紹介文
にぎやかな街。アスクには全てが新鮮! 3巻です。
本編
サンダ―ブレーダー
〔二章〕
森の中で一晩過ごしたアスクとジェリーは空腹でたまらなかった。アスクは森の中で食べられそうな動物を見ると、体内に溜まってる電気で感電させ、食べようとしたが、ジェリーはそれを黙って止めた。それは動物の悲鳴で敵が来てしまうからなのか、それとも動物がかわいそうだからか、アスクにはわからなかったが、自分の空腹に限界が達する事はわかっていた。アスクはジェリーについに不満をもらした。
「お腹がすいてもうダメだよ・・・。」
するとジェリーは黙って周りを見渡し、「こっちだ。」と言って、どこかへ行ってしまった。アスクはついて行った。
ついて行った先には、高い崖の下に街があった。
「ここから下りて、何か食べに行こう。」
ジェリーが街を見たまま言うと、
「こんな高い崖から下りるなんて無理だよ!」
アスクが言うと、ジェリーは口笛を吹いた。
すると一羽の大きな大きな鷲のような鳥がジェリーの前に着地した。
「コイツの名は ベル コイツに乗っていこう。」
アスクは返事ができなかったが、不安そうに下を見つめながらベルに乗った。
ベルの背中からは、青い空、白い雲。さまざまな色の屋根。緑に澄んだ山。絶好の景色だった。
街はにぎわっていた。アスクは村民であり、街の大きさ、人ごみなど、始めは緊張を隠せなかったが、武器屋を見ると、ジェリーをおいてすぐに入っていってしまった。
武器やには有名なつるぎから、手ごろな値段の短剣など売っていた。稽古用の木刀しか使った事がないアスクは、本物の剣を見ると驚いたあげく、店を飛び出してしまった。
「何かあったのか?」店の入り口の前にいたジェリーがぶっきらぼうに言うと、
「何でもないよ・・・それよりお腹がすいたよ・・・。」
「わかったわかった」と、ジェリーが微笑し、スタスタと歩いていくのをアスクははしゃいでついて行った。
とりあえずジェリーと二人でレストランへ入った。
ジェリーは「好きなものを食べていい」と言っていたが、村民であるアスクは、日ごろ食べる野菜サラダをほうばった。
レストランを出たら、
「そんなにゆっくりはしていられんぞ。」
とジェリーが言った。と思うと、すぐそばには敵が12・3人いた。ジェリーは電撃能力で次々に倒していった。
敵が残り4人あまりとなった時、ジェリーは攻撃をやめた。
街の人々が寄ってきたためである。
電撃能力を人に見せる事は、ジェリーいわく、古代勇者連盟(勇者に関することに興味を持つ人々の集団)の規定第12条に反するものであり、規定を破ったものは罰を受ける事になっているのだ。
「この場合はしかたがないが、規定を破る事はできん!」
ジェリーは敵に体当たりした!
「さぁ!今の内に逃げるんだ!早く!」
アスクは嫌だと首を振ったが、ジェリーに睨まれたため、しかたなく逃げていった。
「さて、やるか。」ジェリーは敵に飛び掛った!
一人逃げたアスクは何もない平原を歩いていた。何度か振り返ったがジェリーの姿はなかった。日も沈みかけていて、青々と茂った草木も朱色に染まっている。
アスクはほぅとため息をつくと、涙で濡れたほおを拭い、近くに見える崖の上の屋敷を睨んで走っていった。
このお話の
登場人物
アスク・ノルベン
この物語の主人公。あるきっかけで不思議な力を手に入れたのだ。
ジェリー・フランクル
その昔、勇者のパーティで、魔法使いを勤めていた。電撃の術を得とくしている事は、言うまでもない。
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レビュー
投稿者:神官ムサシ 投稿日:2002/12/12
初めてドラクエキングさんの作品を読んだ時、設定の物語はすごく楽しいのに細かなところまで手を入れず残念な終わり方のばかりでした。
しかし、次々に出版して行くうちにだんだんうまくなってきて、今回は初めから最後までとても楽しむことができてよかったです。
値段も安いし、内容も楽しくて・・最高でしたw
最終更新:2022年08月28日 00:48