12-312


俺と黒猫が付き合いだしてはや1週間がたったある日。黒猫から二人でアキバに行こうと誘われた。
「これって、デートだよな?デートだよな?」
おっと、ついつい二回も言ってしまった。もはや俺のテンションはデートが始まる前からクライマックスだった。
「しかし・・・・デートって何を着ていきゃいいんだ?」
桐乃と偽装デートした時は桐乃がコーディネートしてくれたし、正直言って俺にこの手のセンスはあまりないと思う。
考えてもいい案が出てこねえなあ。のども渇いてきたので一階におりて麦茶でも飲んで考えるか。


「イヤッホォォォォォォウ!めるちゃんかわいいよぉぉぉぉぉ!うっはwwwオウフ!オウフオウフ!」
リビングにはいると桐乃がメルルのDVDを見て一人でエクスタシーしていた。前に黒猫と一緒に鑑賞会やったとき以上のキモさだなあ。もしかしてあの時はテンションをセーブしてたのか?
 ・・・・・そうだ。服装ならこいつに聞けばいいんじゃねえか。
デートの服装の見立てを恋人以外の女に頼むってのはどうかとは思うがこいつは妹だし、そういう意味ではノーカンだろう。
「なあ桐乃、相談があるんだけどさ。」
「うっはwwwww変身シーンktkr!全裸!全裸!エロ可愛すぎるうぅぅぅぅぅ!」
 ・・・・・ダメだ、聞いてねえ。さっき俺が入ってきたときも目すら合わせなかったがコイツ、ドンだけ集中してんだ。
とりあえずテレビの前に立って
「おい桐乃、話を聞──」バキッ!「メルルちゃんが見えないじゃない!」
痛えっ!?今ほとんどノーモーションでドロップキックが飛んできたぞ!?キモオタモードにはいるとコイツ超人になりやがるな!
今のままじゃ話にならねえな。仕方がないので土下座して頼み込んでみるか。
「お願いだから話を聞いてくださいっ!」
「ちょっ・・・・・話を聞いてもらうために妹に土下座はないでしょ・・・・。」
おお、いい具合にテンションが下がってる!これなら何とか会話が成立しそうだ。
「チッ!・・・で、話って何?」
「ああ、話ってのはな。デートのときの服装なんだけど」
「ハァ!?あたしのスーパーメルルちゃんタイムを邪魔しといて何聞いてくるかと思ったら何でアンタの装なんかのはなしをしなきゃいけないのよ?」
桐乃のやつ。ただでさえ怒りで歪んでいた顔をさらに鬼の形相に変えてきやがった。もはや阿修羅の表情だな。
だが今日の俺は阿修羅をも凌駕して桐乃からアドバイスを受けなければならない!
実際はそんな必要もないだろうがついつい土下座しちまった以上、俺はもう引けないんだ!
「前にお前とデートしたときにお前、センスないって言ってただろ?
確かに自分でもそう思うし、次のデートなんかで相手に俺のセンスの悪さで恥じかかせるわけにはいかねえしさ。
そういう服のセンスだったら桐乃、お前以上の相談相手はいないと思ったんだ。な?頼むよ桐乃」
「つ、次のデートって・・・・・」
なぜか顔を赤らめる桐乃。しかも復唱するところが何でそこなんだよ?マジ意味わからん。
「ま、まあいいケド・・・・大まかなことだけは教えてあげるからそれ参考にして次までにセンス磨いときなさいよ」


とりあえず簡単な手ほどきみたいなものを数十分間ほどレクチャーしてもらった。これで黒猫とのデートのときに格好はつくかな。
レクチャーが終わったあと桐乃が
「ここまで話ししたけど、当日の相手の服装もやっぱりあるから、あんまり方向性が違いすぎるのもダメだかんね?」
そうか、方向性か・・・・・。なるほどな。
「ありがとな。桐乃」
桐乃に例を言って自分の部屋に戻る。しかし方向性か。確かにギャル系の服着てるやつの隣にいるのがコスプレした奴とかだったらすごく浮くもんな。
でも黒猫は多分いつもどおり夜の女王のコスで来るだろうしなあ。そうなると俺が普通の格好していっても結局浮いちまうよなあ。
「うーん、どうしたもんか。」
ん?コスプレ?・・・・そうか!黒猫がそう来るんだったらこの手がある!
俺は携帯電話を取り出し、電話帳からある女の携帯の電話番号を探し出した。
「もしもし?俺だけど・・・・・・・頼みがあるんだ。」


デート当日。昨日は緊張して眠れなかった。待ち合わせの駅にも早くつきすぎてしまった。
服も散々悩んだ挙句。前に告白した時のワンピースにした。
何度も同じ服を着ていいものかとも思ったけどデートの時までコスプレというわけにはいかないものね。

「おーい!黒猫!待たせたな!」


向こうから漆黒のコスプレをした先輩が駆け寄ってきた。






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最終更新:2010年12月31日 13:07
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