やくにたつ 10KB
悲劇 理不尽 同族殺し ツガイ 自然界 虐待人間 久しぶりに
やくにたつ
れいむは採ってきた食料を、寝ころんでいるまりさの前に積み上げる。
「おそいんだぜ! いくらなんでもゆっくりしすぎなんだぜ!」
「そんなこというなら、まりさがいけばいいでしょお……」
「ゆゆっ? くちごたえするんなら、べつにいいんだぜ。そんなやくたたずなんか、ようずみになるだけなんだぜ」
「ゆゆう……」
れいむはそう言われると、必ず口をつぐんでしまう。「ようずみ」という言葉を使われると、どうしても逆らう気持ちが弱まってしまうのだ。
「またいもむしさん? もうあきたんだぜ、こんどはちょうちょさんをたべたいんだぜ」
その欲求に、れいむは力なく「わかったよ……」とつぶやく。
これが、このれいむとまりさの日常だった。
れいむが独りで住んでいた巣に、勝手に上がり込んできたまりさ。
しかし、まりさは悪びれるどころか、れいむをこき使い始めた。
そしていつの間にか、まりさとれいむの間に、主従関係が出来ていたのだった。
「はあ……ゆっくりしたいよ」
巣の外に出たれいむは、ため息ばかりつく。
ちょうちょさんなんて、そうそう簡単に捕まえられるものではない。
分かっているのだ。まりさは無理な欲求をして、失敗したれいむを嘲笑う。
それでもやらなければならない、とれいむは自分に言い聞かせる。
心なしか、自分以外のゆっくり全てが、自分のことを嘲笑っているようにれいむは感じた。
無論、実際はその逆で、れいむのことなど、他のゆっくりは歯牙にも掛けていなかった。
「ちょうちょさん、れいむにゆっくりつかまってね!」
やっと見つけた蝶に飛びかかるが、あっけなく逃げられる。自分のジャンプの届かない高さへ。
「むきゅ。れいむ、あなたまだ、あのぐうたらろくでなしのまりさにこきつかわれてるの?」
ぱちゅりーが、その様子を見て、れいむを揶揄する。
「うるさいよ! ほっといてね!」
れいむはそう一喝して、蝶を追いかけ、地面の石ころに気付かずに無様に転ぶ。
「はあ……だめなゆっくりには、だめなつがいができるものね。よくできてるわ」
とぱちゅりーは心底呆れた口調で呟いて、その場を去った。
「れいむはなんでもできるよ。まりさのためならなんでもやるよ。ぜんぶできるんだよ」
れいむは、呪文を唱えるように独り言を呟きながら、蝶を追いつづける。
しかし、れいむは蝶を捕まえることは出来なかった。
仕方なく、埋め合わせをするかのように、適当なキノコを採って帰った。
「まりさ! ただいま! ちょうちょさんはいなかったけど、まりさの好きなキノコを採ってきたよ!」
だが、その光景を見て、れいむは口からキノコをぽとりと落とした。
「んほおおおおおおおおおおっっっっっ! まりさすてきいっ、まりさすごいわあっ」
「どうだぜ! まりささまのぺにぺにで、てんにものぼるここちなんだぜ!」
まりさとありすが、白昼堂々とまぐわっていた。
「まり……さ……?」
「ん? なにみてるんだぜ、れいむ」
「まりさなんでとめるのよ! さっさとそのいなかもののでばがめれいむをおいだしてよ!」
「おい、れいむ、ここにれいむのでばんはないのぜ。さっさとでていくのぜ!」
「ゆっへっへ、じゃまものがいなくなったところで、そろそろくらいまっくすなのぜ!」
「まりさ、あのれいむはなんなの?」
「あれは、まりささまのところでかっている、どれいなのぜ! そのうちありすのどれいにもなるのぜ」
「ちょっとまりさ、「どれい」なんてとかいはじゃないわ! せめて、「げぼく」とよんであげましょうね!」
「どっちでもかまわないのぜ、それじゃ、いくのぜえええええっっっっ!」
れいむは、二匹に歯牙にも掛けられず、巣穴を出た。
その背中に、追い打ちを掛けるようなおぞましい嬌声が聞こえる。
「あああああああああすうううううううっっっきりいいいいいいいいっっっ!!!」
それから、数日が過ぎた。まりさとありすの間に、子供が出来た。
「たったこれっぽっちでゆっくりできるとおもったの? ばかなの? しぬの?」
「ほんっと、やくたたずのげぼくね! ごはんもまともによういできないなんて!」
「やくたたずー!」「のろまー」「ちぬの?」
涙目になって、歯を食いしばるれいむ。まりさはその面を見ていつもの嘲笑いをみせる。
「なんなのぜ、そのつらは。やくたたずのぶんざいでなまいきなんだぜ?」
「わかったよ……ごはんとってくるよ……」
まりさとありすの家族の嘲笑を受けながら、れいむは外に出る。
「れいむはやるよ、ぜんぶやるよ、やくたたずじゃないよ……」
そんな日々が、いつまで続くのか。
そう長くは続かなかった。
れいむがいつものように、食料調達に出かけている間に、一人の人間が一家の巣を見つけたのだった。
その人間は、それがさも当然であるかのごとく、まりさとありすの親子の目玉を取り出した。
それは何の他愛もない、子供のような残虐行為だった。
あっけなく視界を失った一家の怨嗟の声が響く中、人間は晴れ晴れした笑顔で去り、その直後にれいむが帰ってきた。
去っていく人間の姿を見ていたれいむは、巣の中の惨状が、人間の仕業であることに気付いた。
「みえないよおおおおおおおおお……」
「まんまあああああ」
「ありずのどがいはなおめめがあああっ」
「まりざのおめめはどこなのおおおっ! じゃまだよ、どいてね!」
「ぐびゅっ」
親まりさが、一匹の子ありすを踏みつぶした。無論、そんなことを他のものは気付かない。
「おめめはないよ」
とれいむが言った。
「ゆ?」
「みんなあのにんげんさんがもっていっちゃったよ。だからおめめはなくなっちゃった」
これを聞いたまりさとありすは激高した。人間ではなく、れいむ相手に。
「なにやってるのぜ! さっさとくそにんげんからまりさのおめめをとりかえしてね!」
「むりだよ。にんげんさんはあしがはやいんだよ。あっというまにいなくなっちゃったよ」
「ふざけないでよ! なんでいなかもののれいむがぶじで、とかいはなありすがこんなめにあうの!」
「れいむはそとにいってたから、にんげんさんにみつからなかったんだよ。そんなこともわからないなんてばかなの? しぬの?」
「ふざけりゅなああっ! ぐずでいなかものな、どれいのれいむのくせにいいい!」
もう一匹の子ありすが明後日の方向に罵詈雑言を吐いた。
れいむは「やくたたずでごめんね」と殊勝な物言いをして、その場に落ちていた一家の目玉を一つ一つ、踏み潰していった。
「まじゅいいいいいいっっ! なにこれ、ゆっくちできにゃいいいいいっ!」
「ごめんね、れいむはやくたたずだから、こんなにがいくささんしかみつけられなかったよ」
「ふざけないでよ! まともなたべものひとつもってこれないのおお!?」
まりさとありすの親子は、れいむの持ってきた植物を一噛みするやいなや、強烈な嘔吐感に襲われた。
「ゆげえっ」
一匹の子まりさが、たまらず吐き出した。
「こらこら、だめでしょちびちゃん、やさいをちゃんとたべないと、りっぱなゆっくりになれないよ」
と、れいむは優しく言って、口からだらしなく嘔吐物を垂れ流して痙攣する子まりさを、地べたに吐き出した物へ押しつけた。
「ぶ、ぶげっ、ぶっ、ぶふっ」
「はい、むーしゃ、むーしゃ、しあわせー」
「ぶおええええええっ! えっ、えれえれえれ……もっと、ゆっ、くち……」
その言葉で、自分たちの子供が死んだと気付いた親は、れいむをこの上なく汚い言葉で罵り続けた。
れいむは、それをBGMにして、自分用の花や木の実を食べて喜びの言葉を挙げるのだった。
「しあわせー」
そしてまた別の日、れいむが食料を取りに外に出たとき、最後の子ありすが発狂した。
「もうこんないなかはやだあああ! おうちかえる!」
そう言って、壁や親の身体に何度も何度も身体をぶつけて、ついに絶命した。
まりさもありすも、何も出来ずに子供の動きが弱っていくのを感じるしかできなかった。
れいむが帰ってきて、子ありすの死骸を見るなり言った。
「ごみさんをおそうじするね!」
れいむは子ありすの髪をくわえ、外に捨ててきた。そこには、他の二匹の死骸も野ざらしにされていた。
「ふう、おそうじしたあとは、いえがすっきりしてきもちいいね! ゆっくりできるね! とかいはないえってやつだね、ありす!」
ありすには、もう罵る元気も残ってなかった。
しかし、まりさは別だった。黙ってはいたが、その餡子脳では、生き延びる術を考えていた。
そして、その算段は既にある程度整っているのだった。
その術とは、目の見えるゆっくりに助けてもらうという、至極簡単な事だった。
とはいえ、まりさの巣の近辺には、めっきり他のゆっくりは近寄らなくなっていた。
他のゆっくりたちは、ゆっくりの鼻つまみ者であるまりさたちに、関わりたがらなかったのだ。
まりさとありすは自ら外に助けを求めることはできず、他のゆっくりに見つけてもらうという僥倖を期待することも出来なかった。
そんなわけで、まりさが思いついたのは、新たに目の見える子供を作るということだった。その子に外への助けを求めさせるのだ。
心身共に衰弱しきったありすに、無理矢理のしかかり、何とか事を終えた。
こんな時なのに、まりさのぺにぺにはいつにもましていきりたっていた。
同じ物を食っているはずなのに、覇気の違いは明らかだった。
こうして、れいむが外出している隙に、何とかありすを孕ませることに成功した。
「ほら、ありす、ちゃんとたべるのぜ」
そう言って、まりさは自分の分の食べ物をありすの口に押し込もうとする。当然、口移しということになる。
だが、まりさはれいむに突き飛ばされた。
「ありすはだいえっとちゅうなんだよね! さすがはとかいはだね!」
などと言って、れいむはもうまともにありすに食事を取らせようとしなかった。
だが、これが思わぬ幸いをまりさにもたらした。
腹の中で大きくなっていく子供の存在を、れいむに知られずに済んだのだ。
やせ細っていくありすと、大きくなる子供で、釣り合いが取れたというわけだ。
そして、とうとう出産の時を迎えた。
小さなありすが、親ありすの腹から勢い無くこぼれ落ちた。
「ゆっくちちていってね!」
産声と共に、親ありすの命は尽きた。
「ゆっ、ゆっくりしていってね! まりさがぱぱだよ!」
親子の対面の喜びに浸るのもそこそこに、まりさがこの子ありすに外に逃げるように言おうとしたときだった。
「まりさ、その子は何?」
巣の入り口に、れいむがいた。
ちょうどその頃、偶然、まりさの巣の近くを通りかかったぱちゅりーが、無造作にうち捨てられている子ゆっくりの死骸を見つけた。
それは既に、蟻に食い荒らされて、髪の毛やヘアバンドがなければ、ゆっくりの死骸とは分からなかっただろう。
「むげっ、いやなものをみてしまったわ」
そして、この近くにろくでなしのまりさと、それにこき使われているれいむがいたことを思い出した。
「ま、どうでもいいわね」
興味もなく、さっさと帰ろうとしたときだった。
巣の方から、悲鳴が上がった。
ぱちゅりーは、巣の近くの木陰から、様子をうかがった。
「おちびちゃん、はやくにげるのぜ!」
「にゃんなの、このいにゃかもののれいむわあああ! たすけちぇえええ!」
そう言って巣から飛び出してきたのは、ボコボコになった、小さいありすだった。
「れいむやめてえ! まりさのおちびちゃんをころさないでえええ!」
まりさの声を無視して、れいむが巣から飛び出し、子ありすに飛びかかった。
「ぶげえっ」といううめき声と共に、子ありすは動かなくなる。
その、産まれてすぐ死んだありすを、先ほどぱちゅりーが見つけた死体置き場に捨てて、れいむは帰って行った。
「か、か、か、かせいふは、じゃなくて、ぱちゅりーはみてしまったのだわ」
そして、ぱちゅりーは仲間のゆっくりの元に逃げていった。
れいむは、まりさに面と向かう。
まりさは、最後の希望が絶たれたことによって、正気を失っていた。
「ゆひっ、ゆっ、ゆききき……」
そんなまりさの、汚れた身体を、れいむは丹念に舐める。
「ほらまりさ、きれいきれいしてあげるね」
まりさは、あたかも喜んでいるかのように、身体をひくつかせていた。
一時間後――
ぱちゅりーの呼びかけを受けて、ゆっくりの群れがれいむの巣を取り囲む。
同族殺しのれいむを、始末するために。
「れいむ! ねたはあがってるのよ! おとなしくでてきなさい!」
呼びかけに、しかし巣の中からの反応はなかった。
不審に思い、数匹のゆっくりが、おそるおそる巣の中に入る。
そして、他のゆっくり達の姿など目に入らない、二匹のゆっくりを見たのだった。
れいむは、まりさのおさげに舌を這わせてうっとりと呟き続けていた。
「れいむはやるよ。ぜんぶやる。まりさのやくにたつよ。やくたたずなんかじゃないよ」
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このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
- 要するに、何がしたいん? -- 2012-09-16 14:24:50
- 続きがないとか・・・・・・・SSで続きの期待を煽っても仕方ないってわからないのかね
作者クズすぎ -- 2012-07-22 16:01:35
- なんで人間来た後急にれいむの態度変わったん? -- 2011-05-12 17:15:58
- 人間でもクズ男に尽くす女がいるんだよな それにヤンデレ要素が加わったのか -- 2010-08-09 23:34:37
- 類は友を呼ぶ。クズの周りにはクズが集まる。 -- 2010-07-10 17:52:43
- やんでれいむ -- 2010-07-05 14:54:37
- で・・・? -- 2010-06-08 21:59:37
- ヤンデレなのかいな〜 -- 2010-04-19 00:51:01
最終更新:2009年12月13日 23:41