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「はぁ」
俺は新垣邸の玄関の前で嘆息する

学者の父さんが海外の大学に呼ばれて移籍することになり母親もそれについていくことになった
俺は言葉も通じない海外での生活なんて考えられなくて断固拒否した
生活費さえ振り込んでくれれば、一人暮らしするからと言ったのだが

親たちは、高校生のお前を一人暮らしなんてさせられないと、議論は平行線をたどった
結局、結論として出たのが叔父さんのところで暮らせということだった
正月くらいしか会わない人たちだけど、海外へ行くよりマシかと思い俺はその提案に乗ることにした

「あの、うちに何か御用でしょうか?」
「え?」
突然後ろから声をかけられ、驚きつつ振り返ると、そこには長い黒髪がきれいな制服姿の美少女が立っていた
「あれ?裕輔くん?」
あやせちゃん?」

あやせちゃんは小走りで近づいてくると、俺の手をとって

「久しぶり、お正月いらいだね、そういえばうちに来るの今日からだっけ」
「あ、うん。ごめんね、突然厄介になることになって」
「ううん、そんなこと。大変だったね。お父さんから聞いたけどおじさんたち海外へいくんだってね」

「なんで玄関の前で立ち尽くしてたの?遠慮しないで入ればいいのに」
「ああ、まぁそうなんだけどね、なんとなく、どう挨拶して入ろうかと考えて」

あやせちゃんが玄関のドアを開き、俺のほうへ笑顔で振り返る

「いらっしゃい、裕輔くん」

中に入るのは初めてだけど、結構広い家だな。うちはマンションだったからこういうのは新鮮だ。
あやせちゃんが呼んできた、叔母さんがやってきて一通りの挨拶をした後、俺が使う2階にある部屋に案内される

「この部屋だよ。」
荷物はもう届いていたようで、用意された部屋に置いてあった
「さて、片付けでもするか」俺は腕まくりをして気合を入れる
「手伝おうか?」あやせちゃんが親切に申し出てくれるが俺はやんわりと断る
女の子に見られたらマズイものとかもあるしな

夕食の席で叔父さんにも挨拶をし、近況報告などをしてこの日の夕食は終えた
お風呂をいただいた後、部屋に戻り、明日からの登校の準備をする
転校なんて初めてだけど、不安なものなんだな

さてと、寝る前にトイレに行っておくか。俺は階段を下りてトイレに向かう。
トイレのドアを開けた瞬間、俺の時間は止まった
まぁ、それは比喩なんだが、それくらい時間の流れがゆっくりに感じたんだ。
おそらく、あっちも同じなんだろうな、俺の姿を見て完全に固まっていた。
なんというか、目の前にスカートと下着を下ろして固まっている、あやせちゃんの姿があった。
まさに眼福の光景だった。女の子の、その大事な部分がバッチリ見えている。

だけどそんな光景もいつまでも見ていることができるわけなく。
俺は、あわてて扉を閉め、捲くし立てるように謝る。
「「ご、ごめん!」」
やばい、これはやばいぞ!!
下手したら家から追い出されるかも、俺もしかしてこのままだとホームレス?
水を流す音が聴こえたので、俺は慌ててドアの前から離れた

「「ご、ごめん!、本当にごめん!」」
俺は思い切り頭を下げて平謝りをした

すると、俺の肩にそっと手が置かれる、これは殴られるくらいは仕方ないな
俺は覚悟を決めてゆっくりと顔を上げてみると、赤い顔をして
「も、もういいから。これは事故だし、私もつい鍵かけ忘れたし」
「え?でも」
「わざとじゃないでしょ?もしわざとだったらブチ殺すけど」
ひい! 怖い!、目が全然笑ってない!、下手なこというと本当に殺られる!
「じ、事故だよ!事故。」
「そうだよね、そんなことする人じゃないもんね」
それだけ言って、足早に階段をあがっていく
その場に取り残された俺は、恐怖に震えながら、その行方を目で追っていた。

ベッドに寝転んで目を閉じると、さっきの情景が鮮明に浮かぶ
エロ本で見るのとは、全然違ったな。すごく綺麗だった。

はっ! だめだ、だめだ 早く忘れよう

さっきの目を思い出すと大きくなりかけていたアソコも、途端に萎える

漫画とかゲームでよくあるような展開にまさか自分自身が遭遇するとは思わなかった。
ありがちなものだと、あとは着替えを覗くとか、気づかずに風呂で遭遇とかだよな
今回は事無きを得たが、次なにかあると身の危険を感じるし気をつけよう。

明日は転校初日なのにとんだ前夜になってしまったな。
そんなことを考えながら、俺は眠りについた。

終わり






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最終更新:2010年11月23日 20:55
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