ゆっくり人面瘡 離別編 7KB
生まれてきた赤れいむには、もうひとつ、小さな命が宿っていた。
双子の妹、赤まりさがくっついているのである。
それを見て、拒否反応を示した母れいむ。
俺は母れいむを脅すようにして、子育てさせることにしたのだった。
「ほら、れいむ、ガキ共に飯もってってやらなくていいのか」
「わかってるよ!でもれいむだってゆっくりしなきゃいけないんだよ!れいむはしんぐるまざーなんだからもっときをつかってね!」
おお。
大層な言い草だな。
勝手に野良とすっきりしてガキを産んだ癖して。
「おきゃあしゃんどきょお!?」
「よんでるぞ」
「わかってるっていってるでしょお!?ほんとうにゆっくりできないおにいさんとあかちゃんだよ!!」
増長ここに極まれり。
赤ん坊を産むまではまだ素直だと思ったんだけどな。
育児疲れの上、赤ん坊が化け物ときちゃ、そりゃ苛立つか。
大分ストレスも溜まっているようだし、そろそろ、外に散歩に連れてってやるべきかな。
ガキ共の公園デビューって奴も兼ねて。
そこで化け物のような赤ん坊を晒せば、母れいむは間違いなく村八分。
ヒステリーを起こすのは目に見えている。
うん。
間違いなく名案だ。
ビデオカメラも持っていこう。
「なあれいむ、お前ガキが出来てから外に出てないだろ」
「でられるわけないでしょ!ばかなの?」
一々癇に障るなぁ。
「まぁ、ガキ共も無事生まれたわけだし、久々に散歩でもしないか?」
「ゆゆ!?おにーさん、それはめいあんだよ!れいむ、ひさびさにあかちゃんからはなれてゆっくりできるよ!」
「はぁ?」
「ゆ?」
「お前はなーに言ってんだ。母親が赤ん坊から離れてどうするんだよ。ガキ共も連れて行くんだ」
「そ、そんなのだめだよ!こんなのをみられたられいむゆっくりできなくなっちゃうよ!」
自分の産んだ子どもをこんなの、ね。
まぁ俺のせいだけど。
「だが、俺との約束、忘れたわけじゃないよな」
育児を放棄したら、お前を捨てる。
ショップ育ちの母れいむが、野良になる。
それだけは絶対に避けたいはずだ。
「で、でも…こんなあかちゃんみられたら、れいむいじめられるよ…ゆっくりできないよ…」
「大丈夫だって、俺もついていってやる」
「ほ、ほんとう!?」
「ああ、本当だ」
ついていくだけだけどな。
あとはビデオ撮影。
「じゃあ、れいむゆっくりできるよ!あかちゃんたちもいっしょにゆっくりしようね!」
久々に上機嫌になった母れいむ。
特に身支度するということもなく、家を出発した。
「ゆっくちー!」
「ゆっくちー!!」
母れいむの頭の上に載ったガキ共。
こいつらは上手く歩くことが出来ない。
右側がれいむ、左側がまりさの足で、常に二人三脚状態だからだ。
息を合わせないと歩くことが出来ないが、どちらも随分と自分勝手に育っている。
一生あるけないんじゃないか、こいつら。
「ゆっ!あかちゃんたち、こうえんがみえてきたよ!」
「わぁ!ちょっちぇみょひりょくちぇゆっくちできちょうだよ!」
「きょきょをみゃりしゃだけにょゆっくちぷれいしゅにしゅるんだじぇ!」
中身も可愛くねぇなぁ。
公園に入ったれいむたち。
俺はビデオの録画を開始した。
公園には、様々な種類の親ゆっくりたちが子どもを遊ばせている。
そいつらは、れいむの頭に載った赤ん坊を見ると、表情を変えた。
そして一匹のありすが近づいてきていった。
「ちょっとそこのれいむ」
「ゆ?」
「そんなぶきみでとかいはじゃないあかちゃんと、ありすのとってもとかいはであいらしいあかちゃん、いっしょにあそばせるわけにはいかないわ」
「そうだぜ!まりさのあかちゃんにそのきもちわるいのがうつったらどうしてくれるの!?」
周りに集まってくる親ゆっくり。
母れいむは助けを求めるような、すがるような、とにかくそんな視線を俺に向けてきたが、俺は無視。
ビデオを回し続けた。
「ど、どうしてそんなこというの!?れいむたちもゆっくりさせてね!」
「ばかいわないで。きもちわるいあかちゃんうむようなれいむとゆっくりするなんて、とかいはじゃないわ」
「でも!れいむたちだってゆっくりしたいよ!」
なおも食い下がるれいむ。
ありすはいい加減説得するのにも飽きたのか、はぁ、と溜息をつき、母れいむに体当たりを食らわせた。
「ゆぎぃ!」
弾き飛ばされる母れいむ。
上に載っていた赤ん坊たちもまた、遠くへ飛ばされてしまった。
母れいむの周りを親ゆっくりたちが、ガキ共の周りを赤ゆっくりやちびゆっくりが取り囲む。
中々、期待を裏切らない面白い展開だ。
「ゆっくりかえってね!」
「おまえとなんかゆっくりできないんだぜ!」
「しにたくなければゆっくりかえってね!」
「かえらないならしんでね!」
口々にいいながられいむにボディプレスを食らわせて行く親ゆっくりたち。
「ゆげ!やめて…ゆげっゆぶっゆげぇっ!!!!」
母れいむは口から餡を吐き出しながらやめてくれと叫び続けている。
ボディプレスから餡子を吐き出す、やめてくれと懇願するが聞き入れられずにボディプレス、また餡を吐き出す。
どうも、ループでつまらんな。
場面をかえて、ガキ共のほうを撮影することにした。
「まりしゃ!にぎぇりゅよ!」
「わかっちゃよ!」
おお、逃げる気か。
双子だけあって、いざとなれば息は合うのかもしれない。
頑張れ。
頑張って、頑張って、頑張って。
それでも駄目で無残にリンチされる。
そういうシーンを俺に見せてくれ。
「しぇーにょ!ゆべぇ!!!」
あ。
一歩目でコケやがった。
「いちゃいよおおおお!!おきゃあしゃあああああん!!!!!」
「どおちちぇきちぇくれにゃいにょおおおおおおおおおおおお!?」
泣き出すガキ共。
お前たちの母親はね、今それどころじゃないんだよ。
「ゆ…こんにゃばきぇもにょにょせいで、まりしゃたちのゆっくちちたじきゃんがめちゃくちゃでゃよ!」
「しょうだよ!ばきぇもにょはしゃっしゃちょしんじぇれいみゅたちにあやまっちぇにぇ!!」
ガキ共も親同様、ののしりながら攻撃を加え始める。
しばらく撮影していたが、これもワンパだなぁ。
飽きてカメラをしまうと、丁度六時のサイレンがなりはじめた。
それをきいたゆっくりたちは、リンチを停止する。
「むきゅ。ごはんのじかんだわ」
「ばけものはほうっておいてゆっくりかえるよ!おちびちゃんたち!」
飼いゆっくりにも門限はあるんだなぁ。
またたくまに公園からゆっくりたちが姿を消し、残ったのは俺と母れいむ、ガキ共だけだった。
「ゆぎ…ゆぎぃ…」
あーあ、こいつはひでぇな。
母れいむは体重過多の飼いゆっくりたちのボディプレスで重傷をおっていた。
あちこちが破けて餡子がはみ出している。
治すの面倒だ、適当にガキ共説得して、親離れさせちまおう。
母れいむウザかったし、新しくバイト先で母親買ってやればいいや。
「さて…ガキ共」
「「ゆ…?」」
「お前たち、痛かったよなぁ…こんな傷だらけになって」
「ゆぅ…いちゃかっちゃよ…」
「みゃりしゃもいちゃかっちゃよ…でみょ、おきゃーしゃんはみょっちょいちゃしょうだよ」
ほう。
あのまりさが母親の心配を。
ちょっとホロリと来たぞ。
「だがなぁ、まりさ。こいつはお前の母親なのに、すごく痛いめにあっているお前たちを助けに行かなかったんだ」
「ゆ!?お、おでぃいざんだでぃいっでるのお!?」
「お陰で、お前たちは誰にも助けられず、すごーく痛い目にあった」
「「………」」
「お、おでぃびじゃんだぢ、おがあざんぼだいべんだっだんだよ!じんじでね!!」
馬鹿なゆっくりのなかでもさらに馬鹿な赤ん坊のゆっくり。
こいつらの母親を見る視線が、どんどん冷めて行く。
「お前らは、それでもこいつを母親と呼ぶか?」
「じぇ、じぇみょ…」
「きょんにゃくじゅ、おきゃーしゃんじゃにゃいよ!!」
れいむは何か言いかけた。
れいむは何か言いかけたけど、真っ先にまりさが手のひらを帰した。
「どぼじで…どぼじでじょんだごどいぶどおおおおおおおおおおおお!!!!!????」
母親が叫ぶ。
「くじゅはゆっくちちんでにぇ!」
「ゆ、ゆっくちちんでにぇ!」
「ばっでえええええ!おいでがだいでえええええええ!!!!」
あまりにも早い、親子の別れだった。
おいていかれた母れいむは、生きたまま野犬に食い散らかされる運命を辿ることになるだろうが、まぁ、しったこっちゃない。
家に帰った俺は、一つ面倒なことに気づく。
今夜は俺が育児してやらにゃいかんじゃないか。
面倒だなぁ。
そうだ、あいつに預かってもらおう。
バイト先の友人で、不良在庫を押し付けられた奴がいた。
教育して大分大人しくなったと自慢していたはずだ。
そいつのところにひとまず預けて、明日早速育児方の改造餡ゆっくりを買ってくることにしよう。
【終】
母親を始末したかった。
次回最終話。
※呼び方について、アドバイスくださった方、ありがとうございました。
by.原あき
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このSSへの感想
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- 押し付けられたって知っているのに自分も押し付けるのかww
自分で生み出した迷惑を無関係な友人に押し付けるくらいなら、さっさと処理すればいいのに。
このお兄さんもゲスだな~ww -- 2018-01-19 06:14:41
- 続いてたのか、兄さんこんなゲスをよく飼ってやったな、良い奴だ -- 2012-12-13 06:01:45
- 友人が可哀想になる予感しかしないw -- 2011-12-23 11:09:20
最終更新:2009年10月18日 13:17