天童の車
沙織「どこなの?」
天童「何が?」
沙織「死体を捨てる場所よ、どこなの?」
天童「この山道を行った先だよ。」
沙織「どこなの?」
天童「ほら、今山を登ってるだろう?このガードレールの下、人なんか絶対に来ない場所だぜ。ここに突き落とす。」
沙織「…。」
天童「どうした?胸が痛むか?」
沙織「…。」
天童「でもこいつが見つかったら、あんたは破滅だぞ?」
沙織「わかってるわよ。」
天童の車が走る。
その後ろを透の車が走る。
山道
街頭はほとんどなく、月明かりだけの薄暗い場所。
ガードレールの向こう側は崖となっており、崖下は漆黒に包まれている。
車から降りてぼんやり月を眺める二人。
天童「…満月がキレイだな。」
沙織「…。」
天童「さあ、始めようぜ。」
車のトランクから死体を出す天童。
天童「おい、お前も手伝えよ。」
沙織、天童と一緒に死体を車から降ろす。
ガードレールに死体を立てかける。
少し離れたところから透が見る。
天童「おい、最後にもう一度、顔見るか?」
沙織「見ないわよ。」
天童「冷たい女だねえ、一度は愛した男だっていうのに、それじゃあ、もういいな?」
沙織、小さく頷く。
天童、神田の死体を崖から突き落とす。
沙織「…!」
透「…!?」
天童「よし、終わりだ、これで…。」
天童が沙織を振り返った瞬間、沙織が天童を崖下へ突き落した。
天童「うわっ!」
透「…!」
山道にただ一人取り残された沙織。
陰からそれを見てパニックになる透。
しばらくして天童の車に乗り込む沙織。
後部座席に置いてある50万円の封筒を手にする沙織。
その場に立ちすくむ透。
最終更新:2022年09月14日 23:38