あやせの幽体離脱 京介×桐乃?
告白後、私は迷っていた。一週間ほど海外へモデルのお仕事をもらったからだ。
それはいい。海外でのお仕事なんて私にくるはずないって思ってたし、美咲さんが私に期待してくれてるのもうれしい。うれしいのだがーーー。
「あの二人をずっとふたりっきりに?き、危険すぎますっ。」
そう、高坂家も一週間ほど桐乃とお兄さんの二人になるのだという。なんでも桐乃のお父さんのお仕事で特別捜査本部が設けられたそうで家に帰れないんだとか。
「な、なにを考えてるの・・・。どうしよう・・・どうしよう・・・。」
海外の話をいいその話を聞いたときの桐乃の顔ったらなかった。なにあのにやけた顔!「あいつマジシスコンだしさぁ~、夜はあやせの言うとおりにして警戒するねっ。あ~きっも~♪」
ピキピキ。・・・持ってたコップが割れそうになりました。あとで加奈子を腹いせに肥りょ・・・いけない。
そんなこんなで私は途方にくれながら歩いてました。そこであやしげな占い師の女の人に声をかけられたのです。
「そこの見目麗しいお嬢さん。あなたのお悩みはよくわかる。」
「・・・。」正直無視して通り過ぎようと思いました。次の一言を聞くまでは。
「愛しい人をとられてしまうか心配で心配でたまらないといったところですかな。しかも自分は手の出しようのないところへ行ってしまうと。」
「・・・!」 目が見開きました。なんで私のことがわかるの?何者なの?
「そんな貴女にいいものを差し上げましょう。」 「いい・・・もの・・・?」
「パンパカパーン!幽体離脱セット~♪」 古いあの擬似音とともに占い師の手にあるは謎の小さな石が数個。
「この石は使用者が念じれば幽体離脱できるんじゃ。魂が肉体から自由になるわけだから地球の裏側だって飛んでいけますぞ。ただし、一日一回使い捨てじゃがな。」 石は7個あります。
「あげます。」 「え?」 私はびっくりした。
「ただであげます。そのかわりまた今度感想を聞かせてくだされ。」
ひょんなことから不思議な石を手に入れてしまった私。以下、その不思議な体験を綴ります。
○月○日(幽体離脱一日目)
私は身体は遠く海外にもかかわらず今高坂家にいます。やった成功♪
さてとお兄さんは・・・。そう、まずあの凶獣を押さえておかないとならない。二人っきりですって?そんなこと誰がさせるものですか!
リビングには誰も居ない。お兄さんは・・・。いた、部屋だ。音楽をかけながら勉強をしています。意外です・・・性欲を漲らせて桐乃を襲う算段を立てていてもおかしくはないのに・・・。
「・・・。」 よく見れば端整なその顔立ちに私はしばし我を忘れてしまいそうでした。いけないっ。
まあお兄さんの動向はこれで把握できました。ではもう一つの問題を・・・。私は薄い壁をすりぬけ、隣の部屋に向かいました。
「あんあんあん・・・兄貴ぃ・・・兄貴ぃ・・・。」 私は固まってしまいました。不意打ちでしょう、これは。なんてものを見せてくれるの。
私の親友は自慰にふけっていた。あの活発で誰にでも優しくてかっこよくて綺麗な桐乃が!
「なんで、なんで相手してくれないのぉ?寂しいよ兄貴いーー。」 ガラガラガラ。心の何かが音を立てて崩れるこの瞬間。あああ・・・。
桐乃の変化はわかってました。朝歩いても兄貴休憩時間も兄貴昼休みも兄貴放課後も兄貴夜電話しても兄貴。兄貴兄貴兄貴兄貴兄貴兄貴・・・!
わ、私の気持ちを知らないで!いやっ知ってるくせに! すう~はあ~。・・・落ち着くのよあやせ。今あなたがすることはなに?状況を仔細観察し動かぬ証拠をつかむことよ。
まだこの二人は接触していない。それを待つのよーーー。
○月○日(幽体離脱二日目)
一日一回とはいえ思ったより長時間離脱できるわけではなさそうね。
「ただいまー。」 あ、桐乃がかえってきた。
「おかえり。」 ぶっきらぼうに答えるお兄さん。麦茶を片手にテレビをみています。
「む、何よその態度。あんたの大好きな妹様が帰ってきたのよ。もっと嬉しそうにしなさいよ。」
「へいへい。うれしいでございますよ。」 桐乃には見えない角度でほほを緩ませるお兄さん。
「ところでさ・・・。」 もじもじとする桐乃。あ、可愛い。
「何?」 「あ、あたし部活で汗かいたんだよね。で、今からお風呂入るんだケド・・・。」 ピク。お兄さんの動きがあからさまに止まりました。
「い、今って節電じゃん。でさ・・・一緒に入ってあげないこともないんだケド・・・。」 な、なにをいってるのっ!
「そ、そうだな節電だもんなぁ~。」 にへらにへらと笑いながら桐乃に近づく変態(兄)。
「き、きもっ!近よんなっ!(汗かいちゃったから匂い嗅がれたくない・・・。)」
「仕方ねえなあ~いつもみたく洗いっこすっか♪洗いっこ洗いっこ♪」 へらへら。
あ、あらいっこですって!?こ、ここの兄妹はいつもそんな危険なことをしているの!?
「く、くっつくな!(ああん、兄貴の匂い♪兄貴の匂いい~♪)」 待ってーーー、石の効力はそこで途切れた。
○月○日(幽体離脱三日目)
昨日はいったいなんだったの?悪夢を見ていたとしか思えない・・・。桐乃のブラコン化があそこまで進んでいたなんて・・・!
今日は二人で料理を作っているようだ。意外にも桐乃は料理が苦手なようでお兄さんにレクチャーされている。
「だからそれはこうやって・・・貸してみろ。」 「うっさい!あたしにはこんなくらい簡単・・・あ。」
「ほら、こうすんだよ。」 桐乃の手にお兄さんの手をそえます。
「・・・。」 赤面する桐乃。「これをこうやってだな・・・。」 ますます赤くなる桐乃。あれ、涙が・・・。
料理が出来、テーブルに着く二人。あれ、二人きりなのになんで並んで座ってるの?嫌な予感がする・・・まさか。
「あ、兄貴っ、せなちーに聞いたんだけどね・・・。仲の良い兄妹って口移しで料理を食べるんだって・・・。」 ぶっ!!!予想の斜め上をぶっ飛んでました。く、口移し!?
てっきり はい、あ~ん♪ 程度だと思っていましたが、甘かった・・・。
「ほらあんたシスコン道極めたいって言ってたじゃん?」 「い、いってねえーーー!!」
「お、大声ださないでよ・・・。でさ、せなちーが言うには兄妹仲良くの秘訣の一つが食べさせっこなんだって。どう・・・?」 ごくり。お兄さんの喉が鳴ります。
「わ、わかった。じゃあ・・・。」 お兄さんはおかずを口に含みそのままーーー。
くちゃくちゃ。 咀嚼したものを桐乃の口に入れ始めたーーー。目を見開く桐乃。 う、嘘でしょう。。
「ん・・・ん、う・・・。」 目をトローンとさせながら口移しでのお兄さんの食事を受け入れる桐乃。
「はい、次な。」 再び口に含み咀嚼を開始する性欲魔人(兄)。
「ふぁ・・・ふぁ・・・ん・・・。」 もはや兄のなすがままになっている私の親友(妹)。 ここでも私の予想をはるか後方に置いていった。
まさか あ~ん♪→口移し→口移し(咀嚼済) だとは。。。 もうやだこの兄妹。
続く