| アメショー | ブリショー、これ、どう思う? |
| アメショー | ブリショー? |
| アメショー | ……って、なんでそんなに離れているんだにゃ? |
| ブリショー | 遠すぎて、疲れた…… |
| モノローグ | ブリショーは、アメショーの背中からずいぶん離れたところにいる。とても疲れた様子だ。 |
| ブリショー | もう10分くらいは歩いてきたんじゃないか…… |
| ブリショー | そろそろ休むべきだよ。 |
| アメショー | たった10分にゃ! |
| アメショー | それに、そろそろおいしいものが食べられるのに、ワクワクしにゃいなんて…… |
| アメショー | 食べながら、感想を語り合ったりとかもしたくにゃいの? |
| アメショー | それにこの、ミルフィーユとかも食べたくにゃい? |
| アメショー | あと、このメロンパンも! |
| アメショー | このミルクティーとかも! |
| ブリショー | うん、食べたいが…… |
| ブリショー | でも、疲れたよ。 |
| アメショー | ……まさか、今から寝ようとしているんじゃにゃいでしょうね? |
| ブリショー | ちょっとだけならいいだろ? |
| アメショー | ダメ!……なんて、厳しいこと言う訳じゃにゃいけど。 |
| アメショー | でも今寝ちゃうと、おいしい食べ物は全部あたしが食べちゃうよ。 |
| ブリショー | うむ…… |
| アメショー | おいしい食べ物も、おいしい飲み物も、特別な食べ物も…… |
| アメショー | 全部あたしがいただいていいの? |
| ブリショー | 本当にそこまで美味しいのか? |
| アメショー | うん、おいしいよ。 |
| アメショー | でも、どこがおいしいかと言われたら…… |
| アメショー | 食べ物自体の味よりも、いい雰囲気の中で食べられることで広がる味なんじゃにゃいか? |
| アメショー | 例えば、船に乗ることの楽しみだって、同じことなんだにゃ! |
| アメショー | 大切なのは、海や船そのものの楽しさじゃなくって…… |
| アメショー | 一緒に乗る仲間といい雰囲気で過ごせることが、楽しみを増してくれるんだにゃ。 |
| アメショー | 食べ物がおいしく感じるのも、そういう理屈なんだにゃ! |
| モノローグ | アメショーは、そのときブリショーの心が揺れたのを見逃さなかった。 |
| アメショー | じゃあ何を食べたいか、教えてにゃ。 |
| アメショー | それをあたしが探してくるから―― |
| アメショー | ブリショーはここで待っていれば大丈夫にゃ。 |
| アメショー | あ、今のブリショーって、なんだかお姫様ポジションみたいだにゃ! |
| アメショー | 静かに森の隅に座って、王子とかウィッチとか、ドラゴンに見つけられるのを待ってるような感じ! |
| アメショー | 待っている間に、森とお喋りするのはどうかにゃ? |
| アメショー | 森とお悩み相談するとか……もちろん返事はにゃいだろうけど。 |
| ブリショー | ……(一体、何の話をしているんだろう……?) |
| アメショー | とにかく、いくら待ちくたびれても、ここから離れちゃだめにゃ! |
| アメショー | それが運命だからにゃ。 |
| アメショー | 逃げようとしても逃れられないさだめにゃ! |
| アメショー | これこそが、美食に隠された神秘なのにゃ……! |
| アメショー | ブリショー、このことは、しかと胸に刻み込んでおくべきだと思うにゃ。 |
| アメショー | 今後、どこかで使えるかもしれないにゃ。 |
| ブリショー | …… |
| ブリショー | そうかもね。(ハァ……) |
| ブリショー | でも、ペンと紙がないとメモできないな。 |
| アメショー | 大丈夫!あとでメモして渡すにゃ! |
| モノローグ | 食べ物を取りに帰ったアメショーだったが、彼女はブリショーが思ったよりもずっと早いスピードで戻ってきた。ちなみにブリショーは、待っている間、30個の家具をどうやってフェアリースフィアに入れようかなどと、またよくわからないことを考えていた。 |
| アメショー | さぁ、これを食べてみてにゃ。 |
| アメショー | どれがおいしかったか、覚えておくんだにゃ。 |
| アメショー | 船長さんとのお茶会のときは、おいしいものを持っていかないと! |
| アメショー | ……あ、でも、いま食べ過ぎてお茶会を満喫できなくなったらどうしよう。 |
| アメショー | 今の量は、半分に削るべきなんじゃにゃいか…… |
| ブリショー | これは美味しい。 |
| ブリショー | これも美味しい。 |
| ブリショー | これは…… |
| ブリショー | そこまで美味しくはないな。 |
| アメショー | このケーキ、おいしくにゃかった? |
| アメショー | 買えるまで、すごく並んだんだよ! |
| ブリショー | だからって、そこまで美味しくはなかった。 |
| ブリショー | まぁ、不味いって訳ではないよ。 |
| アメショー | なるほどにゃ。 |
| アメショー | 船長さんなら、気に入ってくれるかもにゃ。 |
| アメショー | いつも黒ローブを着ている船長さんだけど、実は見た目に反して甘いケーキが好きだったりするかもしれにゃいし…… |
| アメショー | 強面の船乗りが船をピンク色にする、みたいな感じにゃ! |
| アメショー | そういうギャップ萌え!かわいいと思わにゃい? |
| モノローグ | ブリショーは頷いた。でも、その動作が、本当にアメショーに対する肯定なのかどうかはわからない。 |