「こんにちは! お兄さん、お久しぶりですね!」
「げっ」
美少女の快活な挨拶に対し、不適切な声が俺の口から洩れた。
「何ですか、『げっ』って。……まさか私に何か後ろめたい事でも? 通報しちゃいますよ?」
「な、無い無い、一切ありません! ま、は、入ってくれ」
「冗談ですよ。おじゃましまーす」
……情けない? ……ビクビクし過ぎ?
ああそうさ! しょーがねーだろ! 俺は大の苦手なんだよ! コイツ、桐乃の親友、「新垣あやせ」がな!
しかし、あやせとの対談?は実にスムーズな出だしをみせた。
桐乃がこの家から居なくなって、あやせの心配事が無くなったからかもな。
「どうですか? お兄さんのお口に合えば、いいんですけど……」
「ん、美味い! これお前が作ったのか?」
「はい! ……フフッ、よかった」
何の邪気も無い素直な笑顔だった。
手土産の手作りクッキーといい魔法瓶の紅茶といい、とても上品な味がする。
……一瞬、こんな妹がいたらな、と思っちまったよ。
いや、だって俺の妹あんなだし! 罪って程でも無いだろ!?
って、誰に弁明してるんだろうね?
「で、今日は一体、どんな用件で?」
まさか俺と茶をしに来た訳ではないだろう。
「実は昨日、桐乃から写真同封でエアメールが届きまして。あ、桐乃とは小まめにメールはしてるんですけど。実家の方には、余り連絡してないって聞いてたものですから」
確かに桐乃の奴からは、数回電話で連絡があっただけだ。
親父は仕事でしかパソ使わないし、お袋に至っては触った事も無いらしい。
今度買うかどうか相談してたっけ。
まあ、それを別にしても、家族より親友の方がいろいろな話をしてるよな。
つまり、あやせは桐乃の近状を知らせに来てくれたって訳だ。
「それだけって訳じゃないですけど」
…………何か嫌な予感がするが、気のせいだと思いたい。
「へえ~、元気そうじゃん」
写真の桐乃は満面の笑顔でピースサインをしていた。
多分、同じ陸上の選手だろう、ドレッドヘアーの黒人の女の子と、肩を組んで頬を寄せ合っている。
ほっとしている自分に気づいて驚いた。
何だかんだで心配してたんだな、俺。そりゃそうか、随分手間かけさせやがったからな。
この分なら、うん、大丈夫だろう。一年しっかり頑張ってきやがれ。
「一番のライバル兼、友達らしいですよ」
友達作りが苦手って訳じゃないんだよな。こうして、あやせみたいに純粋ないい子が親友だし。
「本当、楽しそう。フフッ、私以外の女の子とこんなにも……フフフフフフフフ」
…………前言撤回! 桐乃――っ! 早く帰ってこ――い!
何だかお前の親友、大変なことになっちゃってますよ――!?
「まあ、冗談はさておいてですね」
…………やっぱり苦手かもしれない、この女。
「桐乃が頑張っている以上、私もやんなきゃ! と思ったんです!」
……それはきっと正しい事だ。親友っていっても競い合わなきゃな。
俺は先程のあやせの冗談?を頭から追い出すように頷いた。
「いいんじゃないか? 応援するぞ」
「はい! だから私、頑張ってエロゲーやろう、と思ったんです!」
「…………………………」
「そこでお兄さんにお願いです! 私にエロゲー教えてください!!」
「…………………………」
……どうするんだろうな、俺。
「もしもし? お兄さん、聞いてます?」
「……ああ、聞いてるよ」
そう、俺だって馬鹿じゃない。いつもいつも、突っ込んでばかりいられるか。
こういう時こそ冷静に、かつ真面目に対応すべきなのさ。
こんな成長したくなかったけどな!
「結論から言うと駄目だ」
「な、」
「理由は簡単だ。あやせ、お前は十四歳、エロゲーは十八禁だからだ」
フッ、決まった……。ちょっと俺、格好よくね?
しかし、あやせは引き下がらなかった。
「そんな、お兄さんだけが頼りなんです! お願いします! このとおりですから!」
な、コイツ、土下座しやがった! 丁寧にも床に額を擦りつけてやがる!
「待て待てっ! とにかく頭を上げろ! ったく、大体なんでエロゲーなんだ? 他にも、メルル、とか、いろいろあるだろ?」
「そうなんですけど……お兄さん、公園で桐乃が私に何て言ったか覚えてます?」
公園でっつーとあれか、去年の9月のことか。あの時、桐乃は確か……
『あんたのことも、エロゲーと同じくらい好き!!』
……改めて思い返しても酷い台詞だよな……。
けど、そうか。あれは桐乃の魂の叫びと言っていい。あやせがエロゲーにこだわるのも当然か。
しかし……。
「私もあれから少しずつ勉強したんです!」
そう、確かにあれから半年以上経っている。あやせも成長(と言っていいのか解らんが)している。
「私も桐乃がやったエロゲーを、愛しているエロゲーをやってみたいんです!」
………………別にいいんじゃないか?
あやせは真剣だ。おまけに頑固でもある。意思を変えさせるのは骨が折れそうだ。
それに……。潔癖なあやせがエロゲーをやったらどうなるか。
興味が無い、なんてとてもじゃないが言えなかったのさ。
「これが……桐乃のコレクション……」
桐乃の部屋の秘密の襖。その奥にそびえる数々のお宝を前に、あやせは呆然としていた。
「あっ、これ……」
「ああ、お前がプレゼントしたフィギュアだな。スゲー喜んでたぜ。俺にでさえ礼を言ったからな」
「……そうですか。お兄さんにお礼を……フフッ」
「? どうした?」
「いえ、それよりこれがエロゲーなんですね」
「ああ、そうだ」
「どうしてこんなに箱が大きいんですか?」
「それは俺にもわからん。こういうもの、だそうだ」
俺は世界の謎を、厳かに口にした。
ああ、そういえば、あの時の俺も………、……、…。
「あの、お兄さん? もしもーし」
はっ、いけねえ、一年前に意識がとんでたぜ。
「あ、ああどうした?」
「こちらの開いてない襖には、」
「駄目――っ!! こっちは駄目だ!! これは流石に桐乃の許可がいる!!」
「そ、そうですか、わかりました」
ふう、……すっかり忘れてたぜ。
〝我眠り妨げる者に災いあれ〟
そんな声が脳裏に響いた。
「それで、一体どれをやれば……」
「そうだな、うーん、ってそうか、ちょっと待ってろ」
俺は自分の部屋から紙袋を持ち出し、あやせに渡してやった。
「これは?」
「ああ、桐乃からプレゼントでもらったエロゲーだ。確か、神ゲーって言ってた」
「桐乃が……? お兄さんに……? ………………」
「ああ、あいつからのプレゼントなんて初めてだ」
「これは……私がやったら駄目だと思います。お兄さんがやってください」
「そ、そうか?」
「そうです!」
…………そうかもしれない。桐乃はあれで俺の為にこのエロゲーを贈ってくれたのだから。
多分、心を込めて。
結局、俺の記憶を総動員させ、桐乃の奴が「名作」「初心者向け」と言っていたエロゲーをやることにした。
テーブルにパソコンを移動させ、セッティングをし、万事準備OK。
さて、ここまでしておいて言うのもなんだが、本当にいいのか?
確かに桐乃とは一緒にやったことはあるが。
他所ん家の御嬢さんだぞ?
何か俺、正常な判断できてなくないか?
それに……あやせはどう思っているのだろう。
只でさえあれだけ嫌悪していたエロゲーを男と一緒になんて……。
それだけ信用されてるって事なんだろうな。男の心理としては微妙だが。
ゴトリッ
「ではお兄さん、これを」
床の上に武骨な音をさせて置かれた物は、あろうことか親父の商売道具だった。
そう、『手錠』である。
全っ然信用されてねぇ――!?
つーか何、俺は女子中学生と一緒に、手錠をされてエロゲーやるんですか!?
どんな変態だよ!!
「お兄さんの事は信用してますけど……やっぱり少し怖いので……お願いします」
くっ、いいよ、もう! こうなりゃ自棄だ。好きにしてくれ!
こうしてあやせは『初エロゲー』をやることと相成った。
マウスを駈る手に緊張が見てとれる。
俺はそれを見守る。
正座をして。後ろ手に手錠を掛けて。
…………なんだかなー。
そんな訳であやせのエロゲープレイを見守っているわけだが……
「わっ、わっ」
「あれ?」
「はははっ」
「…………(ぽっ)///」
とにかくなんと言うか、〝可愛い〟のである。
ゲームの色々なネタにいちいち反応しているのを見ると、やっぱり素直で純真ないい子なんだよな。
でもキスシーンでそんなに耳まで赤くしてたら……これからどうなっちゃうんだろうね?
そうして問題のエロシーンに差し掛かった。
桐乃は、エロシーンは気にしない奴だった。でも普通はこうだよなあ。
見ろよ、可哀想なくらい赤くなっちまって。手だって震えてるぞ。
今なら言える。桐乃は変態だったと。
絶賛変態中の俺が言うことじゃないがな!
しかし……初心者向けって言ってたが、これはかなりエロいぞ?
あやせはすっかり無言になってしまっている。息もかなり荒い。
それと……さっきから下半身をもじもじと……。
…………だ――っ!! 俺の方が先に限界だ。手錠しててよかったぜ!
「おい! あやせ!」
「ひゃうっ!! な、何ですかっお兄さん!」
「お、お前、大丈夫か?」
「は、ははは、少しのぼせちゃったかも。御手洗い借りますね」
そうしてあやせは、熱に浮かされているように、ふらふらと部屋から出ていった。
ふう、……しかし、トイレね……。
…………ぐぁあぁあ――!! 何考えてんだ俺!
……しかし、先程擦れ違った時、あやせからはフェロモン? とにかく雌の匂いがぷんぷんした。
そして、トイレへ……。
…………くぉおぉお――!! 駄目だ!エロい妄想が止まらねぇ――っ!!
かなり遅れて、あやせは部屋に帰ってきた。
お前……さっきより顔赤くないか? ……それに、なんだか、挙動不審だ。
ゴクリ、やべえ。
「す、すまん。俺もトイレ!」
俺は部屋から逃げるように立ち上がった。
慣れない正座なんてするもんじゃないよな。
俺は足を縺れさせ、そう、あやせの上に……。
去年の桐乃の時より酷かったかもしれない。なんたって手錠されてるし。
至近距離にあやせの顔があった。ぱちくり、と大きく瞬きする様子は、妙に幼い。
そして、大きく息を吸って、
「変態! 痴漢! ブチ殺しますよっ!?」
死ねェェエェェ――――! が出るまえに辛うじて俺は部屋から転がり出ていた。
ふぅ、危なかった。流石にこの無防備な状態で、あやせの攻撃を受けたら死んでいたかもしれない。
俺はあやせが部屋から追って来ないかビクビクしながらトイレの前に立った。
「さて、コイツをなんとかしないと」
当たり前だが俺の道祖神はこれ以上ないくらいに荒れ狂っていた。
こんなのどうやって鎮めるんだよ。
俺は考えうる全ての手段を試してみたが、全てが徒労に終わった。
あ~~もういい! 知るかってんだ!
今日の俺、何かおかしくないか? いくらなんでも流され過ぎている気がする。
そんな、ふとした疑問も桐乃の部屋に入った瞬間、綺麗に消え去った。
桐乃の部屋なのに別な匂いがする。
そうか、これはあやせの匂いだ。
あやせは立ってこっちをみていた。先程までとは随分様子が違う。
……さっきの事、かなり怒ってやがる。わざとじゃねーての。
「わかっているとは思いますが、足も縛らせてもらいます」
「な、」
「いいですよね、お兄さん」
そう言ってにこり、と笑うあやせには、有無を言わせぬ迫力があった。
って早っ。
俺が呑まれている隙に、あやせは、あっという間に足を縛りあげていた。
両手足を拘束され、俺はいも虫のような有り様だ。
「しょうがないですよね、お兄さんは変態だもの」
ヒィッ! コイツ、本当に虫けらを見るような目をしてやがる!
「変態には罰を与えないと」
そう呟いて近付くあやせから、遠ざかろうとして壁に追い詰められた。
「まずはそうですね、さっき私に押し付けた、汚いモノを晒してもらいます」
「なっ、洒落になってねーぞ、それ! ま、待て、ちょ、おま、それ、いやー!」
ベルトを外され、ズボンとトランクスを一気に下げられた。
「け、結構、立派なモノが付いてるじゃないですか」
そう、俺のナニはすでに先程から御立派様と呼ばれてもいい状態になっている。
「き、気がすんだか、チクショー」
「まさか、これからですよ」
「な、ま、待て、お前はそんな子じゃなかったはずだ。正気に戻っておふぅ」
剥き出しのナニにあやせの足があてられた。知らない間に素足になっている。
「少し煩いですよ、お兄さん」
口に何か布を押し込められた。……多分脱いだソックスだろう。
「フフッ、この変態! こんな風にされて喜んでるなんて! 気持ち悪い! 死んで下さい!」
あやせは罵りながら足を器用に動かしていく。
俺の反応を愉しむように体重をかけたり、指で挟んだりする。
くっ、こんなの、人間として終わってるっていうのに、が、我慢できねえ!
なんとか身体を捻って逃げようとしてもあやせの瞳に睨まれると、蛇に睨まれた蛙状態だ。
実際、あやせの足は蛇のように俺のナニを追い詰める。
逃げ場は無かった。
「こんなにいっぱい臭い汁を出して恥ずかしくないんですか!? この変態!」
あやせの足で放出してしまった……グスッ、ちくしょう……。
俺はもう人格崩壊の危機にさらされていた。頭の中に薄い靄がかかっているようだ。
そのくせ、まだカチカチに反り返っているモノを摘ままれる感覚に一瞬覚醒する。
あやせが跨がって腰を落とそうとしていた。
先程とは打って変わった恥ずかしげな表情で聞いてくる。
「お兄さん、挿入れたいですか?」
その魅力的な美貌に思わず頷く。
「……ふっ……ふっ…………んんっ」
きつく狭い、それでいて暖かで柔らかい肉の中に呑み込まれていく感覚があった。
なんだかおかしい。自分が自分でない気がする。記憶もあやふやだ。
俺はいつ、手錠をはずしたのか。足の拘束も解かれている。
目の前には少し怯えた感じのあやせがいた。
俺の中の野獣の部分が表に出てくる。代わりに思考が深く沈んでいった。
立っているあやせの手をベッドに着かせ、足を開かせる。
制服のスカートを捲り上げると幼い秘所が露になった。白濁液と鮮血がこびりついている。
俺がやったのか? 構いやしない。記憶に無いのでじっくり観察してやる。
「み、見ないで下さい」
何言ってやがる。見て、見て、と腰を突き出しておいて。
指でいじくりまわしてやる事にする。開いたり引っ張ったり、摘まんだり捻ったり。
その度にあやせは悲鳴に似た、甘い声をあげる。
中に指を突っ込んで掻き回してやると、散々ぶち込んでやったザーメンが出てきた。
あやせが立ってられなくなったようなので、そのまま突き飛ばし、後ろから犯してやる。
「も、もうやめて、お願いします」
無視して構わない。だってほら、挿入されやすいように角度調整をしてるだろ?
先端を入り口に当て、ゆっくりと根本まで埋め込んでいく。
「あ、………あ、………んっぐ」
俺はあやせの穴を味わうように、最初は浅く、そして徐々に深く往復し、回転させる。
「ひっ、もういやあ、あん」
全く嫌がってなどいない。俺が動きを止めるとあやせの腰がくいっ、くいっと動いた。
「うるせえ!」
まだ幼い、しかし形のいい尻に平手をかます。
パアン! という小気味のいい音と共に、あやせのま○こがきゅっと締まった。
ああ愉しくてしょうがない。
気がついたときには夜の10時を過ぎていた。
「げっ」
俺はベッドから跳ね起きた。ちなみに全裸である。
「あ、お兄さん、起きました?」
「あ、あれ?」
「そろそろ、起こそうと思ってたんですよ」
夢……じゃ無いよな。俺、まっぱだし。あやせ素足だし。
と、いうことは…………
ぐわぁぁあぁぁあ――っ!! 全部本当にあったことか!?
なんで? なんであんなことに?
「あ、服はそこにありますから」
「ああ、すまない、ってそうじゃねー!! あ、あやせ、お前と俺……その、したんだよな?」
「はい! あ、でも私なら平気ですよ。お兄さんは嫌ですか?」
「いや、そーゆーことじゃなくてだな、」
「ならいいじゃないですか。もし、私との事を無かった事にするなら通報しちゃうとこでした」
冗談、だよね?
「あっと、そろそろ私帰らないと」
そう言うとあやせは俺に近づき唇を重ねた。
「では、また」
狐につままれる、とはこんな時使う言葉だよな?
俺にはこういう時に使う言葉は一つしかない。だからそれを呟いてみる。
「ま、いいか」
…………いいわけねェエェ――っ!!
あやせ>
初体験の後は、がに股になる。
そんなよく聞く話を、私は今実感していた。
とにかく、凄かった、の一言に尽きる。私があんなにやらしかったなんて。
クッキーや紅茶のせいだけじゃない。
桐乃の部屋で、桐乃のベッドで、桐乃の大切なお兄さんと、という背徳感が、私をあんなにやらしくさせた。
「桐乃、ゴメン、あなたのお兄さん奪っちゃった」
海の向こうに行ってしまった親友に謝罪する。
けれど桐乃はきっと許してくれる。……少しだけ傷ついて。
近親愛に世間は厳しい。だからこれでよかったのだ。大きく傷つくよりは。
なんてね。
私は今、とても御機嫌だ。
なんといっても計画の第一歩が成功したのだ。
あの人は押しに弱い。このまま私に溺れさせるのは容易いと思えた。
そう、この計画が成功したなら桐乃と家族になれる。
桐乃に
「義姉さん」
と呼ばれることを思うとゾクゾクする。
その時私はきっとこう思うんだろうな。
「私の義妹がこんなに可愛いわけがないってね♪」
【END】
最終更新:2010年12月08日 02:24