もしも手錠で…(後編)

2007.12.31放送分

学校中が注目する美少女、榎本由美
そして学校中が認める変態生徒米村勝。
この2人がどういう訳か手錠で繋がられてから3時間ほど経ち、夜も更けた。

グー・・・
このような音が鳴って顔を赤らめる由美。
勝「お腹すいたな」
由美「・・・うん」
勝「あそこにハンバーガーあるよ」
由美「今はいい」
勝「今はいいって・・・今お前グーって」
由美「・・・・・・」
勝「行こうぜ」
由美「警察が先」
勝「やっぱり・・・?」
由美「当たり前でしょ、早く行きましょ」
動かない2人。
勝「で、どこにあるんだよそこは」
由美「・・・米村くん・・・地元じゃないの?」
勝「まさか」
由美「・・・・・・」
勝「場所知らないの?」
由美「私電車通学だもん・・・」
勝「そっか・・・じゃあ聞くしかないな」
由美「え・・・待って!」
勝「何だよ」
由美「こんなんで人と話すの?」
勝「じゃあどーするんだよ」
由美「だから・・・その・・・」
勝「それ以外に方法はないよ」
由美「・・・・・・」
勝「あ!」
由美「な、何!?」
勝「いい事思いついた」
由美「何?」
勝「どうせ人と喋るんだったら少ないほうがいいよな」
由美、黙って頷く。
勝「ハンバーガーの店員に聞けば場所もわかるし腹も膨れる」
由美「なーんだ、そんなことか・・・」
勝「でもいいだろーよ」
由美「私はね、これが嫌なの」
2人を繋ぐ手錠、今は由美のピンクのハンカチでくるまれているが、これが一見手を繋いでいるように見えるのだ。
勝「いい加減にしろ、細かいことを気にするな」
由美「だいたいさ、何でこんなことになっちゃったわけ?」
勝「さ・・・さあ」
由美「・・・まあ、それは後でゆっくり、警察でね」
勝「上等だ」

店員「お待たせいたしました、次の方どうぞ」
緊張する由美、デート気分の勝。
勝「えーとねー・・・あー!恭介!」
店員「勝!に榎本由美ちゃん!・・・お前らって・・・」
顔が真っ赤になり、泣きそうになる由美。
勝「ふっふっふ」
手錠、ハンカチを見せ付ける勝。
店員「あらら、仲良く手までつないじゃってー・・・」
由美「違ーう!」
店員「え?」
ハンカチをとる由美。
店員「え、何それ!」
由美「わかんないけど、こんなんになっちゃってて困ってるの!誤解しないでよー!」
勝「わーわーわー、隠せ隠せ」
店員「な、なんだ・・・デートじゃないのか」
勝「それはその・・・」
由美「全っ然違います!交番の場所教えて!」
勝「・・・・・・」

夜の闇を歩く2人。
由美「ごめんね、なんか・・・大声出しちゃって・・・」
勝「いいさ」
由美「あの・・・私、困っちゃったから・・・つい・・・」
勝「もういいよ」
由美「私さ・・・米村くんのこと・・・嫌いじゃないよ・・・」
勝「え!?なになに!?ほんと!?」
由美「・・・好きでもないけどね・・・ごめんね・・・」
勝「・・・・・・」
由美「つまり・・・誰でもこうなるっていうか・・・とにかく気にしないでね」
勝「・・・・・・」

少しずつ・・・

少しずつ辺りが明るくなってゆく・・・

気がつけば見慣れた校舎、勝は校門に立っていた。
自由になった手、由美の姿もない。
全ては空想だった。
勝「やっぱ・・・そーなるんだろーな」
勝は歩き始めた。
後ろから聞こえてくる可愛らしい声。
由美と典子が一緒に帰っている。
次第に勝に近づき、すぐに追い越してしまう由美。
勝を気にせずどんどん進んでいってしまう。
勝「・・・ふう・・・」
勝「告白するのやめとこ」

  • おわり-

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最終更新:2022年08月27日 23:38