学校中が注目する美少女、
榎本由美。
そして学校中が認める変態生徒米村克。
この2人がどういう訳か手錠で繋がられてから3時間ほど経ち、夜も更けた。
ぐ~~・・・
このような音が鳴って顔を赤らめる由美。
克「お腹すいたな」
由美「・・・うん」
克「あそこにハンバーガーあるよ」
由美「今はいい」
克「今はいいって・・・今お前ぐ~~って」
由美「・・・・・・」
克「行こうぜ」
由美「警察が先」
克「やっぱり・・・?」
由美「当たり前でしょ、早く行きましょ」
動かない2人。
克「で、どこにあるんだよそこは」
由美「・・・米村くん・・・地元じゃないの?」
克「まさか」
由美「・・・・・・」
克「場所知らないの?」
由美「私電車通学だもん・・・」
克「そっか・・・じゃあ聞くしかないな」
由美「え・・・待って!」
克「何だよ」
由美「こんなんで人と話すの?」
克「じゃあどーするんだよ」
由美「だから・・・その・・・」
克「それ以外に方法はないよ」
由美「・・・・・・」
克「あ!」
由美「な、何!?」
克「いい事思いついた」
由美「何?」
克「どうせ人と喋るんだったら少ないほうがいいよな」
由美、黙って頷く。
克「ハンバーガーの店員に聞けば場所もわかるし腹も膨れる」
由美「なーんだ、そんなことか・・・」
克「でもいいだろーよ」
由美「私はね、これが嫌なの」
2人を繋ぐ手錠、今は由美のピンクのハンカチでくるまれているが、これが一見手を繋いでいるように見えるのだ。
克「いい加減にしろ、細かいことを気にするな」
由美「だいたいさ、何でこんなことになっちゃったわけ?」
克「さ・・・さあ」
由美「・・・まあ、それは後でゆっくり、警察でね」
克「上等だ」
店員「お待たせいたしました、次の方どうぞ」
緊張する由美、デート気分の克。
克「えーとねー・・・あー!恭介!」
店員「克!に榎本由美ちゃん!・・・お前らって・・・」
顔が真っ赤になり、泣きそうになる由美。
克「ふっふっふ」
手錠、ハンカチを見せ付ける克。
店員「あらら、仲良く手までつないじゃってー・・・」
由美「違ーう!」
店員「え?」
ハンカチをとる由美。
店員「え、何それ!」
由美「わかんないけど、こんなんになっちゃってて困ってるの!誤解しないでよー!」
克「わーわーわー、隠せ隠せ」
店員「な、なんだ・・・デートじゃないのか」
克「それはその・・・」
由美「全っ然違います!交番の場所教えて!」
克「・・・・・・」
夜の闇を歩く2人。
由美「ごめんね、なんか・・・大声出しちゃって・・・」
克「いいさ」
由美「あの・・・私、困っちゃったから・・・つい・・・」
克「もういいよ」
由美「私さ・・・別に、米村くんのこと・・・嫌いっていうわけじゃないからね・・・」
克「え!?なになに!?ほんと!?」
由美「・・・好きでもないけど」
克「・・・・・・」
由美「ごめんね」
克「・・・・・・」
由美「つまり・・・誰でもこうなるっていうか・・・とにかく気にしないでね」
克「・・・・・・」
少しずつ・・・
少しずつ辺りが明るくなってゆく・・・
気がつけば見慣れた校舎、克は校門に立っていた。
自由になった手、由美の姿もない。
全ては空想だった。
克「やっぱ・・・そーなるんだろーな」
克は歩き始めた。
後ろから聞こえてくる可愛らしい声。
由美と典子が一緒に帰っている。
次第に克に近づき、すぐに追い越してしまう由美。
克を気にせずどんどん進んでいってしまう。
克「・・・ふう・・・」
克「やっぱ告白するのやめとこ」
最終更新:2016年03月17日 14:50