3スレ目57

あたしは魂が抜けたような顔をしてテレビの画面に魅入っていた。

『んっ、─あっ駄目です! そんな、にっ…されたら、きゃんっ!!』

画面の中ではあやせが女の顔をしてその淫らな体躯を震わせている。

『そこは汚いですから! だめぇ! あ”あ”~───』

『おにいさんっ、わたし、わたしっ…もう……イクッイッちゃぃます』

あたしは家から兄貴の名前で届いたビデオレターを見ていたはずだ、なのになぜこんな事になっている!
嘘だと思いたかった。 だけど画面の中で悦びの声を上げているのは何度みてもあやせであり
その相手となって腰を振っているのは…─アイツ、兄貴である事もやはり変わる事はなかった。

「クッ、なんのつもりよ! サイッテー!! わけわかんない!」

色々な感情が体の底から湧き上がってくるが、その全てを怒りで塗りつぶしてリモコンを画面に投げつける。
そして夕飯を食べながらビデオレターを見ようと思い、用意してあったテーブルの上の料理も引っくり返した。
それでも怒りは収まらず荒く息を吐いていると、テレビの中の行為はちょうど終わったようで…

『おにいさんはやっぱり変態ですね、中学生相手にこんなに出して。 でも、愛してます。 ちゅっ』

その時……、あたしの中の何かが大きな音を立てて切れていくのを確かに感じた。

その夜の記憶は定かではない。
怒りに身を任せ部屋中の物に当たったのは覚えているが、気づいたら
リビングのソファーで目を覚ましていた。
朝から陸上の練習があったはずだが時計をみると完璧に遅刻している。

「ちっ」

アタシは一つ舌打ちをして洗面台へと向かう。
鏡に映ったアタシの顔は目は充血して、その下にははっきりと分かるクマ。
肌もこれとわかる程に荒れていて酷いありさまだった。
しかしそんな事を気にしている余裕もなく、軽く洗顔を済ませると
練習場へと大急ぎで向かうことにした。




「どうしたんだ桐乃、練習に身が入ってないぞ!」
「す、すみません…」
「はぁ、らしくないな。 なにがあったかは知らないが今日はもう帰って休め」
「すみません…」

練習をしていても意識はあの映像の事ばかりを考えてしまう。
そのせいで簡単なミスを連発してしまい、今日何度目か分からない失敗をした時に
とうとうコーチからそんな言葉をかけられた。



家に帰ってきてもアイツとあやせの情事が頭を支配して、何かをしようとする気がおきない。
ビデオデッキには未だにあのビデオが入ったままで、ふと視線をそこに向けると
またなんとも言えない感情が湧き上がってくるのだ。
あやせ、あんなに大きい声をあげて凄く気持ちよさそうだったな…。
……ダメだダメだ! 気が滅入っていて変な事を考えてしまう、気分を切り替える為にも
シャワーを浴びて汗をながそう。 そうすればサッパリするはずだ。



気持ちを切り替えてシャワーを浴びていと、叩きつける水が陰鬱な気持ちも同時に洗い流して
くれているようで落ち着いてくるのを感じる。
そうすると思い出すのがイヴの日にデートをした時の事。
ピアスを買ってくれたアイツ。 あのピアスは毎日つけている、アタシのお気に入りだ。
水に濡れて奇異の目を向けられるアタシを庇ってくれたアイツ。被せられた服は心まで温かくしてくれた。
そして…、一緒にラブホテルに入って……。

アタシの右手は知らずのうちに下腹部へと伸びていた。
まだ毛の生えていないそこをスジにそうように撫でてみると水ではないドロッとした何かが
アタシの手に纏わりつく。

「んっ、なんで…こんなに」

つぶやいてみるも答えてくれる人はおらず、また行為に没頭しだした。
左手は大きいとは言えない胸を優しく揉むように動かし、つんと上を向いた綺麗なピンク色をした乳首を
時折突付くようにして触る。
頬は紅潮し、白い、けども健康的な肌もその頬と同じように赤みを増してきていた。




「あ、あっ……、んぅ…」

すでに立っている事もできなくなり膝を折り曲げた形で足を外側に投げ出すように座り込む。
頭に描くイメージは兄貴だった。 アタシの手は兄貴の手であり、この体を触られているのだと思うと興奮する。

「ふ…うん、そこに……触って。 もっと強くっ」

秘所からはとめどなく愛液があふれだしその行為の激しさも増していく。
昨日見た映像、その中のあやせが自分に置き換わっていた。
兄貴に強烈に求められる自分、貫かれて女の顔をする自分。
そんな事を考えながら更に激しく…。

「京介ぇ…、だ、だめっ…あ、あ、あぁぁあ」

中指で秘所を撫でさすりながら、親指と人差し指で陰核をキュッと強く摘む。

「ひあぁぁっ、くるっ……きちゃうよ」

一際大きい快楽の波が押し寄せてくるが手は休めずに更に貪欲に求めた。
口の端からは涎が垂れはじめ、焦点の合っていない視点は空中をさまようように揺れている。
そして軽くつまんでいた乳首も強く潰すように激しくする。
秘所を撫でていた中指を立てて秘壷に挿入をすると、ぶちゅりという音がして簡単に飲み込まれた。
淫靡な音が部屋に響きわたり濃密な空気が満ちていく。
想像の中の兄貴も限界に近いようで抽挿をより早くする。
そしてアタシも朦朧とする意識で限界を感じ取っていた。

「京介……京介っ、あん…京介ぇぇ……中に、中にだして…んんんんっ───!」

目の前がチカチカと瞬いて、絶頂を迎えた。 体は軽く痙攣をし、ぐったりとして力が入らない。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

熱くなった体から熱を吐き出すように大きく息をつくと意識がはっきりしてくるのを感じた。



「アタシ…兄貴で想像してイッちゃった…」

今まではつとめて考えないようにしていた事。
自分にブラコンの気があるのは知っていた。 兄貴が他の女と仲良くしていると嫉妬をするし、
幼い頃にアタシから兄貴を奪っていった地味子は未だに憎い相手だ。
ただそんな感情も、そう、ちょっと仲の良い兄妹が抱くようなものだと自分に言い聞かせていた。
だけど…届いたビデオレターを見て……、初めて兄貴を想像して自慰をして…
はっきりと自覚した。

「アタシ、兄貴の事が好きなんだ…」

呟くようにして口にだす事でその事がストンと体の中に落ちてくるのを感じる。

「京介…」

唇をそっと指で触れながらいとおしい者の名を呼んでみた。
そして覚悟を決めると裸だった体を拭き、服を着るとこれからするべき事を考える事にする。
まずは日本に帰ろう、そして場合によってはあやせとも…
様々な思考を巡らせながらその日はひとまず眠りについた。














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最終更新:2009年11月28日 23:39
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