妹の部屋で妹に妹モノのエロ同人誌を読まされ感想を要求されという倒錯しすぎた羞恥プレイを強要させられていた時、
ふと開け放たれた隠し収納スペースの中のある物体が俺の目にとまった。
オタグッズの山の中で目を引いたそれは、普通に部屋に置いてあったなら
全く目を引く事はないような地味な柄の取っ手付きケースだ。
視線でそれを指し、何の気なしに、
「なあ、あれって「うおおおおおおおおおおおおおおおお!」
妹が吠えた。
仰天する俺の前を、陸上で鍛えた全身のバネを使って獲物に飛び掛る野獣のようにケースに取り付くと、
すっかりお馴染みとなった能力《スキル》を発動させる。
想定外の緊急事態に、ひたすら墓穴を掘るという能力《スキル》だ。
ケースは慌てた桐乃の手で跳ね飛ばされ、見事に俺の目の前へと落下し、内容物をぶちまけた。
「………………」
散らばった中身を見る俺。
「!…!?…!!!!?!!!」
自分の引き起こした事態に混乱し硬直する妹。
なんとか5秒ほどで再起動した桐乃は、目にも止まらぬ速さでばら撒かれた物体を隠し収納へ放り込みパシンと障子を閉める。
「み!見た?!」
返答次第では命を終わらせるという明確な意思を感じる。
俺の答えは、もちろん決まっていた。
「何も見てません。」
顔を耳まで真っ赤にした興奮状態の妹に部屋から蹴り出された俺の脳裏には、
蹴飛ばされた尻の痛みより若干大きく疑問符が浮かんでいた。
…なんであんなもんをそこまで隠そうとするんだろうか?
モデルでオシャレ女子であるあいつの表の顔を考えれば、持っていておかしいって事はないんじゃねぇか?
ケースの中身は、桐乃に似合いそうな洒落たものから何故か野暮ったい黒ブチまで種々取り揃えられた、伊達眼鏡だった。
最終更新:2011年02月26日 14:25