紹介文
注釈
本編
サンダーブレーダー
〔4章〕
アスクは崖の上の屋敷を目指して走っていった。
朱色の草木もアスクは平気で横切る、まるで風になったかのように。
やっとの事で屋敷へついた。この悪夢が始まった場所だ。
静かな入り口は、不気味な男2人が守っていたが、とても中には入れる状態ではない。
アスクは舌打ちしながら屋敷の裏の辺りを見回すと、2階のテラスにつながる長いはしごを見つけた。
アスクははしごをじっと見つめて、いろいろ計算した結果、周りの不気味な石像の影に隠れ、序々に屋敷の裏に近づいていった。
はしごに駆け寄ると、静かに、慎重にはしごを上っていった。
テラスに上りつめた。この調子でいけば完璧だった。はしごからの景色は、夕日に染まった朱色の草原がなんとも美しく、アスクの怒りと緊張をやわらげていたのだ。
しかし不運な事に、テラスでタバコを吸っていた男に見つかってしまった。
男はアスクを待っていたかのように、防犯ベルに手を伸ばしたが次の瞬間、アスクの放電によって倒れた。
しかし男が悲鳴をあげたため、他の者も数人かテラスに駆け寄ってきた。もうアスクの侵入は完全にバレてしまったのだ。アスクは恐怖のあまり、殺される事を承知で目を強くつぶった。しかしその直後。
バリバリ!
と電気が流れる音とともに男たち次々にうつ伏せに倒れていく。
「大丈夫か?」突然何者かに肩を叩かれたと思い、声の主の方へ顔を向けた。声の主は街ではぐれたアスクの頼れる男、ジェリーであった。
アスクはジェリーは死んだと思い込んでいたため、ジェリーの無事を見ると、ホッとして、目が涙ぐんできた。
しかしジェリーはそれほど平気ではない様子だ。
ジェリーは息があれていて、服もボロボロで血まみれだった。
「ジェリーどうしたの?」大体検討はつくが、念のため聞いたアスクの問いにジェリーは
「無駄口などたたいている暇はない。一刻も早く奴を倒さねばな!」と、いつものクールなセリフで言い終えるとジェリーは中に走っていった。
「ま・・・待ってよ!」アスクも追いかけた。
中には扉がたくさんあった。
ジェリーとアスクは一つずつ扉を開けて奴を探した。
「いたぞ!ここだアスク!」
ジェリーの声のする方にいくと、他とは違う金属でできた重々しい扉がたたずんでいた。
ジェリーはアスクをそっと見て、静かに扉を開けた。
すると中には待ち構えていたかのように主人が一人、窓から沈みかけた夕日を眺めていた。
「よくここまで戻ってこれたな・・・。」
主人がアスクに背を向けたまま言った。
「あたりまえだ!僕が悪い奴等をそのまま野放しにしておくとでも思ったか!」
アスクは怒鳴ったが、主人はそのまま背を向けて言った。
「金持ちの特権を見せてやろうか?この3つのスイッチで。」
主人はそっとこちらを振り向き、ポケットから3つのボタンがある。リモコンを出した。
「まずはこの青いボタン・・・。」
ピッ!
ガシャーン!
重々しい扉のまえに鉄格子が現れて、この部屋を覆い尽くした。
「もう逃げられない・・・。」主人の笑みによってアスクは頭に血がのぼった。
「次ぎは黄色いボタン。」
ピッ!
「何も起こらないじゃないか!」
アスクが微笑した。
すると主人は
「最後に赤いボタン・・・。」
ピッ!
ボンッ!
とたんに立派なつるぎが出てきた。
アスクは行くしかないと思ったが、ジェリーが
「私が先に行こう。」と言ったので、アスクはそのまま止まった。
ジェリーは飛び掛っていった。あの電流を放つ構えで
「さっき町で溜めた10万ボルトの電圧だぁ!くらえぃ!」
ジェリーは一気に間合いに入ったが、主人はびくともしない。
それどころか自ら間合いに入った。
「なめるなぁーー!!!」
「何も起こらない・・・。」
アスクの言うとおり、何も起こらなかった。
「なぜだ・・・。」ジェリーが両手を見て言う。
「さっきの黄色いボタン・・・。あれはこの室内で流れる電流をすべてかき消すものだったのだ!わかったか?金持ちならではの特権が!」
主人が得意そうに言うと、つるぎをジェリーの方へ振り下ろした。
「やめろぉぉぉーーーー!」
アスクの声とともに、主人は倒れた。アスクが蹴っていたのだ。
主人はふっ飛ぶとともに、リモコンを落とした。
「今だ!」ジェリーはリモコンを手にとり、3色のボタンをもう一度押し、3つの条件を解除した。
部屋を覆う冷たい鉄格子・電流をかき消す空気、恐ろしいつるぎ、みんな消えてしまった。
「アスク、すまん。」
「いいんだよ。後はコイツをやっつけるだけだ!」
「ああ!」
「動くな!」
主人はジェリーにむかって銃を構えていた。
「貴様!」アスクが駆け出した。すると
ドン!と銃声。
「ぐっ!!」
「!ジェリーさん!貴様ぁー!」
「貴様、動くなという私の忠告を無視するからいけないんだ。」主人がいうと、アスクはすばやく銃を取り上げ、窓の外へ放り投げた。
「あ!」主人の急変した顔を、アスクが思いきり殴った。
「アスク・・・。」苦しそうなジェリーの声。
「ジェリーさん・・・・。」
「アスク・・・この剣を使え。」と、ジェリーは大きな剣をアスクに渡した。
「これはサンダーブレードという剣で、剣に電気を溜めて、敵に放電させる事ができる。これを使った時こそ伝説のサンダーブレーダーだ!」
「サンダーブレーダー?」とオウム返しの言葉は、すでに力尽きたジェリーには届かなかった・・・。
「ジェリーさんが・・・死んだ!?」
アスクはついにキレた!そしてサンダーブレーダーと化した!
レビュー
投稿者:ファンタ 投稿日:2002/12/30
初めてサンダーブレイダーを買いましたが、いきなり4章を買いました。4章からは意味がわからないだろうと思いつつも読んでみました。
だけど、四章を読むだけでもだいたいのことが把握できてとても楽しかったです。
最終更新:2022年08月28日 00:53