続々・あやせの幽体離脱 京介×桐乃?
「でさあ~京介ったらね~。」 こんにちは。私の名は新垣あやせ。今年1×歳の女子○学生。至って真面目で普通の中○生なのですが、ささやかながらモデル活動などもさせていただいております。
「であいつったらこんな顔してさぁ~。あはっ♪まじキモくない~?」 学生なので勉学が本分でありますので、日中の大半は学校にいます。そして今は昼食の昼休憩ーーー。
「あんな変態シスコンの相手が務まるのって世界中見渡してもあたしぐらいじゃない~?」 加奈子は携帯から目をそらそうともせず一心不乱にメールを打っております。
ーーーあのクサレ産業廃棄物め。私はギリッと奥歯をかみ締める。最近の桐乃は本当に酷い。元々持っていたであろうそのブラコンの才能(お姉さん談)を如何なく発揮し朝昼晩毎日毎月ところかまわず兄トーク!
このままじゃいけない。禁断の扉を開きかけてるあの兄妹(というかもう開いてる?)を、なんとか人として正しき道に導かねば。そうよあやせ、これは貴女に与えられた天命なのよっ!
ーーーその日の放課後夕日をバックにとぼとぼと歩く。あの日出会った不思議な女占い師。そして魔法のような体験。そして・・・トラウマ全開の高坂兄妹の一週間。
あれから私はことあるごとにあの占い師を探していた。が、いくら探しても全く見当たらず近隣の人に話を伺っても誰も知らない。今日も徒労に終わりそう。はあ・・・。
「そこな白百合のようなお嬢さん、またも悩み事ですかな?」 「(バッ!)」 私は声の主の下へ視線を向けた。
「おやおや今日も憂いを帯びたお顔をして・・・麗しい顔が台無しですぞ~。」 ああ!いた!
「ご、ご相談がありますっ!」 私は人差し指を口元に立てられ制止された。 「言われなくともわかりますぞわかりますぞぉ、ニンニン♪また恋のお悩みでありましょう?」
やっぱりこの人はなんでも知っている! 「はい、はい!」 「ふふふのふ、そんな貴女と紳士淑女には・・・。」 手を箱の中に入れ・・・
「パンパカパーン!人間あやつり人形~♪」 古いあの擬似音とともに占い師の手にあるは謎の白い布人形が3体。
「この人形は対象の名前を書き込むことでその対象とされた人間を自由に動かせるのじゃ。ただし人形一体につき一回分。」 人形は3体あります。
「あげます。」 「え?」 私はびっくりしました。
「ただであげます。そのかわりまた今度感想を聞かせてくだされ。」
こうして不思議な人形を手に入れてしまった私。以下、その不思議な体験を綴ります。
○月○日(休日)
私は高坂家の前に探偵よろしく張り込んでいました。なぜならーーー。
「おっそ~い♪さ、行くよ京介♪」 「お、おう。」 幸せ一杯バカップル全開で現れるわターゲット1号&2号。桐乃はともかく何なのあのお兄さんのにやけた顔!
ぐぬぬ。。。本当に埋めてやろうかしら。おっといけないいけない!探偵たるもの常に冷静沈着でいないと。私は腹の底に溜まっている黒い感情を押さえ込んだ。
そう、今日はあの二人のデートの日だという。今日の予定を桐乃に聞いたところ 「ごっめ~ん♪あの馬鹿がどうしてもその日はあたしと一日一緒にいたいって言い出してさぁ~。土下座までして足舐めながら懇願してくんのよ~。そこまでされたらいくらあいつでも断れなくない~?それにこれ以上シスコン拗らせられてもこまるしぃ~♪」 との回答が。
ーーーそうはさせるものですか。何を企んでいるのか知りませんが、いやらしい目論みは全力で妨害させていただきますっ!
■電車内
ふう、けっこう人がこんでますね。まあ休日のこの時間だから仕方ないか・・・。とっと、あの二人は・・・。
「ちょ、ちょっと!どこさわってんのよ・・・このシスコンスケベ!」 ・・・いた。なんてわかりやすい存在感なのかしら。
実はお兄さんの服の襟に盗聴器をつけています。 (どうやってつけたかはナイショ♪)
「さ、さわってねえよ。これからさわるとこだったんだよ・・・。」 なにをカミングアウトしているのあの男は。
ハーイツメテクダサーイ! 駅員の人が乗客を詰めていく。 みるみる押し流されるバカップル兄妹。
「きゃっ。」 「き、桐乃!」 お兄さんはあろうことか桐乃を抱きしめるように守りだしました。
「・・・。」 「ぁ・・・。」 赤面する二人。
「き、桐乃?」 グイッ、プチ。 「きゃん!」 あ、あの鬼畜~!き、桐乃のブラを~!
「ぁ・・・ぅ・・・。」 「ご、ごめ・・・。」 「(ふるふるふる)」 桐乃は首を振り出しました。
「きょ、京介・・・こ、ここで、し、したいの・・・?」 トロンとした愛らしい瞳を兄に向ける桐乃。 ごくり とここからでもわかるほど大きくのどを鳴らすお兄さん。い、いけない!
「き、桐乃・・・。」 「京介・・・。」 唇をかさねようとしたその時ーーー人形発動!(一体目!)
お兄さんはぐるりと半回転。満員なのにいきなりぐりぐり回りだす。
「ちょ、ちょっと京介っ?」 「ぐああああ!き、桐乃ぉ~!?」 わけもわからずまわりだすお兄さん。よし、停止!
「はあはあはあ・・・。」 「な、なんなわけ、いきなり・・・?」 「よ、よくわからねえんだ。身体がいきなり・・・。」 そこで電車が目的地にたどり着く。 プシュー。
「い、いこっか京介。」 「お、おう。」 何事もなかったかのように手を握り合いながら電車を降りていく変態兄妹。はっ!急がねば!
■映画館
いーんせきよりも~きょだいなぱわーでぇ~♪ 私は今映画館に居ます。なぜなら・・・
「いっけぇ~メテオインパクトォ~!」 そう、この兄妹最初の目的地がなんとなんとの(予想内?)アニメ映画。当然桐乃は周りの観客の迷惑を顧みず大はしゃぎ。
「きらっ☆ キラッ☆ キラァっ☆」 ラン○リーよろしくウインクするキモオタ本軍(親友)とそれを見守るお兄さん。まったく・・・この兄妹は・・・あ。あれは・・・。
EXタナトスだ。私がお兄さんにコスプレを強要されかけた衣装。お兄さんのほうを見るとあまりにもだらしなく鼻の下を伸ばしている。や、やだっお兄さんったら。しかしその隣を見ると・・・。
「(ビキビキビキビキビキ)」 鬼の形相の桐乃が!すかさずお兄さんのみぞおちに肘鉄をお見舞いします。
「ぐあっ!」 「あ ん た ね ぇ ~ !」 ヘッドロックをかけながら
「こんな可愛い妹とのデート中にほかの女のこと考えるってどういうこと!?」 「ギヴギヴギヴ!!」 苦悶も表情のお兄さん。
・・・でもEXタナトスをみて私のこと考えてくれたんだ・・・。ちょっとは望みがあるのかな?
■レストラン
ここはおしゃれな喫茶店風レストラン。女の子に人気の店です。私は絶好の監視ポジションに着きます。
「はい、あ~ん♪」 「あ、あ~ん。」 もぐもぐもぐ。 「おいしい?京介?」 「桐乃が食べさせてくれてると思うと100極倍おいしいな♪」 「ふふっ、きんも~♪ あはっ♪またシスコン宣言受けちゃった♪」
ピキピキピキ。 パフェを食べさせあう歩く公然わいせつ罪を血走った目でにらみつける新垣あやせ(読者モデル)。他のお客さんもボーゼン。
「あんたってさぁ、ほんっとあたしがいないと何にも出来ないんだからっ♪」 「(もぐもぐもぐ)」 「でも仕方ないよね~あんたもう手遅れのシスコンだし?」
「(ゴクン)」 嚥下して 「し、仕方ねえよなぁ~シ、シスコンだもんなぁ~。そ、それによ。」 「な、なに?」 「シスコンって病気らしいじゃねえか。しかも定期的に症状のでる。」 「だ、だったら?」 ねっとりと絡ませあう瞳。
「だ、だから、定期的に成分を補給しなきゃなんねーからさ。こ、これは治療なんだよいわば。だ、だから仕方なーよな?」 そう言いつつイチゴを口にくわえながら桐乃にキス。
「ん・・・は、ぁ・・・じゅ、る。」 お互いの口を貪りあいながら食事を始めました。な、なんなのこれは一体。
「ん、き、桐乃・・・。」 口を押さえだすお客さん達。店員さんが止めにかかってる。だめだあの二人周りが見えていない。お兄さんの手が桐乃の秘部に伸ばしかけたその瞬間ーーー人形発動!(二体目!)
「ん、んええええ!!??」 お兄さんは後頭部を地面に着けながら逆さまのまま高速スピン! 「うああああ!!」 「きゃ、きゃーーー!!」 あわてる桐乃。驚くお客さん達。
「と、とまらねーーー!!」 「ちょ、ちょっとどうしたってのよぉ!」 よし、この辺で。停止!
「はあはあはあ・・・。」 「さ、さっきからどうしたの一体・・・?」 「よ、よくわからねえんだけど身体がまた・・・。」 ふう、なんとか非常事態は回避できましたね。
■ゲームセンター
私は普段全くしないゲームをするフリをしながら監視を続けてます。あの二人はプリクラコーナーへ。今腕を組みながら出てきました。ニヤニヤ笑うお兄さん(師ね)。
「あんたってこうみたらけっこう・・・。」 「な、なんだよ。」 「べっつにぃ~。この超絶美人のあたしと一緒なら地味顔も多少は男前になると思ってさぁ~。」 嬉しそうにプリクラを手に取る桐乃。
次はどうやら・・・ん、あれは?
「ねえ京介あれやろーよ、あれ。」 「これは、パンチングマシーン?」 はじめの○歩の。
「この中であたしにあんたが勝てそうなのってこれくらいじゃん?さすがに腕力で女の子が勝てるわけないし・・・。」 確かに桐乃の細腕だと勝てるわけありません。
「じゃあ先にあたしがするねっ。」 コインをいれグローブをはめる。助走をつけてパンチ! ぱちーん 判定:モスキート級!
「モ、モスキート?」 「はははっ、最下位じゃねえかそれ?」 「む。じゃ、じゃああんたがやってみせなさいよ。」 「よしきた!」 グローブをつけるお兄さん。
「大丈夫ぅ~あんたもこのモスキートだったりしてぇ~?」 確かにお兄さんも男性のわりに細い。とても強そうには思えません。
「へ。み・て・なッ!!」 ガァンッ!! 判定:ライト級!!
「す、すごーい!」 「へっどんなもんだい。こう見えても赤城とよくやるんだこれ。」 ちょっと見直しました。意外と腕力あるんですねお兄さん。
「(もじもじもじ)」 もじもじする桐乃。あ、可愛い。 「ど、どうした桐乃。」 上気した顔で桐乃を見つめる(兄)。 「あ、あのね。」 「う、うん。」 「こ、これなら、いつでもあんたに守ってもらえるなって思って・・・。」 「ほ、ほら。女の子って白馬の騎士様にあこがれるのよ。いくつになっても。き、京介があたしのナイトだったらって・・・。」
「桐乃・・・。」 「京介・・・。」 もはや恥じも何もない。いきなり身体をお互いくねらせディープキスをはじめる二人。そのまま見つめあい外へーーー。
寄り添うように歩き出すお兄さんと桐乃。向かう先はーーー。
ラ、ラブホテル街!?
こ、これはいけない!?もうすでに料金表を見だしてるし!?淫靡なカーテンをくぐろうとしたその瞬間ーーー人形発動!(3体目!)
「ぐ、ぐええええ!!??」 いきなり一人ムーンサルトアタックを行いだすお兄さん。着地してはムーンサルト着地してはムーンサルト・・・!
「な、なんなんだよこれええええ!!!」 「ま、またぁ!!??」 とめようとする桐乃。よし、そろそろ停止!
「はあはあはあ・・・。」 「あ、あんた今日おかしいわよ絶対!?」 「す、すまん、桐乃。何がなんだか俺にも。」 混乱する二人。
「「・・・。」」 沈黙が流れる。そして。 「な、なあ。」 「な、なに。」 「なんか今日薄気味わりーよ。い、一旦家に帰ろーぜ。」 提案するお兄さん。
「そ、そだね・・・。か、帰ろっか。」 残念そうな桐乃。・・・ふう、間に合いましたね。
そうしてその日のデートは終了したーーー。
ーーー翌日。
「はあ。」 とぼとぼといつになく活気をなくして歩く私は新垣あやせ1×歳。昨日はとてもとてもショッキングなものでした。なぜなら、
「あんな、あんなことをふたりで・・・。」 昨日はよく眠れず寝てもあの二人の楽しそうな姿を遠くから見つめる現実となんら変わらない夢を見る。このままじゃ・・・。
暗澹とした気持ちで歩いていると・・・。
「あやせ~おっはよ~。」 笑顔でかけてくるは原因(その1)。
「・・・おはよ、桐乃。」 「どうしたの?何か元気ないね?あ、昨日どっか行ってたんでしょぉ~?」 楽しそうに笑いかけるブラコン娘(末期患者)。
「あ、もしかして!またうちの兄貴があやせに何かーーー。」 「うおお~い。桐乃~あやせ~。」 向こうから走ってくるのはこの一連の原因(その2)。
「・・・。」 「ようあやせ。今日も相変わらずラブリーマイエンジェルだなっ。」 ぷるぷるぷる。俯きながら私は意を決した。
「・・・が、あります。」 「え、なんだって、あや」 「お兄さんっ!ご相談がありますっ!」 私は顔を上げ叫んだ。
「え、ちょ、な、なに」 「わ、わたしと、で、デートして下さい!!」
そう、私もこの曖昧な関係を一歩進めるんだーーー。
続く。