8スレ目2



あやせ視点 京介x桐乃

「で、あの馬鹿がいじけちゃってさぁ」
桐乃はいつもの様にお兄さんの事を話している。あの一件以来ずっとこんな感じ
一緒に暮らしているのだから話のネタには困らないのだろうけど、毎回毎回
そんな嬉しそうに話されてもどんな反応すればいいのか困ってしまう。
あの後、桐乃は否定してたけど、すっごく仲よさ気なんだよね。普通 兄妹って
もっと無関心なんじゃないの。
適当に相づちを打っていると桐乃は延々とお兄さんの話を続けてしまう
桐乃がうれしそうにお兄さんの話をしている顔を見ると とても言い出せないけど
もっと色々な お話したいのになぁ。

桐乃と別れて帰宅後、部屋で勉強していると母からのメール。
"帰りは遅くなりそうです、食事は適当にすませてください 母より"
今更 寂しがる歳でもないけど、お母さんにはもっと家にいて欲しいな。
せめて わたしにも兄弟がいれば、こんな気持にはならないのかな。
桐乃の所みたいな お兄さんがわたしにもいたらどうなんだろう?
妹のためにお父さんと喧嘩したり、友達を説得したり、アメリカまで迎えに行ったり。
超シスコンのお兄さんか・・・ちょっと羨ましいな。
ダメ。ちょっと寂しいからって、あんな変態のことなんか考えてちゃ。
気晴らしに、買い物にでも行こう。

夕飯と明日の朝食の材料を買いに近所のスーパーに向かった。
お父さん 今日も帰れないみたいだし、自分の分だけ夕食を作るのはつまんないな。
やっぱり兄弟が欲しかったな、なんて考えていたら お兄さんの顔が浮かんできた。
      • だからダメだって、何考えているんだろ わたし。

スーパーの前まで来ると一組のカップルがスーパーの入り口でもめている。
まったく、そう言うのは人目の無い所でして下さい。なんでわざわざ店頭で
などと思いながら近づいていくと、そのカップルは、桐乃とそのお兄さんだった。
あきれながらも、平静を装って声をかける
「桐乃」
桐乃はびっくりしたように振り返る、お兄さんはまずい所をみられたって顔をしている
「あれ、あやせどうしたのこんなとこで?」
「わたしは夕飯の買出し、桐乃は?」
「あたしも夕飯の買出しに来たんだけど、何作るかでこいつと揉めちゃってさぁ」
二人で買い物に来るなんて、なんだかんだ言いながらほんとに仲いいよね。
「二人で買い物なんて珍しいね」
ちらっとお兄さんの方に目を向けると 目をそらして明後日の方に顔を向けた。
怪しい・・・これは何かある。
「作るって、桐乃が作るの?」
さりげなく聞いてみる。
「今夜、親二人ともいなくてさ外食もなんだし 夕飯ぐらい作ろうかなって」
えっと、今 なんて言ったの? ・・・親二人ともいない
ありえないでしょう、二人だけにするなんて ココの親は何考えているの?
「あれ あやせどうしたの?」
「・・・・りに行く」
焦ってしまい、うまく声が出ない
「何?」
「わたし 今日 桐乃の家に泊まりに行くから」
周りの人が振り返るくらい大きい声が出てしまった
「う、うん わかった」
ちょっと 引き気味な感じで桐乃が応える。
少し恥ずかしかったけど、そんなこと言ってる場合じゃないよね。

桐乃の家に泊まりに行く許可は簡単におりた、両親とも桐乃の事、信用しているし
桐乃のお父さんが警察官ってのも大きいと思う。ただ桐乃の両親が不在ってのは
黙っておいた。桐乃とお兄さんとわたしの3人となると、許可がもらえないと思うから。

桐乃の家に行くと
「お客さんなんだから座って待ってて」
と言われて、二人が夕食を作るのを見ていたが、とても見れたものじゃなかった
二人共 料理をほとんどした事がないらしく、指示を出す桐乃も無茶苦茶だし
お兄さんは包丁で指を切ったり、火傷したり。あまりの酷さに二人をどかせて
わたしが代わりに作ることにした。
「ごめ~ん あやせ。こんなハズじゃなかったんだけど」
「すまない あやせ」
桐乃は料理がダメそうなのは薄々わかっていたけど、困った時に頼りになる
お兄さんも料理はダメなのね。ちょっと優越感
わたしが料理を作り始めると、後ろで
「痛てーよ、もうちょっと優しく」
「手当してあげてるんだから、じっとしてなさいよ」
「手当ってそれ包帯じゃなくてテーピングじゃないのか」
「うるさい。血は止まってるんだから、あとは固定しとけばいいのよ」
「ほんとかよ? 指まげれないんだけど」
手当というか、わたしから見ればイチャイチャしてるとしか見えないんですけど。
ほんとに桐乃ってお兄さんをいじめてる時が一番楽しそう。

夕食の準備もできて、いただきますの直後にお兄さんが
「ちょっと待て」
「何、せっかくあやせが作ってくれたのに なんか不満でもあるの?」
不機嫌そうに桐乃が応える。
「そうじゃなくて。あのさ、俺この手でどうやって食えばいいのかなって?」
そういえば お兄さんは、さっき怪我した指をテーピングで固定されているため
お箸を持てそうになかった。
「手を使わずに食えばぁ」
桐乃は笑いながら言ったが、さすがにそれは可哀想。
「兄に対してそれは、ちょっと酷すぎませんか桐乃さん」
お兄さんも反論。
お兄さんの手を見ると、左手でスプーンなら持てそうなので
スプーンを取りに席を立とうとすると、桐乃が
「しょうがないわね」
と言いながら、自分のお箸でお兄さんのおかずを切り分け、お箸で取ると
あ兄さんの口の前に持っていった
「ほら あーん」
わたしは目の前で起きた事が理解できずに、固まってしまった。
お兄さんは目の前に差し出されたおかずをじっと凝視していた。
そこで再度 桐乃が
「あーん」
お兄さんは状況が理解できたらしく耳まで真っ赤にして拒否していたが
「早く口開けなさいよ」
真剣な桐乃の言葉に耐え切れず、お兄さんは口を開き おかずは押し込まれた。
「モグモグムモグ」
「おいしい? ハイ次ご飯ね アーン」
"いったい 私の目の前で何が起きているの"
落ち着いて、落ち着くのよ あやせ。状況を確認しましょう
今 わたしの正面に座っているのは 親友の桐乃
その横 私の右斜め前に座っているのが 桐乃のお兄さん
で "アーン"ってありえないでしょう。見てるこっちが恥ずかしい。
なのにこの兄妹は人目も気にせず、"アーン"を続ける。
わたしはもう顔をあげずにモクモクと食べるしかなかった。

「後片付けは、あたしやるから あやせはゆっくりお風呂入って」
夕食後、二人と顔合わせずらかったので素直に従い、先にお風呂に入らせてもらった。
湯船で夕食のことを思い返す。
お兄さんが手を怪我していると言っても他の方法とか無かったかな?
左手にスプーンは、・・・やっぱり食べづらいか
でも兄妹で"アーン"は無いでしょう。
じゃあ わたしが・・・って何考えてるのわたし。そのままのぼせてしまいそうになった。

お風呂を出て、着替えてリビングに向かう。
桐乃の楽しそうな声が聞こえてくる、またお兄さんをいじめてるんだろうな
リビングに入り、二人に
「お先にお風呂いただきましたぁ。」
「あやせ おかえりぃ。」
「じゃあ 次 あたしお風呂入るけど、その間にあやせに変なことしたら殺すからね」
「しねぇーよ」
おもいっきり否定されると、少し悲しくなるのは何でだろう。

桐乃がお風呂に入り、お兄さんは勉強すると言って自室に引き上げてしまった。
お兄さん 何も逃げるように自室に戻らなくても。私と二人でお話しするのが
そんなに嫌なんですか? まあ さっきの事を問いただされたくない気持ちは
わかりますが、私のこと大好きじゃなかったんですか?
そんな事に腹を立てている自分は、ほんの少しだけど お兄さんの事好きなの
かも知れない。

一人 リビングでテレビを見ていると
「アーいいお湯だった」
後ろから桐乃の声が聞こえてきた。
「桐乃 お風呂あがったの?」
振り返ると、バスタオルを巻いただけの桐乃が立っていた。
「なによ、あのバカいないのか せっかくからかってやろうと思ったのに」
その格好でお兄さんをからかうって、いったい何をするつもりだったの
とは返事が怖くて聞けないので
「ちょっと桐乃。その格好は、どうかと思うよ。まさかいつもそうなの?」
「いつもはお父さんいるから、ちゃんと着てるよ。お父さん こういう事には
厳しいからね」
もうー それじゃお兄さんを誘惑してるとしか、思えないよぉ
「じゃ着替えてくるから、ついでにあのバカにお風呂あいたの伝えてこないと」

「遅いなー桐乃」
桐乃が2Fに上がってから30分近く過ぎたけど、まったく降りてくる気配がない。
お兄さんも降りてこないし、どうしたんだろう?。
まさか、あの恰好のままお兄さんの部屋に行って、・・・。
あわてて2Fへ駆け上がった。
お兄さんの部屋のドア越しに聞き耳を立ててみる。何も聞こえてこない。
よかった、大丈夫みたい。
桐乃の部屋の前に行きノックをして「桐乃居る?入るよ」
「あ、あやせ。ちょ ちょっと待って」
桐乃の焦ったような返事が返ってきた。
まさか桐乃の部屋で、わたしが泊まりに来てるのに、信じられない。
すぐにドアを開け 中に入ったが、そこにはバスタオル姿の桐乃しか居なかった。
わたしの心配は杞憂に終わったようだ。友達が階下に居るのにそんな事するわけないよね。
「全然降りてこないから心配しちゃったよ」
「ごめ~ん、あやせ。ん、あやせ顔赤いけど大丈夫?」
「えっ ああ・・大丈夫。なんでもないから」
わたしが変なことを想像していたことを悟られないように、ここは話を変えないと
「ところで桐乃 何でまだバスタオルだけなの?」
桐乃は一瞬 返答に困り
「えっと~ ちょっとした準備かな ハハハ」
何かごまかそうとしている。準備って何の?
ふと あることに気づく。桐乃の肩の部分、紺の下着?
バスタオルの下に紺の下着ってどういうこと??
「な、何? あやせ」
じいっと凝視して気づく、それは下着では無く スクール水着っぽい。
「そ、そのバスタオルの下 スクール水着だよね?」
「ははは、よくわかったね あやせ」
何でスクール水着、桐乃はお風呂入るときいつもスクール水着で入るの?
でもさっきお風呂上がった時は着てなかったはず。
「何でスクール水着を着ているの」
分からないので率直に聞いてみると、わたしの予想もしない答えが返ってきた。
「ほら あいつ手を怪我してるじゃん、一人じゃ洗えないだろうから手伝って
あげようかなって」
「だからって、そんな恰好で行くことないでしょう」
「ほら、よくあるじゃん。洗ってあげてる最中にバスタオルがハラリと落ちて。
焦った兄貴に対して『ちゃんと下に水着 着てるから、何期待してんの~バッカじゃん』
と からかったりしてやろうかなと」
「へー そ、そうなんだ」
よくあるって、それって桐乃がやってるゲームの中での話でしょ。そんな事 現実には
ありえ無いからね。
「あ、あれ あやせ怒ってる?」
「少しだけね」
「す、すっごく怖いんですけど」
さっきのお風呂上りといい、今回といい、何でお兄さんを挑発しようとするのかな
このブラコン妹は。わたしはいったい何を護ろうとしているんだろう
結局、その日 お兄さんはお風呂に入らなかったので桐乃の作戦は未遂に終わった。

桐乃が私にベッドを譲って、布団を敷いて寝ると言って聞かないので
結局 二組の布団を敷いて寝ることにした。さすがにちょっと狭くて、完全には敷けなかった。
寝る前に学校の事や部活の事、モデルの仕事のこと、・・・色々お話した
「今日は桐乃と色々な事 いっぱい お話できてよかった」
「いつも 話してるじゃん」
いつもは桐乃 お兄さんのことばっかり話してるんだよ。でもそれが桐乃なんだよね
わたしの親友で、アニメが好きで,Hなゲームも好きで、お兄さんのことも・・・
「桐乃 これからもずっと親友でいようね」
「もちろんだよ あやせ。これからもよろしくね」
「うん、おやすみなさい」
「おやすみ」
とっても幸せな気持ちで眠りに落ちて行った。

明け方、目を覚ますと桐乃が部屋にいない。トイレかな?
しばらく ぼぉっと待っていたが桐乃は戻ってこない。
心配になってトイレを見に行ったけど、いない。リビングやキッチンも人の気配が
無かった。部屋に戻ってみたが、やっぱり桐乃は戻っていない。
もう一つ行きそうな場所があるけど、まさかそんな事はないよね。
お兄さんの部屋の前に行き、小さくノックをしてみるが返事はない。
お兄さんの部屋を勝手に開けるのは悪いとは思うけど、ちょっと確認するだけだからと
自分に言い聞かせ、音を立てない様にゆっくりドアノブを回す。
そっと部屋の中の様子をうかがい、目を凝らすとそこには
お兄さんのベッドの上で兄の腕枕&兄に抱きついている桐乃がいた。
「何やってるんですか」
大声で怒鳴り、そして念のため持っていた携帯用防犯ブザーを鳴らした。
お兄さんは慌てて起きようとして、自分の腕の中に桐乃がいる事に驚いたようで
さらに私のほうを見て固まった。自分でもこの時 どんな恐ろしい顔していたのか
想像もつかない。

結局
「久しぶりに、布団で寝たら昔の夢見ちゃって寝ぼけて部屋間違えちゃったみたい。」
桐乃がそう言うので信じるしかない。
さっきのお兄さんの狼狽ぶりからすると何事も無かったようだし
「だからって 許したわけじゃないですからね、お兄さん、桐乃」
ベッドに腰掛けながら、床に正座している二人をにらむ。
「これって俺も悪いのか?」
「お兄さんがしっかりしていればこんな事にはなりません。」
二人を小1時間ほどお説教した後に
「そうそう桐乃、今度から両親が不在の時は連絡してね、必ず」
桐乃は震えながら、大きく何度もうなずいた。
「わたし 必ず泊まりに来るから」

 -----終わり-----





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最終更新:2010年12月12日 12:54
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