兄さん以外に……


「お、おい黒猫……やめとこうぜ、勝手に見るなんてさ。バレたら殺されっぞ?」
「あなたは妹の秘密が気にならないのかしら? 心配は無用よ。少なくともあと三十分は帰ってこないもの」
「近所のコンビニ行くだけだろ。そんならすぐ――」
「ええ、だから家の外に、私の妹たちを待機させておいたわ。……っふ。今頃あの女、滑稽に萌え転がっている最中でしょうよ。私と京介がハードディスクをチェックしているとも知らずにね」
「……」
「あら? フォトショップなんて、何に使うのかしら? 妹ゲーではないソフトをインストールしているなんて珍しいわね」
「さあな。加奈子の写真とかいじってんじゃね?」
「あっ……」
「どうした? おまえの妹たちの盗撮写真でもあったの?」
「いえ、違うわ……」
「これは……『漆黒画像フォルダ』?」
「ククク……ついにあの女もマスケラにハマったようね。私から送信するメール全てに、マスケラ画像を添付し続けた甲斐があったというものだわ」
「もはや嫌がらせじゃねーかそれ!」
「とうとうあの女も近親相姦以外で悶えるようになったというわけね。ねえ兄さん、悔しい?」
「は?」
「あの女が、兄と妹の禁断の関係ではなく、ルシシンという不健全なものに没頭するようになったのよ? これは、寝取られたようなものではなくて?」
「……別に、二次元に嫉妬するとかありえねえし」
「あなたの返答のシリアスぶりに私は一抹の不安を覚えるわ……」
「つーかさっさと開こうぜ。パスかかってないんだろ」
「え、ええ……」
「たくよぉ、女どもってのは男の友情っぽいのを見ればなんでもホモカップルにしたがりやがる。どうせこの中にあるのも顎の尖ったハンコぅえっ!? ……なん……だと……!?」
「……ねえ兄さん。どうしてあなたのコスプレ画像が、こんなところにあるのかしら。……しかも大量に」
「……」
「夏コミのときに撮ったのとも少し違うようね……って、こ、これは……!」
「ええ! ちょ、おまっ!」
「ねえ兄さん……」
「な、なにかな?」
「どうしてあなたと、あなたの妹が、マスケラ二期のクライマックスを再現しているのかしら……?」
「……」
「どうして私の顔が、ことごとくあの女のビッチ面に差し替えられているのかしら……?」
「そして、どうしてあなたたち兄妹が、『契約の儀式』を行っているのかしら……?」
「ちょっ待てよ! 俺全裸写真なんか撮った覚えねーぞ! そもそも風呂以外で全裸になったことなんか……あ!?」
「あるのね……」
「一昨日のことだが、朝起きたら何も着てなかったんだ。そんときはさ、夜中に蒸し暑くて脱いじまったのかなー、なんて思ったんだけど……」
「そう……そういうこと……」
「く、黒猫さん……」
「寝取られたのは、私だったというわけね……ふっ、フフフフフ……」
「黒……猫……?」
「――違うわ。今の私は復讐の天使、『闇猫』よ」
「……なぁ闇猫さん。どうして俺のシャツのボタンを外すのかな?」
「この前の『儀式』の続きをするのよ」
「ふ、ふーん。……それからさ、どうして俺のベルトを緩めているのかな?」
「『儀式』に必要なことだからよ。純潔を奪われ、穢れてしまったあなたの魂を浄化するための『儀式』にね」
「そ、そっかー。じゃあさ、ちょっと後ろ、向いてもらえないか」
「はぁ? この期に及んであなたはまだ世迷いご……」

「――ふぅーん。ねぇ黒いの。京介とする『儀式』って、なんなの」
「/(^o^)\」
「あたしにも教えなさいよ。あんたたちが今まで、あたしのパソコンでなにをしていたのかも含めてさ」
「\(^o^)/」




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最終更新:2011年06月09日 22:25
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