居酒屋
透「天童、今日は俺が奢るから。」
天童「え、どうしたんだよ?」
透「感謝の気持ちだよ。天童から借りた50万、必ず返すから。」
天童「なんだそんなことかよ。」
透「だって天童、わけも聞かずにポンっと50万貸してくれたじゃないか、50万なんて大金をさ、本当に助かったよ。」
天童「わけ聞くなんて野暮だからな。」
透「天童、本当にありがとう。」
天童、小指を立てて「これだろう?」
透「そ、そんなんじゃないよ。」
天童「あれか、この間合コンした子か?」
透「だから違うって。」
天童「誰だろう、茜ちゃんかな、京子ちゃんかな、それとも…。」
天童、自分で言いかけて、止まる。
透「天童?」
天童「お、おう、悪い。」
透「沙織ちゃんだろう?」
天童「あ、ああ、よく名前覚えてるな。」
透「みんな可愛かったからなあ…でもはずれ。」
天童「何が?」
透「このお金だよ。女の子のために遣うわけじゃないからね?」
天童「本当か?こいつ。」
透「本当だよ、でも天童がわけを聞きたいっていうなら、俺、話すよ。」
天童「わけなんかいいって。」
透、微笑む。
大高が入って来る。
透「大高。」
天童「おお、遅いじゃないか。」
大高「おう。」
透「大高も仕事忙しそうだね。」
大高「天童。」
天童「ん?」
大高「お前最近…。」
天童「ん?」
大高「いや、なんでもない。」
天童「言いかけといてなんだよ。」
大高「いや、すまん。忘れてくれ。」
天童「大高。」
大高「お前何か隠してることないか?」
天童「…何だよ急に…。」
透「大高?どうしたの?」
大高「俺たちに隠してることないかって。」
天童「何も隠してねえよ。」
大高「本当か?」
天童「本当だよ、なんだよ急に、気分悪いな。」
天童、鞄を手に取る。
透「天童?」
天童「俺、帰るわ。」
透「え…?」
天童、店を出る。
透「天童!」
透、天童を追う。
一人テーブル席に残る大高。
沙織の部屋にて
ビニールシートに包まれる神田。
沙織「これ、約束のお金。」
天童に封筒を手渡す沙織。
天童「おう。」
沙織「確かめないの?」
天童「後で確認するよ、それより、早く始めようぜ。」
沙織「どうするの?」
天童「とにかくこいつを車に載せようぜ。」
沙織「車?車に載せてどうするの?」
天童「捨てるに決まってんだろう?」
沙織「捨てるってどこに?」
天童「絶対に見つからない場所見つけた。」
沙織「本当に大丈夫なの?」
天童「大丈夫だよ、お前が破滅したら俺も被爆するからな。適当な所には捨てないよ。」
天童「さあ、早く車に載せようぜ。」
沙織のアパート前
うろつく透。
透「おかしいな、確かこの辺まで来てたと思うんだけど、天童どこに行ったんだ?」
沙織の部屋から出てくる天童、沙織、大きな荷物を運んでいる。
透「…ん?」
最終更新:2022年09月14日 23:37