沙織の部屋
鳴り響くインターホン。
玄関のドアを挟んで見つめ合う沙織、透。
棚上署
本田「清水さん。」
清水「本田警部、いやあしばらく。」
本田「しばらくですな。」
清水「本部の刑事さんがどうして所轄へ?」
本田「いや実は、君の管轄でちょっとね…。」
清水「何かあったんですか?」
沙織の部屋
開く玄関ドア。
沙織「はい…。」
透「こんにちは、清水です。この前一緒に飲んだ…。」
沙織「なんですか?」
透「実は今日、沙織さんにお話があって来ました。」
沙織「ちょっと、用があるので…。」
透「昨日の夜のことで…!」
沙織「…!」
透「沙織さん昨日、天童と一緒にいたでしょう?」
沙織「え…!?」
透「ほら、満月が綺麗だったじゃないですか。」
沙織「…。」
透「僕見てたんですよ、二人が崖の下に何か落とすところ…沙織さんが、天童を、落とすところ!!」
棚上署
本田「実はね、指名手配犯の神鳥誠二が見つかったんだ。」
清水「神鳥誠二…確か、民家強盗の…見つかったんですか?」
本田「うん、ただしまだ確保はできていない。」
清水「と言いますと?」
本田「数日前、棚上署管内の印刷会社から、行方不明者の届出があってね、行方不明者の氏名は神田誠一。」
清水「神田誠一?」
本田「似てると思わんかね、神田誠一、神鳥誠二…奴さん、偽名を使ってその印刷会社に勤めていたんだな。神田の行方不明者届が出て、顔写真を確認して、指名手配の神鳥だと判明した。」
清水「つまり、神鳥がウチの管内に、つい最近までいたってことですか?」
本田「そういうことだ。そこでだ、君たちにも神鳥の居所を探してもらいたい。」
清水「わかりました。」
本田「今私の部下が、神鳥が神田名義で暮らしていたアパートへ行っている、そこで君には、神鳥の女のアパートへ行ってもらいたい。女の名前は、前嶋沙織。」
沙織の部屋
沙織「何が…お金、お金ですか?」
透「まあ、そうですね」
沙織「……」
沙織のアパート
一台のセダン車がとまる。
車から清水が降りる。
部屋の中には沙織と透。
沙織の部屋へ近づく清水。
最終更新:2022年09月14日 23:42