腐りきった友情

 「俺さぁ・・・。将来・・・医者になろうと思うんだ・・・。」
 「医者!?おいおい!マジかよ!」
 「声がでけぇ!これは秘密だぞ!誰にも言うなよ!」
 「俺秘密にぎると・・・言っちゃいそぅ・・・・。」
 「言うなよ!言ったら縁切らせてもらうからな!」
 「わかったよ・・・じゃぁな!」
 「ああ・・・明日学校でな・・・。」
 翌日・・・
 それは、クラスの学級委員長だった。
 「君、医者目指してるんだって?」
 一瞬、心臓が飛び出るかと思った。アイツ・・・あんだけ秘密にしてくれって言ったのに喋りやがったんだ!
 縁切るったのに・・・・。
 「おはよー!」
 アイツが教室に入ってきた。
 「てめぇ・・・。」
 「何だよ。」
 「あんだけ秘密にしろって言ったのに・・・喋ったな・・・?」
 「は・・・・?喋ってない。」
 「ウソつくんじゃねぇよ・・・・!」
 「何か誤解してない・・・・?」
 「してねぇよ!」
 つい突き飛ばしてしまった。
 ドン!
 一瞬にしてクラス中から注目された!
 「何すんだよ!」
 顔を殴られた!
 バシィ!
 「やろぉ!やんのか!」
 取っ組み合いになった!
 が、クラスの女子が先生を呼んで、2人とも押さえつけられた。
 「俺は何も言ってねぇ!」
 「なら何で学級委員が知ってんだよ!俺はお前にしか言ってねぇんだよ!」
 「俺には関係ないね!」
 この日をさかいに、2人の縁は切られた。

 ある日、俺は学級委員の家に電話したんだ。
 「もしもし。あー何?」
 「お前、俺が医者になりたいって誰から聞いたんだよ。」
 「教室の後ろにある掲示に書いてあったろ。」
 !
 やっちまった・・・!
 半年前、進路の授業で、将来の職業。そう俺の掲示のその覧に「医者」って書いた記憶がある。

 翌日・・・
 俺はアイツに謝ろうと、胸をドキドキさせていた。
 1時間目・・・学級
 アイツは先生に呼ばれ、黒板の前に立った。
 「突然ですが、僕は今日いっぱいで他の学校に転校する事になりました。」
 目の前が真っ暗になった。
 コイツとは幼稚園の時からの親友であり、兄弟のような存在だったのに・・・
 俺のせいか・・・・?
 次の日、アイツはいなかった・・・昨日アイツに謝る事はできなかった。
 机に今日の用具をしまおうと、机の中に手を入れた。何かあった。アイツからの手紙だった。


 お前といた10年間。本当に楽しかった。家の用事で転校する事になった。俺がいなくても元気でやれよ!
 医者になったらお前の病院に入院してやるよ!じゃな!

 短い手紙だった。
 俺の責任でない事に安心したが、最後まで礼も何もできなかった。すごく悔いが残った。

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最終更新:2022年08月27日 23:57