イタズラボーイの移民(中編)



第五話 イタズラボーイの移民(中編)





お父さんお母さんがいる家族、いない家族。

世の中にはいろんな家族がいる。

この家族も他とは少し変わった特殊な家族です。

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 レオン  ♂ 27歳 レオナルド・ハッカース

 ティム  ♂ 27歳 ティモン ・ダグラス

 マット  ♂ 27歳 マーティー・クラウドット

 マイク  ♂ 10歳 マイケル

 レイダー ♀  6歳 レイダー

 ソアラ  ♀  3歳 ソアラ

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リビングではレイダーとワンリーがソファーを間に口論していた。

レイダー「ワンリー!あんたなんて奴なの!?最悪!ばーか!!!」

ワンリー「ばかで結構だぜ?」

レイダー「なんで結構なのよ!?おかしいんじゃない!?」

ワンリー「知ってるか??馬鹿は風邪ひかないんだぜ!?」

その時レオンが通りかかった。

レオン「馬鹿は風邪ひかない。かぁ~。よくマットが言ってたなぁ。」

レイダー「お父さんって・・・馬鹿だったの?」

レオン「いや、俺に言ってたんだ。」
   「俺はそれを言われるたんびに泣いてたけど・・。実際風邪ひいたことないんだよな。」

言い終わった瞬間だった。

レオン「は・・・は・・・は・・はくっしゅ!!!ズルズルズル・・・。」

レイダー「おじさんそれくしゃみだよねぇ・・。」

ワンリー「おぉ!鼻水もでてるぞ!。」

ワンリーの言葉に、レオンは鼻の下に手をあてて確かめた。

出ていた・・・。

レオン「そ・・・そんなぁ・・・。俺が・・・風邪ひくなんて・・・!」

レオンは部屋から逃げるように出て行った。





レオン「ティーム!!!」洗面所に駆けて来た。

ティムはひげをそっている最中だった。

ティム「何よそんなにあわてて。」レオンのほうに振り返る。

レオン「見てくれよこれ!」鼻水を指差した。

ティムは驚いた。27年間見たことのないレオンの鼻水を見て。

ティムはアホみたいに大口をあけて驚いたため、あごがはずれてしまった。

レオンは部屋に向かった。

ティム「ヘホフ!ハフヘヘフヘホー!ヘホフー!!」訳すと、レオン!助けてくれよー!レオンー!になります。




レオンの部屋にマットが入ってきた。

マット「レオン。今日会社で・・とにかくくじけそうなの。なんか曲弾いて。」レオンの後姿に語りかけた。

振り向いたクールなはずのレオンは、両方の鼻の穴にティッシュの鼻栓をしていた。

マットは一瞬黙ったが、せつなく見上げてくるレオンにこう言った。

マット「誰かとけんかをして鼻血でも出したのかな?」と冗談まじりで言ったが、レオンはマットを睨んだ。

マット「冗談だろ・・・?風邪なのか・・・?」

レオン「・・・なのかもな・・・。」

そこにティムが入ってきた。

ティム「レオン。もしかするとそれ風邪じゃないかもしれないよ。」

レオン「なんだって!?」鼻に詰めていた鼻栓がふっ飛んだ!

マット「どういうこと?」

ティム「推測なんだけどさぁ・・・。レオン犬アレルギーなんじゃないかなぁなんて・・。」

レオン「そうだよ・・そうだよ!家は代々犬アレルギーだったよ!」

ティム「代々ねぇ・・・。」

マット「もしそうだとしたら・・・ロックを庭に出すしかなさそうだなぁ・・・。」

ティム「でもそれはかわいそうよ。」
   「冬に寒さに凍えて死んだら絶対呪われるもん。」

マット「ロックがここにいるのは一ヶ月間だよ。」

ティム「そっか。」

マット「レオン。一ヶ月間我慢してくれないかなぁ・・。」

レオン「・・・・・OK。やってみるよ・・。」




こうしてレオンのロックを避ける生活が始まった・・・。




三日後・・・

レオンの部屋

ジャンジャラジャラジャラジャーンジャーンジャーン・・・

レオン「ぶぁっくしょいぃぃ!!!!」

レオン「もう我慢ならねぇ!」ギターを乱暴にベッドに置いた。




レオン「こらロック!!!」階段から駆け下りてきた。

レオン「お前のせいで作曲にならねぇんだよ!」

ロック「ワン!ワワンワン!!!」

マット「どうしたのレオン。」キッチンから現れた。

レオン「我慢ならねぇや!作曲にらなねぇ!」
   「明日までに曲を事務所まで持ってかなきゃならねぇんだぞ!」
   「庭に出すぞ!」

マット「待ってよ。あと三週間じゃないか。」

レオン「三週間!?あと三週間も我慢しろっていうのか!事務所クビになっちまうよ!」

その時アイスクリーム持ったソアラが現れた。

ソアラ「おじさんロックを出しちゃうの?」

レオン「あ~・・・ああ・・。そうだよ・・。」

ソアラ「このチョッコレートアイスあげるから許してあげて。」

レオン「ぶぁっくっしょい!!!」
   「あのなぁソアラ・・・。」

ソアラ「おじさん・・・。」自分より大きなロックを抱きしめた。

レオン「わかった・・・わかったよ。ロックを許してやる。」

ソアラ「わぁ!ありがとう!」

ソアラはマットの耳元で囁いた。

ソアラ「チョコレートアイスが効いたんだね!」

ソアラはロックとともに自分の部屋へと戻って行った。

マット「レオン・・。ありがとう。」

レオン「いやぁ・・。俺もちょっと大人気なかったよ・・・。」

マット「僕もなるべく・・犬の毛が飛ばないように掃除するよ。」
   「キャプテン・クリーナーだ!」

ガチャン!ティムが入ってきた。

ティム「ねぇ聞いてよ!」

レオン「ん?」

ティム「今レオンのお母さんに電話で聞いたのよ。」
   「レオンは犬アレルギーじゃないんだってさ。」

レオン「何!?」
   「じゃぁこれはなんだ!?」鼻水を指差した。」

ティム「それがさぁ・・。花粉症かと。」

マット「花粉症!?」

ティム「引っ越して生活習慣も変わったしね。」
   「急に花粉の抵抗力が低下する事も多いんだって。」

マット「じゃぁロックのせいじゃなかったんだね!?」
   「キャプテン・クリーナーにもならなくてもいいんだね!?」

レオン「いや、キャプテン・クリーナーにはなってくれ。」

マット「レオン・・。」

レオン「ああ・・・ロックに謝ってくるよ。」

こうしてレオンもロックと気持ちよく生活する事になりました。めでたしめでたし。



   第五話  END

レビュー

  投稿者:麒麟丸 投稿日:2003/07/31  
   アメリカンジョークというのは、日本とは違う、米国人の生活習慣からくるジョークなので、テレビ番組など、映像で見れることとは異なって、文章という
   言葉で伝える場合は、それが伝わりにくい点があるかと思います。
   だから、会話をそのまま、つらつらと書いているだけでは、そのおもしろさも伝わりにくく、また背景も会話だけでは、より伝わりにくい面があるのではな
   いかと思われます。
   テンポを崩すことなく、そういった描写を含めた情報を文字に乗せて表現すると、土壌の違う国の物語の楽しさが伝わったのでは、と思いました。

  投稿者:神官ムサシ 投稿日:2003/06/9  
   馬鹿は風邪を引かない。さて、実際はどうなのか?今回も面白さ炸裂でした!

  投稿者:黒熊 投稿日:2003/05/21  
   面白い事は面白いのだが、最終的な「オチ」は付くのだろうか?とちょっと不安に。このままダラダラとホームコメディにせず、メリハリの有る展開を望
   む。悪い作品では無い。むしろ買い。

  投稿者:syou 投稿日:2003/04/10  
   めでたしめでたし「芽、でたし(爆)」そういえばここんとこ最新刊がないですね~この低価格で一気に出したためでしょうか?頑張ってください

  投稿者: てっち 投稿日:2003/04/2  
   予告編が無いからそれを付けたらもっと良くなると思います。

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最終更新:2022年08月28日 00:35