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「デ、デート・・・・・・・?」
クリスマスの前日あたしの耳にとんでもないことが飛び込んできた
「今年は麻奈実ちゃんとどこかでかけるみたいなのよー京介には帰ってこなくていいて言ってる
 けど、どうせ・・・・あの子のことだから、進展はゼロでしょうね」
ぷぷっとお母さんが笑う
「へー、そうなんだ」
あたしは興味なさげに答えた
毎年、あいつが地味子の家でパーティーをおこなっているのは知っていた
今年は例年とは違ってどこかに出かけるみたいだ
まあ、あいつと地味子がどう進展しようとあたしには全く関係ないことだ
だいたいあたしはあいつと地味子のことが大嫌いなのだから

「じゃあ、いくとすっか」
「楽しみだねきょうちゃん」
よく考えたら地味子とあいつが結婚したらあたしは義妹になる
あたしには当然あいつらを見届ける義務が生じるってわけ
全くあたしのクリスマスを潰してしまうとはなんて酷い兄なんだろう

兄貴達が最初に向かった先は映画館だった
そういえば大ヒットの恋愛映画が上映されてるんだっけ
あやせと見に行ったんだけど主人公が幼馴染とくっつという胸糞悪い内容だったなー
家に帰ってパンフレットを破って捨てたんだっけ

「ちっ、よりによってクリスマスに行くわけ」
今からあの映画を見ることを考えると何故かむかむかしてきた

どうせなら、今やってるアニメ劇場版二人はブラコンを見ろっての
あたしは5回見にいった神映画よ

そう思ってあいつらを監視していると恋愛映画の入り口をスルーして違う映画の入り口に入っていった
なんだ違うんだ・・・・だいたい、あのバカが恋愛映画なんてジャンルを選ぶわけないかw
 それにしても何の映画を見るのかなー?
「せ、戦争映画~~!?」
びっくりし過ぎて目玉が飛び出そうになったじゃない
マジでありえないんですけどクリスマスに戦争映画に連れて行く男ってなんなのよ
仕方ないのであたしも入場券を買って入ることにした

つまんねーーー、マジでつまんねーですけど
それがあたしが映画を見た感想。途中で人間対宇宙人の構造になって最終的には登場人物が皆
食べられてしまった
何より、途中のエ、エッチなシーンであいつのイヤラシイ顔見たら思わずぶん殴ってやろうかと思った

しかも地味子の感想が
「面白かったねきょうちゃん」
だ。どういう感性してるか正気であるか疑いたくなるっつーの
次に向かった方向は
「らぶ、ら・・・・ラブホテ・・・・・・」
信じらんない!信じらんない。あたしだってあんな場所入ったことないのに!


突然見知らぬ男が話かけてきた
「ねー、彼女暇してんのー?」
この忙しい時にナンパ?空気読めっての
「あたし、今、忙しいの。他当たってくんない」
「でも、彼氏さんいないみたいだし俺と遊びにいこーよー?」
ウザッ、あんたなんか初めから眼中にないっての
          • これはあまり使いたくなかったんだけど
あたしは写真をとりだした
「ごめん、あたしお兄ちゃんが好きで好きでたまらないのー
悪いけどお兄ちゃん以外男として見てないんだよねー」
そう言って兄貴とあたしが仲良く手を繋いでる写真(合成)を見せ付けた
「ごめん俺用事を思い出したから」
そう言ってナンパ男はそそくさと逃げていった
どうやら効果は抜群だった

言っておくけどあくまでナンパ男を追い払う最終手段だから勘違いしないでよね

しまったーナンパ男のせいであいつらを見失ったじゃない
一瞬躊躇したが、あたしはラブホテルの中に突撃していった

「すみません、今、この写真の男入ってきませんでしたか」
あたしはさっきの写真を見せた
「いえ、その写真に写っている方は見ていませんが・・・・・もしかして彼氏さんですか?」
しばらくボケーとしていたがあたしは言われたことを理解すると顔が暑くなるのを感じた
「違います、違います、絶対にありえませんから」
そう言ってその場から逃げ出した

くーーーーーあんな最低なやつが彼氏なんてありえないんですけど
最悪最悪最悪ー、あいつは近くにいなくてもあたしをイライラさせる

表通りに出ると兄貴と地味子がデパートから出てくるのを発見した
あんたらのせいであたしはひどい目にあったじゃない

そのまま兄貴達を追っていくとケンタッキーに入って行った
つーかさクリスマスに
戦争映画<デパート<ケンタッキー
って男として最低なデートコースなんですけど?
あたしも後を付けて兄貴達の席からは見えないすぐ近くの席に座った


「今日は楽しかったねーきょうちゃん」
「そーだなー、でもわざわざクリスマスに来る必要があったか微妙だがな」
やっぱ最低だわ。あんた
「きょ、今日だからいいんだけどなー ・・・・来年は昔みたいに
 桐乃ちゃんとも一緒に過ごせたらいいのになー」
「うわっ、絶対ありえねーからそんなこと。俺あいつのこと嫌いだし」
あたしはズキリと胸が痛むのを感じた
ちっ、あたしだってあんたのこと嫌いなんだから
「もーどうして、そんなこと言うかなー本当はそんなこと思ってないくせにー」
「けっ、うっせーよ」
追跡中、ずっと感じていたが兄貴が地味子に向ける表情は特別なもの
それは昔あたしにも向けてくれてたもの
あたしはムカムカしたのでそのまま帰って寝た
その日は兄貴と二人でクリスマスを過ごす夢をみた

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最終更新:2010年01月25日 00:34
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