紹介文
こんな生活ってあり!?男が混じった女子寮のお話。
本編
僕の女子寮
1こんな生活ってあり!?
夜の街に一人の男がうずくまっている。
通りすがりの人々はそれを不審な目で見て行く。
男は18歳。長野県の田舎の方から東京まで出てきたのはいいが、この不景気、男は会社をクビになり、
失業していて、ここ数日、ろくに何も食べていない。実家に帰る運賃もない。
「俺は・・・死ぬのか・・・?」などとたびたびため息をつく。
通りすがりの人は男の事情を知らないため、ただの不審者としかみていない。
実にかわいそうな男である。
男は街の電柱にもたれて座っていたが、やがて近くのレストランの方を見た。
「おなかすいた・・・。」ここ数日食べていない男には空腹の限界がきていた。
レストランの窓ガラスにへばりついた。むなしい・・・。
レストランで楽しく食事をしている客は、窓ガラスにへばりついてこちらを見ている男を冷たく睨む。
男はもうほとんど感情がなく、客に睨まれたのが悔しいわけでもないのに、今にも泣き出しそうな顔を
下に、人手の少ない暗い闇のほうへ歩いていった。ふらふらしていて、まっすぐ歩けないが、目的もな
く、ただ夜の闇をひたすら歩いた。
歩き始めてどれくらいたったろうか。
夜の闇にかかって、少しわかりずらいが、目の前には大きな建物が建っていた。
こんなに大きな建物、何か食べさせてくれるだろうというかすかな希望を胸に、ほとんどの人々は暖か
いベットで眠りについている深夜、男は必死に大きな門をたたいた。ずっと。
小鳥のさえずりが聞こえる早朝。
男はいつしか力尽きて倒れていた。生きてはいる。
しかし人手の少ないこの道では、誰も男を発見しなかった。
すると、大きな門はキィと開いた。中から女子大生が出てきた。4人も。
その女子大生4人は足元に倒れている男を見て、キャアァァァァァーーー!と悲鳴をあげた。
そのとたん、なにがあったか!というおどろいた顔をした若い女性(女子大生ではない)が出てきた。
その女性も男を見て驚いたが、すぐに冷静さをとりもどして、男を大きな建物まで運んだ。
「後は私が見とくから、あなたたちは学校行きなさい!」
この言葉に、すっかり落ち着いた女子大生4人は建物を出て行った。
昼。男は目を覚ました。見慣れないふかふかベットで目が覚めた男は驚いた。
見たことのない風景に、男は、ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁーーー!と悲鳴をあげた。
とたんにさきほどの若い女性が部屋に入ってきた。
一体ここはどこなんだ!?彼の顔は確実にそう語っていた。
「ここは女子寮よ。あなた入り口で倒れていたのよ。覚えてる?」
見たことのない女性の言葉に、男はフッと昨日の夜を思い出す。
昨日必死にたたいていた大きな門は女子寮の門で、あの大きな建物はこの女子寮。
なんとなく事情がわかってきた男は、女性にうなずく。
すると、となりの部屋からいい匂いがする。肉じゃがだ。
男は空腹のあまり、我を忘れて匂いのするとなりの部屋をのぞきこんだ。ゴクン!
男の空腹がなんとなくわかった彼女は男の肩をたたき、優しく微笑んだ。
「多く作りすぎちゃったの。なんなら食べる?」
彼女の暖かい言葉に、男は遠慮を忘れて、大きく頷いた。
「すっごーい!もう大盛り3杯目よ!」
男は肉じゃがをペロリとたいらげると、復活感、満足感バッチリの笑顔を作り、
「とてもおいしかったです。どうもごちそうさまでした。」
彼の常識はずれの食べっぷりに、一応微笑んで見せたが、
「そんなにお腹がすいていたのね、何かあったのかしら?」
と一応聞いてみた。
彼は正直に話した。失業して何も食べていないこと、街で不審者のように見られたことなど、
すると彼女は何のためらいもなく男の手をしっかりと握った。
ドキッ!こんなに若くて美しい女性に突然手を握られて、男は赤面。
彼女はさらに男の目をしっかりと見つめた。
女に免疫がない(女に興味がないわけではない)男は、放心状態になりそうなくらい緊張した。
そして彼女は静かに口を開いた。
「あなた、家で働かない?もちろん住み込みで。」
突然の発言に、男はむちゃくちゃ驚いた。(特に〈住み込み〉のところは強調して聞こえた)
男は是非。と答えたかったが、ここは女子寮。はい、とはいいづらい。
男はとてももったいない感じがしたが、断ることにした。
「あの・・・気持ちはとてもとてもありがた・・・」
言いかけたときだった。
彼女は男にものすごく近づいた。そして耳元で、
「今家人手が足りないの・・・。料理がむりなら洗濯くらいでいいの・・・お・ね・が・い。」
彼女はわざとなのか、もとからなのか、とても甘くセクシーな声で言った。
さすがに耳元で甘くセクシーに頼まれたら断れなかった。
「是非働かせていただきます!」男は血圧がこれ以上上がると確実に鼻血が出ると判断したため、女性
からすぐに離れた。
「きまりね。今日から働いてもらうわ。早速あなたの部屋を決めるわ。ついてきて。」
女性は立ち上がって階段を上っていった。男もすぐに追いかけた。
外見にしては中はそれほど広くないが、日当たりは最高だった。
ひとつひとつ部屋を通り過ぎる。と、女性が止まった。しかし横を見て歩いていた男は女性が止まった
事にも気づかず、そのまま女性の背中にぶつかった。ドンッ! キャァ!
いつのまにか後ろから女性にぎゅっと抱き付いていた。無意識のうちに。
女性は抵抗してこなかったが、男はハッと我にかえると女性から離れた。そして思いきりあとずさりし
た結果、登ってきた階段を落下した。ドンドンドン! うわぁー!
階段はそれほど高くなかったため、ケガはなかったが、心に大きな傷がついた。
上から女性は男を見下ろして、
「もうっ。昼真っからぁン。」と赤面して甘く言った。
やばい!むちゃくちゃ誤解されてる!俺はそんなつもりじゃなかったのにぃー!
心の中で思いっきり叫んだが、もう遅い。寮内でへんな噂がたったらどうしよう!
男は従業員をやめたくなった。本気で。
夜になって、女子寮の女の子達(とはいったもののたった4人)が帰ってきた。
ああ~もう終わりだ~!!!変態だと思われる~!
必死にキッチンの物陰に隠れてはいるが、丸見え!みんな不審がっている。
そんな中、1人の女の子が勇気を出して聞いた。
「圭子(男が無意識に抱きついた女性)さん。誰この男。」
彼女は亜津子、風呂上りで、髪の毛は美しく濡れていて、この寒い中、ミニスカートをはいている。
そこに圭子。
「彼は今日からここで働くことになったの。名前は?」
「橋本・・・勇次です。」
「あーっ!今日倒れてた変な人!」
亜津子の横にいた腰まで髪の毛がある悠子が、今朝の事を思い出して大声で言った。
「変な・・・・って・・・。」勇次は半泣き状態。
「なんで男が女子寮で働くわけ?」
部屋の暖炉の前に座っていた青い髪の愛が冷たく問う。
「まぁいろいろあってね・・・。」と圭子。
「ふーん。まぁいいや。」と軽い女子大生。
何か嫌な空気。今すぐ逃げ出したい勇次だった。
こんなところ(でもちょっと嬉しい)で一体いつまで過ごすんだろう。
先が思いやられる橋本勇次の女子寮生活が幕を開けた。
レビュー
投稿者:江頭3:50 投稿日:2003/08/27
ホントにおもしろかったです!!なんか勇次の緊張とかが一緒に感じられるような気がしました!続編も読みたいと思います!!
投稿者:kaede 投稿日:2003/08/23
なんかわくわくしてくる本だと思いました。こんなことあってはいけないんだろうけどいいなぁと思います。
投稿者:00 投稿日:2003/08/19
説明もちゃんと書かれてあってよかったと思います
投稿者:ブール 投稿日:2003/08/17
リストラ、失業、そんな悲しいことの溢れるこの時に、それを逆に楽しさのきっかけとして受け止め描いた作品。
女子寮に男一人と、とあるマンガでも見受けた設定でしたが、またこの作品もドラクエキングさんなりのアレンジで面白く仕上がっています。
投稿者:ハキム 投稿日:2003/08/17
とても読みやすく、すらっと読みきれました。まさに地獄から運良く極楽(?)へと話は進んでいきます。
背景描写や一人一人の性格も見え始め面白かったです。
投稿者:鉄龍 投稿日:2003/03/22
早く3巻以降の続編が見たいですね。無理な話かも知れませんけどw
投稿者:名無しさん! 投稿日:2003/02/9
けっこうドキドキさせる小説でした。みんなこれ今からでも遅くないから読んだほうがいいよ!
投稿者:アスラ 投稿日:2003/01/30
1人の男が、5人の女子大生に囲まれて始まる女子寮生活。
少し気弱な感じのする男が、これから女子寮でどのような生活を送っていくのか・・・。
この先が非常に気になる作品です。文章も読みやすくて、かなり言い作品だと思います。
これからもこのような作品をどんどん書いていってください。
投稿者:彪 投稿日:2003/01/14
↓に書いてあったように、少しラブひなに似ているような気もしますが・・・・(● ̄∀ ̄)A゛ アセアセ…
それを自分で考えた話ならいいと思いますよーヽ(´ー`)ノ続きも買って読んでみますね~。
それで印象が変わるかもしれないし( ̄+ー ̄)
投稿者:hisashi-X 投稿日:2003/01/13
間違えて3巻からかってしまったので1巻から読んでみようと言う事になりよんでみました!内容はとっても面白かったです。
ちょっとラブヒナに似ているなぁ~と思いました。
投稿者:飛鳥井仁 投稿日:2003/01/9
実体験を元にして書いたような書き方に脱帽。続きも期待して待っています。
投稿者:どぅ~ 投稿日:2003/01/4
本当にいいです。みてるとき場面を想像しながらよんでいるとドキドキします。自分もこんな体験してみたいです。
投稿者:フラット 投稿日:2003/01/3
とてもリアルっぽい、けれどもどこかにもしもの世界があるような読んでいてそのシーンが想像できて読んでるほうもドキドキします早く2続きも出して欲
しいです
投稿者:川瀬憂菜 投稿日:2003/01/3
字と字の間隔があいてなくても一気に読めるところがいいと感じました。
最終更新:2022年08月28日 01:03