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縞パンラプソディー


 フフフフフ………

 ようやく、ようやく手に入れたぞ……

 俺は手に持ったブツを見ながら低い笑い声をもらした。
 まあブツと言っても危ないものじゃなく、ただの雑誌で、エッチな漫画やグラビア、
DVDなんかが付いているヤツだ。
 だが、俺がこの本を手に入れた目的は本そのものやDVDじゃなく、特別付録として付
いてきたものが目当てなのだ。その特別付録…それは

『縞パン』

 スカートが翻り、そのスカートからチラリと見えるは俺達、男の夢…その名は
『縞パン』しかし、現実にはスカートからチラリなんてことは無いし、見えたと
してもそれは違う代物だ。さらに見れたとしてもその後にものすごい目つきで睨
みつけられ、最悪痴漢扱いされるというオプションが付いてくるという…現実と
いうのは酷いものだ。

 だがしかし!今俺の手の中にはその夢が形を成し、質量を伴って鎮座ましまし
ているのだ!
 しかも!この縞パンはただの縞パンではない!細縞に水色という…まさに究極
を体現した縞パンなのだ!
 縞パンは水色こそが正義。細縞こそが唯一絶対の真理。俺はこれしか認めない。
ああ認めないぞ……っと、熱が入りすぎちまった。クールダウン、クールダウン。

 ただ、正義であり、唯一絶対の真理である縞パンもそれだけでは駄目だ。それ
は装着されてこそ初めて完成を見る。しかもそれは誰が装着しても良いわけじゃ
ない。やはりそれは見目麗しい乙女が穿いてこそなのだ。
 さて、誰が一番似合うだろうか?
 やはりここはマイラブリーエンジェルあやせたんだろう…イヤイヤ、それで
言ったら同系統の黒猫も良いな。しかしここは意表をついて沙織なんかも……
 などと縞パンを手に考えていると……
 「兄貴、ちょっといい?」
 「うおあぁぁあぁぁあ!!」
 桐乃がノックも無しに入ってきやがった!
 「ちょっと今何後ろに隠したのっ!?」
 慌てて背中に隠したが間に合わなかったらしい。桐乃はズンズンと向かって
きて俺の背中に手を伸ばしてきた。
 「なんでもないっ!それよかお前!ノック位して入ってこいよ!!」
 「ノックしたのにアンタが返事しなかったんじゃない!そんなことより後ろに
隠した物を見せなさいよ!」
 見られないように必死で抵抗するが、腕を引っ張られてベッドから引き摺り
下ろされ床に転がる………終わった。
 桐乃は咄嗟に毛布の下に隠した縞パンを見つけると、顔を真っ赤にしてキッと
俺を睨み付けてきた。
 「ああああ、アンタなんでこんなの持ってんのよ!あたしの部屋から盗ってき
たんだ!サイテー!!」
 「違うっ!お前の部屋からじゃないっ!大体お前の部屋はいつも鍵が掛かって
るだろうが!?」
 一瞬、あっそうかという顔をしたが、さらに恐ろしい形相で蹴ってきやがた!
 「じゃ、じゃ、じゃあ、ど、ど、どっかの庭先から盗って来たのね!?痴漢!
変態!犯罪者!!」
 「それも違うっ!よく見ろ!それは新品だ!」
 体を丸めガードをして、叫ぶように言うと蹴りが止んだ。頭を抱えるようにし
た腕を下ろして桐乃を見ると、引っ張ったりひっくり返したりして確認してた。
一通り確認し終えるとジロリッと俺を見下ろしながら尋問してきた。
 「だったら何でこんなのあんたが持ってんのよ?」
 そう言ってさらに俺を睨みつけていたが、今度はのけぞる様に引いて
 「アンタまさか…自分で買って……」
 「ぜんっぜん違ぁぁあぁぁあう!!んなワケ無いだろぉぉおぉぉ!!それは雑
誌に付いてきた付録だあぁぁ!!」

 俺は絶叫と共にホントのことを言う。これ以上こいつに変な妄想させていたら
俺はとんでもない変態になってしまう。だからここは恥を忍んで雑誌のことを話
した。こういう状況だもん、仕方ないよな?
 「キモッ!アンタこんなパンツの為にその雑誌買ったの!?うわあぁぁ…」
 いかにも気持ち悪いって表情で見てくる。うっせ!男のロマンなんだよ!
 「これ誰かに穿かせようなんて…アンタ考えていたんじゃないでしょね!?」
 ギクウッ!なぜ解りますか桐乃さんっ!?
 「か、考えてたわけねえだろ!お前こそナニ考えてんだよっ!」
 考えてたなんてバレたら何されるかわかったモンじゃねえ!ここはバレない様
にしなきゃな!
 真剣な顔をして桐乃を見ながら言った。
 「俺は、お前が穿いたら似合うだろうなって考えてただけだ」
 ………あるぇ?何でまったく考えてもいないようなセリフが出て来るんだ?
 「な、な、な、なななな………!?」
 桐乃は耳まで真っ赤にして口をパクパクさせている。言った俺もたぶん顔が赤
くなっているだろう。さっきから頬が熱い。
 「と、とにかくアンタにこんなモン渡しといたら何するか解んないから没収!
その代わりお母さんには言わないでおいてあげるから文句ないでしょ!?」
 くそっ!仕方がない、お袋に報告されないだけマシか。
 「分かった。その代わり絶対お袋には言うなよ」
 「言わないわよ。こんなものアンタが持ってるなんてお母さんに知れたら確実
に追い出されるし。そうなったらアタシだって寝覚め悪いし」
 そう言って桐乃は部屋を出ようとしたが、扉に手をかけたところで立ち止まり
 「ねえ、………と思う?」
 「あん?よく聞こえなかった。すまんがもう一回言ってくれ」
 「チッ!なんでもないわよ!」
 そう言って桐乃は扉を乱暴に閉めて出て行った。
 ……そのうち俺の部屋の扉はまともに開かなくなるかもしれんな…。



 夕飯になりリビングに下りていったが、親父やお袋には何にも言われなかった。
どうやら桐乃は約束を守って言わないでくれたらしい。まあ、あんなモン持って
いた、なんてバラされたらほんとに家を追い出されたかもしれん。それを考える
と背筋が寒くなる思いがした。
 その桐乃だが、なぜか夕飯のときに見たらやたらと短いスカートを穿いてた。
俺の部屋に来たときには確かホットパンツだったのに。
 TVを見終わり、部屋に戻って風呂まで勉強でもしようとリビングを出、トイ
レを済ませて階段に行くとなぜか桐乃が階段の途中で止まっていた。
 何をあんな所で突っ立ってるんだと見てみると……スカートの中がばっちり見
えました。ありがとうございます。しかもそのスカートの中身は……
 アレ、さっき俺から没収した縞パンだよな?何でアイツ穿いてんだ?
 もう少しよく見ようと一段目に足を掛けたところで桐乃がこっちに振り向いた。
 「何スカートの中覗いてんのよ!変態!!」
 「覗いてなんかいねえよ!っつか覗かれたくなかったらそんな短いスカートなん
か穿いてんじゃねえ!」
 「チッ!ウザッ!!」
 そう言って桐乃は特にスカートを押さえるでもなく、ドカドカと階段を登って自
分の部屋に入っていった。細縞水色の縞パンを俺に見せつけて……


 桐乃の縞パンを見てしまい、なんとなく勉強する気を削がれた俺はベッドにゴロ
リと横になった。
 アイツなんであの縞パンを穿いていたんだ?イヤ、見れたのは嬉しいけど。まさ
か穿き替えて……イヤイヤイヤ、そんな事する筈がない!たまたま、そう、たまた
ま今日は同じ縞パンを穿いてただけだ!そうに決まっている!
 だいたい、俺が口を滑らせて言った事を真に受けて穿き替えて見せるような、そ
んな……俺の妹がそんな可愛いことを……



 『俺の妹がそんな可愛いことをするわけがない』



 了



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最終更新:2011年01月09日 22:59
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