俺の妹がUSB接続



あ…ありのまま、今起こっている事を話すぜ!
『俺は妹の部屋で、妹のパソコンを使って、妹にいかがわしいことするゲームをしながら、
 妹にいかがわしいことをさせている!』
な…何を言っているのかわからねーと思うが俺も何をされているのかわからねぇ…
頭がどうにかなりそうだ…催眠術だとか超現実だとか、
そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を味わっているぜ…



それは不用意な一言から始まった。

「どのシーンが一番興奮するか、って言われてもな……どのシーンも興奮しねえよ」
このセリフ、京介にしてみれば「妹キャラの濡れ場に興奮するわけにはいかない」という意味を言外に匂わせたつもりだったのだが、
兄を部屋に呼び出し、エロゲーの客観的な意見とやらを求めていた妹オタク妹に、真意は通じなかった。
彼女のまなじりがダイヴブレーキが必要な急角度に吊り上がり、心臓の毛を一本一本こじるような目で兄を睨みつける。
「はぁ?この神ゲーで全然興奮できないなんてマジでありえないんだけど!?」
「じゃあ、お前は興奮してんのか」と聞くわけにもいかず、予想外の剣幕に兄はしどろもどろになる。

どうやら桐乃は元々性的興奮を催させるために創られたゲームが、全くその目的を果たしていないと聞いたことで、
お気に入りの作品を全否定されたような気持ちになってしまったらしい。
そうと、気付いたときには既に遅く、妹様はなんか一人合点していた。腕を組み、玉蟲を薙ぎ払う勢いで言う。
頬を心もち赤らめて。
「わかった!実は……このゲームは秘められた全機能を解放していないの!」
「なんか黒猫みたいな言い方だな……」
「ここでアイツの名前を出さないでっ!っ……ともかく、アンタが興奮できなかったのは、そのせいに違いないわ」
妹が熱くなるのに反比例して、兄は冷めてきた。後頭部をかきかきジト目で問う。
「で、その機能ってのは、なんなんだ?」
途端に身を引き、言い淀む桐乃。目を逸らしてブツブツと何事か呟いている。
「そ、それは……あたしも持ってないけど」
(いや、しらねーよ)とツッコミを入れるほど大きな声でもなく。
京介は黙って見守ることにした、
いつのまにか光彩を失いかけた目で「布教」「布教」「布教のためなら」「しかたない」とかなんとか、のたまう妹を。
エロゲー宣教師様が、ようやっと得心がいったように一度うなづくと、目に再び宿った光は妖しくギラついていた。
嫌な予感しかしない雰囲気に、今度は改宗者が身を引く。
しかし、コンプリートしたつもりのゲームにやり残しがあったと聞いては、一抹の興味を覚えてしまうのも事実だった。


そんな兄に妹は目を伏せながら悲しげに切り出した。
「ほんとは純正品でやってほしいの…」
くねっと身をひねる。今にも泣き出しそうな表情。
「でも純正品は高いからもってないの…」
そして、ぐあしっと肩を掴んできた!
「だから、あたしがやるわ!」
荒い鼻息が京介に掛かる。何をやるのか結局わからなかったが、その迫力におされて彼はコクコク頷いてしまった。

「さあ、席について!」
いまにも清水寺の舞台から飛び降りそうなヤケクソじみた勢いで、桐乃が自分の椅子を引く。
くだんのエロゲーはすでに起動して、シーン回想モードに突入していた。
「いや、座るのはいいんだが……お前、なんで、机の下に入ってんの?」
京介の網膜が水晶体を通して観測したとおり、桐乃は自らの身体を折りたたみ、狭い空間に押し込めていた。
腿を両手で抱えたままキッと見つめてくる。
「いいから!」
「お、おぉ……」
妹の珍妙な格好が醸し出す不気味な迫力に気圧されて、兄は恐る恐る腰かけるとマウスを手に取った。
しかし、足元の気配が気になってしかたがない。

チラッ
「……」
チラッ
「……」
「……」
「……」
チラッ
「こっちみんなッ!!」

ガンッ!

蹴りを食らって椅子が勢いよく滑る。あやうく転倒しそうになる。
京介は溜息をつきながら、着席しなおした。足が当たるので自然と股が開きがちになる。
「はぁ、わかったよ。ともかく、はじめればいいんだろ」


カチッ
クリックでメッセージを進めると、それはどうやら妹キャラの好感度が高いときの――

『えへへ、お兄ちゃん。あたしがなめなめしてあげるねっ』

とスピーカー様がおっしゃるシーンであるらしかった。音声の明るさが、かえって気まずい。
カチッ
カチッ
かといって顔色をうかがえば攻撃されるのは目に見えていたので、無言で情景描写を読み進める。
と、膝元で空気の揺れる気配がした。
ガチ
硬質の音に続いて、ズボンに張力。
(!?)
身体がこわばった拍子に、もう一度、左ボタン押し込んでしまう。

『うわぁ、お兄ちゃんのニオイがするよう』

白々しく妹キャラの音声が流れる。リアルではズボンを襲っていた張力が緩み、今度はパンツに……
(いいか。見るなよ。絶対見るなよ、俺!)
だが、冷や汗が耳から顎先まで伝う前に、リヴァイアサンは大気に暴露された。
カチチッ
指を滑らせ、たまらず下をみる。なんとそこには、兄の荒ぶる海獣に鼻を寄せる妹の姿が!
跳ねるように立ち上がらなかったのは、桐乃を蹴飛ばしてしまう危険に気付いたからだった。
「お、おま……な、何してんだよ!?」
それまで首筋まで桜色に染めた妹のどこか陶然としていた目が、色を変えて直上をねめつける。
「実物のニオイを……じゃなくて!見ないでっていったでしょ!!」
「こんな真似されたら、誰でも見るわ!お前は恩返しの鶴か!?」
「だからぁ!あたしがゲームの代わりにシてあげるっていってるじゃん!」
「聞いてねえよ!どんなゲームだ?イリュージョンあたりが質量のある立体映像を開発でもしたのかっ!」
丸出しのまま怒鳴り合う兄妹。唾の飛沫が眠れるリヴァイアサンに降りかかる。
「そ、そうじゃなくて……」桐乃は僅かに言い淀む。そして、淀みを越えれば激流のごとく。
「このゲームは、ォ、オナホールと連動しているの!!あたしをオナホ代わりにしなさいってこと!」
「……!!?」
目元に涙を浮かべて叩きつけられた言葉に、京介は絶句した。思考がフリーズする。
桐乃は吐きだした声の代わりとばかりに、涙を散らしながら兄のペニスにむしゃぶりついた。
「んっ、ちゅっ、んぐっふ、はっ」
稚拙というのもはばかられる有様で彼女は、性器を必死に舐め転がし、しゃぶり、唾液をまぶせる。
それでも、妹をエロゲーの付属品扱いにするシチュエーションの異常と、股間を覆う生温かさが京介の意識に生じた空白域を押し広げた。
自然、本能に委ねられたリヴァイアサンは水に馴染む属性にしたがい元気百倍!
美少女の口中でぐんぐんと怒張してしまう!!

たまらず漏れた桐乃のくぐもった嗚咽が、京介の正気をやっと呼び戻す。
その声音には彼の深層意識を刺激せずにはいられない切なげな響きがあったのだ。
あわてて妹の頭を押さえ、ペニスを引き抜く。
唾液がてらてら光る亀頭と瑞々しい唇の間に細い橋を造った。その先にあるのは涙をボロボロとこぼす妹の美貌。
勃起の衝撃に頭のネジが何本か飛んだらしく、その情景を見た京介の股間は甘くうずいた。
それでも性衝動を押し殺して、おろおろと左手を伸ばす。

「だ、大丈夫か?」
「ッ、大丈夫なわけないでしょ!あたしにここまでさせたんだから……ちゃんと最後までプレイしなさいよ!!」

今夜の妹は、いや今夜の妹も予想外のことばかり言う。
Lv.1の勇者は四の五いわせず、再びリヴァイアサンに挑みかかってきた。
「ぐぅっ!」
驚いた京介は桐乃の頭に左手を置くが、突き放すでもなく引き寄せるでもなく。
妹の無理な攻めにされるがままになってしまう。
結果、ファンシーな部屋に淫らな水音だけが満ちる。


見えない出口をもとめて、いまだ動かせずにいた京介の右手がマウスを強く握った。すると、

『あんっ、お兄ちゃん、だいしゅき!!好きなの!好き!お兄ちゃんっっ。んちゅっ、レロ…』

プレイ中だったエロゲーの音声がスピーカーから溢れだす。嬌声を聞いて桐乃の行為が微かに熱を帯びた。

もしかしたら、回想シーンが終われば、同時に罪深い行為も終わってくれるかもしれない。
京介はその直感にすがった。肉感に目をしかめながら、左クリックを連打連打。
セリフが終わるまで進めない設定が、ツライ。

『お兄ちゃん、ココがいいの?』
『おててでもして、あげるね?』
『さきっぽ熱くなってきたぁ~』

兄妹での行為ことに抵抗感を覚えている京介が思わずムカつくほど明るい声で、画面中の妹は淫猥な行為に耽る。
まるで彼女に対抗心を燃やしているかのごとく、桐乃の奉仕も過熱していった。
カリ裏を舌でほじったり、タマ袋を揉んだり、前立腺に頬ずりしたり……
エロゲーの内容をなぞることで、テクニックの幅が急速に広がっていく。
いつしか京介の意識は、ムカついていたはずのエロゲー主人公と一体化していた。
絶え間ない妹の攻めに、熱いタイダルウェイブが分身にこみあげてくる。

『お兄ちゃん感じて!あたしの口でもっと感じてぇ!』

もはやゲームの音声も、桐乃に直接言われているようにしか、聞こえない!
妹の頭をおさえる手に知らず知らずのうちに力がこもり、さらなる奉仕を貪欲に求めてしまう。
桐乃は桐乃で、そんな反応に抵抗するどころかよりいっそう激しいフェラチオで応えた。
粘膜が溶け合って、二人の境界が曖昧になっていく感覚――

ガチチガチガチガチ!

快楽に痙攣した右手がマウスを乱打をする。
シーンを進めなければ、ずっと楽しめるのではないかと、さきほどまでとは正反対の妄想が脳裏に浮かんだ。
だが無情にも慈悲深く、快楽は頂点に達し、最後の選択肢が目の前に現れる。

1.口に出す
2.顔にかける


京介は――1を選んだ。

「くっ!桐乃!!中に出すからなっ!全部飲めよ!!」
「!!!?」

びゅるびゅるびゅるくびゅく――

口をついた自分の言葉に過剰反応して、京介の思考はショートした。
(中に出す、桐乃の、妹の、中にっ!)
いままで溜め込んだ背徳感を、大量の精液と一緒に吐きだし、叩きつける。妹の口腔を白濁液が暴力的に犯していく。
桐乃はただただ必死に、兄を受け止め、腹におさめようと喉を蠢かした。
しかし、後続の量は圧倒的。たまらず唇から溢れたザーメンが形の良い顎を伝う。
あわてて受けた白い手が真っ白に染まるころ、ようやく射精は終わりを迎えた。
「はぁ~~」
心底けだるげな溜息が、普段でもだるそうな男の口から漏れる。賢者モードの到来である。

そんな彼でも、目の前の少女が手に溜まった粘液を、苦悶しながらすする姿には驚かされた。
「おまっ、何してんだ!?無理に飲まなくたって……」
だが彼女は言うことを聞かず、首を振り振り、残った子種をゆっくりと嚥下していった。
涙を浮かべた目は咎めるように訴える。「自分がほしいのはそんな言葉じゃない」と。
何度かまばたきしてから、京介は言う。
「えーと、その……すげぇよかったわ」
小さな頷きと微笑みが返ってくる。
おかげで、勃起時にブッ飛んだネジの何本かが永遠に失われたことが確認できた。
そう、淫らな液体でドロドロになった桐乃の顔を見ているうちにリヴァイアサンが
「私が倒されようとも第二第三のタイダルウェイブが……」などと自己主張をはじめたのだ。

(……これ以上ここにいると、マズい)

京介は席を立ち、できるだけ顔を直視しないようにして妹の頭を撫でやると、ドアに向かって踵を返した。
「待って」
小さな声にぴたりと足が止まる。衝突事故の寸前みたいに危険を知りながら身体が動いてくれない。
心のどこかでは“事故”を望んでしまっているのだった。


そんな兄の背中に妹は言葉を投げる。

「あたし……今日から部屋の鍵、かけないから」

言われたほうが深意を理解するのに少し時間が掛かった。掛かっている間に、

「俺の部屋なんか、最初から鍵がないんだぜ」

と、軽く返してしまっていた。息を呑む気配に気付いたときには後の祭り。
もつれそうな足で部屋を立ち去るしかなくなっていた。明日から、どんな顔で妹に会えばいいのか……。
「おやすみ」
「……おやすみ」
京介はドアノブを回す。せっかくあるのに使われなくなった鍵を少しだけ不憫に思う。

だが、本当は気付いていた。
――この鍵を使う役目は自分に課せられているのだということを。





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最終更新:2010年10月12日 13:46
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