GROOVE ON FIGHT ◆Q/9haBmLcc
これで本当に良かったのか、と思う。
いつものように居眠りをしていた授業中、夢の中に現れた――魔神皇ハザマイデオ。
魔界に転送された軽子坂高校。
生還できたのは俺とチャーリーだけ。
色々な物を魔界に残したまま、逃げだしてきた。
別れ際、チャーリーは“魔界へ行った”なんて言っても誰も信じないだろうから、このことは黙っていようと言った。
多分それは間違いじゃない。
ノストラダムスの大予言以上に馬鹿げた話だから下手をすれば病院に送られる。
見た事を全て忘れて生きるのが賢い生き方なんだろう。
それを解っているチャーリーは馬鹿じゃない。
――少なくとも、俺よりは。
俺はなんだか釈然としない。
みんなを助けるべきじゃなかったのか。
みんなを見捨てて逃げ出したのは正しい選択だったのか。
チャーリーだって本当に忘れたいのは魔界に残したままの仲間、そして……リュウイチとアキコを殺してしまった事実なんだろう。
それでも、現実から目を逸らしても前向きなチャーリーはタフだと思う
俺は忘れる事が出来なくて後ろ向きだ。
重い想いが帰り道の足取りを重くする。
空は青くない訳じゃない。雲が一つも無い訳じゃない。ただ、風だけが強い。
「もしもし、そこの君…実は君に折り入って話があるのだが…」
車椅子の男が俺を手招く。
「世界の文明は腐りきっている!」
誰かの演説が聞こえる。
誰かが俺を呼んでいる。誰なのか判らないけど俺を呼んでいる――。
◆
誰かが殺された。誰かが死んだ。
首から上がないセーラー服の女の子が血を撒き散らす。
綺麗な真っ赤な血は幾度となく見たけど、見慣れる物じゃない。
彼女は見せしめ。逆らえば殺される。
どうやら俺は殺し合いをしなければならないらしい。
色んな人間がいる。和服の奴やミイラみたいな包帯野郎、学生服の奴、サラリーマン。
仲間もいなきゃ仲魔もいない。
ひとりぼっちの戦争。
勝てば願いを叶えてくれるらしい。
魔界に置き去りにした仲間を助けられるかも知れない。
――のるか、そるか。
それとも主催者をブッ倒して丸ごと助けるか。
回りの状況を窺うと、たった一人、たった一人だけ見知った奴がいた。
ハザマイデオ。俺の学校を、軽子坂高校を魔界に墜した張本人。
魔神皇を名乗る魔界の支配者――。
ヤツに飛びかかろうとした時、視界が暗転、意識を手放した。
◆
気付いたらまた別の場所にいた。壁には絵が飾られていて、彫像、石像なんかが陳列されている。
HEROの像、ケルベロスの像、ボデコニアンの像、プリンセス・クララの王冠、黒子の旗。雑多な物が沢山ある。
どうやらここは美術館らしい。
「ハァザァマァァァァァァァッ!」
俺の叫びは誰もいない廊下を虚しく木霊するだけだ。
握り締めた拳に血が滲む。
食い縛った口は鉄臭い血の味がする。
流れた涙を拭えば、血の涙だ。
苛立ち紛れにゴミ箱を蹴り飛ばすとガラン、ガランとけたたましい音と一緒にゴミを撒き散らかしながら転がっていく。
「ハザマ、テメエだけは絶対許さねぇェェェッ!」
俺の怒りは虚しく残響する。
俺達を手のひらの上で弄ぶ諸悪の元凶は嘲笑いながら俺を見てる筈だ。
軽子坂高校を魔界に墜としただけじゃ飽き足らず、殺し合いをさせて上から目線で笑ってやがる。
ハザマに比べたら俺なんか虫けらなのかも知れない。
だけど俺はハザマみたいに腐りきっちゃいねぇ。
このバトルロワイアルとかいうゲーム、いかにもアイツらしい汚いやり方だ。
V.V.とかいった餓鬼はただの三下、黒幕はハザマに違いない。
こんな狂った、大それた事ができるのも、やるのも。考え付くのもハザマだけだ。
いつだってアイツは自分の手を汚さないで上から薄ら笑いで見下ろすだけだ。
チャーリーだってアイツの汚いやり方でリュウイチとアキコを殺す羽目になったんだ。
大方、願いを叶えるとか言ってもご破算にする気だろう。
怠惰界での事を思い出せ。
皆を強制労働させて寛容のリングを発掘させてたけど、一番最初にリングを手にしたってだけで、みんなを解明するって約束をワヤにした。
もう、お前の汚いやり方はうんざりなんだよ、ハザマ。
OK。もう迷わない。
ハザマを殺して、こんな下らないゲームを終わらせて、皆を助け出す。俺の手でカタをつける。
――首を洗って待っていろよ、ハザマ――。
【一日目/深夜/B-2 美術館内】
【ノブ(
男主人公)@真・女神転生if…】
[装備]なし
[所持品]支給品一式、ランダム支給品(未確認)
[状態]健康(GOOD)
[思考・行動]
1:ハザマを倒す
※参加時期はチャーリー編ED後
※ハザマを黒幕と思っている
※名前“ノブ”は漫画版ifから拝借
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最終更新:2010年02月01日 23:51