ちょっと違った未来3

 「ちょっと違った未来3」 ※原作IF 京介×桐乃

 

ぼんやりする。頭が痛い・・・。眩しい天井・・・。頭の中に何か被さってるような感覚・・・。

目の前にお袋が座っている。すこし憔悴しているような、そんな顔。

「お袋…。」 俺は声をかけた。

「き、京介っ!?」 お袋は勢いよく俺の手を握り、ナースコールを2,3回押す。

「どうなさいましたか?あ…。」 「京介が、京介が、目を…!」 「す、すぐに先生を呼んできますからっ!」 

看護師さんはそのまま静かに再び部屋から出て行った。思い出す。俺は…。ぁ・・・。

「お袋っ、桐乃はっ!?」 俺を見つめていたお袋の顔が強張る。

「お袋、き、桐乃は!?」 「…。京介、あのね?」 俺の脳は最悪の事態をイメージした。

「ま、まさか・・・。」 「ち、ちがうわよ京介。桐乃は無事よ。」 「え?」

布団を手直しながら続ける。 「身体の怪我ならあんたのほうがよっぽどひどいわ。今はお父さんと一緒に先生の診察を受けているわ。」

「そ、そっかぁ…。よかったぁ…。」 俺は凄く安堵した。もともと怪我で上手く動かない身体から最後の力まで抜けていくかのようだ。本当によかったよ。

「桐乃は無事だったの?」 「ううん、あんたと一緒に巻き込まれたのよ。」 そうか、間に合わなかったのか。でも…。

「桐乃は無事なんだろ?なんともないんだろ?」 「ええ、身体はなんともないわよ。」 

はあ-----。 長く息を吐く。胸が痛い。胸骨をやられたのだろうか。でもよかった。本当によかった。桐乃に何かあったら俺は…。

「よろしいですか?」 白衣を着た医師が先ほどの看護師を連れてやってきた。「身体をふれますね。痛む箇所があれば言ってください。」


一通りの検査も終わりようやく俺は解放された。「全身に強い打撲と胸骨がすこしヒビが入っていますが、それ以外は特に問題はありません。」 

「そうですか、よかったよかった…。」 お袋はひどく安心しきった顔でうなづく。 「あと2,3日念のため入院しておきましょう。大丈夫ですよ。」

診察室を出ると親父が待っていた。 「京介。」 「悪い、心配かけたな親父。」 「何を言う。子供の心配は親の務めだ。」 親父…。ありがとよ。

「なあ。」 「どうした?どこか痛むのか?」 「いや、桐乃も同じ病院にいるんだろ?どこにいるんだよ?」 親父の顔がすこし強張る。「き、桐乃か。桐乃はな…。」

なんだよ?変だな? 「お父さん。」 お袋が親父の言葉を遮った。 「いいわよ。京介。一緒に桐乃の所へ行きましょう。」 


病棟が違うのか俺の居た病室から離れた場所にあった。「桐乃、入るぞ。」 親父が声をかけドアを開く。

「あ、お父さん。」 よかった桐乃は無事のようだ。見たところ顔にも怪我はない。ベッドから身を起こし窓の外を眺めていたみたいだ。

「桐乃、調子はどう?どこか変なところはない?」 「やだお母さん、何ともないよぉ。」 

本当によかった。俺の知ってる桐乃だ。良かった―――。

「あの・・・ところでお母さん?」 桐乃が俺のほうを遠慮そうに見て呟く。


「その人、誰?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2012年05月13日 18:22
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。