寒風吹きすさむ趣のある露天風呂、熱い湯気と共に檜の良い香りが漂ってくる
俺たちはある東北の旅館に居た…
「まさか赤城がこんな良い旅館知っているとはな」
「ただ親戚が営んでるだけだよ…、この不景気で昔みたいに客足が減ったみたいでさ
遊びがてらに宣伝してくれとさ、帰ったらよろしく頼むわw」
そいう言うと赤城は自分の顔にお湯をかける。確かに良いとこだわ、都会暮らしの俺でも
なんか哀愁にひたるというか…、懐かしい気持ちにさえなってくる、これは帰ったら思いっきり
宣伝しとかないと流石に悪いな、黒猫や沙織にでも紹介してみようか
「なぁ…、京介」
「ん?」
「このお湯ってさ…、さっきまで瀬菜ちゃんが浸かっていたお湯なんだよな…」
なんか、その~…、飲んでみたい気もするよなw」
まぁ、近頃大抵のことでは驚かない俺でも引くね…、このど変態シスコン野郎には
「あのな…、このお湯は俺たちが最後らへんに入っているだから、さっき見た太ったおっさんも
廊下ですれ違った今にも召されそうな婆さんとかのエキスもたっぷり入っているんだからな!」
「そうだな…飲んだのが少しだから良かったぜ!」
「飲んだの!」
変な病気になっても知らんぞ!俺は。
「冗談だよ、でもさ…、お前の妹だって入っていたんだぜ…、なんか感じるものはないの?」
「何にもねえよ!お前じゃあるまいし、そんな発想自体浮かばないっての!」
赤城の下らない質問に俺は顔にまたお湯を掛ける、…そっか、さっきまで桐乃がこの風呂場に
居たんだよな…って馬鹿!この馬鹿のせいで俺まで変な思考になってきているぜ。
「どうした?」
「なんでもねえよ!」
プルプル顔を振る俺に赤城は「?」みたいな顔をする。でも、まぁ、こういうのんびりするのも
悪くねぇよな、俺も受験の英気も養えるし、桐乃も卒業前の部活で結構ばてていたしな
「なんだかんだで呼んでくれてありがとよ、赤城」
「なんだよ、急に…、気持ち悪いなw、別にかまわねえよ」
こういう気取らない所が赤城の良いとこだな
「お前達がなんか一番良いかなと思ったしさ…」
「俺と桐乃って事か?」
赤城がざばっとお湯を掻き分け立ち上がる
「ちょっと俺の相談事に乗ってくれないか!京介」
「乗るからその前に俺の目の前にある『モノ』を今すぐにどけろ…」
そいういう赤城は我に返ったように再び腰を降ろす、本当に直線的な野郎だな
「赤城、気持ち悪いから顔を赤らめないでくれ…」
「あのな…」
ちょっと赤城の今までと違う雰囲気に俺は思わずつばを飲む
「瀬菜ちゃんがな…」
「おう」
やっぱり瀬菜の事か、こいつが頭抱えるって言ったらそれぐらいだしな
「時々何だけど…、瀬菜ちゃんがさ、俺の目の前を下着で通るんだけど誘ってんのかな?」
その質問聞いた瞬間に俺は事故をする戦闘機から脱出するぐらいに逃げたかったね
この自意識過剰男はもう本当に死ぬぐらいしか救いようがもないぞ…
さっき言った赤城の良いとこってのは無しだ…
「えっ!せなちーって下着でお兄さんの前出れちゃうの?!」
「そんなにいつもってわけではないですけどね、時々」
私たちはお風呂から上がってきてせなちーの部屋でガールズトークを楽しんでいた
まさかせなちーがそこまでやっているとは…
「その時のうちのバカ兄ったら笑っちゃうんですよw『全然俺は見てませんよ!』
みたいな感じなんですけど!完全にあたしにしか気が向いてないのwwwマジ笑えません?」
「でもさ…、せなちー恥ずかしくないの?」
「う~ん、最初は別になんとも思っていなかったんですけどね、さっき話したみたいに
あっちが意識しすようになってからちょっと私も恥ずかしいかなとは思うようにはなったんだけど
まぁ…、別にいいか!って感じになっちゃていますよねw
せなちーって結構大胆ね…、でも良く考えたらあたしも渋谷でラブホに兄貴と入った時に
バスローブ一枚だったな、あの時のあのバカも挙動不審たらありもしかったしね
いつ襲われるか気がきじゃなかった気もする…
「桐乃ちゃんもそういう時ないですか?なんか廊下出たらばったりとか!」
「う…、家は結構親が躾が厳しくて人前出るときはちゃんと服を着ろ!って言われているから
あんまりないんだよね~」
今度、あのバカの前で出てみようかな~、くししwwwあいつどんな顔するのかな?どうせわたわたして
見れたもんじゃないと思うけどなんだかんだであたしから視線外せません!みたいな~
「桐乃ちゃん?」
「あっ!はい!」
いけないいけない、つい妄想族入っちゃった、せなちーの方を改めて向く
「で…、でもせなちーさ、襲われる~!なんて思わないの……」
いけない、つい咄嗟にへんな事言っちゃった
「そうですね…、まぁ、それはそれで仕方がないかなと…」
「軽っ!」
軽いよ!せなちー!そんな「お弁当忘れちゃった」みたいなのりでいいの、というか腐女子の脳内構造から
さらに180度回転しちゃっているような発想だよ
「私も…、そのなんかそんな誘っているようなカッコしちゃっているわけですし…、でも私は腐女子の
端くれです、そんな漫画みたいな展開にはならないようにはしますよ~」
「そ!そうだよね~、兄妹同士だもんね~」
「ちゃんと避妊はしなくちゃいけませんよね!」
「そこなの!?」
すごいよ…、すごすぎるよ!せなちー薬も無しで何処までもぶっ飛べるんのが羨ましいよ。
某漫画で「交渉は如何に冷静でイカレてるかを相手に理解させるのがコツ」って言っていたのが
今、あたしにはわかる気がするよ
「あたしって腐女子じゃないですか~!つい興味が出ちゃて古代の事とか調べまくったんですよ!
そしたらソク○テスとかプ○トンとか、もう、昔のヨーロッパとかってガチホモなんて当たり前なんです!
そりゃ腐女子なんで言葉あるわけないですよね!知りませんでしたか?」
ごめん、せなちー…、多分、その情報はあたしは死ぬまでの間一回かそこいらぐらい必要になるかならないか
ぐらいの知識だと思うよ…、そんな事は死んでも言えないけど
「そしたらなんかよく調べてみると近親相姦ってのもかなりの頻度であったみたいなんですよ!
よく貴族の間なんかでは「父×娘」とか「兄×妹」とかブームってわけではないですけ」
「ふ~ん…」
そこはちょっと知っている、この前、あたしの
あやせが喧嘩した時にあのバカ兄貴が私を助ける為に
そんな事言っていたっけ…本当にそういうのってあったんだ…、知らなかった
「日本の法律でも禁止されているわけでもないし、あくまでもモラルの問題ですけどね…
だからと言って簡単には兄妹でHなんてならないとは思いませんけど…」
あたしとせなちーは今ちょっとお酒が入っている、甘いカクテルのようなものしか飲んでいないけど
かなりいい具合になってしまっている、ちなみにあたしは初めてだからね!
「もし…、今日、バカ兄に迫られたら……、もしかしたら拒めないかもしれない…」
「せなちー…」
あたし達はそれぞれ兄妹同士の部屋を取ってもらっている、それがその状況を生み出す最大の原因でもある
あたしはどうなのだろうか…、あの兄貴に迫られたらなんて言うのかな?…
その前にあたしの気持ち自身良くわからないよ…、兄貴の事なんて…好きなんかじゃないんだから。
「桐乃ちゃん!」
「あっ、え!何・・・」
かるくグッドトリップしていたあたし
「今のは2人の内緒ですからね!」
「うん…、2人の秘密だよ!」
正直、何処からが内緒なのかは判らないけど…
お互い兄妹っていう秘密…、それが甘くて切ないモノなのか、それとも現実の厳しさを知るモノなのかはお互い判らない
「いい風呂だった~!」
がらっと音を立てて2人が戻ってきた、怖い意味ではなくびっくりしてしまうあたし
「ちょっと女の子の部屋に入るときぐらいノックしなさいよ、バカ兄!」
「悪い、悪いw」
「瀬菜…、こいつもう本名改名してもいいくらいの本物のバカだぞ…」
「今度二人で仲良く市役所でも行って来て下さいよ」
何楽しそうに話してんのよ…、まともに顔を見れないあたしがバカみたいじゃない。
まぁ、いいわ、本当の夜はこれからなんだからね!あたしは指で銃の真似をして兄貴に向けた
俺の妹がこんなに可愛いわけがない
最終更新:2010年11月19日 02:29