。」
天童「そっか、じゃあここでいいか?」
沙織「はい、ありがとうございました。」
天童「またな。」
沙織「天童さん。」
天童「ん?」
沙織「実は最近…いえ、何でもないです、おやすみなさい。」
天童「おう。おやすみ。」
沙織の部屋の前にて
沙織「あれ、私の部屋、電気ついてる…。」
沙織「鍵も…開いている。」
沙織、ドアをそっと開ける…
●●「おかえりー!」
沙織「きゃーーー!!」
最終更新:2022年09月14日 23:31