今日の俺は少々気が立っていた。
何故かと言うと、昨日偶然風呂に入ろうとした時に漫画なんかで良くある嬉しいハプニングで桐乃の裸を拝むと言うイベントが起こってだな。
そこまでは、むしろ美味しかったんだが。あいつ……言い訳をする暇も無くハイキックを顔面にキメやがって。
お陰で今日になっても痣が消えなくて、麻奈実に言い訳するのに一苦労だったぜ。
たかが裸見られたくらいで蹴り殺されたんじゃ堪んねーつの。
たかが裸……そういや蹴られざまに見たデルタ地帯が脳裏に焼き付いて離れない。
ちくしょー俺は何考えてんだ。そうだ、一発抜いて落ち着こう。
そう考えたと同時に、俺は一つ悪戯を思い付いた。
桐乃が帰ってきた時にほぼ必ず座るリビングのソファーにちょっとした悪戯をしてやろう。
知らずにソファーに座った桐乃がどんな顔するのか今から楽しみだぜ、ゲヘヘヘ。
「ふぅ・・・」
妹の裸をオカズにして抜くという変態極まりない行為を終えると、無性に虚しくなったこれが賢者タイムって奴か。
俺の中の天使の心が俺が穢した桐乃の定位置を綺麗にしておく様にと囁く、冷静に考えればこれはかなりマズい状況だしな。
桐乃が帰ってくるまでに何とかしないとな……。
ガチャ
と思った矢先に桐乃が帰って来やがった、ティッシュはどこだ!?
学校から帰宅した桐乃はいつもの通りリビングへ入りー
「何してんの?そこ邪魔なんだけど、この虫!」
うお、こいつ兄であるこの俺を虫けら扱いしやがった!
一度冷めた怒りが再び沸き上がってきた。
だが、ここは抑えろ。焦るなこっちにはトラップがある。
「お、お帰り」
ギコチなく挨拶を投げつつどいてやる。
「チッ」
これまたゴミでも見るかの様な目で俺を睨んで、桐乃はいつもの定位置に制服姿で腰を下ろし携帯を取り出した。
か、掛かった!へっへへへ人を散々蔑みやがって俺の怒りを思い知れ!
そこで、俺は空かさず言ってやった。
「お、すまん。さっきそこにカルピス零しちゃってさー。今拭こうとしてた所だったんだんだ。
お前が悪いんだぞ、帰って来ていきなり俺をどかしたりするから」
勝ち誇った笑みを浮かべたつもりだったが、傍目からはセクハラ親父みたいな締まりの無い表情だったかも知れない。
桐乃は、急いで立ち上がり自分のスカートのお尻部分とソファーの汚れを確認した。
「あ、あ、あんた……な、何してくれてんの!?絶対ワザとでしょ!?」
桐乃の奴よっぽど悔しかったのか声がうわずってやがる。
だが、まだ生意気な態度を取るのでトドメを刺してやることにした。
「どう見ても精子です。本当にありがとうございました」
まさかこの台詞を口に出して言う日が来るとはな。
あいつが激怒したら更に嘲笑ってやろうと身構えていると。
「うっ……うっ……ひどいよ……こんな事するなんて……」
予想外にあいつは泣き出してしまった。
いやいや、エロゲだとこんな展開無かったぞ!
ちょっと生意気な妹にお灸を据えてやるだけのつもりだったんだが。
シクシクと泣きながら桐乃は洗面所の方に走って行ってしまった。
その後、冷え切っていた兄妹の関係は完全に崩壊した。
最終更新:2010年02月16日 11:39