僕の女子寮生活 第4話

紹介文
ついに女子寮にも夏が来た!

本編



登場人物
1)橋本勇次
  18歳。失業していたが、いろいろあって(一巻参照)女子寮で働く事になった。幸せ者(?)
2)杉山悠子
  22歳。この物語のヒロイン(まだそれらしき動きは見えないが)で、美しくしなやかな髪の毛は、腰
  まできている。活発。
3)小林圭子
  26歳。この女子寮の寮長であり、すこし思い込みが激しく過激。
4)二村亜津子
  23歳。活発で、運動神経が良い。しかし勉強が大嫌い(ならどうやって大学は入れたか知らないが)
  で、ちょっとわがままなところがある。
5)村田 愛
  19歳。勉強の成績はかなり良く、青い髪の毛はとても輝いているが、クールで少し冷めている。
6)大塚みどり
  23歳。スタイルがよく、活発で過激でわがままでぶりっ子の男好き。


時間の流れは早いものだ。
僕がこの女子寮で働くようになってもう半年が経とうとしていた。
それゆえ、この過酷な環境にも少しずつ慣れてきた。
しかし・・夏休みにはいって、また地獄がやってきた。

今年の夏は例年に比べとても暑いこともあってか、やることなすこと俺に押し付けらる。
「ね~えぇ!!」
寮内にこんな大声が響くことがよくある。
しかも、それは十中八句俺に向けられた言葉なのだ。
仕方なしに2階から声のところまでわざわざ出向くわけだが・・
毎度毎度たいした用はないのである・・。

それからもうひとつ、この寮にはクーラーがないため、暑さに耐え切れずにみんな下着姿なのだ。
耐えかねた圭子が脱いでからということ、みんなも下着姿になってしまったのだった。
飯時も、テレビ見るときも普通に下着一枚でいるために目の行き所に困ってしまうことが度々ある。
これは俺にとっては悪いことではないのだが、みんなどうしてこうも羞恥心がないのだろうかと思ってしまう。

「ね~えぇ~!?」
朝6時、またこの大声で俺の一日が始まった。
俺は慌てて布団を蹴り上げると「待って!少し待て!」と答えながら圭子の部屋へと階段を駆け下りた。
部屋にはなぜか、みんな集まっていた。
まだ涼しい時間帯なのにみんな下着姿で、しかも気にもせずあぐらをかいている。
「っで・・何のようなの・・かな?」
できるだけ見ないようにしてそう聞いた。
「まぁ、座れよ」男みたいな口調で悠子に促され、俺が座ったところで話が始まった。
「もう・・夏だよね?」圭子が意味ありげに俺にきいた。
つい、こっちに首をかしげる圭子の胸元に目がいってしまうが
「え・・・?どういうこと?」と目をそらして聞き返した。
周りのみんなもなぜか、つくり笑顔でニヤニヤわらっている。
「夏と言ったら・・?」亜津子が言った。
首筋に汗が伝った。
「え・・」
こんなときに限って俺の視線は変な方へ行ってしまう。
    • 慌てて目をそらそうとしたときだった。
「やだ!勇次どこ見てるの!?」普段は騒ぎもせぬ愛が叫んだ。
ギクッ!「え!いや、どこも!?えぇ!?」
慌てて弁解したが、帰ってそれが事態を悪化させてしまった。
みんなに冷たい目線でにらまれた。
「・・・・・・・(笑」
そこで俺の記憶は途切れた。

気がつくと俺は圭子の部屋で大の字になっていた。
「お、気づいたか?」
俺はなぜか痛むほっぺをさすりながら起き上がった。
「えっとね。要するに、海よ。」
「え?」
勇次の素っ頓狂な声に、溜息をついてから返した。
「だから・・、さっきの話は・・夏なんだから海へ行く計画立てよう!と思ってさ。」
「は・・はぁ・・。っで何で俺が?」
「わからないの?あんたにできるだけ安く計画立ててもらおうと思ってね。」
なんかいやな予感がする。
「一人2000円出すから、十分楽しめる計画立ててね。オーバーした分は勇次君が出すんだからね。」
やっぱりか・・と思いつつ頼りない返事をして立ち上がると俺は自分の部屋に戻った。

時計を見ると、まだ7時前だった。
そんなに長いことは気絶してなかったんだなぁと思いながら布団に倒れた。
その時なんか変なことに気づいた。
って―――・・おい!!何で俺はトランクス一枚なんだ!?
勇次は慌ててロッカーを探ったが、俺の服はすでに抜き取られていた。
おいおいおい・・これって犯罪じゃないのかよォ・・。
はー・・女の子は・・怖いなぁ・・。
勇次は微妙に苦笑してまた布団に腰を落した。
しかたねぇか・・。

さっさと計画しちゃうか!

翌日――。
勇次は、まだ相も変わらず下着姿の女どもを大広間に集めた。
もちろん俺も着るものがないためトランクス一枚である。
その為に変なことを考えるとすぐに注目の的になってしまいそうで怖かった。
みんなが集まったのを確認すると、早速海の計画の説明をはじめた。
「参加費は・・2000円・・」(本当は一人その10倍もかかってるんだぞ・・・)
「いいぇーい!!」歓声が上がる。
「えっと、行き先は沖縄になった。」
みんな、互いに目を合わせた。
「マジ、それ?」悠子が心配そうに聞いた。
「そう・・マジだ・・。」
「うぉぉぉぉ!」
再び歓声につつまれる。
勇次は溜息をついて天井を見上げた・・。



なんで沖縄なんて豪華な地になったかっていうのには、とある経緯があった。
昨日、あの後、圭子が俺の部屋にきたのだった。
「ちーす。計画順調??」
一瞬ビクッとしたのは俺のほう、人の部屋にノックもせずに・・しかも“水着”で入ってきたのだ。
普通のスクール水着ならまだしも、かなり露出度の高いものである。
下はぎりぎり、上もかなりきわどいものであった。
さっきのこともあってできるだけ体からは目をはなして答えた。
「じゅ・・順調と言えば順調だけど・・2000円だからそれなりのところだよ」
当初、俺の予定では近くのビーチで遊ぶ程度を予定していたものだからその答えは至極当然であった。
が、しかし、圭子はそれを聞くなり顔をしかめると俺から計画表を奪い取ったのであった。
「な・・なんだよ」俺は少し機嫌を悪くして睨んだが、睨まれたのは俺のほうだった。
「よいっしょっとぉ」圭子は俺の隣に座った。
とたんに勇次の視界にはきわどい胸の谷間が映る。
(あの暗闇の奥に・・)
馬鹿な妄想を仕掛けたそのとき計画表が勇次のひざの上にドンっと置かれた。
そして、俺の顔を覗き込むと「海といったら・・?」
なんとも言いがたい怖い笑顔で言われたのであった。
「え・・え・・でも・・」戸惑う俺をみた圭子は突然。
「お・願ぁ・い☆」水着のその姿で俺を誘惑してきたのだ
「うわぁ!」慌ててとびのいた俺を見た圭子は立ち上がって
「じゃ、よろしくね!」と言い残して部屋を出て行ったのであった。



「・・――日時は“明日”から。以上。」
早ければ早いほどいいだろうという勇次の意向によりこの日時となっていた。
しかし・・
「え!待ってよ」
「いきなりなの!」
次々に非難の声が飛んできたものだからどうしようもない。
思っても見なかったところを突っ込まれて勇次は固まってしまった。
「まぁ、そこが勇次らしいところか。」
亜津子の声にわれを取り戻すと
「そ、そうさ。それでは解散!明日の準備をしましょうね!」と声を張り上げた。
一目散にみんなそれぞれの部屋に散ったのを見計らって、勇次も肩を落しつつ部屋に戻っていった。

無言で自分の部屋に戻ってきた勇次はベットの上にとびこんだ。
「あーあ・・また金が・・」仰向けの体をぐっと横向きに転がした、と・・
「わっ!!」勇次のすぐ横に、圭子がこっち見て寝っころがっていたのだ。
「おっす!」悪気のない笑顔で答えられた。
「いや!何でおまえがここにいるんだよ!?俺のベットだろ!?」
不覚にも一瞬ドキッとしてしまった。
勇次が動転しているのを可笑しげに見ながら「おまえ、すごいな」と圭子は言った。
「え・・?」よくわからない顔で返すと
「いや・・おまえ、本当にいいやつだなぁ」とまたよくわからないことを言った。
「え・・だから何が・・?」俺はなんかまた何か言われるのかと恐る恐る返した。
「ありがとな、私たちのために、こんな損な計画立ててくれちゃって」少し照れたような顔を見せた。
俺の嫌な予感はくずれるように消えた。そして、心から本当に無理してまでこの計画を立てて良かったと思った。
「う・・ん」俺が言い終わるか終わらないか圭子はぎゅっと俺を抱きしめてきた。
「ん・・」二人とも下着姿でベットの上で俺の肌に圭子のやわらかさを感じ、みだらな考えが頭をよぎったけれども、
そんな気持ちもすぐにうせた。
俺は、今まで散々こき使われてきたけれども、そういえば、ボロボロだった俺を助けてくれたのがこの女子寮だった。
リストラで、もう生きる価値さえ見えなかった俺を救ってくれたのがこの女子寮のみんなだった。
やっぱり、みんなに感謝しなくちゃいけないし・・・って心から思ってまぶたが熱くなった。
そのとき、コンコンとドアをたたく音が聞こえた。

ギクッ――・・
「入るね。」その声とともにドアを開けたのは悠子だった。
一瞬その悠子の表情が固まる。
それも無理はないだろう。下着姿の男と女が目の前のベットで抱き合ってるのだから。
「・・・・・・・・・」
俺も圭子も当然固まってしまう。
真っ先に俺が弁解した。
「いや、これはね。事の成り行きで・・」
圭子もあせってベットからとびのく。
「勇次って・・・」
怒りのこもったような悠子の震えた声が静かに響いた。
効果音をつけたらまさにゴゴゴゴゴっていうのが正しいだろう。
していながらも空気は凍りついた。
無言で視線の交わしあいが続く。
「なに悠子ちゃん恐い顔しちゃってるの!ジョーダンだって!」
圭子もわらってごまかす。
少し悠子の表情が緩んだかと思えたが。
「ふ~ん・・・」
そういって「バンッ!」とドアを力いっぱい閉めると去っていった。
圭子も勇次に苦笑いをすると小走りに部屋を出て行った。
部屋の中には気まずい空気だけが残った。
明日から開放的な海だというのになんという日であろうか・・。
あれ・・でも悠子は何しに俺の部屋にきたのだろう・・?
そんな思いに悩まされながらも、それでも、初めて知った女の子のやわらかさに幸福感を感じて笑いを抑えられないのであった。




ついに次回は沖縄編。
さて、悠子と勇次と圭子の関係がとても気になる次回作。
今まで存在感さえ薄かったみどりや愛も大いに活躍します。
勇次にとって波乱の沖縄編。
お楽しみに~。

レビュー

  投稿者:みゅぁ 投稿日:2003/09/8  
   内容はかなり良いんですが、少し行間をあけてもらえるともっといいと思います。

  投稿者:ZERU 投稿日:2003/08/18  
   良い……このシリーズ、読むのは初めてなのですが。個人的意見で申し訳ありませんが、自分はこういうシチュ、好きですw 
   では、客観的に。えっと、一カ所だけありましたが出来るだけ「☆」等の使用は避けた方がいいかと。
   目立った問題点はそれくらい。あとは、もう言うことなしです。
   特に!ついつい女の子の方に眼が言ってしまうような男性諸君、あなたなら共感、もしくは憧れてしまう、かも知れませんよ……w 
   是非とも。中にはこういうのが苦手な方もいらっしゃるかも知れません。そう言う方には、お薦め出来ません。
   ですが、そうではない方々。激しくお薦め致します。

  投稿者:ブール 投稿日:2003/08/17  
   悠子、圭子、亜津子といった主力メンバー(?)の性格が口調や行動から似通ってしまい、すこし残念なところもありましたが、内容が充実し、まとまって
   いたためとても楽しむことができました。

  投稿者:ハキム 投稿日:2003/08/17  
   少しずつ勇次に向けられる女の子達の視線に嫉妬であったりと感情を感じるようになってきました。
   かなり充実した内容でしたが、すこし動作などの描写が多かったかなと言う気もします。
   それでも、寮になじみつつ、まだなじめてない勇次のだどたどしさが伝わってきて面白かったです。

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最終更新:2022年08月28日 01:48