8-210



 放課後にほぼ日課となっているゲーム研究会へ顔を出しをし、黒猫と瀬名ちゃんを眺めて英気を養ってから受験勉強をする為に長居をせずに家路に着いたわけだが。
 ウチの目の前に制服姿の見知った女の子が二人居るのを見つけた。
 一人はラブリーマイエンジェルことあやせたん、もう一人は年上である俺に敬意を払わない糞ガキこと加奈子で共に妹の"表"の友達だ。
 桐乃と遊びに来たのだろうか、目の前を素通りするのも何なので挨拶でもしようと近づくとどうも様子がおかしい事に気がつく。
 あやせが加奈子の襟首を掴んで塀に押し付けてるって言うか加奈子の足浮いてね?
「ちょ……あやせ!加奈子の首締まってるじゃねーか!?」
 おいおいマジかよJCの絞殺の現場目撃とか有り得なくね?ここ日本だよね?大阪民国でもないぞ!?
「あら、お兄さん。こんにちは」
 あやせは俺に気付いたのか加奈子から手を放して俺に笑顔で挨拶をしてくれた。たった今まで同級生の首を締めてたとは思えない豹変っぷりだ。
 最近、俺と話すときに警戒する様な顔だけでなく社交辞令なのかも知れないが笑顔も見せてくれる様になったが、今はその笑顔が逆に怖い。
 加奈子は本当に首が締まってたのかケホッケホッと苦しそうに咳き込んでいた。
「ちょっと待っててくださいね、今加奈子をしつけてる所ですから」
 一瞬にして笑顔から般若の様な表情を浮かべ加奈子に向き直る。
 いや、あやせさんそれは躾けるというよりこれからトドメを刺すって顔してますよ!
「ま、待った!それ以上やったら加奈子が死んじまうぞ?」
 あやせから加奈子を助ける為に俺は二人の間に割り込んだ。
 あやせを加奈子に近づけさせないように両手を広げると、俺の制服の裾を引っ張られる感覚に気付き振り返ると加奈子が涙目で俺の足に縋りついてきた。
 俺の事を見下してた加奈子が俺に縋りつくって相当怖かったんだろうな……。
「お兄さんどいてそいつ殺せない」
 ちょ、この子今○すとか言ってませんでしたー?あやせさん怖えー、あやせさんマジ怖えーよ。(大変怖かったので2回言いました)
「お、落ち着けってあやせ。加奈子がいくら糞ガキだからって○すのは不味いと思うぜ。もしするにしてもここじゃ近所迷惑だから公園にでも行こうぜ、そこでどうしてこうなったのか俺が聞いてやるからさ。それから加奈子の処遇を考えても良いんじゃないか?」
 あやせの形相が親父並に恐ろしかったから、目を若干逸らしながら必死に説得した。
「それもそうですね、ここでやったら桐乃にも迷惑が掛かりますし、分かりました場所を移動しましょう」
 俺の説得が功を奏したのか、何とかあやせの凶行を抑えることが出来た。
「な、それじゃ加奈子も一緒に―――」
 って、加奈子がちゃっかり逃げようと忍足で数メートルほど離れていた。
「かーな゛ーこー」
 そうあやせが加奈子に呼びかけると加奈子はビクッとヘビに睨まれたネズミの様に硬直した。
「逃げたら社会的に抹殺するから、タバコ吸ってたの学校にチクられたいの?」
 あやせがそう脅迫すると加奈子は「ひっ」と短い悲鳴を上げて尻餅を付いた。
 逃げようとした加奈子も加奈子だが、あやせさんマジ容赦ねえ。俺は加奈子に駆け寄り声をかけた。
「歩けるか?俺も付いて行ってやるから落ち着ける所で話そうぜ」
 そう言って俺は加奈子に手を差し伸べそのまま加奈子が逃げないようにこいつの手を引いて公園まで3人で移動した。
 まるで小学生みたいな加奈子の手を引いて歩くのは犯罪臭がして気が引けるがあやせに任せたら加奈子の手に痣が付きそうだったから仕方無く俺が引っ張って行った。


 近所にある小さくて人があまり居ない公園に着くと、加奈子をベンチに座らせ俺は横にある手すりに腰掛けた。
 あやせは加奈子の逃亡を警戒しているのか加奈子の手前に立ち睨みを利かせている。
「で、どうしてあんな事になってたんだ。やっぱりあやせがあんなに怒るって事は桐乃の事なのか?」
 とりあえず事経緯を聞き出そうと俺から話を切り出す。
「そ、そうなんです!この子が桐乃のオタク趣味を知って、あろうことかそれをネタに桐乃を強請ろうとしたんですよ!」
「ちがっ、加奈子そこまでしようとは……」
 あやせの主張に反論しようとした加奈子だったがあやせにキッと睨まれて口を噤んでしまった。
「あちゃー、加奈子にもバレちゃったのかー」
 あやせにバレた時点で加奈子にもバレる日が来るんじゃないかとは思っていたがここまで話がこじれる事になるとは。
「まあまあ、落ち着けってあやせ。大体何があったのかは想像出来るが一応加奈子からも話を聞かせてくれ」
 このままだとあやせの一方的な糾弾になりそうだったので、先手を打とうとしたのだが。
 加奈子はあやせの殺気に圧されたのか涙を流して俯いている、このままだと話をするのが困難そうだから加奈子を落ち着ける為に俺が一肌脱ぐことにした。
「おい、加奈子。泣くなって俺はお前の味方だ、俺の顔見覚えあるだろ。ほら、マネージャーとしてイベント会場まで一緒に行っただろ」
 そう言って俺は加奈子のマネージャー役をやって居た時のように前髪をかき上げて見せた。
 顔を上げた加奈子は目を丸くし俺の顔見て「あっ」と声を漏らした。この分だとマネージャー時には俺が桐乃の兄だという事には気づいていかなったみたいだ。
「か、加奈子は……悪くないもん……」
 心を許せる味方が出来て安心したのかどうにか加奈子は口を開いてそれだけ呟いた。
「はっ、開き直り?あんたは悪徳政治家かっつーの!。桐乃をあんなに落ち込ませて世の終わりみたいに狼狽させた癖に」
 あやせの怒りが有頂天になったのか若干桐乃の口調が移ってるぞ。
「いやいや、いくら加奈子でもそこまで腐ってないしこいつなりの言い分もあるんじゃないか。責めるのはそれを聞いてからでも遅くないだろ」
 加奈子をフォローしつつ、何とかあやせを黙らせる。
「桐乃の趣味を知ったら誰だって驚くもんな、俺だって最初は家にあんなのがあっても桐乃の持ち物だとはとても思えなかったしあの趣味に否定的って意味ではあやせも同じだろ?」
「それはそうですけど……でも!桐乃を脅そうとするなんて絶対許せません!」
 あやせに桐乃の趣味がバレた時の事を引き合いに出してあやせの同意を得ようとしたんだが、どうも「脅し」という部分がキーワードみたいだ。
「その脅したってどういう事なんだ加奈子?」
「気安く加奈子とか呼ばないでよ。あんたも加奈子に嘘ついてた癖に」
 嘘ついたって身分を偽ってマネージャー役やってた事か。
「いや、あれはあやせに頼まれて仕方無く……いや、隠してたのは悪かった。すまん!」
「まあ、自分からバラしてくれたからそれはもう良いけどよー。桐乃もあやせも加奈子にだけ黙ってるって酷くねぇ?こっちだってダチだと思ってつるんでたのによー」
 そうか、加奈子は自分にだけ隠し事されてたのに腹を立てて喧嘩になったわけか。
「それで、カッとなってクラスの奴らにバラされたくなかったら金出せよって言っちまったわけよ」
「そっかー、腹がたってつい酷い事言っちゃたってわけか―――ってそれ完全にイジメっ子のそれじゃねーか!恐喝は犯罪だぞ」
 女子の仲良しグループのイジメがエゲツないとは聞いてたが、これはひでぇ。
 ん?だが待てよ。
「いや、ちょっと待てよ。仮に加奈子がクラスメイトに桐乃の趣味の噂を流しても桐乃が否定すれば誰も信じないんじゃないか?」
 確か前にあやせに桐乃の趣味がバレた時もクラスメイトは信じないだろうって言ってたよな。

「もちろんです。桐乃は学校ではそんな素振り全然見せてませんから噂だけで信じろという方が無理です」
 だよな。俺も廊下に例の物が落ちてた時は桐乃は真っ先に持ち主候補から除外したしな。
「でも、加奈子は桐乃があの……えっちなゲームを嬉しそうに抱えてる所を隠し撮りしてたんです!」
 うわ、それは言い訳不可能だ。エロゲのパッケージって裏は大体イベントCGで埋まってるからなー。
「もちろん、真っ先にその画像が入ったケータイを取り上げて削除したんですけど。この子はSDカードにも保存しているとか言うのでそれを末梢しようとした所でお兄さんに邪魔されたんです」
 なるほど、それであやせは加奈子を末梢しようとしてたわけか。
「よし、あやせ。加奈子を締めてもいいぞ。俺が許す」
「ちょ、あんた今さっき加奈子の味方だって言ってよな!?」
 おっと、加奈子の所業が余りにも酷かったからつい口が滑ってしまったが、一応俺は加奈子の味方だと言ってしまったんだよな。
「すまんすまん、前言撤回だ。お尻ペンペンくらいで許してやってくれ」
 加奈子が何言ってんだこいつって顔をしているが、躾と言ったら尻叩きと相場が決まってるからな。
「そうですね、見える所に跡が残ったら後々面倒ですしね」
 うん、そうそう流石あやせさんはよく分かっていらっしゃる。それもイジメっ子の台詞だけどね!?
「く、二人とも覚えてろよー!」
 そう加奈子は悪態を付くが観念したのか先程とは違い逃げようとはしなかった。
「桐乃は加奈子に甘いから謝ったらそれで許してくれるかも知れないけど、悪い子にはお仕置きが必要だよね」
 そう言って加奈子ににじり寄るあやせさんは何処か恍惚とした表情を浮かべていて、加奈子はビビったのかベンチから立ち上がって壁まで後ずさった。
「加奈子、何で逃げようとするの。悪いのは加奈子の方だって本当は分かってるんだよね?」
「だって、なんかあやせ怒るといつも怖いし……痛ッ!加奈子の髪の毛引っ張らないでよ!」
 加奈子の二本に束ねられたお下げの片方をあやせが掴み、自分がベンチに座った膝の上に加奈子をうつ伏せに跪かせ、加奈子は膝枕よりは土下座に近い格好になる。
「はいはい、加奈子ごめんなさいしましょーねー」
「ちっ、ガキ扱いしやがってお尻ペンペンくらいで反省なんかしてやるかよ」
 加奈子の奴、この期に及んでまだ悪態をついてやがる。あまりあやせを怒らせるなよどうなっても知らんぞ。
「あれ?何か言ったかなー?」
 ほら、あやせさんが般若みたいな顔になってるぞ、お前の頭の位置からは見えないから分からないかも知れないがな。
 と、思ってるうちにあやせが左手で加奈子の腰辺りをフォールドしながら唐突に加奈子のスカートをパンツごとずり下ろした。
「なっ」「な、な、何してんだよ!?」
 俺と加奈子の声が同音の声を上げた。加奈子の小ぶりだが張りのある柔らかそうな尻が目の前で晒される。てか、もう少しで見えんじゃねーの?赤さん貼った方が良くね?
 パァーン!と目が覚める様な音がしほぼ同時に加奈子が「い゛」と短い悲鳴をあげる。
 あやせが加奈子のパンツを下ろしてから間髪を入れずに1発尻に平手を打ちつけたのだ。
「悪い子にはお仕置きしないとね」
 あやせは自分に言い聞かせる様にそう言うが、心なしか顔に恍惚の表情が浮かんでるんですが。
「か、加奈子は悪くないもん……」
 おいおい、火に油を注ぐ様な事言うなよ。前から馬鹿だと思ってたが加奈子って命知らずだな。
 と思っているとバシン!と言う音と共に加奈子の「アッー!」という悲鳴が聞こえた。
 こう言っちゃなんだが仕方ないね。
「ごめんなさい。もうしないから許してくださぃ」
 2打目の攻撃は流石に加奈子も堪えたらしい尻が手の形に腫れ上がってやがる、初めから素直に謝ってたら痛い目を見ずに済んだのにな。
「加奈子ォ、ごめんで済んだら警察はいらないんだよ。それに桐乃の受けた心の痛みはこんな物じゃ無かったんだから!」
 未だ怒りの収まらないご様子のあやせ様はそう簡単に許してくれるはずもなく。
 パンッ!パパパパパンッ!とリズミカルなケツドラム音が響いた。 
「痛い!痛い!痛くて死ぬー!」
 既に手形が付くほどに腫れていた尻にこのスパンキングを食らっては加奈子も限界みたいだ。そろそろ止めてやらねーとな。
 俺は、まだ叩こうと手を振り上げたあやせの手を掴んで止める。
「おっと、そこまでだ。流石にこれ以上やると病院行きになっちまう」
 見ると桃の様に白く瑞々しかった加奈子の尻がまるで林檎みたいに赤く腫れ上がっている。生意気な加奈子に灸を据えるのは良いが流石にやり過ぎたな。

「私に触らないでください!通報しますよ!」
 いやいや通報されかねないのはどっちかと言うとあやせの方だからね?可哀想に加奈子は余りの痛みで放心状態じゃねーか。
「いやだね、これ以上やると加奈子が死ぬかも知れない。だから変態と罵られようが通報されようがこの手は離さない……!」
 思えば、あやせに殴られたり蹴られたりはされたが俺からあやせたんにスキンシップしたのは初めてじゃなかろうか。どうせなら不意に伸ばした手と手が触れ合って「あっ」てな状況が良かったな。
「ずるいですよお兄さん、これじゃ私が悪者みたいじゃないですか。シスコンな上にロリコンだなんて救いようのない変態ですね」
 ぐほっ、あやせの罵倒は骨身に沁みるぜ。加奈子はロリかも知れんが、あやせたんが好きな俺ってロリコンだったのか?我ながらショックなんだけど。
「ふぅ、分かりました。もう加奈子をぶったりしないからいい加減手を放してください。いつまでも加奈子のお尻を変態の目に触れさせるわけにも行きませんから」
「うおっとすまん!いや、全然視姦なんかしてないからな。俺はどっちかというとおっぱいのが好きだしな」
 俺が慌てて手を離すと、あやせは痛みでぐったりした加奈子のパンツとスカートを元の位置に引き上げた。
 ふと、さっきから黙ってる加奈子が心配になって俺はこいつに声をかけた。
「おい、加奈子生きてるかー」
 返事が無いただの屍のようだ。
 加奈子が気絶しているからか、あやせは不意に独白し始めた。
「私、加奈子に嫉妬してたのかも知れません。桐乃は加奈子がコスプレ大会に出てからこの子を溺愛する様になってて、それなのに加奈子は桐乃を裏切るような事して」
 あやせが暴走したのはどうやら加奈子にジェラシーを感じていたかららしい。
「でも、それって加奈子と同じじゃね?あいつも桐乃とあやせだけで秘密を共有してたのを仲間はずれにされたと思って意地悪しようとしたみたいだし。似たもの同士もっと仲良くやれよ」
 あやせは加奈子と自分が似ていると言われて驚いた様な顔をしていたが、一瞬思案する表情を見せた後に独白するように呟いた。
「似ている、そうかも知れませんね。加奈子の事を馬鹿な子だと思ってましたけど、私もまだまだ子供だったみたいです」
 うんうん、あやせもたまに見せる子供っぽい部分が萌えるんだよな。でも一つ突っ込ませてくれ。
「BA・加奈子って駄洒落かよ!まあ、そういう事だから桐乃と3人で仲良くしてやってくれよ。加奈子も聞いてるんだろ?」
 あやせと二人で会話をしていたが、加奈子そろそろ起きてる頃だと思い俺は声を掛けた。あの3人が一緒じゃないとダメだしな。
「ちぃ、バレてたのか。ヒデェよな二人して加奈子のお尻を散々叩いたり視姦してやがってよ」
 加奈子はもそもそと起き上がってあやせと俺を睨んで今までの仕打ちに不平を漏らした。
「おい!誰が視姦したってんだよ!?中学生の尻くらいじゃ全然興奮しないっての!」
 あやせのは別だけどな!雑誌の水着写真には何回もお世話になりました。本当にありがとうございました。

「なんだとぉてめー。くぅ、ケツが痛くて反撃出来ねぇ」
 加奈子は俺に仕返しに拳でも振るうつもりだったのかも知れないが、尻の痛みでそれどころじゃないらしく尻をさすりながら恨めしそうに俺に涙目の視線を向けた。
「そうそう、あやせ。加奈子にごめんなさいしような。いくら加奈子がいけない事をしたとしてもあれはやり過ぎだ」
「そうですね、確かにやり過ぎました。ごめんね加奈子、私どうかしてたみたい。加奈子も私達の大事な親友だもんね、隠し事したり信じてあげられなくてごめんなさい。こんな私だけどまだ友達で居てくれるかな?」
 あやせは自らの行いを恥じたのか少し顔を赤らめていたが、素直に加奈子に謝ってくれたみたいだ。
「ちっ、本当はさっきの仕返しに一発ぶってから許そうかと思ったのによ。そんなに良い子ブッた謝罪されちゃ仕方ねーな、許してやんよ」
 良かった、加奈子もあやせと仲直りしてくれたみたいだ。あやせが加奈子の首締めてた時はどうなるかと思ったが何とかなって安心したぜ。
「あー、忘れる所だった。加奈子さんよ、お前もうちの妹にごめんなさいしないとな。あいつアレで打たれ弱い所あるからさ、今頃枕濡らして泣いてるかも知れん」
「そりゃーいーけどよ、尻が痛くて歩けないからお前加奈子をおぶってってくんね?」
 今回は怪我人って事で大目に見るが。加奈子、お前が俺に要求する時の顔って召使でも見るかのごとき物扱いなのどうにかしろよな。
「あーそうだったな、尻が痛いんだったな。ウチまではおぶってってやるよ。ウチに付いたら湿布でも貼ってやろうか確かリビングに常備されてた気がするし」
 そう言って俺は加奈子に背を向け手を後ろに回して片膝を付いた。俺がおぶる体勢を取ると待ってましたと加奈子が俺の背中に体重を預けてくる。
 こいつ小さいからかすげぇ軽いな、これなら後で加奈子んちまでおぶって行っても平気かも知れん。
「よし、肩に手を回して落ちない様にしろよ。そうだ、あやせもうち寄ってくか?」
 あやせも二人の仲直りを見届けたいだろうと思い声を掛けてみたが。
「あ、私そろそろ門限が近いからご遠慮させてください。それじゃ加奈子また学校でね。お兄さんもさようなら」
 あやせは、空の夕焼けと腕時計を見比べ慌てた様子で、家路に急いで行った。公園の時計を見ると既に6時を回っていた。
 そういやあやせは結構厳しい家の子なんだよな。俺も加奈子を背負いつつなるべく急いで家に帰った。

「加奈子、尻出せよ」
「えー、自分で脱がせば?このロリコン」
「ちっ、生意気な奴だな。仕方ねー、おいしょっと」
「よーし、んじゃこの辺か?」
「ちょ、いきなりそんな所触るなよ痛ぇっての」
「おっと、すまん。もう少し慎重にやるな。どら、こんな感じか」
「あー、そこそこ。気持ちーー。あー、これ癖になるかも」
 俺がリビングで加奈子とお医者さんごっこをしていると、不意にリビングのドアが開かれ誰かが入ってきた。

「ちょ、あんたこんな所で何やってるのよ!!?あれ?加奈子……?あんた人の友達になんて事してくれてんのよ!?この変態!ロリコン!」
 誰が入ってきてもこの状況は不味かったのだが、寄りにも寄って今一番遭遇してはいけない人物だった。
「き、桐乃か?ご、誤解だ!いやー、これには深いわけがあってだな……」
「問答無用!」
 あべし!慌てて言い訳しようとしたが顔面に桐乃の飛び蹴りが命中し言い訳をキャンセルされた。
 数分後、そこには並んで土下座をする二人の姿が在ったと言う……。

 終わり





+ タグ編集
  • タグ:
  • 新垣 あやせ
  • 来栖 加奈子
最終更新:2010年11月06日 12:07
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。