第二話 歯医者さんだいっキライ
お父さんお母さんがいる家族、いない家族。
世の中にはいろんな家族がいる。
この家族も他とは少し変わった特殊な家族です。
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レオン ♂ 27歳 レオナルド・ハッカース
ティモン ♂ 27歳 ティモン ・ダグラス
マーティー♂ 27歳 マーティー・クラウドット
マイク ♂ 10歳 マイケル
レイダー ♀ 6歳 レイダー
ソアラ ♀ 2歳 ソアラ
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レオン「OK!オーライオーライ!ハイ!STOP!」レオンはマーティーの運転する大型トラックを誘導していた。
緑の芝生の茂った庭ではレオンの引越しの真っ最中だった。
マーティーがトラックから降りて来た。
マーティー「どうだい。うまいもんだろ!トラックの運転手くらいはなれただろうな!」
レオン「俺のクールな誘導が良かったんだよ。こんなに細かく的確な誘導係はいねぇぞ???」
マーティー「ははは。君が家に来てくれて本当に嬉しいよ。子供達も大喜びだ。」
「どれくらいここにいてくれるのか知らないけど・・・。こんな大型トラックってほどだ。何持ってきたの???」
レオン「ギター3本。ドラムス1(ワン)セットキーボードにスピーカー・ステレオそれぞれ二つ。そしてヘアセット。」
マーティーが驚きと戸惑いの混じった顔でレオンを見つめた。
マーティー「君は何のために引っ越してきたんだ???」
レオン「そう言うなよ。ちゃんとタンスもあるぞ。」
マーティー「タンス!!いーねぇー!ずっとここにいるんだね!」
レオン「ははは・・・・・。」
レイダー「ただいまぁー。」学校より帰宅。
マーティー&レオン「おかえりー。」
レイダーはタンスを見て「おぉ!本格的にやってるねぇ!!!」
マーティー「そうだ。今日レイダー歯医者さんだぞ。」
レイダー「・・・・・・・・・じゃあ二人で友情の汗流して引越しがんばってねー!じゃぁ!」
レオン「ちょっと待て。」逃げるレイダーを引っ張ってレオンが口を動かさずに言った。
レイダー「何でしょうか??????」ムカツクほど笑顔だ。
マーティー「歯医者さん行くってことは前からわかってたことだろう?」
レイダー「わかった・・・。お金。」
マーティー「はい。おつりごまかさないでね。」治療費を渡す。
レイダー「ごまかすわけないじゃん!おつりのないようにちょっきりしかもらってないんだから!いってきまーす。」
レオン「気をつけていけよ!」腕を組んだまま見送る。
マイク「ただいまー!」マイク帰宅。
マーティー「おかえり。力自慢のマイクおぼっちゃま。」
マイク「・・・・・何をさせる気?」
マーティー「レオンおじさんの引越しを手伝ってほしいんだ。」
マイクは目の前のトラックを見つめるとタンスを発見した。
マイク「おぉ!本格的にやってるねぇ!」
「今日はトムの家でバットマン見るの!」
マーティー「もうバットマンは卒業したんじゃなかった???」
マイク「卒業したのはバットマン1~4話までの事だよ!今日は8話から見るの!じゃぁね!」
レオン「気をつけていけよ!」腕を組んだまま見送る。
マーティー「2人でタンスは無理だなぁ・・・。」
レオン「OK。あいつを呼ぼう。」
マーティー「世界一の暇人・・・あいつか???」
「いいねぇ~。」
歯医者さんの待合室である。
キュイ~~ン!向こうの部屋から恐ろしい音が聞こえる。
レイダーは待合室にあるテディベアに語る。
レイダー「くまさん・・。私・・・殺されるんだよ・・。どう思う・・・?」
くまさん「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「うわ~~ん!」治療室から出てきた子供が泣いていた。それを見てレイダーは恐怖した。
レイダー「あの子もやられたんだよ・・・。運良く生きてたけど・・・この世のものとは思えない痛みなんだよ。」
「あんたこんな嫌な音のするところに住んでて嫌じゃないの?」
くまさん「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「レイダー・クラウドットさん~。」
レイダー「ほら来た!」くまさんをあった場所に置くと、レイダーは治療室に入っていった。
レオン「ほらっこっちだ!」
マーティーとレオンに両腕をがっしりとつかまれ、クラウドット家の庭に連れてこられた。
そんな悲惨な男こそ世界一暇な男。ティモン・ダグラスだ。
彼もクラウドット家にとってはレオンと同じような親しい存在だ。
レオン「かくかくじかじかで俺はここに引っ越すんだ!手伝ってくれよな!」
ティム「ゲプッ!」強烈なげっぷに、レオンとマーティーは離れた。
「ごめんごめん。昼にドリアンのジュース飲んで・・・。」
レイダー「ただいま・・・。」とても暗い表情で帰って来た。
レオン「おかえり。どうだった???」
レイダー「最悪。明日も来なさいって・・・。最悪だよもう!」
マーティー「最悪最悪って・・・歯医者さんはレイダーの歯を治したいから明日も来なさいって言ってくれたんだよ。」
レイダー「・・・・・・・・・・。」
ティム「明日は僕がついて行ってあげようか?」
レオン「そうだな。そうしろよ。」
レイダー「ほんと!?」急に顔を上げた。
ティム「ああ。いいよねマーティー?」
マーティーは一度軽く頷いてから「いいよ。」
レイダー「やったぁ!ティムおじさんありがとう!」ウキウキして家に入っていった。
ティムは後姿を見ながら小声で「どういたしまして・・・。」と言った。
新しい家族レオンと、今日一日手伝ってくれたティムを含めて6人の夕食だった。
ティム「おいしい!久しぶりだよ!こんなおいしいディナーは!!」
レオンはにやつきながら、そしてマーティーを見ながら「ここならいつでも食べれるぜ。」
マーティーも同じように言う。
「どうせならここで住むかい???」
マイク「え!?おじさんここに住むの!?」
レイダー「やったー!」
やっと言葉を覚えたソアラもつられて「やっ・・・・・・。」レオンが口を塞いだ。
ティム「今ソアラ喋らなかった!???」
マーティー「何言ってるんだ?ソアラはまだ喋れないんだぞ?」
レオン「俺だっているんだ。子供達も喜ぶし・・・マーティーも喜ぶ・・・!」
ティム「でもねぇ~・・・。」
ソアラ「おじさんずっといて。」この世のものとは思えない天使の笑顔!
ティムもレオンと同じく引っ越すことになりました。
歯医者さんの待合室・・・。
レイダーは一言も喋らない。
ティム「そんなに心配する事ないよ。」
レイダー「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
ティムはくまさんを手に取った。そしてレイダーの目の前に出して、くまになりきって喋った。
ティム(くまさん)「レイダー。痛くなんかないよ。チクッてするだけさ。」
レイダー「違うよ。ドブスッ!だよ!」
ティムはぬいぐるみを元の場所に置き、はぁぁ。とため息をつくとレイダーに言った。
ティム「歯医者さんが、レイダーが痛がってもなぜ治療をするか・・・それは世界一かわいいレイダーの歯を、治したいからだよ。」
「お父さんだって、レオンおじさんや僕も、レイダーには歯を治してもらいたいんだ。」
「虫歯になってもっと痛みに苦しむ前にね。だからその気持ち、わかって。」
レイダー「・・・・・・わかった・・・ちょっとだけ・・・。」
ティム「今はちょっとだけでいいよ。」
「レイダー・クラウドットさん~。」
ティム「ほらっ。いっといで。」
結局レイダーは歯医者さんを好きにはなれませんでしたが、嫌う気持ちもなくなりました。
そのうち歯医者さんの気持ちもわかる時がくるでしょう。
こんなにすばらしい家族がいるのだから。
第二回 END
レビュー
投稿者:麒麟丸 投稿日:2003/07/31
テンポのよい会話形式の物語ですが、なんだか、NHK教育で放映されている、某米国番組を思い出してしまうような内容にも思えました。
描写を極力、加筆しないことで、会話のテンポのよさは表現できているような感じを受けます。
ただ、場面が変わる際には、もう少し、ト書きのような表現を、合いの手のように挿入すると、区切りが引き締まり、場面転換したことを印象つ
けられるのではないかと思いました。
投稿者:神官ムサシ 投稿日:2003/06/9
独特でいい調子で流れる話の展開がとても好きです。人の名前もそろそろ慣れてきてとてもわかりやすかった。
10AGでここまで楽しませてくれるのもそう多くはないと思う。
投稿者:黒熊 投稿日:2003/05/21
ますます「フルハウス」っぽい(笑)
登場人物の名前がよく似ているので、少々混乱したが、キャラの個性ははっきりしているのでスグに慣れる。
オチがちりばめられているせいか、ラストのオチがややぼんやりとしてしまったのが残念
投稿者:クール 投稿日:2003/04/3
なんか不思議な感じで、とってもいい本です。買ってみては?
投稿者:syou 投稿日:2003/03/30
笑いました。思わず噴出しました。この内容で10エニジーは安すぎます。喜んで後10エニジー払いましょう(爆
投稿者:お歳暮 投稿日:2003/03/29
いいですね~前回もかなり良かったのに、今回は、さらにいいです。笑いもあるし、話の内容が本当に良すぎ!これで、この値段安すぎるー
最終更新:2022年08月28日 00:25