それはある日の出来事だった。
安らかに眠ってた俺は、唐突にバチンと頬に強い痛みを感じた。
「なっ!?ってめ桐乃何しやgなんられるろ!?」
「何故そこで桐乃の名前が出てくる。貴様まさか?」
「いやいや、ちょっと待て。なんであんたがここに居るんだ!?」
「うるさいぞ今何時だと思っている。この馬鹿息子が。」
「…その発言はこの場にひどくそぐわないと主張したいぞ。親父。」
そう、『深夜に部屋で寝ている息子に覆いかぶさるような体勢で突然びんたをしてきた親父』に馬鹿息子と言われる筋合いはない。
「ったく、なんだよ突然。俺が何をしたって言うんだ。」
と言いながら俺は内心どきどきしていた。あ、瀬菜はお帰りください。
何せ親父がこんなことをしてきたんだ、洒落にならないことを俺はやらかしてしまったのかとはらはらするのは自然だよな?
もしかして、あの事やこの事がばれ…いやもしかしたらあの事か? その内心を知ってかしらずか
「なんだその目は。後何か不穏なことを考えている気がするが、まぁ良い。今はおいておこう。」
さすが警察官。直感ぱねぇ!
「で、質問に答えてくれ親父。」
「うむ。とりあえず先日は良くやってくれた。まずは礼を言っておく。」
え、何。俺親父に対して何かフラグ立てちゃったの!?あ、先日ってのは桐乃の奴の偽彼氏騒動な。 ってだから瀬菜はお帰りください。
「なんだか今、寒気がしたのだが。お前の部屋にもエアコンが必要かもな。」
「そいつはありがたい話だ。」
「で、質問の答えだったな。先日の騒動でな、俺ももう少し位はお前達の趣味を知っておくべきかと痛感した。」
「はい?」
「で、だ。まずはお前が愛しているとまで言い放ったエロゲーとやらを俺も少しは知っておくべきと思ってな。」
「待ってくれ親父。何か俺は今聞き捨てならないことを聞いた気がするぞ。」
「お前が愛しているとまで言い放ったエロゲーとやらを俺も少しは知っておくべきと思ってな。」
「…で、何で俺の部屋に?」
「貴様。俺にお前のように桐乃の部屋でいかがわしいゲームをしろと言うのか。この家には桐乃とお前の部屋にしかパソコンはない。」
あ、それもやっぱり覚えられてるんっすねってか改めて言われると死にたくなる。
「で、息子の部屋で?」
「うむ。」
「……」
もうやだ田村さんちの子になりた・・・いや、黒猫の家に転がり込むのもありか。
「とりあえずだ、京介。一番良いのを頼む。」
あんたはどこぞの話を聞かない人かっての。まぁ断ったところで折れる人でもないし仕方ない。
「はぁ…分かったよ、じゃあこれで」
俺が取り出したのはD.C.Ⅱ.P.C 実は前作のD.C.P.C自体はクリア済みなんだよね。あ、最初に攻略したのは誰か言わなくても分かるよな?
「ああ」
と言うわけでプレイ開始。前作に比べると随分雰囲気が明るくなってるな。主人公も良い奴だし。
姉妹は最初は攻略できないって言ってたな、ってことはん~まずは委員長か 眼鏡だしね!
「ふむ。やはり眼鏡か。」
・・・このおっさんいまなんつった?ってかやはり って俺はもはや親父にまで女の好みの傾向把握されてんのかよ!?死にてぇぇぇぇぇぇぇ!?
その後もぼちぼちとシナリオをクリアしていく。親父は基本的に無言なんだがたまに、「なるほど」だの「ふむ」だの言っているのが気になる。
まぁ多分だがそう悪い印象は与えてないはずだ。
一通りのルートをクリアし終わり、いよいよ姉妹ルートである。義姉の方からやるとなんか深いところにいきなり突っ込みそうだし、義妹から行くか。
「…ほぅ。妹から…か。」
だからいちいちそういうこといわないでくれよな!?ってか俺は今から親父と妹の部屋の隣で、義理とは言え妹を攻略するって、ある意味以前より変態度増してね!?
はぁ・・・まぁ諦めるか。なんだかんだで俺も話の続き気になるしな。
この義妹 外面は良いが、家ではめんどくさがり屋で、主人公にはやたらきつくあたってくる。なんだこりゃどっかの誰かさんみたいだな。
しっかし主人公も鈍いよなぁ~こんなにきつく当たられてるのは、うちの妹様と違って好意の裏返しって気づこうぜ? 俺だったら余裕で気づくね。
そんなこんなで終盤まで進めて素直になった義妹といちゃいちゃし始めたわけだが、ラストシーン なんと主人公が消えちまった!?
あれ??続き無し?バッドエンド??
「あっれ~?おかしいなぁ、バッドか?」
「ふむ、とりあえずもう一人の姉の方を攻略してみたらどうだ。こういうものではそう言うことをするとルートが開放されることがあるのだろう? べ、別に調べたわけではないからな?」
「あー、それもそうだな」
調べたのかよ親父。この人もうだめかもしらんね・・・
と言うわけで、今度は一転して義姉を攻略 こっちは弟(=俺)にやたらべたべたしてくる。
まったくこんなかわいい義姉に好意を寄せられるなんてうらやましいねぇ。ったくリア充爆発しろ! あんたらもそう思うよな?
こっちは終盤になると妹とは逆に離れていこうとする。もしかしてあの消えたことと関係あるんかねぇ。
ってああ、そういうことね。
などとどんどんストーリーを進めていくとこれまでのなぞがどんどん解けていく。うむ良い話だ。
おお、さくらさんってーーー だったのかとかの話が展開されてる辺りで、後ろからなんかただならぬ気配を感じるって
「お、親父!?あ、あんた!?」
そこには感動の涙をどうどうと流す親父の姿があった。 え?何これ。意外すぎるってかのめり込んじゃってるよ、この人!?
「うむ、すまなかった いかがわしいものなどと言って。これは真にすばらしいものだ。桐乃にも是非やらせよう。」
「影響受けすぎだ!?ってか冷静になれ親父ーー!?!?」
「ぬ、すまん。つい。続けてくれ。」
「……」
もうやだ黒猫さん助けてーー!?
ともあれルートをクリアし、その後さくらさんに関連するお話が解放(親父はここでも泣きまくってた)、そして最後にバッドエンドと思われてた二つの話の続きが描かれ無事ハッピーエンドっと。
「ふぅこんなもんか。ってなんかまだルートあるのなこれ・・・ボリュームあんなぁ・・・」
「ふむ。ではそちらもだな」
「へいへい まぁ幽霊の子のシナリオみたいになんかあるんだろうさ」
あのシナリオはやばかったよなぁ~まじで泣く一歩手前だったぜ。親父が居たから泣かなかったが、居なかったら間違いなく泣いてたね!
というわけで他のシナリオを探してアイシアルートへ突入。
あーやばい、このルート主人公良すぎるわ。ってか全部ハッピーエンドだし、これが正規でよくね?
なんかまだ隠しあるっぽいが・・・まぁいっか。
「って訳でどうよ、親父。」
「ああ。問題あるまい。お前の気持ちも少しは分かったかもしれん。だが、
勘違いするなよ?妹の部屋で妹にいかがわしいことをするゲームをやっていたのは流石に理解でき」
「その話はやめてくれ、親父。 まぁなんだこういうことだ。」
「ああ」
というと親父は部屋を出て行った。 ふーどうやら親父の態度はだいぶ軟化したみたいだぜ。
上手くいけば桐乃の事をかばい続けなくても良くなるかもな。まぁあの暗黒物質なんかを見たら流石に親父も切れそうだが。
「はぁ~しっかし親父がねぇ・・・まぁいいや寝るか。」
それから数日後 親父がパソコンを購入した。
…もうやだこの家
最終更新:2010年11月22日 16:44